118号 (第40巻 第1号)2023年5月
第73回 日本東洋医学会学術総会にあたって
第73 回日本東洋医学会学術総会 会頭 医療法人素心庵栗山医院 院長 栗山 一道 |
この度、日本東洋医学会、第73回学術総会福岡の会頭を務めさせて頂くことになりました。本年6月16日から18日の3日間、福岡国際会議場をメイン会場にWEB での同時配信を実施する、いわゆる「ハイブリッド形式」で開催します。過去2回仙台、札幌と完全WEB配信による総会も三潴先生、八重樫先生のご尽力で盛会の下に終わりました。しかしお二人とも、きっと会場に集合できない事に忸怩たる思いでおられた事でしょう。そこで今回は、コロナ禍の変化もあり今後の学会開催形式のスタンダードになるかも知れない会場とWEBを使った配信の二刀流で実施する事にしました。
テーマは「あなたの漢方、わたしの漢方」副題として「オンリー1とナンバー1」とさせて頂きました。まるでTV 番組のタイトルのようで、やや奇異に思われる節があるかもしれません。多くの学術総会では通常一つのテーマを深く掘り下げたり、色々な意見のコンセンサスを形成したりすることが多いのですが、今回は令和の日本で「漢方」という名の下に行われている様々な医療、それを取り巻くハードとソフトの情報を博多に集め皆さんに供覧する事にしました。医療従事者はもちろんの事、製薬から患者まで、実用的な、あるいは知的好奇心を満たす知識の提供を目指しています。一例を挙げれば「明快回答!今さら聞けない生薬・漢方薬の疑問」と銘打ち、名古屋市立大学で活躍されている牧野利明先生や日本漢方交流会で活躍されている久保山慎一先生に「明快回答」頂きます。その他、煎薬とエキス製剤の話題を「湯液 vs エキス剤 がちんこシンポジウム 」として、これまであまり語られる事の無かった話題を提供したり、もちろん総会では欠かせない東洋医学会生薬原料委員会のセッションもあります。
今総会のもうひとつの特徴は、このテーマからすれば当然の事かも知れませんが、シンポジウムの多さです。24ものセッションを組みました。もちろん完璧ではありませんが、かなり広く様々な分野をカバーしています。日頃あまり語られる事の無い話題としては「漢方臨床研究の光と影 」「(漢方)薬が効いたとは何か」「そこに流派の壁はあるのか?〜倦怠感を例に〜」「漢方でさらに深める看護の魅力 〜教育から実践まで〜」などがあり、また充実した「漢方入門セミナー」、「漢方薬剤師セミナー」に代表される日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師または漢方薬・生薬認定薬剤師研修単位が取得できるセッションもあります。準備委員長の飯塚の田原先生が、今漢方を専門にしている先生方がどんな処方を頻用されているかの調査をされ「あなたの漢方ベストテン」と銘打ち報告され、処方から現在の日本人の有り様が推察できるかも知れません。
イメージが湧かれたでしょうか?事程左様に今回の総会は学者が学術論を闘わせるだけの場では無く、様々な立場の人々が知り得る事で、何がしかの利益はもちろんの事、安心や知的好奇心を満たす事を目指しています。
是非皆さんの参加をお待ちしております。可能な方は博多で、そうではない方はWEB上でお会いしましょう。
日漢協 創立40周年に寄せて
日本漢方生薬製剤協会 副会長 小林 一雅 (小林製薬株式会社 代表取締役会長) |
1983年に設立された日漢協は、おかげさまで本年40周年を迎えます。これまでの皆さまのご理解とご支援に厚く御礼申し上げます。
コロナ禍の3年間が経過し、この5月に感染症法上の位置付けが2類相当から5類へと変更され、マスクだけでなく、検温やパーテーション等の感染対策が緩和されるとともに、コロナ禍を乗り越えて生まれたデジタル技術等を活用した新たな日常が始まろうとしています。
このような大きな節目にあたりまして、特に一般用漢方生薬製剤について振り返ってみますと、2002年に厚労省から発表された一般用医薬品承認審査合理化等検討会の中間報告書における提言に沿って、国立衛研 生薬部等と会員会社との協働により、一般用漢方製剤については、2008年に34年ぶりに213処方が見直され、その後も、2010年に23処方が、2011年に27処方が、2012年には31処方が追加されたことから、合計294処方が承認基準化され、製造販売が可能になりました。また、単味生薬製剤については、1980年の局方医薬品承認申請の手引をベースに単味生薬製剤の見直しが進められ、2017年に承認基準化されるとともに、2015年には単味生薬エキス製剤の承認申請ガイダンスが整備されました。これらが社会実装されることで、漢方生薬製剤の活用範囲が拡大していったように考えております。複数の生薬を配合した配合生薬製剤については、2022年に当帰川芎製剤(実母散等いわゆる婦人薬)の承認基準原案が策定されたことから、今後も女性活躍推進に資するフェムテックの1つとして利活用されるよう、環境整備に期待しているところです。2017年に医療費控除の特例として始まったセルフメディケーション税制は、2022年から改正され、マオウ、ジリュウ、ナンテンジツが配合された漢方生薬製剤が税制の対象に加わりました。2023年4月時点の税制対象生薬配合製品数は1,315製品、税制対象製品全体に占める割合は約20%となっています。引き続き、全ての一般用漢方生薬製剤を含むOTC 医薬品が税制の対象となるよう普及啓発を推進してまいりたいと考えております。
