115号 (第39巻 第1号)2022年5月
第72回日本東洋医学会学術総会にあたって
第72回日本東洋医学会学術総会会頭 札幌マタニティ・ウィメンズ南1条クリニック院長 八重樫 稔 |
この度、第72回日本東洋医学会学術総会が令和4年5月27日(金)より5月29日(日)まで開催されます。開催形式は、COVID-19の蔓延状況に鑑み、残念ながら、今札幌総会におきましてもWEB による開催とせざるを得ない状況ですので、事情をご賢察の上、ご理解を賜りたいと思います。ただし、シンポジウムや実演を伴うプログラムなどにつきましては、拠点を札幌コンベンションセンターに置き、一部現地にての開催となります。
総会テーマは「漢方医学の本質に迫る」、サブテーマは「気血水理論を深める」としました。漢方医学における根本的な考え方は、気血水理論と方証相対だと思いますが、実際には、気血水に対する考え方には各人各様にそれぞれの捉え方があるように思います。
特に「気」については、治療思想において、西洋医学と根本的な差異を有する重要な概念であり、東洋医学における治療手法にもそのことが反映されていると思います。教科書的にも「気」は“ 生命エネルギーの流れ” というように把握されてはいますが、視覚に捉えられないため、「気」がどのようなものなのか、についてはあまり意識されていないのが実態ではないでしょうか。この「気」につきまして、現時点での見解を明かにしておくことは、今後の東洋医学の発展にとって重要であると考えます。
会期中には、通常の一般演題の発表のほかに、招待講演として、大宇宙と小宇宙たる人体との関係を語って頂き、また山岳宗教である修験道のお話、太極拳の実演を通して、東洋医学の裾野を広げたいと考えております。特別講演としては、気の現代科学的研究の到達点につき解説を頂く予定ですが、これは一つのチャレンジングな試みになると思います。
また、中医学も大きく関心を持たれてきておりますので、日本における古方派の漢方医学と中国医学由来の後世方派、それと中医学の関係に関するシンポジウム、さらに教育講演としまして、漢方医学の土台であります方証相対と気血水理論、あるいは気を否定していた吉益東洞から南涯の気血水理論発祥の歴史に関する講演を始めとして、日常診療における養生の考え方、山本巌医学の解説、サイエンス漢方研究会の紹介、気血水に関するシンポジウムなどの他、鍼灸の実技セミナー並びに病鍼連携に関するシンポジウム、学生を対象としたセッション、さらには、COVID-19感染症に関する漢方医学の取り組みなど、多数のプログラムを企画しております。また、市民公開講座では、鍼灸の立場からの養生と温泉医学のお話をお二方の先生にご講演頂く予定でおります。
新緑の頃の札幌でお会いできないのは本当に残念なことですが、現地参集開催に遜色のない学会内容にしたいと考えております。是非とも多数の皆様のご参加をお待ちしております。
副会長就任にあたって
クラシエ薬品株式会社 代表取締役社長 草柳 徹哉 |
新型コロナウイルス感染症により亡くられた皆様に謹んでお悔やみ申し上げます。加えて、感染拡大の防止にご尽力されておられます医療従事者をはじめ、社会生活を支える全てのエッセンシャルワーカーの皆様には、心から感謝申し上げます。
一日も早く新型コロナウイルス感染症が収束することを心より願っております。
私は本年5月より岩倉前副会長の後を受け、副会長職とともに業態別会議体の一般用漢方製剤会議議長の重責を担うこととなりましたクラシエ薬品株式会社の草柳徹哉と申します。就任にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
私は1989年にクラシエの前身である鐘紡株式会社に入社し、繊維部門を皮切りに数多くの部署に従事してまいりました。その後、クラシエグループの経営企画に関わる仕事を務めた後、薬品部門に移り、本年1月より薬品の社長に就任いたしました。
漢方薬は化学合成品と違い天然由来のもの。きちっとした品質のものを一定して納めていくということは、医薬品の中でも極めて難しいこと。製造管理において、日局や自主基準含め、厳しい基準に基づいて製造していかなければなりません。そのような漢方薬を取扱う企業のトップとして、強く感じていることがあります。
