122号 (第41巻 第2号)2024年9月
『薬用作物の生産拡大に向けて』
農林水産省 農産局 果樹・茶グループ長 (地域対策官) 羽石 洋平 |
本年7月に果樹・茶グループ長(地域対策官)を拝命し、薬用作物の振興を担当しております。日本漢方生薬製剤協会並びに会員企業の皆様におかれましては、日頃から、薬用作物の振興施策に御理解と御協力を賜りまして感謝申し上げます。
さて、農産物の生産振興を担う農林水産省農産局の中で、私ども果樹・茶グループは果樹、茶のほか、薬用作物、いぐさ・畳表、繭・生糸、こんにゃく等の地域特産作物を所管しております。なかでも地域特産作物は、米や野菜等の園芸作物ほど多くは生産されていませんが、地域の加工技術や実需者等との結びつきにより高品質な製品を生み出すことで、中山間地域等における農業振興のみならず地域経済を支える重要な作物となっております。
特に、生薬の原料となる薬用作物につきましては、北海道から沖縄まで全国各地域で栽培されており、堅調な生薬需要を背景に国内生産拡大への期待が高まっていることから、地域の実情に応じた生産体制の強化や実需者ニーズに対応した生産を推進していくこととしています。
一方、薬用作物は一般的な取引市場が存在しないことから契約栽培が基本となり、生薬は医薬品としての品質規格等を満たす必要があることから、産地・生産者と製薬企業の皆様との契約に向けたマッチングや一定の品質を満たした栽培技術の確立が重要となります。
このような中、貴協会におかれましては、平成28年に(一社)全国農業改良普及支援協会とともに薬用作物産地支援協議会を設立され、製薬企業の皆様との契約に向けた相談窓口の設置・マッチング機会の提供や、安定生産に資する栽培技術確立のための実証、栽培マニュアルの作成、栽培技術指導など、産地化に向けた支援に力強く取り組んでいただいております。こういった支援が功を奏し、産地が抱える栽培方法や販路確保等に係る不安を解消し、産地・生産者と製薬企業との交渉成立、契約取引の開始といった成果に結びついており、薬用作物の産地化及び生産拡大に大きな役割を果たしていると考えております。
本年5月に農政の基本理念や政策の方向性を示す「食料・農業・農村基本法」の改正法が成立いたしました。本改正法は、「食料安全保障の抜本的な強化」、「環境と調和のとれた産業への転換」、「人口減少下における農業生産の維持・発展と農村の地域コミュニティの維持」の実現を目指しており、本年度中に新たな基本法に基づく食料・農業・農村基本計画を策定し、施策の具体化を着実に進めてまいります。
薬用作物についても、地域経済における地域特産物としての重要性を踏まえ、その生産拡大の推進に取り組んでまいります。今後とも、高品質な漢方製剤等の安定供給により国民の健康と医療に貢献すべく活動されている皆様方におかれましても、生産者・産地と連携した取組による産地支援を牽引していただきますようお願い申し上げます。
「協会活動の課題に対する取り組みについて」
日本漢方生薬製剤協会 副会長 草柳 徹哉 (クラシエ薬品㈱ 代表取締役社長) |
まずは、8月に発生しました宮崎県日向灘の地震ならびに台風10号において、被災されました皆さまに衷心よりお見舞い申し上げます。一日も早く、平穏な日々に戻られますことを心よりお祈り申し上げます。
さて、日漢協では副会長および一般用漢方製剤会議議長としての重責を担っておりますが、この度、日本一般用医薬品連合会(以下、一般薬連)会長の大役を仰せつかりました。会長として一般用医薬品5団体を取りまとめる役回りとともに当協会の意見反映にも尽力していく所存です。現在一般薬連では次の取り組みを行っております。
1つ目が「セルフメディケーション税制」の取り組みであります。本税制は2026年で税制措置が一度区切りを迎えるため、2027年からの税制更新に向けては来年度中の議論が非常に重要となってきます。対象品目の拡大や、上限下限金額の見直し、生活者へのアンケート調査など一般薬連内での議論を深めながら、行政への要望を行ってまいります。