品質確保に関しましては、日本薬局方において、2006年の15局に初めて漢方処方エキス6品目が収載されるとともに、医薬品各条が、いわゆる化学薬品と生薬等に分割され、15局の生薬等には244品目が収載されました。その後も漢方生薬等の品質規格の研究が進められ、2021年の18局における生薬等は327品目に増え、2022年の18局第一追補で漢方処方エキスは39品目が収載されるに至っています。さらに、日本薬局方を補完する品質規格として日本薬局方外生薬規格(局外生規)がありますが、1989年から23年ぶりに局外生規2012として見直され、56品目が収載、その後の研究の進展によって、局外生規2022では97品目に増えています。品質確保に向けては、品質規格だけでなくコンプライアンスの考え方も醸成されてきた今般、あらためて製剤の承認内容と製造実態との整合性の点検が進められています。
漢方生薬製剤の普及につきましては、1976年以降の漢方製剤等の生産金額の推移によれば、2018年にそれまでを上回り、2021年はコロナ禍の受診控え等の影響もありましたが、東洋医学会の先生方のご研究や情報発信もあり、2022年は漢方生薬製剤の活用の裾野が想定を超えて大きく拡がっています。一般用漢方生薬製剤を見ますと、上述のような活用範囲や税制の拡大と品質規格の設定に取り組まれたことで、2014年以降、それまで以上の成長を継続しています。ここで、この4月からNHK連続テレビ小説で、日本の植物分類学の父と言われる牧野 富太郎 先生の草花への情熱と波乱万丈な生涯をモデルにした「らんまん」が放送されています。植物の魅力や生命力が伝わり、漢方生薬製剤へと繋がればと願っています。
国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会の提言にもあるように、漢方生薬製剤の有用性やそのエビデンスが明らかになるにつれ、健康寿命の延伸や高齢者疾患、また女性特有の健康課題への対応など、漢方生薬製剤が貢献できる領域は広がっていくものと考えており、これからも国民の皆さまの健康に漢方生薬製剤を活用いただけるよう、信頼性の向上や安定供給等に努めてまいりたいと考えております。
SDGs への取り組み、アジア情勢の不安定性、原材料・資材やエネルギーの価格高騰等、多くの課題がありますが、皆さまの期待に応えられるよう、ご関係の方々や会員会社と連携して課題解決に取り組んでまいりたく考えておりますので、より一層のご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
医療用漢方製剤会議
医療用漢方製剤委員会 委員長 長谷川 久(株式会社ツムラ)
- 医療用漢方製剤委員会
- 流通適正化部会
- 教育研修部会
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教育研修部会の開催(2月16日、オンライン)
1)内容
- ・挨拶並びに参加メンバーより教育に関する近況報告
- ・11月教育研修部会報告について
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・今後の教育研修部会について皆様で討議
(教育研修部会、次回教育研修部会開催、その他等)
- ・次回開催は4月、若しくは5月予定
- ・来年度はコンプライアンスのMR実務向けの内容で準備を行う
- ・3月23日教育研修部会の結果を部会長からメンバーに共有する
- ・1月開催時にメンバーから教育研修部会へのイベント開催案等意見があれば持ち寄る
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テーマ:「漢方の適正使用について」ガイドラインに基づきいかに情報提供をすべきか
講 師:株式会社ツムラ 法務・コンプライアンス部適正推進課 若桑 文夫様
開催後アンケート結果:
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Q今回のセミナーは御社の今後の業務の参考になりそうでしょうか?
