119号 (第40巻 第2号)2023年9月
日本漢方生薬製剤協会への期待
日本製薬団体連合会 会長 岡田 安史 |
本年5月に、日本製薬団体連合会(日薬連)会長を拝命しましたエーザイの岡田です。日本漢方生薬製剤協会会員のみなさま方におかれましては、日頃より当連合会の活動に多大なるご支援とご協力をいただいておりますことに厚く御礼を申し上げます。また、この度は貴協会のニューズレターへの寄稿の機会をいただきましたことに重ねて感謝申し上げます。
本年7月をもちまして貴協会が創立40周年を迎えられましたことを心よりお祝い申し上げます。貴協会は、1983年の創立以来、国民の健康への貢献を目的に、漢方製剤・生薬製剤・生薬の製造業者と製造販売業者などによる業界団体として、高品質な漢方製剤等の安定供給、普及・発展の推進等に日々取り組まれてきたことに敬意を表します。2016年に、漢方製剤等の有効性・安全性・品質に係わるエビデンスの一層の集積、原料生薬の安定確保、製品の安定供給等の課題解決に向けて、「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」を立ち上げられました。2017年には漢方製剤等の研究開発の推進や安定供給の確保など産官学が一体となって取り組むべき課題をまとめた提言書を策定されました。そして、その後8つのビジョンからなる「漢方の将来ビジョン2040 ~国民の健康と医療を担う~」とその実現に向けたロードマップを発表されました。漢方治療におけるエビデンスの集積、原料生薬の必要量の確保と国産生薬生産量の拡大、品質の確保、新剤形の開発や効能拡大に関する研究の推進等が謳われており、これらの取り組みを着実に進めていくことは国民の健康の増進と医療の質の向上、さらには貴協会のさらなる発展につながるものと確信しております。
団塊世代が後期高齢者となり保険財政が逼迫する中、本年は2024年の診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬のトリプル改定に向けた議論が行われます。2022年度は税収が過去最高を記録し、また新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴い各種補助金が縮小される一方で、防衛費の増額や異次元の少子化対策などに大きな財源が必要とされることからも、非常に厳しい議論が予想されます。医薬品業界としては、物価高騰などによる原材料等の調達コスト増が医療上必要な医薬品の安定供給を脅かしかねない状況であり、薬価を下支えする仕組みの充実、そして特殊な事情がある場合には適時薬価を引き上げる仕組みの必要性を訴えてまいります。
今後、次の10年に向けて貴協会の会員の皆様が一丸となってビジョンの達成に向けて邁進し、高品質の漢方製剤等の持続的な安定供給により国民の健康と医療を担っていくことを心より期待しております。当連合会としても貴協会と手を取り合って、医薬品業界に関わる各種課題の解決に取り組み、ともに国民の健康の増進に貢献してまいります。
「漢方の将来ビジョン2040」実現のため一層の活動強化を
日本漢方生薬製剤協会 副会長 桑野 彰一 (日本粉末薬品株式会社 代表取締役社長) |
1983年に設立された日漢協は、本年7月21日に創立40周年を迎えました。人間でいえば血気盛んで働き盛りの「壮年期」を迎えたことになります。これまでの皆さまのご理解とご支援に厚く御礼申し上げますとともに、今後も一層のご支援とご協力を賜りたくよろしくお願い申し上げます。
さて、超高齢社会のわが国において、漢方製剤、生薬製剤および生薬(以下、漢方製剤等)が、今後も国民の健康と医療に貢献し続けるためには、漢方製剤等の有効性と安全性に関するエビデンスの一層の集積と安定供給、また漢方製剤等の品質を支える原料生薬の安定確保、生薬国内生産の拡大など取り組むべき課題は数多くあります。