2つ目が「医薬品品質プロジェクト」の取り組みであります。「一般用医薬品の品質問題に係る自主点検」において承認書と製造実態の自主点検が実施され、5月16日に一般薬連より自主点検結果を公表しました。これを受け、令和6年6月27日付け医薬薬審発0627第1号「要指導医薬品及び一般用医薬品並びに指定医薬部外品の製造販売承認書と製造実態の整合性に係る点検後の手続きについて」が発出され、点検後の薬事手続きについて示されました。当協会の会員会社におかれましても必要に応じてしっかりと取り組んでいただくようこの場を借りてお願いいたします。
また、セルフケア・セルフメディケーション推進のための、OTC医薬品の普及啓発活動として、OTC啓発イベントや広告研修の取組みも継続して実施してまいります。
一方、医療用漢方製剤・生薬に関連するところでは、3月5日に令和6年薬価基準に関する官報告示が行われ、医療用漢方製剤117成分、生薬13成分、生薬製剤1成分が不採算品再算定の適用を、生薬73成分が平成30年度薬価制度改革より継続して基礎的医薬品の適用を受けました。令和7年の中間年改定の実施は不透明でありますが、改定が実施された際には継続している原料価格の高騰、エネルギー価格の高騰、為替の変動等により会員会社の採算性が悪化しており、継続して不採算品再算定・基礎的医薬品の適用を受けるべく準備を進めてまいります。また併せて、安定供給確保に向けた取り組みについて強化してまいります。
また、2014年以降、中国医薬保健品進出口商会(以下、医保商会)と1年毎に訪日、訪中を交互に行い、親密な関係を構築してまいりましたが、コロナ禍の影響により、2019年の訪日団以降、中止を余儀なくされておりました、医保商会との定期的交流を本格的に再開し、本年11月には6年ぶりに訪中団を結成し、中国浙江省(予定)に訪問いたします。原料生薬の安定確保のため、中国関係者との更なる親交を深めてまいります。
関係各位の皆様には、当協会の活動にご理解を賜り、引き続きご支援ご指導頂けますよう、重ねてお願い申し上げます。
医療用漢方製剤会議
医療用漢方製剤委員会 委員長 長谷川 久(株式会社ツムラ)
- 医療用漢方製剤委員会
- 流通適正化部会
- 教育研修部会
- 有用性研究部会
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日本東洋医学会EBM委員会協力作業
1)EBM委員会のウェブサイトについて、韓国語版へのリンク設定を変更した。
(参考)EBM委員会ウェブサイト漢方専門医認定機関、日本東洋医学会 | EBM特別委員会( jsom.or.jp)2)Zoom によるリモートでの委員会を開催し(7月2日、7月24日)、以下の件について討議した。
1 2025年学術総会EBM 委員会企画の内容について、元雄担当理事からタイトル案と4名の役割者案が提示された。
2 2024年学術総会EBM 委員会企画シンポジウムの論文化について、TKM誌に投稿し、オープンアクセス化を進めることにした。
3 STORKの使用を広めるため、処方別ページを作成することになった。各処方に共通して掲載する文言は各委員確認済みで、年度内を目標に作成を進める。
(参考)STORK漢方処方の引用元としてのSTORK
mpdb.nibiohn.go.jp/stork/4 加藤育民委員の後任アブストラクターとして、眞木賀奈子委員が着任し、理事会でも承認された。
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医療用漢方製剤添付文書情報の調査
現在ホームページに公開している「医療用漢方製剤 2022―148処方の添付文書情報―」の2024年度調査(更新)を行った。部会メンバー以外の3名の方に協力いただき、8月1日に公開した。今後は、英語版の更新を進める。
(参考)日漢協添付文書情報(医療用)添付文書情報(医療用)|日本漢方生薬製剤協会( nikkankyo.org)
5月30日に委員会を開催した。
1 日漢協第244回・第245回理事会、第42回定期総会の審議・報告事項について説明した。
2 部会(流通適正化、教育研修、有用性研究)および関係委員会等(コード、保険薬価、提言実現)の活動について、部会長・委員長より報告いただき情報共有した。
3 委員会メンバーの交代等について、退任者は松本良三前副委員長(小太郎漢方製薬)、八幡優氏(クラシエ薬品)、新任者は石塚真一氏(小太郎漢方製薬)、戸田隆夫氏(クラシエ薬品)、長野正義氏(ツムラ)である。
