112号 (第38巻 第1号)2021年5月
漢方医学の継承と発展
―第71回日本東洋医学会学術総会の開催にあたって
福島県立医科大学会津医療センター漢方医学講座 教授 三潴 忠道 |
第71回日本東洋医学会学術総会は、本年8月13日~15日に開催されることになりました。Covid-19感染拡大により当初の予定を1年延期し、開催方式もWeb配信(ライヴおよびオンデマンド)としますが、内容は当初の企画に沿って行う予定です。
開催テーマは「紡ぎから織りへ-新たな医療体系の構築-」です。明治以降の漢方は有志により継承され紡がれて、現在は多くの医療現場で活用されるまでになりました。さらに現代医療の主軸をなす西洋医学と共に、新たな医療体系を織りなしたいと考えます。
漢方医学には、治療手段(漢方薬)とその運用方法(証の把握)の両輪があります。広く臨床に活用されている漢方製剤も基は生薬の組み合わせですが、国産生薬の供給不足や薬価の制約のため、特に漢方本来の生薬診療は年々先細りの状況です。漢方の重要な存在意義である、一般的医療で十分な満足の得られない難治や重症患者に対するさらなる選択肢としての役割は、発揮しきれていません。皿に盛った溶けかけのシャーベットの如く、裾野は広がったもののピークは低下すら懸念されます。
漢方を活かした医療体系の構築には、多くの医療人が漢方への共通した理解と基礎知識を持つことが大切です。そこで本総会では特別企画「卒前卒後漢方医学教育」を主軸として展開します。医・歯・薬・看の教育関係者によるシンポジウムに続き、全国82医学部の漢方教育担当教員による「日本漢方医学教育協議会」で検討した模擬講義と評価を提示します。さらに参加型講義や実技実習、OSCE(客観的臨床能力試験)など、学生がリモート参加して実施予定です。
漢方生薬原料は、価格上昇と薬価との不均衡、国産生薬栽培の不振などの問題を抱えています。特別企画としてシンポジウム「生薬栽培の過去と未来、医療現場が地域の農業を支える」を企画しました。数十年来ほとんど前進のない、国産生薬原料の供給について、実情の認識と意見交換により、問題解決への糸口を見つけたいものです。
情報技術が進歩する中、漢方診療の有用性について新たな視点から、康永秀生教授(東京大学臨床疫学・経済学)に特別講演「医療ビッグデータを用いた漢方臨床研究」をお願いしました。漢方が政策的に取り入れられる上では、医療経済学的な優位性の証明も必要です。
新型コロナウィルス感染拡大は本総会の開催に大きく影響しましたが、漢方臨床の基礎である感染症に対する新たな治験や意見交換の機会が生まれています。厚労省クラスター対策班長としてご尽力の押谷仁教授(東北大学)に招待講演「新型コロナウィルスの現状」を、石井正教授(東北大学)には特別講演「東日本大震災時における災害対応経験とその後の取組」をお話しいただきます。新たに緊急シンポジウム「新型コロナウィルス感染症に対する東洋医学の挑戦(仮)」も企画しました。また、地域や事情を超えて広く参加できるリモート参加への道が拓かれ、発展的な面も多い社会環境だと考えます。
漢方を取巻く種々の事象に向き合い、漢方を活かした医療体系の構築に少しでも役立つ総会を目指して参ります。
「漢方の将来ビジョン2040」実現のための活動を
日本漢方生薬製剤協会 副会長 桑野 彰一(日本粉末薬品株式会社 代表取締役社長) |
昨年来の新型コロナウイルス感染拡大により、厳しい社会・経済情勢が続いておりますが、この場を借りて、お亡くなりになった方々に哀悼の意を表すとともに療養中の方々にお見舞い申し上げます。また日々現場で闘っておられる医療従事者の皆様に、心から感謝し、厚く御礼申し上げます。
さて、2017年3月に「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」の髙久史麿会長から、漢方医療を取り巻く課題と対応策に関する「提言書」が発表されました。これを受けて日漢協では「漢方の将来ビジョン2040」を策定し、2018年7月に発表いたしました。このビジョンは、漢方製剤等の「さらなるエビデンス集積と有用性の確立」「原料生薬の継続的安定確保と国産生薬生産量の拡大」など8項目からなりますが、会員会社と専門委員会が一丸となり、スピード感を持って活動するために策定いたしました。さらに本日の定期総会で、このビジョン実現に向けて10年後、20年後のあるべき姿を設定し、それに向けたロードマップと最初の5年間のアクションプランが了承され、合わせて記者発表させていただきました。日漢協は「漢方の将来ビジョン2040」、ロードマップまたアクションプランにもとづき、漢方製剤等のエビデンス集積、原料生薬の安定確保、漢方製剤等の安定供給に一層注力することで、医薬品業界の発展と国民の健康に貢献すべく努力を続ける所存です。
