111号 (第37巻 第3号)2021年1月
新年御挨拶
厚生労働省 医薬・生活衛生局長 鎌田 光明 |
明けましておめでとうございます。
年頭にあたり、今年の医薬品・医療機器等行政を展望し、所感を申し述べます。
世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大が続き、治療薬、ワクチン及び医療機器への期待・役割がこれまで以上に注目されるなかで、医薬品・医療機器等行政が果たすべき責任も高まっています。企業からの承認申請がなされた場合は、国内外の治験データ等と最新の科学的知見を踏まえ、有効性・安全性等をしっかりと確認し、安全かつ有効な治療薬、ワクチン及び医療機器を安定的に供給できるよう尽力してまいります。また、昨年12月に閣議決定された経済対策に基づき、新型コロナウイルス感染症対策の最前線で闘っている薬局・薬剤師への支援を引き続き実施いたします。
令和元年12月、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第六十三号)」が公布されました。この制度改正は、急速な少子高齢化、科学技術の進歩、グローバル化等のメガトレンドに的確に対処し、優れた医薬品等をより安全・迅速・効率的に提供することを目的としています。
このうち、昨年9月には、「先駆的医薬品等審査指定制度」「条件付き早期承認制度」の法制化や、継続的な患者の服薬状況の把握・薬学的管理の実施の薬剤師への義務付け、医薬品等行政評価・監視委員会の設置などが施行されました。
今年8月には、「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」の認定制度が施行されます。在宅医療等における他の医療機関との連携・対応や、がん治療等の専門的な薬学的管理への対応など、薬剤師・薬局の本来の役割が発揮されることが期待されます。この他、医薬品等の添付文書の電子化、許可等業者に対する法令遵守体制の整備の義務付けなども施行されます。さらに来年の医薬品等の包装等へのバーコード等の導入に向けた準備も進めます。
これらの制度改正により、医薬品・医療機器等行政は大きく前進すると考えております。関係者・自治体の皆様に丁寧に説明を尽くし、引き続き、改正法の円滑な施行に向けて万全を尽くしてまいります。
この他にも、我が国の医薬品・医療機器等行政が直面する様々な課題に積極的に取り組んでまいります。
まず、革新的プログラム医療機器の承認審査体制の充実・強化です。昨今、疾患の治療を目的とした行動変容アプリなど、多様なプログラム医療機器が開発されています。昨年公表した「プログラム医療機器実用化促進パッケージ戦略」に基づき、革新的プログラム医療機器の実用化を促進・後押しするための取組を包括的に進めます。
次に、医薬品・医療機器等への迅速なアクセスを実現するためには、日本の医薬品等の高度な審査水準を各国と共有することが求められます。これにはPMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)の一層の体制強化が必要であり、PMDAとともに、国際的な医薬品・医療機器の規制調和をリードしていきます。
さらに、血液事業については、近年、献血血液を原料とする血漿分画製剤の需要が高まる一方で、献血可能人口や若年者の献血率が減少傾向にあります。将来にわたり安定的に血液製剤を確保すべく、日本赤十字社をはじめとする関係団体と連携し、若年層への普及啓発などの献血推進策に取り組んでまいります。
加えて、近年、若年層を中心に薬物の乱用が大きな問題となっております。特に大麻の若年層への浸透は看過できない問題であり、今後の大麻等の薬物対策のあり方を検討するとともに、取締りの強化や若年層への知識の普及に引き続き取り組んでまいります。
ウィズコロナ・ポストコロナの時代において、社会生活が大きく変化する中にあっても、安全で有効な医薬品、医療機器等の役割や、薬剤師・薬局が果たすべき機能は、国民の生命や健康を支える上で普遍的かつ不可欠なものです。医薬品・医療機器等行政の重責を常に胸に刻みつつ、関係者の皆様とも率直な意見交換等を行いながら、これからも、より良い医療、より良い国民生活の実現に向けて取り組んでまいります。
医薬品・医療機器等行政に対する一層の御理解と御協力をお願い申し上げますとともに、本年の皆様方のますますの御発展と御多幸をお祈りいたしまして、新年の御挨拶といたします。
新年あけましておめでとうございます。
日本漢方生薬製剤協会 会長 加藤 照和 |
昨年からの新型コロナウイルス感染症拡大により、厳しい社会・経済情勢が続いております。お亡くなりになりました方へ哀悼の意を表しますとともに、ご遺族の方に心よりお悔やみ申し上げます。また、療養中の方々にお見舞いを申し上げますとともに、1日も早いご回復をお祈りいたします。そして、日々現場で患者様とご自身の大切な命を守りながら闘っておられます医療従事者の皆様に心より感謝と御礼を申し上げます。