回答者27名中26名(99%以上)はいと回答 - Q「はい」と回答の方 具体的にどのような業務の参考になりそうでしょうか?
- ・販売情報提供活動ガイドラインにおいて、当局が漢方医学的なエビデンスへの理解をされたことへのプロセスを認識いただくことは大切であり、会員会社によるガイドライン遵守にもつながることと思います。生薬の市場状況を含め、基本的なところからご講演頂き大変勉強になりました。
- ・求めに応じた対応についての復習や成書に該当する書籍について。
- ・資材審査、講演会スライド審査等。
- ・使い分け資材や患者様用パンフレット作成など。
- ・漢方薬は承認外の効能も多く、どのようなルールで情報提供できるのか、MR業務に大変参考になりそうなお話でした。
- ・弊社ではOTC医薬品を販売しているものの、今後の取引先への情報提供のあり方について、大変参考になりました。プロモーションによる情報提供と求めに応じる情報提供も明確にした上で、求めに応じた情報提供についてはその記録を残すことをしていくことを理解いたしました。また、講演会の開催もしておりますが、講師スライドの確認の重要性も理解致しました。
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Q今回のセミナーは御社の今後の業務の参考になりそうでしょうか?
- 有用性研究部会
- 日本東洋医学会EBM委員会への協力作業「漢方治療エビデンスレポート(EKAT)」に関して、EKAT2022を日本東洋医学会ウェブサイトに6月末公開予定である。
- 日本東洋医学会EBM 委員会への協力作業「漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン(KCPG)」に関して、KCPG2023の作成にあたり、東邦大学医学メディアセンターにおいて、診療ガイドライン調査を実施した(3月27日)。KCPG2022の日本東洋医学会ウェブサイトへの掲載については、これまでのICD10順から発行順に変更し、Minds掲載の有無についても追記する仕様に変更した。6月末公開に向け準備中である。
2月3日委員会を開催し、2022年度経費見込と2023年度予算計画の承認、第236回・第237 回理事会報告および2023年度事業方針・事業計画(案)の説明を実施した。また、部会(流通適正化、教育研修、有用性研究)および関係委員会等(コード、保険薬価、提言実現)の活動について、部会長・委員長より報告いただき情報共有した。
4月19日(水)、2023年度第一回となる流通適正化部会の会合を開催した。本会ではまず、最大の懸案事項である製薬協透明性ガイドラインの会員各社の公開状況を確認し、現状の問題点の洗い出しを行った。一部会員会社では、コロナ禍の影響もあり講演会等が年間を通し実施されていないなど、公開の優先順位が高くなりにくい側面も見えていたが、今一度透明性ガイドラインの趣旨を理解いただき、今後の改善を依頼した。
続いて、医薬品の販売制度に関する検討会の議事共有(主に零売通知など医療用医薬品の一般販売について)を行い、各社においての問題点等を協議した。零売を実施している保険薬局は首都圏や関西圏に比較的集中しており、会員各社とも今後の影響について現場レベルでの情報収集に努めていただく様依頼した。
その他、見直しが行われている公正競争規約等コンプライアンス関連の情報共有ならびに意見交換を行っている。
生薬会議
生薬委員会 委員長 山本 豊(株式会社栃本天海堂)
図1
図2
第7回原料生薬使用量等調査の結果について
2019年度(2019年4 月~2020年3月)及び2020年度(2020年4月~2021年3月)の調査結果に既報の2008年度からの11年間を加えた13年間の使用量等の推移について俯瞰した資料が『生薬学雑誌』に掲載された【77(1),24-41(2023)】。また、広報委員会と連携し、日漢協ホームページでこれを公表(3月23日)した。
総使用量の推移は、ニューズレター117号に記した通りであるが、2019年度は27,240t、2020年度は27,997tといずれも僅かずつではあるが過去最高を更新している。