私が担当している原薬エキス関連では、本年6月に施行予定の日局18で温清飲エキスと白虎加人参湯エキスが新規に収載されます。この2処方を加えると、日局に収載された漢方処方エキスは合計で37処方となります。また現在、柴胡桂枝乾姜湯エキスの収載案が意見公募されており、日局18第一追補(2022年10月告示予定)で収載される見込みで、さらに辛夷清肺湯など数処方のエキス収載案が検討されております。日本薬局方にこれだけ多数の漢方処方エキスが収載また収載されつつあることは、漢方製剤が国民の医療に着実に貢献していることを示しているものと考えられます。
単味生薬エキスについては、すでに局外生規2015および局外生規2018で収載されたアカメガシワエキス、メリロートエキス、イカリソウエキスなど6品目に加え、現在オンジエキス、コウジンエキス、シャクヤクエキスなど7品目の規格収載案が検討されており、局外生規2021で新規収載される見込みです。以上のように原薬エキス関係でも、急ピッチで品質面の整備が進められています。
最後に、我が国でも新型コロナウイルスのワクチン接種が開始されておりますが、日漢協では「新しい生活様式」を継続し、Web会議を活用するなど感染防止を念頭にメリハリのある活動を行っていく方針です。
日漢協は、漢方製剤、生薬等を通じて国民の健康と医療に貢献すべく引き続き努力してまいりますので、一層のご理解とご支援を賜りたくよろしくお願い申し上げます。
「漢方の将来ビジョン2040」の実現に向けたロードマップの策定
日漢協ビジョン実現検討班 班長 永野 聡 |
2017年3月の「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」の提言を受けて、同年5月に「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクト」を設置しました。
2018年5月に政府より発表された「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」によると、日本の高齢者人口のピークは2040年頃とされています。今後も続く高齢社会において、漢方製剤等の安定供給を通じて健康寿命の延伸など国民の健康と医療に貢献すべく、2018年に新たな「漢方の将来ビジョン2040」を公表しました。
「漢方の将来ビジョン2040」
- さらなるエビデンス集積と有用性の確立
- 原料生薬の継続的安定確保と国産生薬生産量の拡大
- 原料生薬から最終製剤までの品質管理の高度化と製品品質保証の体制強化および医療用漢方製剤等の安定供給
- ガイドライン策定に向けた医療用漢方製剤の新剤形開発・効能拡大に関する研究の推進
- 一般用漢方製剤および生薬製剤の開発推進と情報提供体制の強化
- コンプライアンス遵守の体制強化と信頼性向上
- 自然環境の保全・生薬資源の保護など地球環境や生物多様性へ配慮した事業活動の推進と漢方製剤等の国際展開の推進
- 産官学連携強化とアウトリーチ活動の充実
産官学連携のもと、科学的エビデンスをさらに集積し、医療における漢方製剤等の有用性をより一層確立していきます
原料生薬の必要量の確保に努めます
原料生薬から最終製剤までの品質管理を強化し、高品質な漢方製剤等を安定供給していきます
医療用漢方製剤の新剤形の開発や効能拡大に関する研究などを推進し、漢方製剤など多成分系医薬品の承認申請ガイドライン策定に協力していきます
一般用漢方製剤および生薬製剤の開発を推進し、市販後の情報提供を強化していきます
会員会社のコンプライアンスと漢方製剤等の品質管理、安全管理をさらに強化し、信頼性を一段と高めます
地球環境や生物多様性の保全、野生動植物の保護に貢献するとともに、自然の恵みである生薬を通じて国際展開に積極的に取り組んでいきます
国民とのアウトリーチ活動の充実を図り、関係諸団体、学会、研究機関、行政等とのコラボレーションを強化します