4 副委員長の退任に伴い、石塚真一氏が副委員長に推薦され、満場一致にて承認された。
日薬連流通問題連絡会の担当者をツムラ若桑文夫氏より小林寿明氏へ変更した。なお、流通適正化副部会長も交代となる。
各業界団体での自主行動計画策定については現時点では進展していない。
会員会社の透明性ガイドラインの公開状況と公開への課題についてアンケート調査を実施する予定である。
教育研修部会の研修会開催(6月28日)
1)Agenda
1 栗村事務局長より ご挨拶
2 参加メンバーより、教育に関する近況報告(各社のMR教育に関する取り組み状況等ご紹介)
3 教育研修部会 2月研修会報告について(宮内部会長)
4 今後の教育研修部会についてメンバーで討議(教育部会研修会、次回教育部会開催、その他)
2)討議共有内容要旨
ご挨拶ならびに参加メンバーより教育に関する近況報告
新MR認定センター制度改革や導入
研修、実地教育をいかに充実させるかについて意見交換
生薬会議
生薬委員会 委員長 山本 豊(株式会社栃本天海堂)
- 令和6年度 茶・薬用作物等地域特産作物体制強化促進事業について
- 第8回原料生薬使用量等調査について
農水省の支援を受けた薬用作物産地支援協議会(一般社団法人全国農業改良普及支援協会と日漢協で設置した協議会)の今年度施策のうち、「薬用作物の産地化に向けた地域説明会および相談会」の開催予定を以下に示す。
既に第1回、第2回は終了しているが、薬用作物の栽培等に興味をお持ちの方は、ぜひご参加いただきたい。
また、薬用作物(生薬)産地化推進のための行政担当者情報交換会は、11月29日(金)に東京での開催を予定している。
いずれも詳細については、薬用作物産地支援協議会のホームページで確認いただきたい。
「薬用作物の産地化に向けた地域説明会および相談会」の開催予定(開催済を含む)
2021年度(2021年4月~2022年3月)及び2022年度(2022年4月~2023年3月)の調査結果に既報の2008年度からの13年間を加えた15年間の使用量等の推移について俯瞰した資料を『生薬学雑誌』に投稿した【原稿第1稿受付日:2024年7月3日/タイトル:日本における原料生薬の使用量に関する調査報告(4)】。
総使用量の推移はニューズレター121号に記した通りであるが、2021年度の総使用量は29,392t、2022年度は33,829tでそれぞれ調査対象期間(2008~2022年度の15年間)の最高使用量を更新し、2022年度は、調査開始時(2008年度:20,763t)の約1.6倍になっている。
今回は15年間の生産国と品目数の推移を示した(図1)。使用された生薬の品目数は271.7±11.2品目(MEAN±SD)で、そのうち僅かでも日本産が使用された品目数は90.1±3.7品目であった。調査対象期間の直近の2022年度では、284品目が使用され、そのうち使用量にかかわらず少なくとも日本産が使用された生薬は、84品目(29.6%)で使用量としては1割程度であるが、品目数としては全使用生薬のほぼ3割にあたる(図2)。
本報告を皆様の研究や活動にご活用いただければ幸いである。
図1 原料生薬の生産国と品目数(15年間:2008-2022年度)【生薬学雑誌 投稿中】
図2 2022年度の使用生薬284品目の生産国【生薬学雑誌 投稿中】
一般用漢方製剤会議
一般用漢方製剤委員会 委員長 高橋 隆二(クラシエ薬品株式会社)
- 一般用漢方製剤委員会
- 処方部会
- 適正使用推進部会
7月2日(火)に幹事会を、7月11日(木)に2024年度第1回委員会を開催し、理事会報告、各部会活動報告、各種プロジェクト報告等の情報共有を行った。
4月17日(水)〜19日(金)に東京ビッグサイトで開催されたCPHI Japan 2024の日漢協ブース内において、会員会社より葛根湯7社17商品、八味地黄丸5社10商品の空箱を提供いただき、漢方処方(葛根湯・八味地黄丸)のパネルとともに展示し、漢方の普及活動を行った。
7月25日(木)に部会を開催した。一般用漢方製剤承認基準への追加候補39処方につき、委員会内で実施したアンケート結果をもとに、新たに追加希望のあった4処方の情報を加え、今後も追加処方の検討を継続する。