当協会の会員各社は、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下、中国からの原料生薬の調達・輸入ならびに漢方製剤等の製品の安定供給に全力で努めるとともに、有効な治療薬が十分にない現状において、同感染症に伴う様々な症状に対して漢方医学の理論に基づいた情報提供を行うなど、会員会社が一丸となって取り組んでおります。
さて、2017年3月に「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」髙久史麿会長から、漢方医療を取り巻く課題と対応策に関する「提言書」が発表され、これを受けて当協会は、2018年7月に「漢方の将来ビジョン2040」を発表いたしました。このビジョンは、2040年頃に65歳以上の人口がピークとなる超高齢社会において、漢方製剤等を通じて健康寿命の延伸など国民の健康と医療に貢献すべく、会員会社が一丸となりスピード感を持って活動するために策定しました。現在、このビジョンの実現に向けて、10年後、20年後のあるべき姿・状態を設定し、それに向けたロードマップおよび5年ごとの具体的なアクションプランの策定に取り組んでおります。本年5月の総会での承認後、本内容に沿って積極的な活動を展開してまいります。
また、同ビジョン研究会が提言を発表してから4年近くが経過しておりますことから、この間の進展を踏まえた提言の更新が行われております。がん薬物療法の全身状態やフレイルの病態の改善に対する漢方治療が延いては健康寿命の延伸に資することや、高品質な医療用漢方製剤等が将来に渡って安定的に供給されるための提言などが盛り込まれる見込みです。新提言の詳細については、同ビジョン研究会が2月15日に記者会見を行い発表する予定です。
なお、2020年度の「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」につきましては、コロナ禍のため開催を断念し、2021年度開催に向けて日程や開催方法を検討しているところであります。
2020年度薬価改定におきましては、医療用漢方製剤3成分、生薬5成分が不採算品再算定に適用されました。医療用漢方製剤への不採算品再算定の適用は初めてであります。一方、2018年4月には生薬62成分が基礎的医薬品に適用されております。当協会では、同じ生薬を原料とする医療用漢方製剤等はより汎用性があり、基礎的医薬品に適用されるべきであると考えており、次期薬価改定へ向けて基礎的医薬品に関する要望を継続して行いつつ、不採算品再算定についても要望を行ってまいります。
現状、漢方製剤等の原料生薬の約8割を中国に依存しております。中国国内においても高齢化進展への対応として、中薬材(生薬)の需要も高まり、輸出価格も上昇傾向にあります。今年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、秋の訪中が実施できませんでしたが、GACP 関連の新規国際標準を中国医保商会とともにISO/TC249へ共同提案し、国際標準化による品質確保の実現に向けた活動を行うなど、中国医保商会との交流を通じて中国関係先との良好な関係の維持・発展に努めております。
また、農林水産省による薬用作物の産地化支援事業を活用した原料生薬の国内生産の推進・拡大を図るため、2020年も全国6か所で説明会・相談会を開催しました。コロナ禍という状況の中、会場によっては過去最大の参加者があるなど、関心の高さを感じられております。また、実需者と生産者のマッチングが昨年新たに2件成立し、この取り組みを始めた2013年以降、取引開始に至った件数が9件となるなど、着実に成果が出てきております。引き続き生薬の国内栽培の推進・拡大に取り組んでまいります。
一般用漢方生薬製剤につきましては、セルフメディケーションの推進に引き続き取り組んでまいります。2017年から5年間の時限的な税制として始まったセルフメディケーション税制の期限の延長や、スイッチOTCに限定された対象品を、一般用漢方生薬製剤を含めたほとんどの一般用医薬品とする等の改正要望を支援するとともに、利用率向上のための情報提供などの活動を一層強化してまいります。
漢方生薬製剤の持つ治療薬・保健薬としての効果・特徴は、セルフメディケーションの推進に寄与するものと認識しており、国民の皆様にさらに漢方生薬製剤を活用いただくべく啓発活動を継続してまいります。
最後になりますが、2019年の薬機法改正に伴い、会員会社における法令遵守体制の整備、医薬品の適切な製造管理及び品質管理の確保など、引き続き周知徹底を図ってまいります。また、医療用医薬品販売情報提供ガイドラインの遵守も継続推進してまいります。
新型コロナウイルス感染症に関しましては、本年よりワクチンの接種が我が国でも開始される見通しとなっておりますが、当協会では新しい生活様式への対応を継続し、例えば従来のようにすべての会議等を集合形式で行うのではなく、ウェブも活用しながら会員会社の負担を軽減できるようにするなど、メリハリのある活動を推進してまいります。
引き続き皆様に信頼され、漢方生薬製剤、生薬を通じて皆様の健康と医療に貢献できますよう本年も務めてまいりますので、当協会の活動に一層のご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