2018年7月に日漢協は「漢方の将来ビジョン2040 ~国民の健康と医療を担う~」を策定し、公表いたしました。このビジョンは、漢方製剤等の「さらなるエビデンス集積と有用性の確立」「原料生薬の継続的安定確保と国産生薬生産量の拡大」「原料生薬から最終製剤までの品質管理強化と高品質な漢方製剤等の安定供給」など8項目からなります。また合わせて、ビジョン実現のため10年後、20年後のあるべき姿を設定したロードマップと5ヵ年のアクションプランを策定いたしました。現在、13の専門委員会が中心となり、ビジョン実現のための活動を一層強化しております。本年は第1期5ヵ年アクションプランの中間年にあたりますので、計画では本年中に中間報告をまとめる予定です。
私が担当している原薬エキス関連では、2022年12月に施行された日局18第一追補で柴胡桂枝乾姜湯、抑肝散加陳皮半夏2処方の漢方処方エキスが新規収載されました。また、本年5月に辛夷清肺湯エキス収載案の意見募集が終了し、本エキスは日局18第二追補(2024年4月告示予定)で新規収載されることが確実です。この3処方を加えると、日局収載漢方処方エキスは合計して40処方となります。日本薬局方にこれだけ多数の漢方処方エキスが収載されるということは、漢方製剤等が着実に国民の医療に貢献していることを示しているものと考えられます。
単味生薬エキスについては、日本薬局方外生薬規格(局外生規)2015で収載されたアカメガシワエキス、ウラジロガシエキス、メリロートエキスに加え、局外生規2022でヨクイニンエキスが,次いで昨年から検討が開始された局外生規2025でセンナエキスが収載される見込みで、配合用エキスは5種となります。これらは最新の試験技術とデータにもとづいて規格項目と規格値が設定されておりますので、品質管理がより向上するものと期待されます。また、局外生規2018と2022でイカリソウエキス、オンジエキス、ニンジンエキスなど7品目の単味生薬エキス製剤用エキスが収載されました。このように原薬エキス関係でも、急ピッチで品質面の整備が進められています。
新型コロナウイルス感染拡大による解熱鎮痛剤等の出荷調整を受け、風邪関連漢方製剤が影響を受け、一部会員会社では治療継続中の患者様への供給を優先すべく限定出荷の措置を講じてまいりましたが、それも7月末で解消されました。このように協会としてこれまで経験したことのないような状況もありましたが、漢方製剤等の安定供給の取組みをさらに強化してまいります。
最後に、日漢協は漢方製剤等を通じて国民の健康と医療に貢献すべく引き続き努力してまいりますので、より一層のご理解とご支援を賜りたくよろしくお願い申し上げます。
医療用漢方製剤会議
医療用漢方製剤委員会 委員長 長谷川 久(株式会社ツムラ)
- 医療用漢方製剤委員会
- 流通適正化部会
- 教育研修部会
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教育研修部会の開催(6月26日、オンライン)
1)内容および討議要旨
①挨拶並びに参加メンバーより教育に関する近況報告
②教育研修部会 3月研修会報告について(宮内部会長より)
③継続教育について
継続教育において、年度初めに今年度分をMR認定センターに提出する実務教育についてセンター側からの評価点などをいかに考慮し報告しているか、メンバーと意見交換した。
MR同行チェックシートで技能やロールプレイなど成果を報告するようにしている、あまり現場に負担がかからない様にしている、等の意見を共有した。④今後の教育研修部会について討議(教育研修部会、次回教育研修部会開催、その他)
安全管理の研修を安全性委員会へ依頼し、今年度は10月前後で実施する事を決定した。 - 有用性研究部会
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日本東洋医学会EBM委員会への協力作業「漢方治療エビデンスレポート(EKAT)」に関して、EKAT2022を日本東洋医学会ウェブサイトに9月末公開予定である。(KCPG2022の作成に時間を要し、当初の予定から延長)
また、2024年6月に開催される日本東洋医学会学術総会におけるEKAT 研究に関するシンポジウム企画については、ベストRCTの選出方法について異議が提起され、再度の選出作業が行われることとなった。EBM委員会メンバーの臨床の先生方による採点が行われ、点数に基づき2次選考を行う。 -
