117号 (第39巻 第3号)2023年1月
新年御挨拶
厚生労働省 医薬・生活衛生局局長 八神 敦雄 |
明けましておめでとうございます。
年頭に当たり、本年の医薬品・医療機器等行政を展望し、所感を申し述べます。
新型コロナウイルス感染症については、新たな変異株の発生や、季節性インフルエンザと同時期に流行する懸念があり、依然として楽観を許さない状況が続いております。本年こそコロナ禍を皆様と共に乗り越えるべく、力を尽くしてまいります。
新型コロナウイルス感染症対策としては、治療薬やワクチン、検査キットなどを、有効性・安全性等をしっかりと審査した上で承認し、国民の皆様への提供に努めてまいりました。
昨年五月には医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律を改正し、感染症まん延時など緊急時には、安全性の確認を前提に、有効性が「推定」できれば条件等を付けて迅速に承認を行う制度を創設しました。これにより、昨年十一月には新型コロナウイルス感染症の治療に用いる初の国産経口薬について緊急承認を行ったところです。
また、新型コロナウイルス感染症の抗原定性検査キットについては、昨年八月にOTC化を行い、インターネット等での販売を可能としました。感染が拡大する中で濃厚接触者の待機時間短縮等に活用でき、限りある医療資源を重症化しやすい方に集中することを可能とするため、OTC化に踏み切ったものです。さらに、今冬、季節性インフルエンザと同時期に流行した場合も想定し、昨年十一月には、同時検査キットについてもOTC化を行ったところです。
治療薬やワクチン、検査キットを有効に活用すると共に、引き続き、基本的な感染予防においても皆様の御協力をお願いいたします。
本年一月末には電子処方箋の運用を開始する予定です。電子処方箋とは、オンライン資格確認等システムを拡張し、処方箋の運用を電子で実施する仕組みです。これにより、処方や調剤された内容の閲覧や、重複投薬等チェックの結果確認が可能となります。昨年は、医療機関、薬局を対象とした説明会の実施や、十月末から四地域でモデル事業を開始しました。できる限り多くの医療機関、薬局に参加いただけるよう取組を進めてまいります。
薬局、薬剤師については、昨年は、PCR等検査無料化事業への協力や、薬剤師の判断と責任のもとでオンライン服薬指導を恒久的に可能としたことなど、多様な役割を果たしていただきました。また、「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」を設置し、薬局薬剤師の業務及び薬局の機能のあり方や具体的な対応の方向性をとりまとめました。今後も薬局、薬剤師がよりよい医療を提供できる環境を整備するために、検討を進めてまいります。
近年、スマートフォン等を使い、医師の指導のもとで治療の補助を行うアプリや、診断の補助を行うソフトウェアなど、医療機器プログラムの実用化が進んでいます。開発や市販後のアップデートのサイクルが非常に短い点にも迅速に対応できるようにし、更なる利活用を進めてまいります。
また、医薬品の製造過程における品質問題に端を発した医薬品の安定供給が近年問題となっています。引き続き、業界団体や都道府県など関係機関と連携し、医薬品の品質確保のための対策を推進してまいります。
薬害の被害者の方への救済に関しては、昨年の臨時国会において、C型肝炎救済特別措置法が改正され、給付金の請求期限の五年間の延長及び劇症肝炎等に罹患して死亡した方に対する給付金の額の引上げが行われました。厚生労働省としては、被投与者への告知に取り組み、一刻も早く、適切な救済に努めてまいります。
近年、大麻の乱用が拡大し、検挙人員が八年連続で増加して、過去最多を更新しました。特に若年層を中心とした拡大が顕著となっており、引き続き、総合的な薬物対策の推進に取り組んでまいります。また、大麻から製造された医薬品の施用に関する見直し、大麻の「使用」に対する罰則の導入などについて検討するために昨年は「大麻規制検討小委員会」を設置し、御議論いただいた内容をとりまとめて公表しました。今後は、関係省庁と連携しながら、小委員会におけるとりまとめの具体化を進めてまいります。
本年も医薬品・医療機器等行政の重責を常に胸に刻みつつ、関係者の皆様と率直な意見交換等を行いながら、より良い医療、より良い国民生活の実現に向けて取り組んでまいります。