それは、国民の健康と医療には、改めて漢方薬が不可欠な薬であることを実感し、その活用と推進に努めていかなければならないということです。漢方薬は、高齢化社会が進む日本において治療薬としては言うまでもなく、健康さらにはセルフメディケーションという観点からも極めて重要であり、高品質な漢方製剤を安定供給し、その普及や発展を図ることが、国民の皆様の健康と医療を担う一助になることを強く認識しました。
昨年5月に発表しました「漢方の将来ビジョン2040」実現に向けたロードマップに従って、
1.さらなるエビデンス集積と有用性の確立
2.原料生薬の継続的安定確保と国産生薬生産量の拡大
3.原料生薬から最終製剤までの品質管理の高度化と製品品質保証の体制強化および医療用漢方製剤等の安定供給
4.ガイドライン策定に向けた医療用漢方製剤の新剤形開発・効能拡大に関する研究の推進
5.一般用漢方製剤および生薬製剤の開発推進と情報提供体制の強化
6.コンプライアンス遵守の体制強化と信頼性向上
7.自然環境の保全・生薬資源の保護など地球環境や生物多様性へ配慮した事業活動の推進と漢方製剤等の国際展開の推進
8.産官学連携強化とアウトリーチ活動の充実
これらを8つの項目を実現するため、日漢協は実効性のある取り組みを図っていかなければなりませんので、これらの活動を支援してまいります。
一般用については、2017年から導入されたセルフメディケーション税制が2022年1月より更に5年間延長され、スイッチOTC薬を対象としたものから対象範囲が拡大され、初めて一部の一般用漢方製剤が同税制対象品目となりました。引き続きすべての一般用漢方製剤および生薬製剤が対象となることなどを要望してまいります。
医療用については、2022年度薬価制度改革において、医療用漢方製剤10成分、生薬3成分が不採算品再算定の適用を受けました。医療用漢方製剤は、前回に続き不採算品再算定の適用を受けましたが、引き続き、基礎的医薬品への適用が実現されるように働き掛けてまいります。
また、「法令遵守体制の整備」、「虚偽・誇大広告による医薬品等の販売に対する課徴金制度創設」、「添付文書の電子化」、「医薬品等の包装等へのバーコード表示の義務化」が段階的に施行されておりますので、遅滞のないように順次対応してまいります。
最後に、医薬品を必要な医療機関に迅速かつ円滑に安定供給を行うための製造体制を確保することとし、医薬品の製造・販売に係る事業者として、引き続き感染防止策を徹底し、責任を持って対応してまいります。
今後も、副会長としての「役割」と「使命」を果たし、会員会社様のお役に立てるように努めてまいりますので、皆様方のご支援・ご協力をお願い申し上げます。
医療用漢方製剤会議
医療用漢方製剤委員会 委員長 長谷川 久(株式会社ツムラ)
- 医療用漢方製剤委員会
- 流通適正化部会
- 教育研修部会
- 有用性研究部会
-
日本東洋医学会EBM委員会への協力作業
1)「漢方治療エビデンスレポート(EKAT)」に関して、EKAT Appendix 2020を日本東洋医学会ウェブサイトに公開した。(1月31日)
2)「漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン(KCPG)」に関してKCPG Appendix 2021を日本東洋医学会ウェブサイトに公開した。(1月31日) - 「国内の診療ガイドラインへの漢方製剤記載の実態調査」の更新結果について、日漢協ホームページの「調査・研究・統計」の項目に公開した。(3月25日)
2022年2月2日、医療用漢方製剤委員会をWebにて開催し、2021年度経費見込、2022年度事業方針案、事業計画案および予算計画案について審議の上、委員会として決定した。
また、第230回・231回理事会における審議・報告事項、部会活動および関係委員会情報について共有した。
2022年4月12日に部会を開催し、部会長をクラシエ薬品㈱今中 伸氏に交代した。
製薬協透明性ガイドラインの改定とCOIに関する会員会社への要請について情報を共有した。これらについての当協会の対応についても検討し、実施することとした。
当日は、日本保険薬局協会 医薬品流通・OTC検討委員会 原様より「保険薬局から見た医療用医薬品の流通改善」と題したご講演をいただき、ZOOM25名、日漢協大会議室6名、合計31名の参加があった。
本年度教育計画として周知をお願いした。
教育部会2022年度計画
1)適正使用に関わる教育研修部会
(案)販売活動ガイドラインと教育研修 10月以降オンライン開催検討
2)漢方・生薬の知識向上に関する教育研修
(案)生薬の安定供給に関する最近の話題 10月以降オンライン開催検討