日本東洋医学会EBM委員会への協力作業「漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン(KCPG)」に関して、KCPG2022の日本東洋医学会ウェブサイトへの掲載について、これまでのICD10順ではなく発行順をデフォルトとすることに変更する。
また、Mindsへの掲載の有無についても追記し、リンクの掲載にはMindsへの許諾が必要となった為、書面による許諾を依頼中である。公開は許諾が取れ次第となる。
6月7日委員会を開催し、日漢協第238・第239回理事会・第41回定期総会の審議・報告事項を説明した。また、部会(流通適正化、教育研修、有用性研究)および関係委員会等(コード、保険薬価、提言実現)の活動について、部会長・委員長より報告いただき情報共有した。
流通適正化部会においては、5月に公正取引協議会から発出された通知文より、肩代わりに関する内容の見直しについて共有し、7月5日に行われたコード委員会内においても共有を行った。その際の説明事項について報告する。
肩代わりの定義については、昨今の公正競争規約における景品類提供に合致しない点があるという事、また規約上制限されるべきではない過大ではない肩代わり行為においても制限されるような状況が見受けられていることから、見直しが進められた。
また、元来規約では肩代わりを「債務の肩代わり」と「費用の肩代わり」に分けていたが、「費用の肩代わり」という考え方が廃止され、今後は肩代わりとは則ち「債務の肩代わり」となる。ただし「費用の肩代わり」についても、今後は「不当な取引誘因となる景品類提供」とみなされるようになるだけで、規約が緩和された訳ではないことも併せて説明した。
生薬会議
生薬委員会 委員長 山本 豊(株式会社栃本天海堂)
- 令和5年度茶・薬用作物等地域特産作物体制強化促進事業について
- 第8回原料生薬使用量等調査について
(1)相談会及び研修会の予定
農水省の支援を受けた薬用作物産地支援協議会(一般社団法人全国農業改良普及支援協会と日漢協で設置した協議会)の今年度の施策のうち、A「薬用作物の産地化に向けた地域説明会および相談会」、「薬用作物(生薬)産地化推進のための行政担当者情報交換会」およびB「薬用作物産地支援栽培技術研修会」の開催予定を以下に示す。
薬用作物の栽培等に興味をお持ちの方は、ぜひご参加いただきたい。
(2)種苗の無償提供について
薬用作物産地支援協議会のHPにて以下の通りカノコソウの苗の無償提供の受付を開始した。
「薬用作物産地支援協議会は、薬用作物の栽培振興ならびに国内産生薬の生産拡大を目指し、増殖効率や増殖適性、品種特性の発現状況、生育状況等、課題解決の実証調査を進めて参りました。調査にて産出したカノコソウの苗について、2023年に第1弾として無償提供を開始致します。カノコソウは、根と根茎が生薬カノコソウ(吉草根;キッソウコン)として利用されており、現在国内で3.3ha(2020年度)栽培されています(生薬の国内産の自給率は約50%)。カノコソウの栽培・生薬の生産に取り組みたい方を募集します。」
直近の2年間(2021年度:2021年4月~2022年3月,2022年度:2022年4月~2023年3月)について調査した(第8回)。この後、事務局での集計、集計結果を受けた生薬委員会及び生薬流通部会での確認、考察を加えて、生薬学雑誌への投稿へと進める予定である。
一般用漢方製剤会議
一般用漢方製剤委員会 委員長 高橋 隆二(クラシエ薬品株式会社)
- 一般用漢方製剤委員会
- 処方部会
- 適正使用推進部会
6月28日に幹事会を富山県にて開催し、今後の部会活動および委員会活動につき意見交換を行い、方向性の確認を行った。富山県での開催ということもあり、富山大学和漢医薬学総合研究所民族薬物資料館の見学会も実施し、当日は小松かつ子先生が展示品を1つ1つ解説してくださり、代表的な生薬やその歴史について改めて知識を得ることができた。(写真参照)
