日漢協行動基準
Ⅰ.「日漢協企業行動憲章」の制定にあたって
2010年9月に経団連は、「企業の社会的責任」を取り巻く最近の状況変化を踏まえ、「企業行動憲章」および「実行の手引き」を改定しました。また、各加盟団体に対し、企業行動憲章等を参考にグループ企業を含めた事業活動全般について総点検を行うとともに、体制の強化を図るよう依頼しました。これを受け、日薬連では、「企業倫理徹底のお願い」を発出しました。
これは、これまで様々な業界で、法令遵守違反により、世の中の人々からの信頼を失い、業績が悪化し、ついには市場から撤退せざるをえない状況に至った企業もあったことを受けたものです。また、製薬企業として、確固たる企業倫理を確立・実践するとともに、「企業行動憲章」を策定のうえ、これを厳格に実施して、役員および従業員が違法行為に陥ることなく、未然に防止し、正常な企業活動が継続され、発展していくことが最大の目的とされています。
日漢協は、会員会社が自然の恵みを受けた生薬を原料とした事業活動を行い、生薬資源の保護・保全・栽培および循環型社会を目指していることを前提に、今後のコンプライアンスの指針として必要と思われる「地球環境への取り組み」、「適正使用の推進とエビデンスデータの収集」、「循環型社会への協力」、「国際規範の尊重」等、より広い視点から14項目にわたる「日漢協企業行動憲章」を制定しています。
Ⅱ.「日漢協企業行動憲章」
(2020年5月改定)
日漢協会員会社は、生命関連商品である医薬品を取り扱う企業として、極めて高い倫理観が求められています。さらに、自然の豊かな恵みを受けて育った生薬を基本とする事業活動を行っていることを絶えず忘れずに、地球環境を守るべく自然との共生を考慮しつつ、高品質な漢方製剤、生薬製剤および生薬を安定供給します。また、その役割と機能を高めるとともに、国民の健康と医療に貢献することを目指します。
そのため会員会社は、次の行動原則に基づき、国の内外を問わず、人権を尊重するとともに、すべての法令、行動規範およびその精神を遵守し、高い倫理観をもって行動します。また、自社のみならず、グループ企業、サプライチェーン等に対しても行動変革を促して社会的責任への取り組みを進めます。
- 品質および安定確保の推進
- 地球環境への取り組み
- 適正な取引と流通
- 適正使用の推進とエビデンスデータの収集
- 医療関係者・患者・生活者等との信頼関係
- 情報管理の徹底
- 公正な情報開示、ステークホルダーとの建設的な対話
- 循環型社会への協力
- 働き方改革、労働環境の充実
- 社会貢献活動
- 危機管理の徹底
- 人権の尊重
- 国際規範の尊重
- 経営トップの役割と本憲章の徹底
地球環境の保護・保全に努めつつ、原料生薬の品質および安定確保の推進を図り、より高品質な漢方製剤、生薬製剤および生薬を安定的に供給することにより国民の健康に貢献します。
地球環境への取り組みは人類共通の課題であり、漢方・生薬を取り扱う企業の必須として、生物多様性にも配慮した生薬資源の保護・保全および栽培に尽力し、責任をもって自然と共生するための活動を主体的に行います。
公正で自由な競争を通じ、漢方製剤・生薬として、適正な取引と流通を行います。また、医療関係者をはじめ、政治、行政との健全かつ正常な関係を維持します。
漢方製剤・生薬製剤および生薬の適正使用の推進とエビデンスデータの収集を行ない、製造販売後の品質・安全性・有効性に関する情報の収集・分析評価とその伝達を迅速かつ的確に行います。
医療関係者・患者・生活者等と誠実なコミュニケーションを図り、満足と信頼を獲得します。
個人情報や顧客情報の適正な保護に十分配慮し、情報管理に万全な対策を行います。
企業情報を公正に開示し、漢方・生薬を取り扱う企業を取り巻くステークホルダーとの建設的な対話を行い、企業価値の向上を図ります。
生薬資源の効率的な利用やリサイクルを進めることにより、環境への負荷が少ない「循環型社会」に協力します。
従業員の多様性・人格・個性を尊重する働き方を実現し、働きがいのある、健康と安全に配慮した労働環境を実現するとともに、従業員の倫理観の高揚と資質の向上を図ります。
良き企業市民として、社会貢献活動を積極的に行います。
市民生活や企業活動に脅威を与える反社会的勢力の行動やテロ、サイバー攻撃、自然災害、パンデミック等に備え、組織的な危機管理を徹底します。
すべての人々の人権を尊重する経営を行います。
事業活動のグローバル化に対応し、各国・地域の法律遵守および人権を含む各種の国際規範の尊重はもとより、文化や慣習、ステークホルダーの関心に配慮した経営を行い、当該国・地域の発展に貢献します。
経営トップは、本憲章の精神の実現が自らの役割であることを認識し、率先垂範の上、自社およびグループ企業にその徹底を図るとともに、取引先にも促します。また、社内外の声を常時把握し、実効ある社内体制を確立します。本憲章に反するような事態が発生したときには、経営トップ自らが問題解決にあたり、原因究明、再発防止に努めます。また、社会への迅速かつ的確な情報の公開と説明責任を遂行し、権限と責任を明確にした上、自らを含めて厳正な処分を行います。
あとがき
漢方・生薬を取り扱う企業は、地球環境に配慮した企業を目指し、企業行動憲章の精神に則り、活動を行うことを自主的に申し合わせます。
日漢協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン(2023年9月改定)