生薬会議
生薬委員会 委員長 白鳥 誠(株式会社ウチダ和漢薬)
「薬用作物(生薬)産地化推進のための行政担当者情報交換会」について
薬用作物(生薬)の国内栽培・生産推進については、行政主導による産地化への取組みが増えてきたことを踏まえ、2年前から行政担当者を対象とした情報交換会を農水省の補助事業のもと実施している。
2021年度については、2月9日(水)、13:30~16:00の時間帯でオンライン開催にて実施し、奈良県と富山県から薬用作物(生薬)の栽培推進や生産拡大への取組み事例をご紹介いただき、産地化を推進していくための情報提供及び共有が図られた。質疑応答では、農業経営の収支状況や各県での栽培研究成果、当該県以外の生産者への種苗提供など、現場の行政担当者ならではの質問が多数寄せられ、今後の取組みに向けた活発な意見交換が行われた。参加者数は75名であった。
なお、「薬用作物(生薬)産地化推進のための行政担当者情報交換会」の講演概要や資料、質疑応答(Q&A)については、薬用作物産地支援協議会(薬産協)のホームページで一般公開しているので、参考にしていただければ幸いである。当日のプログラムを参考にお示しする。
一般用漢方製剤会議
一般用漢方製剤委員会 委員長 中井 玲(クラシエ薬品株式会社)
- 一般用漢方製剤委員会
- ・各部会活動報告
- ・日漢協創立40周年記念事業ワーキング報告
- ・漢方将来ビジョンプロジェクト会議報告
- ・第24回市民公開漢方セミナーの案内
- ・セルフメディケーション税制対象品目、公表ルール、届け出について
- ・防風通聖散の使用上の注意について
- ・「広告における満量処方について」検討結果報告
- ・2022年度事業計画案、予算案の承認
- ・その他連絡事項、トピックス等の情報共有
- ・2022年度第1回委員会を4月27日にハイブリッドでの開催を決定
- 処方部会
- ・削除候補処方の検討
-
・追加候補処方の提案
- *追加処方候補を絞り込むための判断基準
- ・一般用漢方製剤としてふさわしい効能・効果が設定できる
- ・入手困難な生薬、安全性に疑問がある生薬を含まない
- ・市販品があり、広く使われる実績がある
2022年2月2日 2021年度第4回委員会をハイブリッド開催 出席者21名
2022年3月14日 2022年度第1回委員会に向けた幹事会を開催
2022年3月29日 部会をハイブリッド開催
一般用漢方製剤製造販売承認基準へ追加する候補処方の検討
追加候補処方の処方文献シートの作成を行い部会にて共有、効能・効果、成分・分量について意見交換を行った。
~製品化しやすい基準への見直し~
生薬製剤会議
生薬製剤委員会 委員長 和田 篤敬(小林製薬株式会社)
AMED官民共同研究「配合生薬エキス製剤の実用化推進に資する品質評価技術基盤の開発研究(代表者:国立衛研 生薬部長 袴塚 高志)」(配合生薬班)において、当帰川芎製剤(いわゆる婦人薬)の承認基準原案の策定に向けた検討が進められ、3月16日に川崎生命科学・環境研究センター(LiSE)で研究成果が発表された。
当帰川芎製剤の次の検討テーマ候補である生薬主薬保健薬(ニンジン主薬製剤)の範囲拡大の可能性について検討するために、収集した臨床文献について、制度研究部会と製剤開発部会で分担して内容を精査しつつ、一般用医薬品・指定医薬部外品の承認基準や健康食品等を参考にしながら整理を進めている。
その他、下記のように委員会等を開催し、情報共有や意見交換を行った。
- ・2021年度の事業報告や費用実績、2022年度の事業方針、事業計画や費用予算について
- ・3月8日に、局外生規2022(薬生薬審発0308第1号)が、合わせてパブコメ3件への回答が発出され、局外生規2018からの変更点や、新規収載の単味生薬エキスの検討概要が日本薬学会 第142年会で報告されたことについて
- ・セルフメディケーション税制の対象品目の毎月の更新状況やQ&A の更新について
- ・一般用漢方製剤の広告において「満量処方」を表現する際の注釈文に関して、当委員会を含む関係委員会で検討した結果、広告審査会にて了承され、広告研修会で共有予定であることについて
-
・3月31日に、一般薬連から厚労省に「一般用医薬品の製造・品質に関する要望について -加盟企業アンケート結果より-」が提出され、漢方生薬製剤に関係する内容も含まれていること、また、今後の見通しについて
幹事会:3月1日、