7月28日に2023年度第2回委員会を開催し、各部会の活動報告を受け、今後の対応につき審議した。一般用漢方製剤承認基準への追加候補39処方については、委員会内で開発意向に関するアンケート調査を行うことを決定し、確認票については、掲載製品例の見直し等のメンテナンスを行うことに加え、日漢協の確認票掲載ホームページのQRコードを作成しイベント配布物などへの掲載を継続検討することを決定した。
6月26日に部会を開催した。一般用漢方製剤承認基準への追加候補39処方につき、委員会内で開発意向のアンケート調査の実施を委員会で提案することとした。
7月25日に部会を開催した。
1. 第292回広告審査会ヒアリング結果を共有し、委員会内での情報発信に向け意見交換を実施した。
2. 2023年度広告研修会について、昨年同様10月下旬にOTC薬協広告委員会白鞘委員長を招聘して開催する方向性を固めた。
3. 確認票について、トップページの構成見直しや裏面の製品例の更新を行うとともに、消費者にとってより分かりやすいコンテンツとなるよう、商品画像の掲載なども検討すること、また、本ホームページのQRコードを作成し、イベント配布物などへの掲載を検討することにつき第2回委員会にて提案することとした。
生薬製剤会議
生薬製剤委員会 委員長 和田 篤敬(小林製薬株式会社)
幹事会を6月26日に、委員会及び制度研究部会と製剤開発部会の合同部会を7月7日に開催し、以下のように検討、情報共有した。
当帰川芎製剤(いわゆる婦人薬)等、一般用漢方生薬製剤に関して、6月16日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2023 加速する新しい資本主義 ~未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現~」(骨太の方針2023)において、下記のように第2章に「フェムテックの利活用」が、第4章に「セルフメディケーションの推進」が述べられており、利活用推進に資する環境整備に期待している。
第2章 新しい資本主義の加速
4.包摂社会の実現(女性活躍)
女性版 骨太の方針2023に基づき、…女性の視点も踏まえた社会保障制度・税制等の検討、…など女性の所得向上・経済的自立に向けた取組を強化する。…事業主健診の充実、フェムテックの利活用やナショナルセンター機能の構築を含めた女性の健康支援、WPS 等により女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会を実現する。
第4章 中長期の経済財政運営
2.持続可能な社会保障制度の構築(社会保障分野における経済・財政一体改革の強化・推進)
…OTC医薬品・OTC検査薬の拡大に向けた検討等によるセルフメディケーションの推進、…を図る。
次の検討テーマとして生薬主薬保健薬(ニンジン主薬製剤)の範囲拡大の可能性について検討しており、ニンジンに関するイーバンアト研究所 所長(元 大家協 専務理事)の田部昌弘氏による講演資料も参考にしながら、収集した臨床文献について制度研究部会と製剤開発部会の両部会で分担して有用性やエビデンスレベルを精査しつつ、一般用医薬品や健康食品等も参考にしながら効能効果案について整理を進めている。
セルフメディケーション税制について、2022年1月から税制が5年間延長されるとともに、対象品目がスイッチ成分配合品だけでなく、マオウ、ジリュウ、ナンテンジツを配合した一般用漢方生薬製剤を含めた一部の非スイッチ成分配合品にも拡大された。国税庁が5月末に発表した「令和4年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について(報道発表資料)」によると、延長1年目(2022年分)の税制利用者数(確定申告数)は、延長以前の約1.6倍に増えた。
原薬エキス会議
原薬エキス委員会 委員長 佐々木 博(日本粉末薬品株式会社)
2023年6月21日に本年度第2回原薬エキス委員会を開催した。委員会では局外生規2025の新規収載品センナエキスについて、純度試験ヒ素、灰分等の規格値案について詳細な検討を行った。
- 漢方処方エキスの日局収載
- 局外生規2025
本年3月に辛夷清肺湯エキスの収載案が意見募集されたが、特に意見はなく、本エキスは18局第二追補(2024年4月告示予定)で収載される。