8月5日(月)に部会を開催した。確認票のメンテナンスと確認票を掲載しているWebページの改修内容の検討を継続実施した。また、部会にて第297回、第298回広告審査会ヒアリング結果の共有と委員会内への情報発信につき意見交換を行った。
生薬製剤会議
生薬製剤委員会 委員長 和田 篤敬(小林製薬株式会社)
幹事会を6月11日(火)に、委員会、制度研究部会と製剤開発部会の合同部会を7月12日(金)に開催、当委員会の当面の間の運営や活動の様態について意見交換し、できるだけ支障がないよう、常務理事や事務局とも相談しながら適宜対応することとしている。
6月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2024」において、(女性活躍)では、「・・・フェムテックの推進・・・など生涯にわたる女性の健康への支援等に取り組む。」との記載が、また、(・・・ヘルスケアの推進)では、「・・・セルフケア・セルフメディケーションを推進し・・・」と記載されており、当帰川芎製剤(いわゆる婦人薬)の利活用が推進されるよう、環境整備に向けて検討を進めていく。
次の検討テーマとして生薬主薬保健薬(ニンジン主薬製剤)の範囲拡大の可能性について検討しており、制度研究部会と製剤開発部会の両部会で、本草書や薬物書におけるニンジンの薬能について収集し、以下のような機会に先生方から現代的な解釈や適応症状、また参考情報などの貴重なご意見をいただいている。
・5月31日~6月2日:第74回 日本東洋医学会 学術総会(大阪国際会議場)
・8月24日~25日:第41回 和漢医薬学会学術大会(千葉大学 亥鼻キャンパス)
・9月15日~16日:日本生薬学会 第70回年会(近畿大学 東大阪キャンパス)
引き続き、臨床文献等と合わせて整理を進めていく。
セルフメディケーション税制について、2022年1月から5年間延長され、対象品目がスイッチ成分配合品から、生薬(マオウ、ジリュウ、ナンテンジツ)を配合した漢方生薬製剤を含めた一部の非スイッチ成分配合品に拡大しており、2024年8月時点の税制対象品目数に占める生薬配合品目数は約20%となっている。
国税庁の発表によると、対象品目が拡大した2022年分の税制利用者(確定申告者)数は、下表のように、それ以前の約1.6倍に増え、2023年分は更に増加したが、それでも5万人に満たない状況である。
税制の恒久化(期間延長)や対象品を全てのOTC医薬品に拡大するには、税制の利用者を増やすことが重要と考えられ、一般薬連では、税制の周知に向けて、税制対象品を広告する際に、適切に共通識別マーク(上記)を表示するよう呼びかけている。
原薬エキス会議
原薬エキス委員会 委員長 佐々木 博(日本粉末薬品株式会社)
2024年6月26日(水)と8月28日(水)に本年度第2回および第3回原薬エキス委員会を開催した。委員会では、日局の検討状況等を共有化し、また局外生規2026新規収載センナエキスの製法、性状、成分含量等について検討を行った。
- 漢方処方エキスの日局収載
- 局外生規2026
本年6月28日付で18局第二追補が告示され、辛夷清肺湯エキスが新規収載された。これにより、日局収載漢方処方エキスは40処方となった。
6月の生薬等(A)委員会、次いで7月の生薬等(B)委員会で、麻子仁丸エキスの収載案が各規格値を含めて了承された。9月にPMDAから意見募集される。麻子仁丸エキスは19局(2026年4月告示予定)で新規収載される。
現在「漢方処方エキス班」(国立衛研の研究班)では、人参養栄湯エキスおよび麻黄附子細辛湯エキスの収載案が検討されている。また漢方処方エキス班の要請で、現在日漢協では、既収載漢方処方エキスの確認試験、定量法等について改正要望が調査されている。
これとは別に、ロートエキスなど日局単味生薬エキスの製法、特に原料生薬の切度について委員から要望があり、現在当委員会で調査中である。
本年7月3日(水)に「局外生規に関する検討連絡会議」(事務局:医薬品審査管理課)が開催された。日局アカメガシワの確認試験が改正されたことに伴い、局外生規アカメガシワエキスについて当委員会で追試した結果、特に問題なかった旨を報告し、了承された。