今回は13年間の生産国と品目数の推移を示した(図1)。使用された生薬の品目数は266.0± 6.6品目(MEAN ± SD)で、そのうち僅かでも日本産が使用された品目数は90.5±3.5品目であった。調査対象期間の直近の2020年度では、276品目が使用され、そのうち使用量にかかわらず少なくとも日本産が使用された生薬は、93品目(33.7%)で使用量としては1割程度であるが、品目数としては全使用生薬のほぼ3割にあたる(図2)。
本報告を皆様の研究や活動にご活用いただければ幸いである。
一般用漢方製剤会議
一般用漢方製剤委員会 委員長 高橋 隆二(クラシエ薬品株式会社)
- 一般用漢方製剤委員会
- 処方部会
- ・一般用漢方製剤としてふさわしい効能・効果が設定できる
- ・入手困難な生薬、安全性に疑問がある生薬を含まない
- ・市販品があり、広く使われる実績がある
- 適正使用推進部会
2月7日に2022年度第4回委員会を開催し、日漢協2023年度事業方針(案)の当委員会関連事項、事業計画等につき確認を行うとともに、部会報告や各種プロジェクト報告等の情報共有を行った。2023年度第1回委員会を4月10日に実施した。
3月9日に部会を開催した。一般用漢方製剤承認基準への追加候補のうち6処方につき、作成した処方検討シートを部会内で共有、効能・効果、成分・分量について、意見交換を実施し、追加候補の全39処方の検討が終了した。
*追加処方候補を絞り込むための判断基準
3月14日に部会を開催した。
1. 第290回広告審査会ヒアリング結果の共有及び意見交換
委員会内情報発信に向け結果の共有を行い、一般用漢方製剤で指摘となった事例とそれ以外で参考になる事例で分けて情報発信することとした。また、一般用漢方製剤の注意/不適正となった事例について漢方以外の一般用製剤と比較して違いがあるかなど今後情報解析していくことを確認した。
2. 2023年度の活動事項の確認
2023年度もOTC薬協広告委員会委員長を招聘した広告研修会開催を計画すること、広告審査会速報周知による適正使用の推進(年4回)、適正使用に係る既作成情報の定期的な周知・浸透活動(年2回)を実施することを確認した。
2. 情報発信
①第290回広告審査会速報に係る情報発信を3月24日に実施
②適正使用に係る既作成物に関する情報発信を4月3日に実施。
生薬製剤会議
生薬製剤委員会 委員長 和田 篤敬(小林製薬株式会社)
ニンジンについての講演会(3月15日)
幹事会を1月25日に、委員会及び制度研究部会と製剤開発部会の合同部会を3月15日に開催し、日漢協40年史における一般用漢方製剤・生薬製剤の特集や当委員会の10年間の活動内容について推敲した。また、2022年度の事業報告案を取りまとめ、2023年度の事業方針案や事業計画案等について検討した。
当帰川芎製剤(いわゆる婦人薬)の次の検討テーマとして生薬主薬保健薬(ニンジン主薬製剤)の範囲拡大の可能性について検討している。収集した臨床文献について両部会で分担して有用性やエビデンスレベルを精査しつつ、一般用医薬品等の承認基準や健康食品等も参考にしながら効能効果案に関して整理を進めている。また、イーバンアト研究所所長(元 大家協 専務理事)の田部昌弘氏(薬学博士)にニンジンについて資料を作成いただき、3月15日の当委員会後に講演いただいた。
その他、以下のような事項について委員会内で情報共有や意見交換をしている。
- ・「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会2022」(2月20日)での講演やディスカッション等の概要
-
・生薬学雑誌 第77巻 第1号(2023)掲載の以下2件の報告概要
1)日本における原料生薬の使用量に関する調査報告(3)/日漢協 生薬委員会
2)局外生規2022新規収載 単味生薬エキスの確認試験及び定量法について/AMED単味生薬班、局外生規2022作成WG - ・書籍「和英対訳 日本薬局方外生薬規格2022(付・技術情報)」/薬事日報社の発刊
- ・PMDA一般薬等審査部から、審査の継続が困難な品目に関する「要指導医薬品及び一般用医薬品の審査について」(薬機般発第13号)3月22日発出