このビジョンの実現を加速すべく、2020年に「漢方の将来ビジョン2040」の実現に向けた検討班(略称 ビジョン実現検討班)を設置し、ビジョン8項目ごとに10年後および20年後の理想状態を描いた今後の「あるべき姿」を定めました。「あるべき姿」に向かって対処すべき課題を検討し、それを解決していくための取組の方向性と活動の道筋を「ロードマップ」として策定しました。
今後、本ロードマップをもとに、日漢協は会員会社とともに向かうべき方向性と目的を共有して活動を進めてまいります。
医療用漢方製剤会議
医療用漢方製剤委員会 委員長 長谷川 久(株式会社ツムラ)
- 医療用漢方製剤委員会
- 流通適正化部会
- 教育研修部会
- 有用性研究部会
-
日本東洋医学会EBM委員会への協力作業
漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン(KCPG)の追補版“KCPG Appendix 2020”を作成し、EBM委員会ホームページに公開した(3/31)。
また追補版“KCPG Appendix 2021”の作成にあたり、東邦大学医学メディアセンターにおいて、診療ガイドラインの調査を実施した。 - 医療用漢方製剤の添付文書の英語版“Kampo Medicines for Prescription 2020 -Information on Package Inserts of 148Formulations-”を作成し、日漢協ホームページで公開した(2/22)。
2月2日に委員会(Web会議)を開催し、第224回と第225回理事会における審議・報告事項、関係委員会情報などを情報共有した。
また、「漢方の将来ビジョン2040」のロードマップ、アクションプランまた事業方針中の医療用漢方製剤に係る項目について意見交換し、内容の見直しを行った。
会員会社の透明性ガイドラインの公開状況の確認を行った。2019年度分については、3月末までに対応すべき会社はすべて公開済みであった。
本年度の講演会開催についてはコロナ禍の状況に鑑み、Web開催する方向で検討している。医療機関側から見た流通改善の課題とコロナ禍における流通対応をテーマに講師の選定を進める。
部会長の交代があり、宮内清志氏(㈱ツムラ)が新たに就任した。
新型コロナウイルスの影響でこのところ部会を開催していないが、次回開催については現在検討中。
生薬会議
生薬委員会 委員長 白鳥 誠(株式会社ウチダ和漢薬)
- 第6回原料生薬使用量等調査(2017年度および2018年度分)の調査結果について
- 中国の薬用植物栽培に使用される農薬に係る調査と対応について
2017年度と2018年度の結果を含め、2008年から2018年度にわたる11年間の調査結果を整理し、総使用量と生産国の内訳に関してまとめた。総使用量については、2017年は25,326t、2018年では26,391tである。10年前の2008年度と比較すると2017年度が22.0%、2018年度は27.1%増加しているが、直近でみると顕著な増減はなく推移している(詳細は図を参照)。皆様のご研究やご活動に活用いただければ幸いである。
なお、本調査結果は『生薬学雑誌』の8月号への掲載を目指し、生薬委員会の生薬流通部会内に設置した論文作成班が中心となって投稿作業(資料として投稿)を進めている。
図 原料生薬の使用量と生産国(2008~2018年度)
「中国産生薬における使用農薬の実態調査」の第三期調査品目のひとつであるサンシュユについて、日本市場品の農薬分析を実施し、その結果を精査して追加分析も行った。いずれも結果に問題はなく、チンピ、タイソウ、サンシシに続く第4報として『生薬学雑誌』に投稿し、75巻第1号(2021年2月号)に掲載された。
一般用漢方製剤会議
一般用漢方製剤委員会 委員長 中井 玲(クラシエ薬品株式会社)
- 一般用漢方製剤委員会
- ・2021年度事業計画・経費予算 提案・承認
- ・各部会活動報告
- ・ビジョン実現検討班 報告
- ・漢方将来ビジョンプロジェクト会議:啓発アウトリーチチーム活動報告
- ・その他:連絡事項、トピックス等につき情報を共有
- 処方部会
- 一般用漢方製剤承認基準の見直し案作成準備~製品化しやすい基準への見直し~
- ・削除候補処方の検討
-
・追加候補処方の追加提案
- *追加処方候補を絞り込むための判断基準:
- ・一般用漢方製剤としてふさわしい効能・効果が設定できる
- ・入手困難な生薬、安全性に疑問がある生薬を含まない