医薬品・医療機器等行政に対する一層の御理解と御協力をお願い申し上げますとともに、本年の皆様のますますの御発展と御多幸をお祈りいたしまして、新年の御挨拶といたします。
新年おめでとうございます。
日本漢方生薬製剤協会 会長 加藤 照和 |
当協会は、1983年に設立されて以来、おかげさまで本年7月21日をもちまして創立40周年を迎えます。これまでの皆様のご支援に深く感謝申し上げます。
さて、超高齢社会の日本において、漢方製剤・生薬製剤および生薬が今後も国民の健康と医療に貢献し続けるために、漢方製剤等の有効性・安全性・品質に係わるエビデンスの一層の集積、原料生薬の安定確保、製品の安定供給等、解決すべき課題が数多くあります。
その中でも、健康寿命の延伸に資する観点から、高齢者疾患の特徴である心身の虚弱状態(フレイル)による疾病重篤化の抑制および、がん支持療法における全身状態の改善に向けてさらなるエビデンスの集積が求められています。
それらの課題解決を目的に、「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会(以下、ビジョン研究会)」を毎年開催しております。本年度のビジョン研究会は、2月20日KKRホテル東京にて開催予定であり、「コロナ禍における漢方薬の役割 〜ポストコロナを見据えて〜 」と題し、提言の進捗状況や医療用漢方製剤等を取り巻く課題についてご発表ならびにご討議いただきます。
当協会は、ビジョン研究会の提言を実現すべく策定した「漢方の将来ビジョン2040」および具体的な実行計画である「第1期5カ年アクションプラン」に取り組んでおり、本年が中間年になります。各組織におけるこれまでの進捗を確認し、取り組みを強化する等、活動を着実に進めてまいります。
また、高齢者疾患、がん支持療法等、漢方薬が期待されている分野における医療経済学的研究助成事業を2022年度より開始し、2023年度についても現在公募を行っております。本年も当活動を通して、さらなるエビデンスの集積と有用性の確立を推進してまいります。
原料生薬ついては、全体の8割超を調達している中国との良好な関係を維持するため、これまで中国商務部傘下の中国医保商会と交流を続けておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により3年連続で訪中・訪日がかなっておりません。オンラインを活用した意見・情報交換の場を設ける等、双方の新型コロナウイルスの感染状況を注視しながら交流会の実施に向けて取り組んでまいります。
生薬の国内栽培に関しては、薬用作物産地支援協議会の主催で農林水産省、厚生労働省などのご協力のもと、昨年9月から11月にかけて国内生産の推進・拡大に向けた説明会・相談会を全国4か所の会場で開催し、同時にオンライン配信しました。本年は、農林水産省の補助事業を活用し、新たに薬用作物栽培に取り組む方々に「種苗を供給する体制」を構築する予定です。これらの活動を通して、生産者と実需者とのマッチングに向けた薬用作物の産地化につなげてまいります。
医療用漢方製剤ならびに生薬の薬価については、2022年度薬価改定におきまして、医療用漢方製剤10成分、生薬3成分が不採算品再算定に適用されました。当協会では、国民医療において医療用漢方製剤はより汎用性が高く、薬効分類として基礎的医薬品に適用された生薬と同様に、基礎的医薬品に適用されるべきであると考えており、引き続き、次期薬価改定へ向けて基礎的医薬品および不採算品再算定について要望を行ってまいります。
また、医療用漢方製剤等が薬価引き下げや原料生薬の価格高騰、さらには為替の円安やエネルギーコストの急騰などにより、不採算品となっていることで継続的な安定供給に支障をきたしかねない窮状を、国や行政に働きかけ、不採算を解消するための普遍的な枠組みを整備すべく発信してまいります。
一般用漢方生薬製剤の利活用推進に向けた取り組みについては、昨年から5年間延長されたセルフメディケーション税制の改正において、新たに非スイッチOTCの42成分が対象に加わり、ジリュウ、マオウ、ナンテンジツの3生薬が配合された一般用漢方生薬製剤も対象となりました。本年は税制改正の効果が検証されますが、今後も税制の恒久化や全ての一般用医薬品を対象にする等の改正要望を支援するとともに、啓発活動を継続してまいります。