- ・日本の植物分類学の父、牧野富太郎先生の人生をモデルにしたNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「らんまん」が4月3日から放送開始
原薬エキス会議
原薬エキス委員会 委員長 佐々木 博(日本粉末薬品株式会社)
2023年4月19日に本年度原薬エキス会議と第1回原薬エキス委員会をウェブ会議にて開催した。会議では本年度原薬エキス会議の事業計画、昨年度の事業報告等を行った。委員会では、局外生規2025の新規収載センナエキスの収載案について詳細な検討を行った。
- 漢方処方エキスの日局収載
- 局外生規2025
2023年3月に辛夷清肺湯エキスの収載案が、PMDAから意見募集された。辛夷清肺湯エキスは18局第二追補(2024年4月告示予定)で収載される見込みである。
現在19局収載を目標に、麻子仁丸エキスの収載案が精力的に検討されている。
本年2月6日および5月8日に、局外生規2025第3回と第4回作成WG(座長:国立衛研 伊藤生薬部長)が開催された。
作成WGではメリロートなど既収載品の改正案や、セイコウ(青蒿)など新規収載生薬の収載案が検討された。また、当委員会から提案した新規収載センナエキスの検討方針が決められた。すなわち局外規2002センナエキスの移行を優先すること、原料生薬は日局センナとすること、浸出剤は30%エタノールとすることなどが決定された。
現在、当委員会ではセンナエキス収載案について詳細な検討を行っている。
国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクト
プロジェクトリーダー 味岡 賢士(株式会社ツムラ)
2月20日(月)、「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会2022」が「コロナ禍における漢方薬の役割〜ポストコロナを見据えて〜」をテーマとし、開催された。
講演では新型コロナウイルス感染症の現状、提言進捗に係る演題、特別講演をいただいた。ディスカッションでは研究会メンバーからの活発な質問・意見等をいただいた。会場およびWebより合計195名の方にご参加いただいた。
提言実現プロジェクト会議は1月24日、2月28日にWeb会議を開催した。
総務委員会
委員長 永野 聡(株式会社ツムラ)
- 事業計画に関する事項
- 協会活動の効率的運営に関する事項
- 環境活動について
- 漢方製剤等の生産動態に関する事項
- その他
1)「2023年度事業計画の策定にあたって(案)」が第82回正副会長会で承認された。
2)日漢協「2023年度事業方針(案)および事業計画(案)」が第83回正副会長会、第238回理事会で承認された。
3)各組織から提出された2022年度事業報告(案)を取り纏めた。
第160回委員長会において業務分掌の確認をお願いし、見直しの必要がないことを確認した。
日薬連フォローアップ調査内容の説明会を2月27日にOTC薬協と合同で実施した。参加会員会社数12社、参加人数17名であった。説明会後のアンケート結果を受けて、会員会社の日薬連フォローアップ調査の参画に繋がる具体的な取り組みを検討した。
2021年薬事工業生産動態統計年報から「漢方製剤等の生産金額」の冊子を作成し、第238回理事会後に日漢協ホームページに掲載した。
創立40周年記念事業の式典に係る具体的な施策について企画検討した「表彰対象者等選出基準」「記念品」「記念講演会の講師」「祝賀会の開催」案を策定し、第238回理事会に報告した。
広報委員会
委員長 北村 誠(株式会社ツムラ)
- 日漢協創立40年史編纂について
- 市民公開漢方セミナーについて
- 2023年市民公開講座(日本東洋医学会との共催)について
- 日本薬科大学での講演について
- 広報委員会開催
創立40周年式典が開催される5月16日の配布に向けて、各特集および年表、発行物等のデータ収集ならびに有識者からの寄稿文の取りまとめ等を行った。
(1)2022年度第25回市民公開漢方セミナーについては、1月18日、東北大学の髙山真先生によるご講演の収録を完了した。配信時期については、限定出荷の状況が、ある程度解消される時期を見極め、髙山先生のご意見を伺いながら検討していく。