- ・基準収載処方と類似する処方、追加することの優位性がある
- ・市販品があり、広く使われる実績がある
- 適正使用推進部会
- 国立衛研「一般用漢方処方の確認票」メンテナンス
- ・各会員会社に依頼し、「日本漢方生薬製剤協会による主な商品例」の製品差替えを実施予定
- その他
- 3月14日、JACDS学術セミナー「知っておきたい漢方の基本」実施
- ・啓発・アウトリーチ活動の一環として、オンラインにて日本漢方生薬製剤協会としてセミナーセッションを担当。
- ・一般用漢方製剤委員会としてセミナー後半部にて、漢方概要と処方解説を担当。
- ・漢方製剤の選定・指導をする際に役立つ内容とのスタンスの下、漢方医学の基本特徴、証の捉え方、治療に有効な症候、病態別処方紹介、漢方薬の服用法アドバイス等の説明を行った。
- 「漢方意識調査」学会発表
- ・啓発・アウトリーチ活動の一環として一般生活者を年代別に2000名を対象としてインターネットにて「一般生活者対象漢方意識調査」を実施。
- ・結果につき集計分析・考察を行い、今後の漢方啓発活動についての課題を抽出し対応策を検討した。
- ・3月28日開催の日本薬学会学術総会にて日本薬科大学の新井一郎教授より口頭発表を行った。
2021年1月25日・4月20日 集会・Web併用開催
生薬製剤会議
生薬製剤委員会 委員長 和田 篤敬(小林製薬株式会社)
「漢方の将来ビジョン2040実現検討班」に参画し、ビジョン実現に向けてのロードマップやアクションプラン等について継続的に意見交換しながら検討を進め、それを踏まえて当会議の今年度の事業計画を策定した。
AMED官民共同研究「配合生薬エキス製剤の実用化推進に資する品質評価技術基盤の開発研究(代表研究者:国立衛研生薬部長 袴塚高志先生)」(配合生薬班)において、当帰川芎製剤(いわゆる婦人薬)の承認基準原案の策定に向けた検討が進められている。令和2年度第4回全体会議が3月2日にオンラインにて開催され、当帰川芎製剤の承認基準原案と、それに関連して、安全性やモデル製剤の品質評価試験などについて検討された。
配合生薬班での検討は4年が経過し、これまでの研究成果として、モデル製剤における8種の確認試験法と、3生薬(3成分)の定量法が確立され、これらの研究成果が日本薬学会 第141年会(オンライン開催:3月27日~)でポスター発表(タイトル「配合生薬エキス製剤である当帰川芎製剤の品質評価法に関する研究」)された。
当帰川芎製剤の次の検討テーマ候補として生薬主薬保健薬(ニンジン主薬製剤)を選定し、制度研究部会では臨床文献を収集しながら整理を進めており、製剤開発部会では承認前例を調査し、基礎資料を取り纏めている。
国立衛研生薬部における局外生規2021作成WGに参画し、検討状況について共有している。
PMDA 一般薬等審査部と一般薬5団体との審査実務意見交換会において、新たな配合剤の審査が難航している要因などについて意見交換するためのタスクフォース1(TF1)が設置され、審査側と業界側の見解の相違点などを確認しつつ、意見交換している。
原薬エキス会議
原薬エキス委員会 委員長 佐々木 博(日本粉末薬品株式会社)
2020年12月16日と2021年2月25日に、本年度第5回および第6回原薬エキス委員会をWeb会議にて開催した。
委員会では、日局や局外生規2021の検討状況、宿題事項等について議論を行った。
- 漢方処方エキスの日局収載 日局18(2021年6月施行予定)で温清飲と白虎加人参湯2処方のエキスが新規収載される。これにより日局収載漢方処方エキスは計37処方となる。また本年3月に柴胡桂枝乾姜湯エキスの収載案が意見公募され、日局18第一追補(2022年10月施行予定)にて収載予定である。
- 局外生規2021 2021年1月13日と2月1日に第2回および第3回局外生規検討連絡会議(医薬品審査管理課主催)がWeb会議にて開催された。連絡会議ではガジュツ末、メリロートエキスなど既収載品目の改正案、新収載生薬のアルニカ、スイギュウカクなど数品目の収載案、単味生薬エキスのオンジエキスおよびシャクヤクエキスの収載案が了承された。オンジエキスとシャクヤクエキスについては、業界で追試することとされた。
現在、漢方処方原案作成WGでは、辛夷清肺湯、麻黄附子細辛湯、抑肝散加陳皮半夏など数処方のエキス収載案が検討されている。
