生薬の解説
センキュウ (川芎)
中国四川省が原産と推定されるが,わが国でも江戸時代の寛永年代以後,栽培される.本格的には明治の中期,北海道に始まり現在も大量に栽培されている.中国の古典(「神農本草経」など)には,芎藭(キュウキュウ)と書かれているが,四川省産のものが良品とされたため,川芎という呼び名が生じたといわれている.この川芎に使われている「藭」や「芎」の字は,葉柄が弓状に曲がった様を表すものと考えられている.
原植物
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生薬
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生薬の品質を五感で判断する方法
- 肥大し,外面は暗褐色で内面が淡黄白色で,充実し,においも味も強いのが良品とされる.
一方で茎の付いたものや,寒気で凍結し,「ス」が入り軽くなったものは上質とはいえない.
また,結節の節間が延びて細長い根茎となり,節ごとに塊状根茎が数個連なっているものがある.
これを「そろばん珠様」(ソロバンタマデ)と称し,質が劣るとされており,結節のしわの間に土砂を含んでいることがある.
日本(日局)と中国(薬典)の川芎について
中国薬典の川芎は,日本では,唐川芎と呼ばれて区別され,局方に適合しない.
唐川芎:Ligusticum chuanxiong Hortorum (L.sinensis Oliver cv.chuanxiong Hortorum) が基原植物とされており,四川,甘粛,陝西,江蘇,安徽,江西,雲南など各省から産出される.香気が,日本の川芎に比べて強い.
代表的な成分の構造式