PDFをダウンロード企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン
医療用医薬品(医療用漢方製剤、生薬)を製造販売する会社一般用医薬品(一般用漢方製剤、生薬製剤等)を製造販売する会社
日本漢方生薬製剤協会会員各社は、医療機関並びに医療関係者の皆様のご協力をいただき、企業活動と医療機関等の関係の透明性・信頼性向上に努めます。
患者さんや国民の生命・健康に大きく関わり、また国民皆保険制度のもとにある我が国の製薬産業においては、他の産業以上にその活動の透明性を確保し説明責任を果たすことが重要です。
一方、 患者さんに最適な医薬品をお届けするために必要な製薬企業と医療機関、医療関係者の産学連携には利益相反が生じる場合があります。
製薬企業の活動が、患者さんを最優先に考え、倫理的かつ誠実なものとして信頼されるためには、「利益相反状態の適切な管理」 と「製薬企業と医療機関、医療関係者との関係の透明性を高めるための取組み」が必須となります。
上記を踏まえ、日本漢方生薬製剤協会(以下、日漢協)では、2011年に 「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン(以下、本ガイドライン)」を策定し、医療機関並びに医療関係者の皆様のご理解とご協力のもと、産学連携活動に係る資金等を公開してまいりました。
また、関係官庁や各団体において推進されている利益相反マネジメントへの取組みと本ガイドラインに則った日漢協会員会社の資金等の公開は、産学連携に対するより一層の信頼確保に繋がるものと確信しております。
日漢協では、本ガイドライン策定後も多方面からのご意見を参考に本ガイ ドラインを改定し、透明性・信頼性の一層の向上に取り組んでまいりました。その一環として、昨今の環境変化に対応すべく本ガイドラインを改定いたしました。
医療機関並びに医療関係者の皆様におかれましては、引き続き本ガイドラインの趣旨についてご理解いただき、今まで以上のご協力とご指導を賜りたくお願い申し上げます。
日本漢方生薬製剤協会
企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン
日漢協(医療用)2018年10月改定(2018年10月1日以降に開始する事業年度から適用)日漢協(医療用)2022年4月改定(2023年度の支払いから適用)
日漢協(一般用)2012年11月策定, 2019年3月改定(2019年度から適用)
「企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドライン」
および「患者団体との協働に関するガイドライン」の策定にあたって
日漢協会員会社の使命は、漢方製剤、生薬製剤および生薬の安定的な供給を通じて、日本の医療と人々の健康に貢献し「患者参加型医療」の実現に寄与することです。
この使命を果たすため、会員各社には、市販後における医薬品の適正使用推進や安全対策に至るまで、医薬品と患者さんが関わるあらゆる場面において、患者さんやそのご家族のニーズや悩みを理解して対応していくことが求められています。このため、会員各社が患者さんやそのご家族の声を代表する患者団体と協働する機会が徐々に増えてきています。また、行政、医療界ともに、「患者の声」をより重視するようになり、行政当局の委員会や検討会に患者団体の代表者が委員として参画することも増えてきました。
このように患者団体の発言力・影響力が高まるなか、製薬企業は、患者団体との協働について、一般社会から正しい理解を得るために透明性を確保する必要性が増してきました。
国内では2012年に日本製薬工業協会会員企業が患者団体に提供している金銭的支援等について、一定のルールの下に情報を開示することにより、一層の透明性を確保し、その活動が高い倫理性を担保したうえで患者団体の活動・発展に寄与していることについて広く理解を得ることが重要であると考え、「企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドライン」を策定しております。
日本漢方生薬製剤協会でも、国内外の動向を踏まえ、業界全体での足並みを揃える必要性を考え「企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドライン」および「患者団体との協働に関するガイドライン」を策定しました。
日本漢方生薬製剤協会
企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドラインおよび患者団体との協働に関するガイドライン
企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドライン
日本漢方生薬製剤協会
2013年9月20日策定
2014年4月1日実施
会員会社の活動における患者団体との関係の透明性を確保することにより、その活動が患者団体の独立性を尊重する高い倫理性と相互理解を担保したうえで患者団体の活動・発展に寄与していることについて広く理解を得ることを目的としたものである。
- 会員会社は、本ガイドラインを参考に自社の「患者団体との関係の透明性に関する指針」を策定し、自社における行動基準とする。
- 患者団体とは、患者・家族、その支援者が主体となって構成され、患者の声を代表し、患者・家族を支えあうとともに、療養環境の改善を目指し、原則として、定款・会則により定義された役割や目的を持つ患者会および患者支援団体とする。会員会社が資金提供・支援を行う団体の選定基準については会員会社の判断に基づく。