また、2月19日に第6回局外生規2021作成WG(国立衛研主催)が開催され、トシシ(末)、カントウカなどの収載案が検討された。単味生薬エキスでは新収載チンピエキスの収載案が基本的に承認され、4月23日の第4回検討連絡会議に上程することとされた。
なお、先に収載案が了承されたニンジンエキス、コウジンエキスおよびサイコエキスについては、当委員会参加会社で改めて再試作し追試を実施した。
また局外生規からの移行品目であるヨクイニンエキスに関して、当委員会と技術委員会で純度試験・ヒ素と酸不溶性灰分の実測値を調査した結果、いずれも極めて低値であったこと、またエキス製造工程でこれらが混入する可能性がほとんどないことから、ヒ素および酸不溶性灰分は設定しないこととされた。
第7回作成WGは5月中旬に開催される予定である。
国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクト
プロジェクトリーダー 味岡 賢士(株式会社ツムラ)
「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」提言発出後、3回にわたる研究会での議論・成果を踏まえ、2月15日に提言更新の記者会見を実施した。
緊急事態宣言下でもあったことから、会場の密を避けるため会見登壇者および参加記者以外は必要最小限の人員で執り行った。当日参加した記者は15社20名(内 Web参加6名)、YouTubeによるライブ配信での視聴は137回であった。今後、新たな提言に基づく研究会の実施について検討する。
3月14日、第5回JACDS薬剤師学術セミナーにて啓発・アウトリーチチームがライブ研修を実施した。
総務委員会
委員長 永野 聡(株式会社ツムラ)
- 事業計画に関する事項
- 1)「2021年度事業計画の策定にあたって(案)」が第70回正副会長会で承認された。
- 2)日漢協2021年度事業方針(案)および事業計画(案)が第71回正副会長会、第226回理事会で承認された。
- 3)各組織から提出された2020年度事業報告(案)を取り纏めた。
- 協会活動の効率的運営に関する事項 「漢方の将来ビジョン2040」実現に向けた取り組み(ビジョン実現検討班事務局)
- 1)「漢方の将来ビジョン2040」実現に向けたロードマップ(案)および5ヵ年アクションプラン(案)が第71回正副会長会、第226回理事会で承認された。
- 2)各組織と連携し、日漢協ロードマップおよびアクションプランに対するQ&Aを取り纏めた。
- コンプライアンスに関する事項 2021年2月に「コンプライアンスの取り組みに関する実態調査」を会員会社に実施した。回答率は95%であった。
- 漢方製剤等の生産動態に関する事項 2019年薬事工業生産動態統計年報から「漢方製剤等の生産金額」の冊子を作成し、第226回理事会後に日漢協ホームページに掲載した。
広報委員会
委員長 犬飼 律子(株式会社ツムラ)
- 期間中のプレスリリース
-
〇1月 日漢協会長年頭あいさつ
薬用作物(生薬)産地化推進のための行政担当者情報交換会リモート開催のご案内
第23回市民公開漢方セミナーYouTube配信のお知らせ
- 〇2月 「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会提言の更新」記者発表のお知らせ
- 第23回市民公開漢方セミナーを開催 コロナ禍という社会環境に鑑み、日漢協初の試みとして、YouTubeで動画を配信する形で市民公開漢方セミナーを開催した。
- 演 題 新しい生活様式にも役立つ漢方先人の知恵
- 講 師 千葉大学医学部附属病院 和漢診療科 診療教授 並木隆雄先生
- 配信日 2021年2月1日~28日の一か月間にわたってYouTubeにて公開
- 他委員会・プロジェクトの広報活動協力
-
(1)薬用作物(生薬)産地化推進のための行政担当者情報交換会
2021年1月28日に開催された本会について、プレスリリースのほか、Zoom開催に向けたリハーサルなどにも参加し、総合的な協力を行った。 -
(2)国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会 提言更新記者発表
2021年2月15日に開催された本会について、当日の会場設営やマスコミ各社への案内などについて総合的に協力を行った。本件の詳細な報告はビジョンチームの報告書を参照されたい。