(2)2023年度第26回市民公開漢方セミナーについては、限定出荷等の影響により、40周年祝賀会を自重する等の状況を考慮し、開催時期や開催形態を慎重に検討する。開催時期については、秋口以降、開催形態については、華美にならずWEB開催も選択肢の一つとして考慮していく。
現在、当日の運営に向け、学会事務局と具体的なスケジュールや役割分担等についてやり取りを行っている。また、多くの一般生活者のご参加および視聴に向け、告知活動に注力する。
1月17日と2月14日の両日、日本薬科大学からの要請により、同大学において韓国・慶煕大学校・韓医科大学の学生を対象に「日漢協と漢方の将来ビジョン」をテーマに講演を行った。
3月30日、第3回広報委員会を開催し、以下の内容について報告、討議等行った。
(1)新任委員紹介、新委員長選任
4月1日付で異動のため、犬飼律子委員長が退任、それに伴い北村誠氏の新委員長への就任が承認された。
(2)40周年関連報告(式典及び40年史について)
(3)2023年度市民公開漢方セミナー(日漢協創立40周年記念)
(4)2023年市民公開講座(日本東洋医学会との共催)
(5)ニューズレター118号 の「トピックス」の取材対象について
(6)「日漢協GUIDE2023」 表紙デザイン
国際委員会
委員長 小柳 裕和(株式会社ツムラ)
- ISO/TC249関連活動
- その他
(1)国内委員会への参加
①2022年度 第7回国内対策委員会
投票態度決定1件を審議
②2022年度 第8回国内対策委員会
投票態度決定WG1 6件、WG2 1件
2月24日開催予定の第24回WG2会議に向けての意見統一18件を審議
3月6日開催予定の第28回WG1会議に向けての意見統一5件を審議
③2023年2月24日20:00~23:45 WG2開催
日漢協から4名(浅間、佐野、高杉、小柳)のエキスパートが出席
審議内容の詳細を確認したい方は、事務局にご連絡ください。
(1)日薬連国際委員会関連活動
PMDA 中国担当者チームとの官民勉強会
第19回目は1月30日11:00~12:00、厚労省担当で開催された。
①「医療国際展開の取組」について、医療国際展開推進室より報告
2022年度は16か国39事業を展開している。さらに過去4年間で「医療技術・機器の国際展開における事業インパクトについての概略を紹介。
②「中国とWHO・EUL」について、厚労省国際薬事規制室より報告
2022年12月16日の時点で、EULに掲載されている中国製品はない。
WHO緊急使用リスト手順(EUL:Emergency Use Listing Procedure)は、公衆衛生上の緊急事態の影響を受けた人々がこれらの製品を迅速に入手できるようにすることを最終的な目的として、認可されていないワクチン、治療薬、および体外診断薬を評価およびリスト化するためのリスクベースの手順。
(2)日薬連国際委員会情報提供
①1月5日 「中薬の錠剤の調剤(製造)に関する仕様書(規範)」(国家中药饮片炮制规范)を発布日より施行
②1月6日 第4回日薬連国際委員会アジアセミナー(ベトナム)案内
③1月10日 「中薬製剤の調合に関する国家規格(第1次)」の通知を発布。
④1月16日 カナダ産西洋人参のご紹介
⑤2月22日、3月3日 日薬連 国際委員会 ベトナムセミナーご参加のリマインド
薬制委員会
委員長 栗田 宏一(クラシエ薬品株式会社)
薬事制度に関する事項、漢方・生薬製剤の関連法規及び関係通知の調査研究、関係行政機関及び諸団体との連絡並びに意見具申を基本に活動している。
- 医療用医薬品の供給状況にかかわる調査等について
- 医薬品の品質確保に関する取組みについて
2023年2月15日付け日薬連発第105号(安定確保委員会)「「医薬品供給状況にかかる調査(2023年2月)」へのご協力のお願い」が発出された。今回の調査は、2023年1月末時点で薬価収載されている全ての医薬品を対象に実施、対象は6,744成分規格、19,541収載銘柄、対象製造販売承認企業は331社である。
3ヶ月ごとに調査されていたが、4月からは厚労省が毎月調査する。