また、漢方生薬製剤には、トウキやセンキュウといった生薬を配合した女性の健康増進に貢献できるものも多く、より一層セルフメディケーションとしてご活用いただけるよう、情報提供を進めてまいります。
昨今、製薬業界において関係法令に違反する品質不正事例が相次いで発生している現状を踏まえ、当協会は、昨年1月、9月と会員会社を対象にコンプライアンス研修を実施しました。9月には、オンライン開催により厚労省監視指導・麻薬対策課長の佐藤大作様にご講演いただき、会員各社の代表者、責任役員および三役を中心に50社、260名を超える方々が受講いたしました。今後もコンプライアンスへの意識向上を図るとともに、会員会社の品質管理体制強化の推進を行ってまいります。
また、当協会は自然の恵みである生薬から成る医薬品を取り扱う業界団体として、会員会社一丸となって地球環境に配慮した活動を通じた持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。
現在、新型コロナウイルス感染症オミクロン株の爆発的な感染拡大による解熱鎮痛剤等の出荷調整を受け、代替処方として風邪関連漢方製剤が想定をはるかに超える需要となり、治療継続中の患者様・医師への供給を優先すべく、一部の会員会社において限定出荷等の措置を実施しています。
協会としてはこれまでに経験したことのない厳しい状況と捉え、漢方製剤等の安定供給に向けた取り組みをさらに強化してまいります。
本年も当協会の活動に一層のご理解とご支援を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。
医療用漢方製剤会議
医療用漢方製剤委員会 委員長 長谷川 久(株式会社ツムラ)
- 医療用漢方製剤委員会
- 流通適正化部会
- 教育研修部会
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教育研修部会の開催(11月2日、オンライン)
1)内容
- ・参加者自己紹介:社内での所属と、日漢協における所属部会の紹介
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・11月30日 教育研修部会 研修会について:
研修会予定の紹介、日時・内容・講師・研修後アンケートの紹介 -
・今後の教育研修部会について皆様で討議:
教育研修部会、次回教育研修部会開催、その他等
- ・次回開催は1月(日程は伝助等により調整)
- ・来年度はコンプライアンスのMR実務向けの内容で準備を行う
- ・11月30日の結果を部会長からメンバーに共有する
- ・1月開催時にメンバーから教育研修部会へのイベント開催案等意見があれば持ち寄る
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テーマ:生薬の安定供給に関する最近の話題 「河南中医薬大学と安徽省亳州市場」
講 師:株式会社ツムラ 医薬営業本部東京支店医薬情報課 笠原 良二 様
開催後アンケート結果:
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Q今回のセミナーは御社の今後の業務の参考になりそうでしょうか?
参加者36名中29名(80%以上)はいと回答 - Q「はい」と回答の方 具体的にどのような業務の参考になりそうでしょうか?
- ・生薬の市場状況を含め、基本的なところからご講演頂き大変勉強になった
- ・生薬を用いた商品開発の際、今回ご教授いただいた各生薬の薬能から新製品のアイデアを生み出せそう
- ・ウコン、キョウオウ、ガジュツが実物の写真により示され、それらの使用目的、違いなどがとても参考になった
- ・生薬に関する新たな知識が得られ、生薬評価、鑑別研究の参考になりそうと思った
- ・生薬市場について、これまで分からない部分が多くあったが、今回の講演で多くの写真を交えながらの説明を頂き、中国の生薬市場の状況を知ることができた。生薬供給業者との調整にも今後役に立つことができるかと思う
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Q今回のセミナーは御社の今後の業務の参考になりそうでしょうか?