最終的な動画再生回数は総計1,315回であった。さらなる再生回数の増加を図るため、オンライン開催に最適な告知方法を検討し実施することが今後の課題と考えられる。
薬制委員会
委員長 栗田 宏一(クラシエ薬品株式会社)
薬事制度に関する事項、漢方・生薬製剤の関連法規及び関係通知の調査研究、関係行政機関及び諸団体との連絡並びに意見具申を基本に活動している。
- 薬機法等制度改正について 令和元年12月4日付け法律第63号「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」の施行期日については、令和2年3月11日付け政令第39号「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」により、1年目施行は令和2年9月1日、2年目施行は令和3年8月1日、3年目施行は令和4年12月1日とされている。
- 法令遵守体制・製造管理体制の整備について 今般、医薬品の製造過程において、承認書に記載のない医薬品原薬が混入し、当該医薬品を服用した患者に、重大な健康被害が多数生じる事案が発生したため、令和3年2月9日付け薬生監麻発0209第1号、薬生監麻発0209第2号「医薬品の製造業者におけるGMP省令違反等を踏まえた無通告立入検査の徹底強化等について」が発出された。また2021年2月15日付け日薬連発第125号「医薬品の製造販売業者における法令順守体制及び製造管理体制の整備の徹底強化について」が発出され、法令遵守体制及び製造管理体制の整備の徹底強化について、早急に対応するよう加盟団体宛てに周知徹底された。
2年目施行関連について、令和3年1月29日付け薬生発0129第5号「製造販売業者及び製造業者の法令遵守に関するガイドライン」及び令和3年2月8日付け事務連絡「製造販売業者及び製造業者の法令遵守に関するガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)」が、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課から発出された。
技術委員会
委員長 高杉 泰弘(株式会社ツムラ)
2021年2月22日と4月20日に技術委員会を開催した。「漢方の将来ビジョン2040」のロードマップやアクションプランの策定について継続して検討した。また、日薬連品質常任委員会の情報の共有化を図った。
- GMP等の法令遵守対応 厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課より発出された通知「医薬品の適切な製造管理の徹底について」および「医薬品の製造業者におけるGMP省令違反等を踏まえた無通告立入検査の徹底強化等について」に対し、会員会社様の取り組み状況について調査を行っている。
- 局外生規2021作成WG 局外生規2021に関する事項(WGならびに検討連絡会議への協力)として、日局各条の分析試料の調製において、粉末化が記載されている品目の中で粉末化が困難な生薬については粒度の規定が必要か確認を行った。
安全性委員会
委員長 香取 征典(株式会社ツムラ)
- 医療用医薬品添付文書の新記載要領 2021年度から始まる医療用漢方製剤・生薬製剤の新記載要領に対応すべく、PMDAと事前相談しながら改訂作業を進めている。
- 改正薬機法に伴う添付文書の電子化 改正薬機法に伴う添付文書電子化に関する通知や情報、PMDAの製薬企業向けサイトにある医療用医薬品安全性情報掲載システムへの商品識別コードと添付文書番号の紐付け情報の登録促進、またGS1バーコード読取アプリ公開に向けた最新情報等を共有化するなど、各社が適切に対応できるよう種々の方策を実施している。今後も引き続き最新情報の収集・共有化を進めるとともに、生薬製剤については日本生薬連合会との連携を深めながら添付文書の電子化を進める予定である。
漢方製剤特有の問題点や課題についてPMDAと相談し、その相談結果を作業WGで共有、反映させながら改訂作業を進め、2021年度第1期相談品目の改訂案を3月末に担当各社から提出した。引き続き第2期相談品目の改訂作業を進めるともに、生薬製剤については日本生薬連合会と連携して改訂を進める予定である。
コード委員会
委員長 松塚 泰之(クラシエ薬品株式会社)