また7月17日(水)に局外生規2026第9回作成WG(座長:国立衛研伊藤生薬部長)が開催された。当委員会から、新収載センナエキスの製法、性状、重金属等について報告し、製法が了承された。現在当委員会では、重金属の添加回収率、含量規格のデータ取りを進めている。
国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクト
プロジェクトリーダー 味岡 賢士(株式会社ツムラ)
- プロジェクト会議を5月28日(火)、6月25日(火)、8月20日(火)に行った。
- 2023年度の日漢協医療経済学的研究に係る研究助成について、研究者より報告書を受理した。
- 2024年度日漢協医療経済学的研究に係る研究助成の選定を行い、3テーマを採択し、ホームページにアップした。
- 日本薬科大学主催の漢方投稿企画(作文コンテスト)について、アウトリーチチームにおいて対応した。
-
「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会2024」の開催が決定し、内容等について検討した
(1)開催日時 2025年2月17日(月曜日)18:00~20:00
(2)会 場 KKRホテル東京(10F 瑞宝)
(3)共 催 日本東洋医学会/ 日本漢方生薬製剤協会
総務委員会
委員長 永野 聡(株式会社ツムラ)
- 事業計画に関する事項
- 協会活動の効率的運営に関する事項
- 新規会員の入会促進に関する事項
- 講演会に関する事項
- コンプライアンスに関する事項
- その他
第42回定期総会(5月21日)において、「2024年度事業計画」が承認された。
(1)ビジョン実現検討班の運営
各組織より「漢方将来ビジョン2040」第1期5ヵ年アクションプラン中間報告を取りまとめ、第42回定期総会において報告した。終了後、日漢協ホームページ(協会活動→漢方の将来ビジョン2040→実現に向けたロードマップ・アクションプラン)に掲載した。
新規会員の獲得に向けたターゲット会社を選定するとともに、広報委員会と協力して、入会促進に関する資料等の検討を開始した。
2024年9月20日(金)の理事会後に厚労省医政局産情課の水谷忠由課長をお招きして「医薬品産業の現状と課題(仮題)」について講演会を企画した。
コンプライアンスの取り組みに関する実態調査を実施するため、白神誠先生(ファーマコエコノミクス研究会)に面談し、調査内容等のアドバイスを頂いた。
(1)日薬連個人情報委員会関連事項について
個人情報保護委員会(行政機関)が作成された「個人情報保護法を遵守できているか確認するためのチェックリスト」と「個人データの漏えい等について個人情報保護委員会への報告対象となる場合」のポスターやパンフレットを確認し、会員会社に周知した。
(2)総務委員会移動部会の開催について
総務委員会移動部会を2024年5月23日(木)~24日(金)、高知県高知市の地において開催した。23日に総務委員会、翌24日には2023年9月の理事会後の講演会でご講演いただいた川原信夫園長が就任している高知県立牧野植物園を見学した。まずバイカオウレンを見て、薬用植物区では開花していたカイケイジオウやキョウオウ、セッコクなどを見ることができた。広大な牧野植物園の一部だけ見学させていただいたが、実際の植物を見て感じることができ、大変貴重な体験となった。
広報委員会
委員長 北村 誠(株式会社ツムラ)
- 第74回日本東洋医学会学術総会市民公開講座について
- 第27回市民公開漢方セミナーについて
- 第75回日本東洋医学会学術総会市民公開講座について
- NHK「おはよう日本」での放送について
- プレスリリースについて
- 記事化について
2024年6月2日(日)、大阪国際会議場において、日本東洋医学会と日漢協との共催により、第74回日本東洋医学会学術総会市民公開講座が開催された。
当日の参加者数は、来場106名、Web視聴96名の合計202名であった。当日は、事務局および広報委員が受付、資料配布、誘導等の対応を行った。
下記の内容にて、案内用チラシが完成した。告知については、会員会社による広報のほか、日漢協ホームページ、WEB広告、新聞折込、文京区広報誌等、広く周知活動を行う。
(1)日 時:2024年11月27日(水)18:30~20:00
(2)会 場:文京シビックホール小ホール(文京区)