委員会、制度研究部会、製剤開発部会:4月28日
原薬エキス会議
原薬エキス委員会 委員長 佐々木 博(日本粉末薬品株式会社)
2022年4月20日に2022年度原薬エキス会議および第1回原薬エキス委員会をWeb会議にて開催した。
会議では本年度事業計画および予算案を審議した。また、昨年度の原薬エキス会議事業報告、日局や局外生規関連報告、並びに単味生薬研究班関連報告等を行った。
- 漢方処方エキスの日局収載
- 局外生規2022
2021年12月~2022年2月に抑肝散加陳皮半夏エキスの新規収載案が意見公募された。
本品目は、昨年すでに意見公募が終了している柴胡桂枝乾姜湯エキスとともに、18局第一追補(2022年12月施行予定)で新規収載される。
これにより日局収載漢方処方エキスは39処方となる。
次いで辛夷清肺湯エキスの収載案が最終段階に入っており、近く日局原案検討委員会・生薬等委員会に上程される。現在、漢方処方の原案作成WGでは、麻黄附子細辛湯エキスや麻子仁丸エキスの収載案が検討されている。
2022年3月8日付で医薬品審査管理課から「局外生規2022」が通知された。局外生規2022では、新規に生薬7品目(アルニカ、カントウカ、コツサイホ、スイギュウカク、ソウジシ、ヤカンおよびロクジョウ末)が、また単味生薬エキス7品目(オンジエキス、コウジンエキス、サイコエキス、シャクヤクエキス、チンピエキス、ニンジンエキスおよびヨクイニンエキス)が新規収載された。あわせて既収載のイカリソウエキス、ガジュツ末、ジンギョウ、センナジツなど14品目の一部規格が改正された。
国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクト
プロジェクトリーダー 味岡 賢士(株式会社ツムラ)
提言実現PJ会議を1月27日、2月22日、3月24日にWebにて開催した。
3月9日(水)18:00よりKKRホテル東京10階 瑞宝の間にて提言書更新に基づく進捗報告、新型コロナウイルス感染症をテーマとして「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会2021」が開催された。Web161名、会場42名、合計203名に参加いただいた。
医療経済学的研究に係る研究助成事業の実施にあたり、医療経済学的研究に係る研究助成の選定内規を策定した。
総務委員会
委員長 永野 聡(株式会社ツムラ)
- 事業計画に関する事項
- 協会活動の効率的運営に関する事項
- コンプライアンスに関する事項
- 環境活動に関する事項
- 漢方製剤等の生産動態に関する事項
- その他
1)「2022年度事業計画の策定にあたって(案)」が第76回正副会長会で承認された。
2)日漢協「2022年度事業方針(案)および事業計画(案)」が第77回正副会長会、第232回理事会で承認された。
3)各組織から提出された2021年度事業報告(案)を取り纏めた。
第13回ビジョン実現検討班を開催し、これまでの検討内容について意見交換を行った。
検討結果を取り纏め、進捗状況について第77回正副会長会、第232回理事会にて報告した。
2022年1月21日(金)の理事会後にファーマコエコノミクス研究会の白神誠先生をお招きし、「コンプライアンスの取り組みに関する実態調査」について研修会を実施した。参加者は会員会社41社、131名であった。研修後のアンケート結果を受けて、会員会社のコンプライアンス体制強化に繋がる具体的な取り組みを検討した。
2021年11月に実施した「環境の取り組みに関する実態調査」を取り纏め、第77回正副会長会、第232回理事会にて報告した。回答会社数50社、回答率80.6%であった。
2020年薬事工業生産動態統計年報から「漢方製剤等の生産動態」の冊子を作成し、第232回理事会後に日漢協ホームページに掲載した。
第3回40周年記念事業プロジェクトにおいて式典WGの進捗状況を報告した。
広報委員会
委員長 犬飼 律子(株式会社ツムラ)
- 第24回市民公開漢方セミナー開催
- 国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会2021