2020年度第4回目の委員会を3月16日にWebにて開催した。2021年度の委員会はこれまで同様年4回を予定し、開催形式については状況に応じてWeb、Web+対面のハイブリット、対面等で実施する。2020年12月から1月にかけて、会員会社に対し販売情報提供活動ガイドラインの社内体制の整備等の調査を行なった。会員会社のうち、回答があったのは12社であった。調査の結果、監督部門や審査・監督委員会の設置が進んでいることは確認できたが、ガイドライン遵守への評価等が遅れている会員会社が多く、本年も会員会社への支援を行なうこととした。なお、本調査概要は協会ホームページに公開ている。
本年度から一般用医薬品の広告に関して、OTC薬協および一般薬連と連携を行なうべく、まずは現状把握および課題抽出を行うこととした。
厚生労働省科学研究調査のアンケートについて協力することとし、会員会社へ回答することを要請、9社が回答した。(製薬協加盟重複会社は別途回答)
2020年度の会員会社の製品情報概要等審査を1月12日、2月19日の2回実施した。また、2月19日に審査判定を行なった。審査結果は全32件中「不適切」0件、「好ましくない」4件、「話題」12件だった。審査会レポートを協会ホームページに掲載し、4月に厚生労働省へ報告を行なった。
保険薬価委員会
委員長 坂上 誠(株式会社ツムラ)
保険薬価委員会は、1月12日、2月9日、3月9日、4月13日、5月11日にWEB会議を開催した。
2022年度薬価改定へ向け、医療用漢方製剤・生薬の基礎的医薬品・不採算品再算定について日漢協要望品目の取りまとめ、日漢協の意見および今後の進め方等について協議した。
3月5日に中間年薬価改定における薬価基準の官報告示(2021年4月1日実施)があり、薬価変遷表の更新を行った。
また、社会保障制度に係る議論など関係する審議会等の情報を共有した。
私の健康法 大徳寺塔頭 黄梅院 住職 小林 太玄さん
在りのままに…
兄弟が健在なことを知ったのは18歳の時でした。 |
●6歳の時、満州から荒海を渡り日本へ
一篇の小説のような人生を送る人はそうそういない。禅宗の臨済宗大徳寺派の大本山として名高い大徳寺の塔頭・黄梅院の小林太たい玄げん住職の生い立ちは文字通り波瀾に満ちている。生を享けたのは満州国の奉天(現瀋陽)だった。その後、年々激しくなる日中戦争で両親を亡くし、終戦前の1945(昭和20)年2月、正に命からがら日本に逃げ帰り、山口県下関市で初めて故国の地を踏んだ。小学校へ入る前の6歳の時だった。
以来、流浪の生活が続き、乞食のような日々を過ごした。おにぎりを恵んでくれる人がいる一方、犬をけしかけられたり、石を投げられたりすることもあった。
流れ流れて一年半、辿り着いた兵庫県の作用町で、太田ステさんという方に「どこの子や」と声を掛けられ、時の作用町の岡田町長や慶雲寺の和尚さんらの世話で赤穂市の臨済宗妙心寺派の興福寺に小僧として預けられることになった。
ふとした縁で入った仏門での数々の修行を経て18歳の時に上洛、花園大学に入学し、後に名誉学長となり名僧と謳われた山田無文に学んだ。卒業後は臨済宗相国寺派の大本山相国寺僧堂*に掛塔*、大津礫堂に参禅*し、13年間修業した後、1976年、黄梅院二十世住職に就任され、今日に至っている。
-
*僧堂(禅宗寺院で、僧が座禅や起居する建物)
掛塔(僧が一寺にとどまり修行すること)
参禅(禅の道に入って修行すること。また、座禅を組むこと)
●こだわらない。丸くなろう、丸くなろう…
「何も解らず、怖さも知らず、雑草のように生きてきたからでしょうか、何事にもこだわらないようになりました」黄梅院の住職となり40年余、「和顔愛語」、「剛毅朴訥」の名僧と評され、ファンも多い。
住職の傍ら書家としても名高く、その作品は表千家、裏千家、武者小路千家など茶人をはじめ人気を博している。
●酒飲まず、タバコ吸わず…
満州を出で日本に帰り、仏門に入って70余年、少しく喉が弱いものの大した病もなく今日を迎えている。起床は5時、就寝は9時半から10時。「偏ったらアカン」とのことから酒もたばことも縁がなく、食べ物の好き嫌いはない。お腹が減ったら、なんでも旨い、と朝は7時半、昼は12時、夕は6時半に食事を摂っている。
なるべく歩くことを心がけ、毎日のように1時間ほど歩くのを忘れない。
お茶を薬として日本に伝えた臨済宗の開祖の栄西にあやかり、日ごと抹茶を薬の代わりに飲んでいる。
プロフィール
1938(昭和13)年8月21日、満州国奉天生まれ。
1961年、花園大学卒業 相国寺僧堂に掛塔、大津暦堂に参禅。
1976年、大徳寺塔頭黄梅院住職に就任