医療用漢方製剤会議
医療用漢方製剤委員会 委員長 長谷川 久(株式会社ツムラ)
- 医療用漢方製剤委員会
- 流通適正化部会
- 教育研修部会
- 有用性研究部会
- 日本東洋医学会EBM委員会への協力作業「漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン(KCPG)」に関して、追補版KCPG Appendix 2020について掲載ガイドラインの内容を精査し公開に向けた作業を行った。
- 医療用漢方製剤添付文書情報に関して、「医療用漢方製剤 2020-148処方の添付文書情報-」として公開しホームページを更新した(10月19日)。今後、英語版の添付文書情報を更新する。
10月22日、Web会議を開催した。ビジョン2040の医療用漢方製剤に関わる項目について、「あるべき姿(10年後、20年後)・ロードマップ・アクションプラン」(案)を策定した。
約1年ぶりに10月21日にWebによる部会を開催した。会員会社の透明性ガイドラインの公開状況の確認と流通改善の状況ならびに公取協通知の情報共有を行なった。来年の開催についてはコロナ禍の状況に鑑み、Webでの開催を検討している。
MR認定制度の抜本改革に伴う制度変更について、意見交換会を実施した。変更のポイントや対応について確認した。
生薬会議
生薬委員会 委員長 白鳥 誠(株式会社ウチダ和漢薬)
(出典:薬産協ホームページ)
- 2020年度 「薬用作物の産地化に向けた地域説明会および相談会」 について
農水省の支援事業に基づく薬用作物産地支援協議会(一般社団法人全国農業改良普及支援協会と日漢協で設置した協議会)の活動において、日漢協の担当事業の一つである「薬用作物の産地化に向けた地域説明会および相談会」は、2020年9月30日北海道開催を皮切りに全国6地域で開催し、11月25日の名古屋開催をもって終了した。この地域説明会および相談会は、昨年同様、農林水産省、厚生労働省、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所・薬用植物資源研究センター、薬用作物栽培に取組まれている組合や団体などに協力いただき、日漢協の広報委員会とも連携して進めたものである。
本会の開催にあたってはCOVID-19拡大防止対策として、3密(密閉空間、密集場所、密接場面)の重なりを避け、参加者にも検温や手指消毒、マスクの着用に協力いただき実施した。質疑応答や相談会では活発な意見交換が行われ、薬用作物に関する情報提供や共有が図られた。また、昨今の状況を鑑み、会場に来ることができなかった方々のために、薬用作物産地支援協議会(薬産協)のホームページにて東京開催(10月6日)の様子を動画にて公開し、2021年1月28日には行政担当者向けの情報交換を計画しており、更なる情報提供・共有に努める。
一般用漢方製剤会議
一般用漢方製剤委員会 委員長 長島 義昌(クラシエ薬品株式会社)
- 一般用漢方製剤委員会
- 処方部会
- 一般用漢方製剤承認基準の見直し案作成準備~製品化しやすい基準への見直し~ ・削除候補処方の検討
- 適正使用推進部会
- 「Information sheet」中国語版作成について ・簡体字・繁体字にて繁用39処方作成
- その他
- 第2回PMDAとの5団体審査実務意見交換会 ・日時:2020年9月30日 10:00~12:00
2020年10月12日集会・Web併用開催
・各部会活動報告
・ビジョン実現検討班WG報告
・漢方将来ビジョンプロジェクト会議:啓発アウトリーチチーム活動報告
・日本薬局方外生薬規格改訂WG活動報告
・その他:連絡事項、トピックス等につき情報を共有
・追加候補処方の追加提案
・日漢協HP へのUP、関連業界団体への連絡、プレス発表を行った
<ご案内>
我が国に於ける漢方製剤の需要は年々高まっており、日本在住及び来日された海外のお客様のOTC漢方の需要も大きくなっています。
一般用漢方製剤委員会・適正使用推進部会では繁用39処方の中国語版(簡体字・繁体字)紹介シートを作成致しました。店舗企業様、海外出身のお客様皆様のお役に立てばと考えております。
・前回打合せ時の課題及び新規要望事項の説明・意見交換を行った
生薬製剤会議
生薬製剤委員会 委員長 和田 篤敬(小林製薬株式会社)
AMED官民共同研究「配合生薬エキス製剤の実用化推進に資する品質評価技術基盤の開発研究(代表研究者:国立衛研 生薬部長 袴塚高志先生)」(配合生薬班)において、当帰川芎製剤(いわゆる婦人薬)の承認基準原案の策定に向けた検討が進められている。
令和2年度 第2回全体会議が10月6日、第3回全体会議が12月23日にWebにて実施された。10月29日の幹事会、12月2日の委員会を経て、効能効果の見直しについては婦人用の一般用漢方製剤の効能効果を参考に部分的に修正した。これまでに仮設定された配合ルール案に関する資料を作成、複数の漢方臨床医から概ね問題ないが安全性への配慮が必要とのご意見をいただいている。また、モデル製剤の品質評価ではコウカの確認試験は、香港中薬材標準(HKCMMS/Hong Kong Chinese Materia Medica Standards)を参考にした方法で問題なく確認できた。