- 有用性研究部会
- 日本東洋医学会EBM 委員会への協力作業「漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン(KCPG)」に関して、KCPG2022の作成にあたり、東邦大学医学メディアセンターにおいて、診療ガイドライン調査を実施した。(10月26日)
-
医療用漢方製剤添付文書情報に関して、「医療用漢方製剤2022-148処方の添付文書情報-」として公開し、ホームページを更新した(10月3日)。今後、英語版の添付文書情報を更新する。
【掲載抜粋】
10月4日委員会を開催し、第234回・第235回理事会、40周年記念プロジェクト活動について説明した。また、部会活動(流通適正化、教育研修、有用性研究)および関係委員会等(コード、保険薬価、提言実現)の活動について、部会長・委員長より報告いただき情報共有した。
10月18日、2022年度第二回の流通適正化部会をハイブリッド形式にて開催した。
まずは業界全体の情報共有を行い、「第33回流通改善懇談会の議事報告」では一次売差マイナス解消に向けた取り組みや、価格交渉の実態についての情報共有を行い、その他「医療用医薬品の零売通知」、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」について其々部会員から報告があった。
続いてコンプライアンス関連の情報として、「公正競争規約の改正(Web 講演会)」や「販売情報提供活動監視事業報告書」、「製薬協コードコンプライアンス委員会の議事内容」について順次報告があり、業界内のルールについての相互確認、意見交換を行った。ここでは主に、講演会における講師への販売情報提供活動ガイドラインの説明や理解を得る事に苦慮しているという意見が相次ぎ、業界全体の課題であることを確認した。
生薬会議
生薬委員会 委員長 山本 豊(株式会社栃本天海堂)
- 2022年度「茶・薬用作物等地域特産作物体制強化促進事業」について
- 第7回原料生薬使用量等調査の結果について
農水省の支援を受けた薬用作物産地支援協議会(一般社団法人全国農業改良普及支援協会と日漢協で設置した協議会:薬産協)の今年度施策の一つである「薬用作物の産地化に向けた地域説明会および相談会」(計4回)を完了した。いずれもハイブリッド開催であったが、総参加者数は200名を超え、薬用作物生産に対する関心の高さが伺われた。特に奈良での開催時(2022年10月22日)にはNHK奈良放送局の取材も入り、夕方のニュース番組で取り上げていただいた。計4回の配付資料は、薬産協のHP で公開しているので、確認していただきたい(図1)。
図1 第1回の公開例
2019年度(2019年4月~2020年3月)及び2020年度(2020年4月~2021年3月)の調査・集計結果に考察を加え、生薬学雑誌に投稿し、掲載が確定した(77-1:2023年2月)。
その一部を図2に示した。総使用量としては、2019年度は27,240t、2020年度は27,997tといずれも僅かずつではあるが過去最高を更新している。これは主に中国産の使用量の増加によるもので、日本産の使用量に顕著な変化は認められていない。今回の報告では、これまでの調査で回答を得た13年間(2008~2020年度)のいずれかで使用実績が回答された品目も全て含めた計305品目について、過去11年間の総使用量と第7回調査で得た2年間の総使用量及び産地別使用量を掲載している。
図2 原料生薬の使用量と生産国(2008-2020年度)
生薬学雑誌77(1),(2023) in press
一般用漢方製剤会議
一般用漢方製剤委員会 委員長 高橋 隆二(クラシエ薬品株式会社)
- 一般用漢方製剤委員会
- 処方部会
- ・一般用漢方製剤としてふさわしい効能・効果が設定できる
- ・入手困難な生薬、安全性に疑問がある生薬を含まない
- ・市販品があり、広く使われる実績がある
- 適正使用推進部会
10月7日に本年度第3回委員会を開催した。
委員会では、委員長交代が審議の上、承認された。報告事項として、部会報告、40周年記念事業ワーキング報告、OTC5団体とPMDAとの審査実務意見交換会、局外生規2025改訂WGの情報共有を行った。
11月30日に処方部会を開催した。一般用漢方製剤承認基準への追加候補39処方につき、作成した処方検討シートを部会内で共有し、効能・効果、成分・分量について、意見交換を継続的に実施した。
*追加処方候補を絞り込むための判断基準