現在、19局収載を目標に漢方処方の原案作成WGでは、麻子仁丸エキス収載案の検討が最終段階に入っている。また人参養栄湯エキスの検討が開始された。
6月の委員会で、当委員会担当品目のセンナエキスについて、純度試験ヒ素、乾燥減量、灰分および酸不溶性灰分のデータ収集結果について詳細に検討を行った。
ICP法によるヒ素実測値と酸不溶性灰分の実測値は、いずれも極めて低値であったことから、この2項目については、8月2日の第5回作成WG(座長:国立衛研伊藤生薬部長)にて設定不要と提案した。
乾燥減量の乾燥時間については、局外規2002センナエキスの「恒量」とエキス類に通常設定されている「5時間」を比較検討したところ、乾燥減量の値に違いが認められなかったことから、恒量から5時間に変更提案した。また灰分については、得られたデータから局外規2002と同じ規格値の「25.0%以下」を提案した。
今後委員会では、純度試験重金属、定量法のバリデーション等について検討を進める予定である。
国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクト
プロジェクトリーダー 味岡 賢士(株式会社ツムラ)
「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会2023」の開催日時、会場を決定した。今後、テーマ・演者等についてプロジェクト内で検討するとともに、代表世話人および世話人と相談しながら決定していく。
「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会2023」
日 時 2024年2月19日(月曜日)
会 場 KKR ホテル東京(10F 瑞宝)
時 間 18:00~20:00(研究会)
20:00~20:30(記者会)
総務委員会
委員長 永野 聡(株式会社ツムラ)
- 事業計画に関する事項
- 協会活動の効率的運営に関する事項
- 講演会に関する事項
- 環境活動に関する事項
- その他
第41回定期総会(5/16)において、「2023年度事業計画」が承認された。
(1)財政基盤の検討
過去10年間の決算報告を振り返り、健全な財政基盤を構築するため課題整理や解決策などの検討を開始した。
(2)ビジョン実現検討班の運営
「漢方将来ビジョン2040」第1期5ヵ年アクションプラン中間報告の取りまとめ方と今後のスケジュールを確認するため、2023年度第1回目検討班を開催した。
2023年9月15日(金)の理事会後に高知県立牧野植物園園長川原信夫先生をお招きして学術講演会を企画した。
環境部会において、2023年度日薬連カーボンニュートラル行動調査および循環型社会形成フォローアップ調査についてサポートを開始した。
第41回定期総会後に創立40周年記念式典を開催した。表彰式、記念講演会に合わせて130名が参加した。
広報委員会
委員長 北村 誠(株式会社ツムラ)
- 第41回定期総会開催後の記事化について
- 日漢協40年史について
- 市民公開漢方セミナーについて
- 2023年市民公開講座(日本東洋医学会との共催)について
- 日漢協GUIDE2023(7月発行)について
- 2023年度「薬用作物の産地化に向けた説明会」リリースについて
- 広報委員会開催
5月16日(火)開催の定期総会に関して、以下の通り4件の記事化があった。いずれも総会当日広報委員会が対応した。
4月末に700部納品後、5月16日に開催された定期総会において関係者に配布、その後行政、自治体、関係団体、会員会社等に配布・送付を行った。本史は、協会内に約100部の在庫を置き、今後広報活動やロビー活動等に活用していく。また、日漢協のウェブサイトにおいても常時閲覧できるよう掲載している。
(1)第25回市民公開漢方セミナーについては、1月に収録を終えたが、配信については限定出荷の状況がある程度解消されるまで見合わせていた。
このたび、7月末をもって概ね漢方製剤等の限定出荷が解除されたのを受け、9月1日より1か月の期間でYouTube により配信を開始する。配信終了後は、協会ホームページのアーカイブ内で公開する予定である。