2021年度の市民公開漢方セミナーは、順天堂医院に新たに開設された「Long COVID漢方外来」で、コロナ後遺症の漢方治療を行っている3名の先生方に「ウィズコロナ時代のウィズ漢方~Long COVID 漢方外来からのメッセージ~」と題してご登壇いただいた。開催形態は昨年度に引き続きYouTubeによる動画配信とし、2月19日から3月20日までの1か月間、どなたでも自由に視聴できるようにしたテーマがタイムリーであったことも加わり、この1か月間のアクセス数は昨年度を上回った。動画公開終了後は、当初は当協会ホームページに限定してアーカイブ配信を行う予定だったが、「引き続き広く皆さんに見ていただける環境を維持してほしい」との要望が外部より寄せられた。そのため、方針を変更し、4月1日より改めてこのセミナーの動画をYouTubeで公開した。合わせて昨年度開催したセミナーの動画についても復活掲載し、漢方に関する情報をより広くお届けできるようにした。YouTubeは掲載の2次元コードからアクセスできるので、本稿をご覧いただいた皆様にも是非ご活用いただきたい。
同会は、3月9日にKKRホテル東京にて、新型コロナウイルス感染症をテーマとして開催された。その際、コロナの治療における漢方薬の有用性についての新しい知見を広く知っていただくために、ご講演をいただいた先生を中心に記者会見を設定した。当日は会場とウェビナーのハイブリッドで開催し、合わせて13名の報道関係者がご参加、活発な質疑をいただいた。
国際委員会
委員長 小柳 裕和(株式会社ツムラ)
2022年1月度は流会、2月度は、2月17日にメール配信により委員会1の報告を実施、3月度は3月17日にWG1,2の活動進捗などについての報告を行い情報の共有化を図った。
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ISO/TC249関連活動関係では、国内対策委員会(1回)、国際会議(WG1:1回、WG2:1回)、主査会議(1回)に各メンバーが参加し、当協会から意見を積極的に提出し、各国から提案されたISO規格書に反映させた。
【トピックス】日中韓共同提案案件のISO発行(日漢協主導で提案)
General Requirements of Manufacturing Procedures and its Quality Assurance for Granules(顆粒の製造工程と品質保証のための一般的要件)
⇒ISO23419発行(2021年12月7日) Aipoに掲載済 - 日薬連国際委員会から発信された情報「JETRO調査レポート『2021年度 海外進出日系企業実態調査(全世界編)』」および「全人代の政府活動報告」を事務局から会員会社に発信・情報共有した。
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農林水産省 輸出・国際局 知的財産課より、中国のGI 産品「涪城麦冬」に関する国内での流通状況についての問い合わせに対し、事務局を通じ、国内で中国より麦門冬を購入している会員会社様に状況を確認して回答した。
国内で「涪城麦冬」ブランドの麦門冬を購入している実績はなかった。
薬制委員会
委員長 栗田 宏一(クラシエ薬品株式会社)
薬事制度に関する事項、漢方・生薬製剤の関連法規及び関係通知の調査研究、関係行政機関及び諸団体との連絡並びに意見具申を基本に活動している。
- セルフメディケーション税制対象医薬品について
- 品質問題事案の再発防止に向けた取組みについて
「租税特別措置法施行令第二十六条の二十七の二第三項の規定に基づき厚生労働大臣が定める一般用医薬品等」(令和3年厚生労働省告示第251号)が令和3年6月25日に告示され、42成分(生薬ではマオウ、ジリュウ、ナンテンジツの3生薬)が追加され、令和4年1月1日から適用された。漢方生薬製剤では、告示された生薬を含有することにより、外用鎮痛消炎薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、かぜ薬、鼻炎用点鼻薬、鼻炎用内服薬、抗ヒスタミン薬又はその他のアレルギー用薬としての効能又は効果を有すると認められるもの(「税改後追加対象医薬品」)は令和4年1月1日以後に税制対象として追加された。2022/4/1現在、スイッチOTC 2607品目,非スイッチOTC 3843品目(マオウ含有1006品目) (厚生労働省HP 掲載)
令和4年3月29日付け事務連絡(監麻課)「品質問題事案の再発防止に向けた取組みについて」、同日付け日薬連発第234号(品質委員会)「品質問題事案の再発防止に向けた取組みの周知徹底についてのお願い」が発出された。