1. 10月28日に医薬品等適正広告基準順守の徹底を目的とし広告研修会を開催した。日本OTC医薬品協会広告委員会の白鞘敬文委員長を講師としてお招きし、「最近の一般用医薬品の広告規制と違反事例について」と題し、ご講演いただき、会場9名、リモート180名と多くの方にご参加いただいた。
2. 11月11日に部会を開催し、来年度の広告研修会開催に向け、本年度の開催内容を振り返り課題抽出、対応事項の整理を行った。また、「一般用漢方製剤の確認票」につき、本確認票中に記載の「主な商品例」の見直しや掲載する処方の見直しなどを提案していくこととした。さらに、適正使用に係る情報発信として、「一般用漢方製剤の確認票」、「OTCインフォメーションシート」、「くすり相談部会事例集」など既成果物の作成経緯や掲載先につき本委員会会員各社に向けて定期的に案内することとし、12月1日に情報発信を行った。
生薬製剤会議
生薬製剤委員会 委員長 和田 篤敬(小林製薬株式会社)
御薬園にて
(生薬製剤委員会 幹事会:10月3日)
2022年10月2日〜3日に会津若松にて幹事会を開催、2022年10月28日に第59回生薬製剤委員会、制度研究部会と製剤開発部会を開催した。今年度は、AMED配合生薬班(国立衛研生薬部)において取りまとめられた当帰川芎製剤(いわゆる婦人薬)承認基準原案の実用化に向けて、女性の健康支援に関する政府の方針や計画、また経産省や厚労省による月経随伴症状や更年期症状・障害に関する情報を収集してきた。これを踏まえて、女性活躍推進に資するフェムテックの1つとして、漢方生薬製剤の利活用や当帰川芎製剤の開発環境の整備への期待について取りまとめ、袴塚高志先生(日本薬科大学薬学部教授)や伊藤美千穂先生(国立衛研生薬部長)と意見交換している。
次の検討テーマとしては、生薬主薬保健薬(ニンジン主薬製剤)を取り上げ、その範囲拡大の可能性について検討している。会津若松で幹事会を開催し、我が国における薬用作物としてのニンジンの歴史や近況について情報収集と整理を開始する。また、これまで収集してきた臨床文献について制度研究部会と製剤開発部会で分担して有用性やエビデンスレベルを精査しつつ、一般用医薬品等の承認基準や健康食品等も参考にしながら効能効果案について整理を進めている。
その他、以下のような事項について委員会内で情報共有や意見交換を行っている。
- ・一般用漢方生薬製剤の広告の留意点にフォーカスした広告研修会(講師:OTC薬協広告委員会 白鞘敬文委員長)
- ・PMDA 一般薬等審査部との審査実務意見交換会(第4回)を踏まえた「お知らせ」2件の発出について
- ・一般用医薬品等における承認書と製造実態との整合性の自主点検(一般薬連)について
- ・18局第1追補における漢方生薬等に関連する事項、一般用医薬品等に係る元素不純物管理について
- ・セルフメディケーション税制の対象品目数の推移や生薬配合品目数に関する情報
原薬エキス会議
原薬エキス委員会 委員長 佐々木 博(日本粉末薬品株式会社)
2022年10月26日と12月14日に本年度第4回および第5回原薬エキス委員会をWeb会議にて開催した。委員会では日局関連情報を共有化し、また局外生規2025の新規収載候補センナエキスの収載案について詳細な検討を行った。
- 漢方処方エキスの日局収載
- 局外生規2025
昨年12月12日付で第十八改正日本薬局方第一追補が告示され、即日施行された。第十八改正日本薬局方第一追補では、柴胡桂枝乾姜湯と抑肝散加陳皮半夏の2処方の漢方処方エキスが新規収載された。これにより、日局収載漢方処方エキスは39処方となった。
また、辛夷清肺湯エキスの収載案が最終検討段階にあり、本品目は第十八改正日本薬局方第二追補(2024年4月告示予定)で収載される見込みである。
昨年11月8日に、局外生規2025第2回作成WG(座長:国立衛研伊藤生薬部長)が開催された。
作成WGでは、当委員会関連品目の既収載メリロートの基原の改正案が了承され、また局外規からの移行品目である新収載センナエキスの検討を進めることが決定された。現在委員会で、センナエキス収載案について詳細な検討を行っている。
なお、カサンスラノール、カスカラサグラダエキスとそれらの原料生薬カスカラサグラダについては、当委員会で検討した結果、カサンスラノールの取扱い会社がないこと、カスカラサグラダエキスについてはまったくの新規収載となり慎重に検討する必要があるとの意見が大勢であったことから、3品目とも検討を見送りたい旨報告し、了承された。
第3回作成WGは2月6日に開催される予定である。
国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクト
プロジェクトリーダー 味岡 賢士(株式会社ツムラ)
1.プロジェクト会議を10月25日、11月22日、12月20日に行った。
2.2023年2月20日18:00からKKRホテル東京にて「コロナ禍における漢方薬の役割~ポストコロナを見据えて~」をテーマとし開催される「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会2022」(日本東洋医学会共催)について、プロジェクト内にて開催内容について検討を行った。
3.2023年度の医療経済学的研究に係る研究助成の募集を2022年11月1日から2023年2月28日の期間で開始した。
総務委員会
委員長 永野 聡(株式会社ツムラ)
- 事業方針、事業計画、事業報告について
- 新規会員の入会促進について
- コンプライアンスについて
- 環境活動について
- その他
第158回委員長会にて、2023年度の事業方針(案)・事業計画(案)の策定、2022年度事業報告の作成について説明し、各組織に依頼した。
新規会員の入会に向けて、具体的なターゲットの選定、案内等について検討を行った。
2022年9月16日(金)の第235回理事会後に厚労省監麻課の佐藤大作課長を招き、「医薬品メーカーの法令遵守体制と責任役員の役割等について」研修会の実施結果を第236回理事会に報告した。参加会員会社数は50社、参加人数は263名であった。研修後のアンケート結果を受けて、会員会社のコンプライアンス体制強化に繋がる具体的な取り組みを検討した。
会員会社の環境に対する取り組みをより一層進めるため、日薬連フォローアップ調査内容の説明会を企画した。
創立40周年記念事業の式典に係る具体的な施策である「創立40周年記念表彰対象者等選出基準」に則り、各組織からの推薦者を式典WGにおいて検討した。検討した結果を第82回正副会長会に上程した。
広報委員会
委員長 犬飼 律子(株式会社ツムラ)
- 薬産協による地域説明会および行政担当者情報交換会について
- 日漢協創立40年史編纂について
- 市民公開漢方セミナーについて
- 市民公開講座について
- 日本薬科大学での講演について
(1)薬産協主催の地域説明会が昨年9月から11月にかけて東京、福島、長野、奈良と4回シリーズにて開催され、記者対応等を行った。記事化は東京と長野の計2件(いずれも日本農業新聞)であった。奈良においては、NHK奈良やまと路支局が撮影に入り、取材・撮影、インタビュー対応を行った。
(2)同じく薬産協主催による行政担当者対象の産地化に向けた情報交換会が昨年12月14日、東京会場にて開催された。
5月の創立40周年式典に向けて、この10年の協会活動を中心に記念史の編纂に取り組んでいる。現在、3月末校了、4月末納品、5月16日の記念式典での配布に向けて、各特集および年表、発行物等のデータ収集ならびに有識者からの寄稿文の取りまとめ等を進めている。
(1)2022年度の第25回市民公開漢方セミナーについては、東北大学病院漢方内科の高山真先生に新型コロナウイルス感染症に対する漢方薬の臨床研究および急性熱性疾患への漢方に関するご講演をYouTube配信にて公開する。公開時期については検討中である。
(2)2023年度の第26回市民公開漢方セミナーについては、40周年記念セミナーとして開催する。現在、開催形態、講師、テーマ等の絞り込みを行っている。
6月18日に開催される日本東洋医学会との共催での市民公開講座については、昨年9月、広報委員会として、学会準備委員の先生方を訪問し、日漢協からの要望と協力内容についてご説明した。今後、準備委員の先生方および事務局とやり取りを行い、告知活動や役割分担等について詰めていく。
1月17日、日本薬科大学において同大学からの要請により、韓国・慶煕大学校・韓医科大学の学生を対象に「日漢協と漢方の将来ビジョン」をテーマに広報委員が講演を行った。
国際委員会
委員長 小柳 裕和(株式会社ツムラ)
- ISO/TC249関連活動
- その他
(1)国内委員会への参加
①2022年度 第4回国内対策委員会 10月7日開催
審議案件が3件と少ないため、委員会を開催せずに、メールでエキスパートへの意見確認を実施し、投票態度を決定。
②2022年度 第5回国内対策委員会 10月24日開催
投票態度9件について審議。
③2022年度 第6回国内対策委員会 12月18日開催
投票態度12件について審議。
(2)ISO/TC249ミーティングへの参加
山口、高杉、佐野、小柳、浅間の5名のエキスパートが参加。
10月24日の27回WG1において案件を審議。審議内容の詳細を確認したい方は、事務局まで。