(2)第26回市民公開漢方セミナー(40周年記念事業)については、限定出荷等の影響を考慮し開催時期や開催形態について慎重に検討を重ねていたが、このたび第25回収録分の配信が開始されたのを受け、以下の概要の通り開催が決定した。
・日時:12月13日(水)18:00~20:00
・場所:日暮里サニーホール(荒川区)
・講師およびテーマ:
講談 講師:神田香織先生(講談師)
テーマ:「漢方復興物語」
講演 講師:姫野友美先生(ひめのともみクリニック院長)
テーマ:「 漢方×栄養でストレスケア」
講演終了後のディスカッションの様子
日本東洋医学会との共催により、下記の日程、会場、講演内容にてハイブリッド開催された。
参加人数は、会場102名、Web視聴261名(一般101名、医療関係者160名)、合計363名であった。また、当日は日漢協の事務局、広報委員、生薬製剤委員が運営の協力を行った。
1)日時:2023年6月18日(日)15:40~17:40
2)会場:福岡国際会議場2F 多目的ホール203
3)講演内容:
・「漢方はどんな病気によく効くの?健康保険は使えるの?」
益田龍彦先生(益田クリニック)
・「漢方医学における病気の原因と診断法について」
久保田正樹先生(社会福祉法人清風会診療所さわさき)
・「漢方薬の飲み方・養生について」
鶴博生先生(鶴内科医院)
・「漢方診療の実際 ~漢方外来を受診してみませんか?~」
土倉潤一郎先生(土倉内科循環器クリニック)
刷新された日漢協GUIDEの表紙
表紙デザインについて、従来の漢方処方の構成生薬写真から、高知県立牧野植物園より貸与を受けた牧野富太郎氏作のイラスト「バイカオウレン」へ刷新を図った。
7月20日、下記のスケジュールにて薬産協主体で開催される「薬用作物の産地化に向けた説明会」のリリースを農水省、厚労省、本町記者会、全国道府県の各記者クラブに対して行った。
(1)第1回「薬用作物産地化説明会」~カノコソウの栽培技術の習得~
1)日時:2023年8月2日(水)13:30~16:50
2)場所:AP東京八重洲7階ROOMP(東京都中央区京橋1-10-7 KPP 八重洲ビル)
(2)第2回「薬用作物産地化支援事業」~薬用作物の国内生産について~
1)日時:2023年9月5日(火)13:30~16:50
2)場所:第1回と同様
(3)第3回「行政担当者情報交換会」~行政による産地化への取り組み事例紹介~
1)日時:2023年10月31日(火)13:30~16:50
2)場所:第1回と同様
(4)第4回「栽培研修会」~シャクヤク、カノコソウについての現地研修と講義~
1)日時:2023年12月5日(火)~6日(水)
2)場所:安曇野みらい農園、松本商工会議所
7月4日、広報委員会を開催し、以下の内容について報告、討議等行った。
(1)日漢協40年史の活用について
(2)市民公開講座開催報告
(3)第25回市民公開漢方セミナー配信時期について
(4)第26回市民公開漢方セミナー(40周年記念事業)開催時期、規模、形態について
(5)日漢協GUIDE2023 制作進捗報告
国際委員会
委員長 小柳 裕和(株式会社ツムラ)
- ISO/TC249関連活動
- ISO/TC249の各案件の進捗
Plenary meeting WG1 WG2会議への参加
①6/5 13th Plenary meeting に参加
②6/5,6/6 29th WG1会議にて25件の内容を審議
③6/7 25th WG1会議にて10件の内容を審議
日漢協から4名(浅間、山路、高杉、小柳)のエキスパートが出席
2023年6月現在の、各開発段階における案件数は、以下に示すとおりである。WG1で29件、WG2では20件が国際規格として発行されており、全て購入済である。
なお、個別に国際規格をご覧になりたい方は、クロジカにアクセスいただき、フォルダー > 08 資料室 > ISO 規格書 > ★購入ISO 一覧表20230630.xlsxのファイルを参照し必要な国際規格をご覧いただきたい。
薬制委員会
委員長 栗田 宏一(クラシエ薬品株式会社)
薬事制度に関する事項、漢方・生薬製剤の関連法規及び関係通知の調査研究、関係行政機関及び諸団体との連絡並びに意見具申を基本に活動している。