昨今、製造販売承認書に記載された製造方法とは異なる方法で製造、品質試験を行う、記録の捏造をする等の不正行為による品質問題の発生が相次いでいる。これら品質問題を受け、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課をはじめとする行政の指導の下、日薬連品質常任委員会では、品質問題で行政処分を受けた企業に関する第三者委員会の調査報告書から問題が生じた原因を探り、課題を洗い出して適切な再発防止策について検討され、特に留意が必要な点がまとめられた。これらの特に留意が必要な点も参考に、常日頃から実施している製造管理・品質管理等について再確認するよう依頼された。
技術委員会
委員長 高杉 泰弘(株式会社ツムラ)
2022年2月22日に委員会を開催した。局方や局外生規関連をはじめとする各部会の活動進捗や日薬連品質常任委員会を通じた規制当局の動きについて共有した。
- 日局関連
- GMP等の法令遵守対応
- 不純物関連
- 日漢協ホームページ対応
「生薬の確認試験の検討及び『細切』、『粗切』、質量のデータ収集のお願い」について会員会社様に調査依頼を行った。その結果をまとめ「分析用試料の調製時の切度に関する改正提案」として生薬等B委員会に提案した。
PQSワークショップをZoomによるWeb開催で行い、9社23名が参加した。QRMに関するグループワークやPQSに関する課題についてグループディスカッションを実施した。これらの結果を共有して各社が持ち帰り、各社の品質システム向上に反映させていく。
残留農薬に関する定期調査(2016年度)の結果が、生薬学雑誌「漢方製剤,生薬製剤及び生薬の残留農薬について(第5報)」に掲載された(生薬学雑誌76(1), 1~8(2022))。
日漢協ホームページ「生薬の解説」について、ビャクジュツの改訂作業を行った。
安全性委員会
委員長 香取 征典(株式会社ツムラ)
- 医療用医薬品添付文書新記載要領対応
- 和漢医薬学会学術大会シンポジウム
PMDAとの医療用漢方・生薬製剤の新記載要領対応相談対応が2021年度から始まり、漢方製剤特有の問題点等の課題や検討結果を反映させた改訂相談結果を作業WGにて共有し、改訂相談準備作業を進めている。
コロナ対応の影響により相談スケジュールに変更が生じたが、2021年度第4期相談品目分の改訂案の提出を12月末に担当各社より実施し、相談照会対応を行っている。さらに、2022年度第1期相談品目分の改訂案提出を3月末に実施したところである。
医療用漢方製剤品目については2022年度第1期相談分にてPMDAとの対応は終了となる。相談対応以降は「使用上の注意」の業界統一と自主改訂冊子の改訂版作業についての検討を開始していくこととなる。
生薬製剤については、日本生薬連合会との連携を深めながら次年度から始まる新記載改訂相談対応に向けてワーキングを立ち上げ、キックオフ会議を2月に開催し、新記載対応についてのまとめ、問題点の共有等を行った。円滑な相談対応の調整を引き続き進めることとなる。
第38回和漢医薬学会学術大会において、「シンポジウム1:リスク管理計画(RMP)と漢方製剤」にて、業界からの演者として安全性委員会委員長が「漢方製剤の安全性確保における業界・企業活動」について講演を行った。業界における医薬品安全性監視およびリスク最小化活動への取り組み、適正使用推進に資する研究活動事例、更なる適正使用推進に向けた業界活動について説明を行った。講演内容については論文化され、本年3月発刊の「薬理と治療」に掲載された。
コード委員会
委員長 松塚 泰之(クラシエ薬品株式会社)
OTC薬協広告委員会WGから検討を依頼された満量処方の広告表記について検討し、下記の通り回答し、一般薬連広告審査会で了承を得た。
医薬品の広告(TV、新聞など)において「満量処方」という広告表現をする際に、注釈を入れることで表現可とする。以下は注釈の例示。
①満量処方とは、漢方処方の出典に基づき生薬を最大量用いたもの
②満量処方とは、漢方処方の出典に基づき生薬を全量用いたもの
③満量処方とは、漢方処方の出典に基づく生薬量を用いたもの
「用いた」は「配合した」「使用した」などの表現も可とする
「基づき」は「の」と置き換えも可とする今後は周知へ向けての取り組みを行なう予定である。
昨年に続き、2021年度販売情報提供活動ガイドラインに関する社内体制整備に関するアンケートを実施し、12社から回答をいただいた。昨年と比べて会員会社の取り組みが進んだことがわかった。なお、本結果概要は3月31日に日漢協ホームページへ公開した。