- 自社の「患者団体との関係の透明性に関する指針」には以下の項が記載されることが望ましい。
- 会員会社の姿勢
- 公開方法
- 公開対象と内容
会員会社は、直接的資金提供、間接的資金提供、会員会社からの依頼事項への謝礼等、労務提供を行った患者団体についてその内容を公開する。 - 直接的資金提供
- 間接的資金提供
- 会員会社からの依頼事項への謝礼等
- その他
- 公開時期
患者団体との関係は、患者団体の独立性を尊重し透明性を確保する必要がある。透明性を確保するために、会員会社が関与している事実を明らかにし、資金提供については、その目的、内容等を書面により合意し、記録を残す必要がある。
また、会員会社が行う患者団体とのあらゆる活動は、日本漢方生薬製剤協会(以下、日漢協)で定める「日漢協企業行動憲章」、「日漢協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」、「日漢協コード・オブ・プラクティス」、「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」、「患者団体との協働に関するガイドライン」をはじめとする関係諸規範およびその精神に従うことを表明する。
会員会社は、自社ウェブサイト等を通じ、前年度分の資金提供等について各社の決算発表後に公開する。
(対象)寄附金、会員・賛助会員費、協賛費、広告費等
(内容)
直接的資金提供を行った患者団体名及び費用項目ごとの金額を記載する。但し、費用項目の立て方は会員会社の判断とする。
(対象)
・患者団体支援を目的とした企業主催・共催の講演会、説明会、研修会等に伴う費用
・患者団体支援に関連して外部業者に委託した費用
(内容)
間接的資金提供を行った患者団体名及び間接的資金提供総額を記載する。なお、患者団体ごと、費用項目ごとに分けて記載する必要はない。
(対象)講師、原稿執筆・監修、調査、アドバイザー等の費用
(内容)
会員会社から依頼を行った患者団体名及び費用項目ごとの金額を記載する。但し、費用項目の立て方は会員会社の判断とする。
(対象)労務提供の有無
(内容)提供した患者団体名を記載する。
2014年度分の資金提供等を2015年度から公開する。
以上
患者団体との協働に関するガイドライン
企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドライン
日本漢方生薬製剤協会
2013年9月20日策定
2014年4月1日実施
日漢協会員会社は、高品質な漢方製剤、生薬製剤および生薬を継続的に安定供給し、その役割と機能を高めることによって、漢方製剤、生薬製剤および生薬の普及、定着と発展を図り、医薬品業界の発展と国民の皆様の健康に貢献することを目的としております。このためには、患者さんの求めるニーズや悩みを理解することが必要となっており、患者団体との積極的かつ継続的な協働の機会が増えてきました。
会員会社は、患者団体とのあらゆる協働において、高い倫理観を持ち、患者団体の独立性を尊重します。また、患者団体との協働の目的と内容について十分に相互理解するよう努めます。このため、「患者団体との協働に関するガイドライン」を下記のとおり策定しました。患者団体と協働する会員会社は、本ガイドラインを参考に自社の指針を策定し、自社における行動基準とします。
- 相互理解
- 信頼関係の構築
- 患者団体の独立性の尊重
- 透明性の確保
- 書面による合意
- 製品の広告・宣伝の禁止
- 影響力行使の禁止
- 資金源の多様性の推奨
- 適正な支援
会員会社は、患者団体との協働を、それぞれの見解や判断を尊重した相互理解のもとに行います。
会員会社は、患者団体と対等な関係で信頼関係を構築し、共通の目的の実現に向けてそれぞれの役割を果たします。
会員会社は、患者団体の独立性を尊重します。
会員会社は、金銭的支援等についてその情報を公開し、透明性を確保します。
会員会社は、患者団体との協働における活動項目や資金提供等については、その目的・内容等について、書面による合意を交わし、記録に残します。
会員会社は、患者団体に対し、医療用医薬品の広告・宣伝を行いません。
会員会社は、患者団体に対し、企業の利益のために患者団体の出版物の内容、発言等に影響力を行使することは行いません。
会員会社は、単独の支援者となることを条件とする支援は行いません。患者団体が活動のための資金を複数の提供元から調達することを推奨します。
会員会社は、患者団体に対する支援にあたってはその目的に相応しい会場および開催地とするなど、適正に支援を行います。
用語解説
患者団体
患者・家族、その支援者が主体となって構成され、患者の声を代表し、患者・家族を支えあうとともに、療養環境の改善を目指し、原則として、定款・会則により定義された役割や目的を持つ患者会および患者支援団体とする。
金銭的支援等
「企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドライン」公開対象を指す。
患者団体との協働
患者団体との交流、支援から共有の課題解決を目指す活動まで幅広い範囲とする。
日漢協コード・オブ・プラクティス | PDFをダウンロード |
医療用漢方製剤・生薬製品情報概要等 作成上の留意点 | PDFをダウンロード |