2023年2月13日付け日薬連発第80号「人員確保に関するフォローアンケート」が発出され、日薬連発第70号(2022年1月31日)「製造所における人員確保の考え方」を通知発出後1年が経過した時点での製造所における人員確保に向けた対応状況を確認するため、アンケートを実施することとなった。また2023年2月13日付け日薬連発第81号「国内製造業者で薬剤師が要件とされている製造管理者の確保に関するアンケート」が発出された。2019年薬機法改正では総括製造販売責任者(総責)の薬剤師要件について例外規定が盛り込まれたが、薬機法に薬剤師要件が定められている製造管理者の確保に関わる課題について確認するためのアンケート実施である。
技術委員会
委員長 高杉 泰弘(株式会社ツムラ)
2023年2月27日に2022年度第6回の委員会を開催した。局方や局外生規関連をはじめとする各部会の活動進捗や日薬連品質常任委員会を通した規制当局の動きについて共有化を図っている。
- 日局関連
- 局外生規2025作成WG
- 一般薬連医薬品品質PJ
- 不純物関連
- 日薬連品質常任委員会
日局19への収載に向け、麻子仁丸エキス、人参養栄湯エキス、麻黄附子細辛湯エキスの試験法の検討を継続している。
新規収載品目候補のサンプルおよび実測値データの提供依頼や既収載品目に関する追加アンケート、局外生規2022から日局への移行候補品目に関する意見募集を行った。
一般薬連より発出された「一般用医薬品の品質問題に係る自主点検の依頼について」の中間アンケート調査が行われた。
重金属について国立衛研と打合せを行い、カッセキの追加検体収集を依頼した。
「品質確保に向けた実効的な対策検討のための会」WG3の製造業における人材確保において、「人員確保に関するフォローアンケート」や「国内製造業者で薬剤師が要求とされている製造管理者の確保に関するアンケート」のフォローアップアンケートが行われた。また、「GMP,QMS及びGCTPのガイドラインの国際整合化に関する研究」においては、PQSのワークショップが開催された。
安全性委員会
委員長 香取 征典(株式会社ツムラ)
●医療用医薬品添付文書新記載要領対応
PMDAとの医療用漢方・生薬製剤の新記載要領対応相談対応が2021年度から始まり、漢方製剤特有の問題点等の課題・検討結果内容を反映させた改訂相談結果を作業WGにて共有しながら、改訂相談準備作業を進めている。
コロナ対応の影響により相談スケジュールの変更が生じたが、医療用漢方製剤については全ての相談改訂内容のフィードバックが実施された。今後は製造販売業者ごとに各品目の新記載要領に基づいた電子添文の作成・届け出・公開対応を実施するところである。電子データ作成については各社の取組状況等を業界内で共有しながら、不明点や課題についても相談しながら協力して対応を行っている。2023年度からは「使用上の注意」の業界統一と自主改訂冊子の改訂版作業についての検討・作業を開始していく。
また生薬の新記載要領対応については、日本生薬連合会との連携を深めながら新記載改訂相談対応に向けてワーキングを立ち上げ、新記載対応についてのまとめ・問題点の共有等を行ってきた。PMDAとの事前調整対応を実施し、指定された相談時期に各品目の相談案を提出し、現在最終相談グループの照会対応を実施しているところである。
コード委員会
委員長 松塚 泰之(クラシエ薬品株式会社)
3月27日に委員会を開催して以下の内容を検討・共有した。
①2023年年初に実施した販売情報提供活動ガイドラインの体制整備状況に関するアンケートについて、本年度アンケートの結果を報告した。会員会社では概ね審査体制は整備されたが、評価への反映では出来ていない会社がまだ一定数あり今後の課題であることが認識された。また、ガイドラインの経営陣への認識は十分されている。本年度では講演会に関する質問を追加した。2022年はコロナ禍が継続していたが7社が講演会を実施した。開催形式はWeb形式が7社、ハイブリッド形式が5社、実地開催形式が3社であった。(複数回答可)
②製品情報概要審査部会より2022年度製品情報概要等の審査結果の報告を行った。「可」が24件、「話題」が13件、「好ましくない」が1件であった。また、製品情報概要等作成上の留意点を改定する予定である。