- 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会報告書の公表について
- 代用法通知発出と説明会開催について
本検討会における、計13回にわたる議論の結果が報告書として取りまとめられ、公表された。
医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会報告書(令和5年(2023年)6月9日医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会)
承認書の「別紙規格欄」及び「規格及び試験方法欄」に規定された試験方法に代用しうる試験方法を行う場合の取扱いについて2課長通知が発出された。既承認医薬品に係る通常時の試験方法として、代用法を継続する場合は、製造販売承認事項の一部変更承認申請等を行うこととされている。本件について日薬連・説明会(東京)が2023年8月2日に開催された。
・令和5年6月21日付け薬生薬審発0621第4号薬生監麻発0621第5号『医療用医薬品の製造に当たり承認書の「別紙規格欄」及び「規格及び試験方法欄」に規定する試験方法に代用しうる試験方法を実施する場合の取扱いについて』
・令和5年6月21日付け薬生薬審発0621第1号薬生監麻発0621第2号『要指導医薬品及び一般用医薬品の製造に当たり承認書の「別紙規格欄」及び「規格及び試験方法欄」に規定する試験方法に代用しうる試験方法を実施する場合の取扱いについて』
技術委員会
委員長 高杉 泰弘(株式会社ツムラ)
2023年6月28日に2023年度第2回、2023年8月1日に第3回の委員会を開催した。局方や局外生規関連をはじめとする各部会の活動進捗や日薬連品質常任委員会を通した規制当局の動きについて共有化を図っている。
- 日局関連
- 局外生規2025作成WG
- 一般薬連医薬品品質PJ
- 不純物関連
- 日薬連品質常任委員会
日局19への収載に向け、麻子仁丸エキス、人参養栄湯エキス、麻黄附子細辛湯エキスの試験法の検討を継続している。
新規収載品目の検討および局外生規から日局への移行品目の優先候補を選定した。
一般薬連より発出された「一般用医薬品の品質問題に係る自主点検の依頼について」の最終アンケート調査が7月7日提出締め切りで実施された。
残留農薬の実態調査アンケート(2022年度)および重金属個別分析に関するアンケートを実施した。
「品質確保に向けた実効的な対策検討のための会」のWG5の承認変更手続きとして、2023年6月21日に発出された代用法に関して、8月2日に説明会が開催された。
安全性委員会
委員長 香取 征典(株式会社ツムラ)
●医療用医薬品添付文書新記載要領対応
2019年4月1日より5年間の猶予期間にて医療用医薬品の添付文書新記載要領対応を実施しているところであるが、医療用漢方・生薬製剤の新記載要領対応相談対応が2022年度第4期相談にて終了となった。今後の対応として製造販売業者ごとに各品目の新記載要領に基づいた電子添文の作成・届け出・公開対応を今年度の猶予期間終了(2024年3月31日)までに完了させなければならない。医療用医薬品全般で進捗が著しくない状況のなか、日薬連からの通知や講習会にて各社迅速な対応を行う事を伝えているが、漢方薬においては引き続き安全性委員会が中心となって情報共有を行いながら対応を進めるとともに、日本生薬連合会とのさらなる連携を深めた対応を実施しているところである。またXML化対応に関する日薬連アンケートへの回答協力を委員会メンバーに周知し、対応を実施した。
さらには、「使用上の注意」記載内容が確定となった内容について、医療用漢方製剤を対象とした業界統一冊子の改訂作業にも着手していく予定である。改訂版については、作業スケジュールを検討しながら新記載要領対応版としてより分かりやすい掲載内容を目指すとともに、関係各社より参加頂くWGにて検討を行いながら対応を進めていきたい。
コード委員会
委員長 松塚 泰之(クラシエ薬品株式会社)