(3)講 師:堀場 裕子先生(慶應義塾大学医学部 漢方医学センター 専任講師)
(4)テーマ:「あなたの不調に寄り添える漢方薬」~日常にありがちなイライラ、不安、不眠、めまい、頭痛、疲労感、冷え症など~
6月24日(月)、来年度の日本東洋医学会学術総会時の市民公開講座の開催に向け、下記の通り同学会常務理事である砂川正隆先生(昭和大学医学部生体制御学教授)と会の概要等について打ち合わせを行った。
1)開催概要
・日程:2025年6月8日(日)
・場所:京王プラザホテル
・講師およびテーマ:漢方を盛り込む内容で講師の選定や講演の概要を検討していく
2)今後の進め方
開催に向け、準備委員長である砂川先生と広報委員、およびコンベンションセンターであるJTBコミュニケーションズとの間でやり取りを行い、詰めていく
6月14日(金)、日漢協においてNHK首都圏局による原料生薬の国内産地化に関する取材および撮影が行われ、生薬国内生産検討班の小柳裕和班長が対応、広報委員が同席した。
本収録をもとに20日(木)7時45分放送の「おはよう日本」の中で、右肩上がりに漢方製剤の生産金額が増えている現状や天候に左右されやすい生薬栽培の特性、さらに原料生薬の調達先における複線化の重要性などについての内容が取りあげられた。
7月11日(木) 薬産協主催 地域説明会・相談会および行政担当者情報交換会 リリース
北海道新聞の徳永仁記者より原料生薬の国産化に関して取材依頼があり、小柳班長とともに対応。
8月23日付同新聞において記事化された。
国際委員会
委員長 小柳 裕和(株式会社ツムラ)
左より【草柳 徹哉 副会長)】【王思成 副局長】
左より【町田 吉夫 常務理事】【楊 龍会 党委副書記】
【記念品の交換を行う王副局長と草柳副会長】
【参加者全員での集合写真】
2024年8月19日(月)、中国国家中医薬管理局の幹部および在日本中国大使館書記官等のご一行が日漢協に来訪、交流を図った。当局は、今回厚労省の招聘を受け、王思成副局長が代表団を率い、伝統医薬分野における日本との交流と協力関係を強化する目的で来日した。双方の出席者は以下のとおり。
【中国側】
・王 思成 様 (国家中医薬管理局 副局長)
・楊 龍会 様 (中国中医科学院 党委副書記)
・曲 慧勇 様 (国家中医薬管理局 人事教育司副司長)
・董 雲龍 様 (国家中医薬管理局 中西医結合及び少数民族医薬司副司長)
・徐 晶 様 (国家中医薬管理局 国際合作司アジア・米・マルチ処処長)
・朱 小博 様 (在日本中国大使館 一等書記官)
・張 著先 様 (在日本中国大使館 三等書記官)
・刘 晨光 様 (上海惠立医療科技有限公司、通訳)
・譚 暁棟 様 (Doctor Care 株式会社)
【日漢協側】
・草柳 徹哉 (副会長、クラシエ薬品㈱ 代表取締役社長)
・鈴木 一平 (副会長、小太郎漢方製薬㈱ 代表取締役社長)
・栃本 大輔 (副会長、(㈱栃本天海堂 代表取締役社長)
・町田 吉夫 (常務理事)
・栗村 芳之 (事務局長)
・小柳 裕和 (国際委員長)
・韓 青松 (国際委員会、通訳)
・松塚 泰之 (コード委員長)
・坂上 誠 (保険薬価委員長)
・松本 良三 (総務委員会 副委員長)
・安東 薫 (薬制委員会 副委員長)
・中浜 孝 (広報委員会 副委員長)
今回の会は、前半は若干の緊張感はあったものの、交流が進むにつれ、徐々に和やかな雰囲気へと変わっていった。お互いの交流を深める有意義で大変貴重な機会となった。
双方の概略を説明した後、時間の許す限り質問や意見交換が行われた。
中国側からは
①漢方製剤と生薬製剤の違いは何か?
②日本の漢方医学教育のモデル・コアカリキュラムの変遷の概要は?
③生薬調達上の野生と栽培比率は?
④日本の漢方は世界の特許の中で70%を占めているとの中国マスコミ報道について真偽は?
⑤診療ガイドラインについての詳細は?
⑥エビデンスデータ集積の具体的方法は?
等の質問が出され、適宜、日漢協の出席者から回答を実施した。
特に④の質問については、そのような事実が無いことについて、訪日された中医薬管理局メンバーに直接説明して、誤解を解くことができたのは大きな成果であった。
日本側からは、
①中国の中医師は新薬(西洋薬)を処方できるのか?