③一般用医薬品関連として第289回一般薬連広告審査会の内容について情報共有した。
保険薬価委員会
委員長 坂上 誠(株式会社ツムラ)
保険薬価委員会は、2月7日、3月14日、4月11日、5月9日に会議を開催した。
2024年度薬価改定へ向け、医療用漢方製剤・生薬の基礎的医薬品・不採算品再算定について日漢協要望品目の取りまとめ、日漢協の意見および今後の進め方等について協議した。
3月3日に中間年薬価改定における薬価基準の官報告示(2023年4月1日実施)があり、物価高騰等による臨時・特例的な不採算品再算定の適用が医療用漢方製剤等にも実施された。また、中間年薬価改定による薬価変遷表の更新を行った。
私の健康法 浪曲師 天中軒雲月師匠
浪曲はボケ防止にもなり、健康の元
「浪曲は古臭いとのイメージが
強かったのですが、最近は若いお客さんも増え、
明るい兆しが見えてきました。
今後は人材育成に尽力する所存です」
●落語は噺す、講談は読む、浪曲は語る
落語、講談とともに日本三大話芸の一つとされる浪曲は、明治時代の初期に日本で始まった演芸で、かつては浪花節と呼ばれていた。最盛期の昭和初期には日本全国に約3000人の浪曲師がいたと言われ、都市部中心の落語、講談に比べ地方部で人気が高く、人々に泣きと笑いを提供する今日でいうエンターテイメントとして揺るがぬ地歩を築いていた。その後、浪曲は時代の変遷とともに浮き沈みが激しく、衰退傾向にあったが、昨今、関係者の努力が実り、再び日本の伝統演芸として関心が高まっている。東京・浅草の浅草寺の近くにある浪曲定席の木馬亭には高齢者に交じり若い人の姿が増え、満員御礼の日も少なくない。
浪曲は三味線を伴奏にして節と語りで物語が進められ、声を出して演じる者は浪曲師、三味線伴奏者は曲師と言われる。落語は噺す、講談は読む、浪曲は語る芸とされるが、三味線との二人三脚による浪曲はこれからの時代の要請にふさわしい演芸とも目されている。
●14歳で入門、病気の百貨店を克服
もともとは歌手に憧れていたが、先代の天中軒雲月門下への弟子入りは14歳の時だった。以来、本年で演芸生活55年となり、年末に近い11月25日には古稀を迎える。先代の師匠の後を受けて5代目となったのは平成20年、現在、一門は門下の天中軒月子、天中軒景友、天中軒スミレの四人で構成され、東京の日本浪曲協会と大阪の浪曲親友協会に所属、両協会の理事として東西の懸け橋となり、浪曲の発展に少なからぬ貢献を果たしているが、昨今は病気の百貨店と言われるほど病いとの闘いの連続でもあった。
平成20年に脳梗塞を発症、四か月の入院生活を送っている。他にも、血圧、糖尿、胆石、気管支炎、両膝には人工関節、背中は脊椎管狭窄症で6本のボルトで支えられており、正に満身創痍、半身不随となる危険性をも不屈の精神で克服して舞台に立ち、ファンの期待に応えている。
●葛根湯、麦門冬湯、龍角散を常用
食べ物には好き嫌いがなく、殊にイチゴ、西瓜、柑橘類などの果物を好み、肉、天ぷら、揚げ物が好物で、いわば肉食系を任じている。酒類は好んで飲むことはなく、付き合いで飲む程度、その際は日本酒を嗜んでいる。数々の病魔に襲われ、さまざまな薬を服用してきたが、現在の体調を支えているのは葛根湯と麦門冬湯。「葛根湯は以前は薬局で求めていました。今は麦門冬湯とともに病院でもらっています」。喉をつかう仕事柄、龍角散も常用しており、舞台に上がる前に欠かさず服用している。
「名古屋の自宅で素人さんを対象に浪曲教室を開いているのですけど、肺気腫が良くなったお弟子さんがいます。科白を覚えて暗記し、お腹から声を出して語る浪曲は肺活量も多くなりますし、特に年配の人にとっては頭の体操にもなり、ボケも防止する格好の健康法だと思いますね」
プロフィール
昭和28年(1953年)11月25日、岐阜県郡上八幡生まれ、昭和43年(1968年)2月28日、入門(4代目天中軒雲月師匠)、昭和49年(1974年)3月、岐阜県郡上八幡にて名披露目、昭和56年(1981年)9月、名古屋・御園座にて幹部昇進披露、平成20年(2008年)8月、五代目天中軒雲月襲名。
CD・カセット「若き日の小村寿太郎」「徳川家康人質から成長の巻」「瑶泉院・涙の南部坂」「佐倉宗吾郎妻子別れ」「郡上宝暦義民伝」他