(1)日薬連国際委員会関連活動
PMDA中国担当者チームとの官民勉強会
①第17回目は10月5日の14:00~15:00
国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院担当で開催され「アジアがん臨床研究ネットワーク事業(ATLAS)概要および中国の状況」について、国立がん研究センター中央病院国際開発部門長 中村 健一氏より報告。
②第18回目は11月30日の14:00~15:00
在中国日本国大使館担当で開催され「中国最新情勢~コロナ後の経済情勢、コロナ対策の実情~」について、在中国日本国大使館 福田 夏樹氏より報告。中国における高齢化の状況、医療状況、新型コロナ対策の実情などについて報告。
(2)日薬連国際委員会情報提供
①9月1日 国家薬典委員会 中薬配合顆粒の国家標準医薬品
(2022年 第2回/19品目)の公示
②10月3日 国際公共調達情報プラットフォーム
薬制委員会
委員長 栗田 宏一(クラシエ薬品株式会社)
薬事制度に関する事項、漢方・生薬製剤の関連法規及び関係通知の調査研究、関係行政機関及び諸団体との連絡並びに意見具申を基本に活動している。
- 第十八改正日本薬局方第一追補の施行について
- ・令和4年12月12日付け薬生発1212第2号第十八改正日本薬局方第一追補の制定等について
- ・令和4年12月12日付け薬生薬審発1212第1号第十八改正日本薬局方第一追補の制定に伴う医薬品製造販売承認申請等の取扱いについて
- 一般薬連・医薬品の品質問題への対応について
令和4年12月12日付け厚生労働省告示第355号「日本薬局方の一部を改正する件」が告示され、同日施行された(経過措置期間:令和6年6月30日)。新規収載漢方処方エキスは、柴胡桂枝乾姜湯エキス、抑肝散加陳皮半夏エキスの2処方で日局収載漢方処方エキスは39処方となった。
一般薬連の医薬品品質PJに薬制委員会、技術委員会から委員が参加している。チェックリストが作成され、自主点検が依頼された。
技術委員会
委員長 高杉 泰弘(株式会社ツムラ)
2022年10月24日、12月16日に委員会を開催した。局方や局外生規関連をはじめとする各部会の活動進捗や日薬連品質常任委員会を通した規制当局の動きについて共有化を図っている。
- 日局関連
- 局外生規2025作成WG
- 一般薬連医薬品品質PJ
- 不純物関連
- 日薬連品質常任委員会
第十八改正日本薬局方第二追補に向けて辛夷清肺湯エキスのマンギフェリン(知母の成分)含量規格が承認された。また、第十九改正日本薬局方への収載に向け麻子仁丸エキスの定量成分(センノシドA、ペオニフロリン、マグノロール)の定量法が承認され、確認試験については検討を継続している。
新規収載候補品目、局外生規2022から日局への移行候補品目、既収載品目改正に対し、意見募集やデータ提供の依頼などを行っている。
一般薬連の医薬品品質PJ からの依頼を受けて、会員会社で一般用医薬品の自主点検が行われている。
『漢方生薬製剤の残留農薬に関する自主基準Q&A集』の見直しを実施中である。
「品質確保に向けた実効的な対策検討のための会」の各WG において継続的に活動が行われている。また、「GMP,QMS及びGCTPのガイドラインの国際整合化に関する研究」の各研究テーマにおいて作業が進められている。
安全性委員会
委員長 香取 征典(株式会社ツムラ)
●医療用医薬品添付文書新記載要領対応
PMDAとの医療用漢方・生薬製剤の新記載要領対応相談対応が2021年度から始まり、漢方製剤特有の問題点等の課題および検討結果の内容を反映させた改訂相談結果を作業WGにて共有しながら改訂相談準備作業を進めている。
医療用漢方製剤については全ての相談改訂内容のフィードバックが実施された。今後は製造販売業者ごとに各品目の新記載要領に基づいた電子添文の作成・届け出・公開対応を実施していく。電子データ作成については各社の取組状況等を業界内で共有しながら、不明点や課題についても相談しながら協力して対応を行っている。相談対応以降は「使用上の注意」の業界統一と自主改訂冊子の改訂版作業についての検討を開始していきたい。
生薬については、日本生薬連合会との連携を深めながら新記載改訂相談対応に向けてワーキングを立ち上げ新記載対応についてのまとめ・問題点の共有等を行ってきた。PMDAとの事前調整対応を実施し、7月にPMDAより生薬製剤での問題点等について検討頂いた結果に関する説明会が実施された。品目での調整が必要な事項については製造販売品目会社にて対応を検討することとなったが、最終合意を得ることができ、各品目の相談案を提出し、照会対応を実施しているところである。