②中国の中薬/ 中成薬の今後の成長予測は?についての質問を行い、以下の回答を得た。
①については、中医師は西洋薬を処方でき、西洋医師は中薬の処方もできる。具体的に管理面では、教育研修が必要となり、メインに学んだ以外の分野の薬を処方するためには、研修を受ける必要がある。
②については、中医薬は全体医薬品の中での占める割合も、日本より遥かに高い。新型コロナ以降、健康志向も高まり中医薬に興味を持つ人が増えている。
最後は、王副局長と草柳副会長との間で記念品の交換が行われた後、参加者全員揃っての記念撮影がとり行われた。
薬制委員会
委員長 栗田 宏一(クラシエ薬品株式会社)
薬制委員会では薬事制度に関する事項、漢方・生薬製剤の関連法規及び関係通知の調査研究、関係行政機関及び諸団体との連絡並びに意見具申を基本に活動している。
- 第十八改正日本薬局方第二追補の施行について
- 医薬品の品質問題への対応について
令和6年6月28日付け厚生労働省告示第238号「日本薬局方の一部を改正する件」が告示され、同日から適用された(経過措置期間:令和7年12月31日)。新規収載漢方処方エキスは、辛夷清肺湯エキスの1処方で日局収載漢方処方エキスは40処方となった。(OTC知事承認対象は16局第二追補までの28処方)
・令和6年6月28日付け薬生発0628第7号「第十八改正日本薬局方第二追補の制定等について」
・令和6年6月28日付け薬生薬審発0628第2号「第十八改正日本薬局方第二追補の制定に伴う医薬品製造販売承認申請等の取扱いについて」
「一般用医薬品の品質問題に係る自主点検」において承認書と製造実態の自主点検が実施され、2024年5月16日に一般薬連より自主点検結果が公表された。その後、令和6年6月27日付け医薬薬審発0627第1号「要指導医薬品及び一般用医薬品並びに指定医薬部外品の製造販売承認書と製造実態の整合性に係る点検後の手続きについて」が発出され、点検後の薬事手続きについて示された。
技術委員会
委員長 高杉 泰弘(株式会社ツムラ)
2024年6月24日(月)に2024年度第2回、2024年8月27日(火)に第3回の委員会を開催した。局方や局外生規関連をはじめとする各部会の活動状況や日薬連品質常任委員会を通しての規制当局の動きや各ワーキングの進捗の共有、委員より寄せられた提言事項に対する議論を行った。
- 日局関連
- 技術品質部会関連
- 生薬品質部会関連
AMED研究班が再構成され、各班の代表者を選出した。
日局19への収載に向け、人参養栄湯エキス、麻黄附子細辛湯エキスの試験法について継続して検討している。
品質課題解決に関する取り組みに関して、今後の実施事項の検討を開始した。
2024年7月19日(金)に高知県立牧野植物園の見学会を開催した。14名が参加し川原園長に直接ご案内およびご説明いただいた。
安全性委員会
委員長 香取 征典(株式会社ツムラ)
医療用医薬品添付文書新記載要領対応
医療用医薬品添付文書新記載要領対応製造販売業者ごとに各品目の新記載要領に基づいた電子添文の作成・届け出・公開対応が2024年3月末の猶予期間終了となり、PMDAのHP掲載データも新記載要領にあわせたXML形式での公表となっている事の報告を受けている。
今年度からは、「注意事項等情報」の内容について、医療用漢方製剤を対象とした業界統一冊子の20年ぶりとなる改訂作業を進めていく予定である。安全性委員会参加会社の医療用漢方製剤の製造販売業者によるワーキングメンバーでの活動を念頭に、ワーキング会合の日程調整を8月に行い、作業を開始していくところである。新記載要領対応版として改訂履歴の整理・関連通知の収集を実施しながら、変更骨子を検討し、これまでの注意喚起改訂根拠も含めながら、より分かりやすい掲載内容を目指した対応を進めていきたい。
コード委員会
委員長 松塚 泰之(クラシエ薬品株式会社)
7月17日に委員会を開催した。
①副委員長の交代について報告と承認を行った。(株)ツムラ村岸梨早子氏から森田聡氏へ、(株)ツムラ若桑文夫氏から小林寿明氏へ交代した。
②一般薬連広告審査会の情報共有を行った。
③令和5年度販売情報提供活動監視事業報告書が7月4日に公開されたので内容を共有した。
