生薬の解説
サイコ (柴胡)
江戸時代,全国的に生産されるようになったサイコは,静岡県三島が良質な柴胡の大集荷地であったため,ミシマサイコと呼ばれるようになった.近年になって野生のミシマサイコはほとんど消滅し,今日ではもっぱら栽培品が主である.
原植物
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生薬
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北柴胡(津柴胡)河北省産 |
柴胡(2年生)日本産 |
柴胡(1年生)日本産 |
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もっと知りたい
基原に関する事項中国産の Bupleurum chinense DC.(マンシュウミシマサイコに基づく北柴胡)及び B.scorzonerifolium Willd.(ホソバミシマサイコに基づく南柴胡(紅柴胡))は Bupleurum falcatum Linnéの地域変種と考えられている.韓国産(植柴胡)の基原はミシマサイコである.
日本産
- 栽培品
国内産:1年生のサイコサポニン含量は2年生に比べてやや高いが,形状的にはやや細い.2年生は1年生と比べ太いが,時に芯が木質化している場合がある. - 野生品(主に静岡県三島地方に自生していたものが良品と言われた)
現在は流通していない.過去流通していたものは外面が黄褐色で特有の香気が強く,繊維性ではなく,柔軟である.刻むと内側の色が淡黄色で油道が明確に認められた.特に褐色の油が滲み出るものが最高品とされていた. - 九州柴胡
九州地方で採れた野生品を総称した名称であり,現在は流通していない.
韓国産
サイコサポニン含量は日本産と比較して遜色ないが,生育条件の違いや水洗い,調製方法が悪く,一般的に日本産に劣るとされる.
中国産
- 日本産三島柴胡系統の栽培品
日本産のものと形状的に大差はない. - 南柴胡
野生品であり,細いものが多く,やや柔軟性があり,サイコサポニン含量は比較的高い. - 北柴胡
野生品であり,遼寧省,河北省,河南省から産出される.南柴胡と比べると太く,外面は黒褐色で,繊維性が強い.中でも天津から輸出されるものを津柴胡と称するといわれている.
代表的な成分の構造式