本年度の製品情報概要等審査について、製品情報概要審査部会を開催し審査が終了した。
審査結果は、製品情報概要等28件、通常・品名広告7件の合計35資材中、「不適切」なし、「好ましくない」3件、「話題」15件、「可」17件であった。
保険薬価委員会
委員長 坂上 誠(株式会社ツムラ)
保険薬価委員会は、1月11日、2月8日、3月15日にWeb会議を開催し、2022年度薬価基準改定へ向け、医療用漢方製剤・生薬の不採算品再算定について、日漢協取りまとめ品目の実施に向け進めてきた。3月4日に薬価基準の官報告示(2022年4月1日実施)があり、医療用漢方製剤10成分、生薬3成分の不採算品再算定指定がなされた。
また、基礎的医薬品については2018年度薬価基準改定において適用された生薬62成分が継続して対象とされた。
私の健康法 山形弁研究家 Daniel Kahl(ダニエル・カール)さん
健康は女房のおかげです…
「新陳代謝が良くなり、メタボを防ぐ漢方薬があったらいいですね」 |
●小学生の時に日本に憧れ、高校生の時に交換留学生に
バブル景気(1986年12月~1991年2月)の末期、外国人タレントブームがあった。オスマン・サンコン、ケント・ギルバート、ケント・デリカット、デーブ・スペクター、そしてダニエル・カールの諸氏はお茶の間の人気者となり一世を風靡した。日本への関心が芽生えたのは小学生の時だった。日系アメリカ人の少女に恋心を抱いた。それが契機となり日本への憧れがいや増し、高校生の時に智弁学園に交換留学生で来日、1年間、奈良県五條市で過ごしている。
二度目の来日はカリフォルニア州のパシフィック大学の学生時代、大阪の関西外語大学で4か月学び、京都の二尊院で2か月ホームステイの後、文弥人形づかいの弟子入りのため佐渡島で4か月ほど修業の日々を送った。大学を卒業の後、文部省英語指導主事助手となり、三度の来日、山形県に赴任して県内の中学校、高校で英語教育に携わった。その傍ら山形弁の修得に勤しんだ。
3年間にわたる山形での教員生活の後に上京、広告代理店勤務を経て、翻訳・通訳を業とする会社を設立した。併せて山形弁を駆使するタレントとしてドラマ、司会、コメンテーター、レポーター、講演などで活躍、一躍、売れっ子になり、今日に至っている。
●病気知らず、お酒大好き
10代後半に初めて来日して以来40余年、これまで47都道府県すべての地を訪れている。「日本はとてもバラエティーに富んでいます。いろいろな言葉があり、食べ物があり、歴史があります。そんな日本が大好きです。どこへ行っても新たな発見がある日本の旅は私にとって健康法とも言えますね」
還暦を過ぎ62歳になって間もない今、孫も1歳になり、日本人以上に日本人になりきっている。食べ物にも好き嫌いはなく、「シンプルなものが好きです。蕎麦、漬物、芋煮、ラーメン。漬物王国の山形では何でも漬けるんです。サクランボ漬けもあります」お酒にも目がない。「好き過ぎるくらいで、日本酒、焼酎、ワイン、ビール、ウイスキー、なにもかもオーケーです」
健康にも恵まれ、子供の頃に盲腸を患ったくらいで病気知らず、風邪もめったにひかない。
この健康の秘訣は山形(米沢)出身の奥様の健康管理の賜とかで、「姉さん女房のおかげです。食事も野菜たっぷり、栄養いっぱいのおいしい山形料理を食べさせてくれます」
午後の3時~5時に行っているウォーキングも元気の源となっており、ほぼ毎日、家の周囲を10㎞ほど歩いている。
コロナ禍におけるもっかの悩みは「家飲み」による飲み過ぎと運動不足からの体重の増加。2年前まではジムに通っていたが、中断を余儀なくされ、メタボ体質が気になっている。
レポーターの仕事で漢方薬の取材経験はあるが、服用したことはないそうで、今後は「孫のためにも早寝早起き、酒控えめをポリシーにしたいと思っています」
プロフィール
生年月日:1960(昭和35)年3月30日
出 身:米国カリフォルニア州モンロビア市
学 歴:パシフィック大学
専 攻:国際政治経済
語 学:英語、ドイツ語、山形弁
専門分野: 地理、世界史、言語、日米文化比較論、子供の教育
著 書:
『ダニエル・カールの国際交流入門』ぎょうせい
『ダニエル先生ヤマガタ体験記』実業之日本社、集英社文庫
『オラが心の日本アメリカ』NHK出版等
その他: おいしい山形大使、米沢市おしょうしな観光大使、美しい多摩川フォーラム副会長