コード委員会
委員長 松塚 泰之(クラシエ薬品株式会社)
昨年11月1日に委員会を開催して以下の内容を検討・共有した。
①製薬協のコード・コンプライアンス管理責任者・実務担当者会の内容を共有した。講演会に関わるディスカッション部分を共有し、意見交換も実施した。
②2020年、2021年に続き会員会社へ販売情報提供活動ガイドラインの体制整備状況に関するアンケートを実施するため、本年度アンケート内容の確認を行なった。本アンケートは1月から2月にかけて実施する。
③製品情報概要審査部会より「証に関わる情報」の監修医・成書の追加について報告があり、承認を行なった。
④11月実施のコード理解促進月間の周知を行なった。また、一般用医薬品関連として一般薬連広告審査会の内容について情報共有した。
保険薬価委員会
委員長 坂上 誠(株式会社ツムラ)
保険薬価委員会は、10月11日、11月8日、12月13日、1月10日にWEB会議を開催した。
令和6年度薬価改定へ向けて医療用漢方製剤等の基礎的医薬品、不採算品再算定への適用に向け検討し、委員会としての意見の取りまとめを行い進めている。また、中間年薬価改定や社会保障制度に係る議論など関連する関係審議会等の情報を共有した。
私の健康法 株式会社ファーマフーズ 代表取締役社長 農学博士 金 武祚(キム ムジョウ)さん
70歳を過ぎ酒を止める
散歩は会社から帰宅後の夜の10時から40分ほど
雨の日でも行っています。
あと10年は現役を続けるつもりです。
今期の売上高は710億に達する見込みで、
3年後に1000億企業を目指しています。
●バイオベンチャーの旗手
ファーマフーズを立ち上げたのは21世紀も間近の1997年、当時の社名は株式会社ファーマフーズ研究所、機能性食品の開発を目指しての出立だった。その後、2004年に現社名の株式会社ファーマフーズに変更、GABA(ギャバ)など数々の機能性食品の開発によりバイオベンチャーの旗手と評され、現在に至っている。
社名の由来は、医薬(Pharmaceuticals)と食(Foods)を融合した造語で、現在は健康維持と生活の質の向上に役立つ機能を持つ食品素材の創造を始め、通信販売事業、創薬事業を三本柱として積極的に事業展開している。
一時、資金繰りに苦しんだこともあったが、2021年4月に東京証券取引所第一部プライムに上場を果たした。
●70歳になってからますます元気に…
戦後間もない昭和22年に生を享けて以来、盲腸にかかったぐらいで病気知らずに過ごしてきた。「70歳になってからますます元気になり、疲れを感じなくなりました。不思議なくらいです」。この言に象徴されるように後期高齢者になった現在も多忙な日々を送っている。
8000から1万歩を目標にしている毎日の散歩の他には特段の健康法は行っていないそうだが、70歳を迎えて疲れ知らずになったのは奥様の食事管理に因るとのこと。「家内に言わせると、塩、醤油と砂糖と油の消費量が減り、油は主にごま油を使用しています。味も薄味になりました」
もともと食べ物に好き嫌いがなく、「なんでも美味しく食べます。殊に果物とお寿司が好きですね」
奥様の内助の功に加え、「酒を止めたことも一因かもしれません。止める以前は会食も多かったので、ひどい飲み方をしていました」
●海外には人参湯を携えて
食生活の工夫と断酒により体型もスリムになり、バイオベンチャーとしての業績が年ごとに上がっていることとも相まって気力も一段と増し、「10年後のあるべき姿も見えてきました」と意気軒高このうえない。米国のカリフォルニア大学バークレー校で薬用植物の研究にも携わっていたことから漢方薬にも関心が高く、健康管理にも一役買っている。
海外に赴くときは人参湯を持参し、普段は葛根湯を常備薬としている。新型コロナ禍の昨今は、「麻黄湯を友人の医者が送ってくれます」
昨年、富山市の明治薬品株式会社が連結子会社となり、漢方薬との関係もさらに広がるなど、低迷するわが国の経済下にあって伸長著しく、今後の更なる発展が改めて注目されている。
プロフィール
1947年(昭和22)8月6日生まれ、1970年3月朝鮮大学理学部卒業。1979年11月京都大学農学博士号取得。
1984年12月米国カリフォルニア大学バークレー校 博士研究員。1988年1月太陽化学株式会社入社、1991年(平成3)同社常務取締役研究所長就任。
1997年株式会社ファーマフーズ研究所創業。1998年3月韓国高麗大学生命工学院教授就任。
2021年(令和3)2月東京証券取引所市場第一部上場。
著書;『バイオビジネス「着想の原点」』(商業界)他。