7月5日に委員会を開催し、①5月10日の厚生労働省監視指導・麻薬対策課広告指導官との面談内容について②5月19日製薬協コード部長との面談内容について③公取協情報について④一般薬連広告審査会の内容と広告研修会(6月16日東京、23日大阪、30日オンデマンド)の内容について情報共有を実施した。
また、製品情報概要審査部会より2023年度製品情報概要等の審査スケジュールについて報告があった。例年と同時期に実施予定である。令和4年度販売情報提供活動監視事業報告書が公表されたので委員会メンバーにメールで情報共有をした。
保険薬価委員会
委員長 坂上 誠(株式会社ツムラ)
保険薬価委員会は、6月13日、7月11日、8月8日に会場・WEB併用にて会議を開催した。
次期薬価改定へ向けて医療用漢方製剤等の基礎的医薬品、不採算品再算定、最低薬価について意見交換し進め方を検討した。また、令和5年度薬価改定における医療用漢方製剤、生薬、生薬製剤の薬価変遷表を更新した。関係審議会の審議状況の情報共有を行った。
私の健康法 亀田製菓株式会社 代表取締役会長CEO 農学博士 ジュネジャ・レカ・ラジュさん
プラス思考、そして前向き
「ロート時代、太り気味になり、防風通聖散を服用していたことが
あります。胃の調子が悪い時はパンシロンをのんでいました。」
●世界に弾けるインドパワー
眠れる巨象、世界最大の民主主義国家とも言われるインドに熱い眼差しが注がれている。本年の4月には中国に代わり人口世界一になり、その数は14億2600万人超、世界人口80億人の18%を占めるに至った。量的な大きさ以上に耳目を集めているのが、IT業界をはじめ名高い世界企業におけるインド出身者の活躍に他ならない。グーグルのスンダ―・ピチャイ、マイクロソフトのサティア・ナデラ、IBM のアルビント・クリシュナ。他にもスターバックス、フランスのシャネル等でもCEO(最高経営責任者)に就いている。政界ではアメリカのハリス副大統領、英国のスネク首相もインドをルーツとしている。
●生物工学を研究すべくインドから日本へ
新たな波とも言えるこの流れに連なるのが「柿の種」で知られ、新潟市に本社を構える米菓業界のリーディンクカンパニー亀田製菓の会長ジュネジャ・レカ・ラジュ氏だ。我が国との縁は39年前の1984年(昭和59)に遡る。その頃”ジャパン・アズ・ナンバーワン”が喧伝され、世界の目は日本に向けられていた。「当初はアメリカへ行く予定でしたが、先輩からこれからは日本ですよと言われ、生産工学の分野で世界一とされた大阪大学工学部に研究員として留学しました」
その後、名古屋大学大学院博士課程を修了、太陽化学(三重県四日市)、ロート製薬を経て現在に至っている。
●趣味は仕事、和食が好物
来日以来39年目を迎え、年齢は古稀を過ぎているが、若々しさが漲り、50歳代に見えると言ってもオーバーではない。これまで大きな病気に罹った験しはなく、概ね元気に過ごしている。食べ物では特に寿司、刺身、天ぷらなど和食を好み、お酒もほどほどに嗜む。
「インドではスパイスと油が美味しさを引出し、味も濃いのですが、日本に来た頃は白いごはんは味がなく、生ものは食べられませんでした。なんで調理しないのと思っていました」
カルチャーショックにも慣れ、今や和食党、できるだけ納豆を摂るように心がけている。
東京と新潟、そして海外を飛び回る、正に東奔西走の多忙な日々を送り、ストレスも少なからず感じるそうだが、いつの時もプラス思考、前向きを旨としている。
仕事が趣味と言うように、そのパワーは人語に落ちない。現在、亀田製菓はインド、アメリカ、中国、タイ、カンボジアに進出、”BetterForYouの食品業”を標語にグローバル・フード・カンパニーを目指しており、その手腕に大きな期待が寄せられている。
プロフィール
1984年大阪大学工学部に研究員として来日、1989年名古屋大学大学院博士課程を修了、同年太陽化学入社。取締役研究部長、国際部長等を経て2003年に代表取締役副社長に就任。
2014年ロート製薬にて取締役副社長(海外事業、技術担当)兼チーフヘルスオフィサーに就任。
2020年に亀田製菓社代表取締役副社長、2022年代表取締役会長CEOに就任。
様々な国々で数多くの賞を受賞、これまでに200以上の論文・3冊の本を執筆し、特許権を135以上保有。