④厚生労働省広告指導官との面談ならびに製薬協との情報交換についての報告を共有した。
⑤第三者委員大川様から2023年度製品情報概要等の審査結果講評の報告について共有を行なった。なお、本年は監視事業報告書に漢方製剤の指摘があり、今後も情報共有を進め会員会社の販売情報提供活動ガイドラインの順守へ向けた活動に取り組んでいく。
保険薬価委員会
委員長 坂上 誠(株式会社ツムラ)
保険薬価委員会は、6月11日(火)、7月9日(火)、8月6日(火)、9月10日(火)に会議を開催した。
次期薬価改定へ向けて医療用漢方製剤等の基礎的医薬品、不採算品再算定への進め方を検討した。また、関係審議会の審議状況の共有、意見交換を行った。
私の健康法 日本製薬団体連合会会長 岡田 安史 さん
休肝日ゼロ、病気なし…
日本を世界の真ん中で
輝く国とすべく、
全力を尽くしたいと思います
●健康寿命の延伸、経済成長の牽引
医薬品産業の健全なる発展並びに国民の健康増進の向上に寄与することを目的とする日本製薬団体連合会(日薬連)の設立は、1948年10月16日だった。来年は人間でいえば喜寿を迎える。現在、日薬連は日本製薬工業協会等15の業態別団体、東京医薬品工業協会をはじめ14の地域別団体で構成され、わが国の医療、人々の健康を守り増進する役割を果たしている。
新型コロナウイルスの終息がWHO により宣言された昨年5月に日薬連会長に就任、医薬品産業の使命たる国民の健康寿命の延伸と国家の経済成長の牽引を唱え、ウイズコロナに移行後の難しい舵取りを担われている。
●エーザイがいいのでは
大阪の豊中市と兵庫県尼崎市で薬局を営む家に生まれ、西宮市の関西学院大学で学んだ。専攻は経済学、サークルは釣り同好会だった。釣りにのめり込むあまり、就職活動に本腰が入らず、土壇場で親の薦めによりエーザイの入社試験を受け、「ラッキーにも合格しました」最初の配属は福岡支店、3年間プロパーとして営業畑を経験した。その後は人事部を皮切りに経営計画部、シンガポール駐在等を経て、2017年に代表執行役に就任、現在に至っている。
●上司との運命的出会い
30代前半、経営計画部に在籍時、人生の転機になる上司との巡り会いがあった。「上意下達で指示するのではなく、極秘を含むあらゆる情報を部下と共有し、その上で課題解決を求められました。言われたことを忠実にまじめにやることはある意味で簡単ですが、部下に徹底的に考えさせるマネジメントは、組織メンバーの自立性を醸成し、個の多様性を発揚させることを学びました」その後、上司から教えられた組織運営、マネジメントスタイルを自身も常とし、組織活性化に取り組まれている。自ら情報をかき集め、考え抜き、実行に移していくことで、責任転嫁や上司の愚痴とは無縁となり、仕事面でのメンタリティは心身の健康面にも好影響を及ぼした。
「この上司との出会いが人生を変えたといっても過言ではないですね。病気らしい病気をせず、調子が悪くなることもほとんどありません。健康な身体を与えてくれた両親にも感謝しています」
●自己管理を徹底、22時から5時
日薬連の会長職に就いてからは更に付合いが増え、週に3、4日ほど政財界や官界などとの意見交換や会合に時間を投じている。食べ物に好き嫌いはなく、何でも食べるが、「さっぱりしたものより脂っぽいものが好きですね」。お酒にも目がない。特にワインを好み、「休肝日はゼロです」一方、自己管理も怠らず、就寝は22時、起床は5時、早寝早起きを崩さない。就寝時は入眠薬睡眠薬を服用することで熟睡を心掛け、「朝もすっきり目覚めます」。2年前に始めたのが筋トレ、パーソナルトレーナーがいるジムに週一回通い、フィンランド発のオーラリングによって歩数、睡眠、心拍などの健康データにも留意している。
便に問題がある時に漢方の便秘薬、風邪っぽい時や体調不良の初期症状には葛根湯液を愛用している。「葛根湯液は会社の机の抽斗に常備しています」
プロフィール
1958年9月26日、大阪府豊中市生まれ。1981年3月関西学院大学経済学部卒業、4月エーザイ入社、2002年4月経営計画部長、2008年1月 アジア・大洋州・中東事業本部長(シンガポール駐在)、2017年6月代表執行役、2019年6月代表執行役COO、2021年5月日本製薬工業協会会長、2023年5月日本製薬団体連合会会長就任