配合生薬班での検討は4年が経過し、この間の研究成果が12月28日に国立衛研主催のAMED研究成果発表会で20議題のうちの1議題として発表された。なお、アトラクチレノリドⅢ(ビャクジュツ)の定量法についてはカラムを変更して引き続き検討が進められている。
当帰川芎製剤の次の検討テーマ候補として生薬主薬保健薬(ニンジン主薬製剤)を選定し、制度研究部会と製剤開発部会で分担して情報収集を始めている。制度研究部会では臨床文献を検索し抄録から論文をピックアップして精査しており、製剤開発部会ではJAPIC一般用医薬品集2021にて滋養強壮薬の承認前例を調査し、基礎資料を取り纏めているところである。
「漢方の将来ビジョン2040実現検討班」に参画し、ビジョン実現に向けてのロードマップやアクションプラン等について意見交換しながら検討を進めており、委員会にて情報共有している。
国立衛研生薬部における局外生規2021作成WGに参画し、検討状況について委員会にて共有している。
9月30日にPMDAにおいて、第2回 一般薬関係5団体とPMDAとの審査実務意見交換会が行われた。この前後にはコロナ禍におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の試行に関する情報交換等もあり、特に一般用漢方生薬製剤に関係する内容を委員会で共有している。
原薬エキス会議
原薬エキス委員会 委員長 佐々木 博(日本粉末薬品株式会社)
2020年10月21日に本年度第4回原薬エキス委員会をWeb会議にて開催した。
委員会では、日局や局外生規2021の検討状況、また日漢協の「ビジョン実現検討班」におけるロードマップ作成等について議論を行った。
- 漢方処方エキスの日局収載 日局18について、10月16日から1ヶ月間、厚労省パブコメが実施された。日局18で温清飲と白虎加人参湯2処方のエキスが新規収載される。これにより日局収載漢方処方エキスは計37処方となる。なお日局18は新型コロナの影響により作業が遅れ、2021年6月に施行される。
- 局外生規2021 2020年9月28日と11月19日に、第4回および第5回局外生規2021検討WG(座長:国立衛研袴塚生薬部長)が開催された。生薬のアルニカやカントウカ、局外規からの移行品目であるヨクイニンエキスなど数多くの品目の収載案が検討された。
また日局18第一追補で、柴胡桂枝乾姜湯エキスが収載されることが確実である。さらに漢方処方原案作成WGでは現在、辛夷清肺湯、麻黄附子細辛湯および抑肝散加陳皮半夏各エキスの収載案が検討されている。
新収載単味生薬エキスのニンジンエキス、コウジンエキスおよびサイコエキス3品目については、当委員会参加会社で追試が行われたが、過去ロットであったため規格設定になじまず、改めて試作して追試することになった。
また新たにオンジエキス、シャクヤクエキスおよびチンピエキスの収載案が提案され、基本的に了承された。これらについては2021年1月13日開催の「第2回局外生規に関する検討連絡会議」(事務局:医薬品審査管理課)に上程されることになった。
国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクト
プロジェクトリーダー 味岡 賢士(株式会社ツムラ)
漢方将来ビジョンプロジェクトは、9月30日、10月20日、11月17日および12月15日に会議を開催した。
2016年に開催した3回の研究会の成果を踏まえた提言の追加更新について、世話人・委員の了承を頂き改定作業が終了し、現在、発出時期・方法、新たな提言に基づく研究会の実施について検討中。
総務委員会
委員長 竹下 真吾(株式会社ツムラ)
- 事業計画に関する事項 第146回委員長会にて、これまでの中長期事業計画(5ヵ年計画)を2020年度で終了させ、新たに「漢方の将来ビジョン2040」の実現に向けた活動を進めることとし、2021年度の事業方針(案)および事業計画(案)の策定、2020年度活動報告(案)の作成を各組織に依頼した。
- 協会活動の効率的運営に関する事項 「漢方の将来ビジョン2040」実現に向けた取り組み(ビジョン実現検討班事務局)
- 環境に関する事項 日薬連の目標である2025年度に廃棄物再資源化率を60%以上にする計画について検討した。
1)会議を開催し、日漢協ロードマップおよびアクションプランの検討を行った。
〈第3回(9月3日)、第4回(10月8日)、第5回(11月5日)、第6回(12月25日)〉
2)第68回正副会長会(9月18日)でロードマップ案の検討状況を中間報告し、さらに分かりやすいものとなるよう検討を進めた。
3)ロードマップ等の設定に際して、各ビジョンにおける10年後と20年後の理想と考える状態を「あるべき姿」として設定し、第69回正副会長会(11月20日)で承認を得た。
4)各組織で検討したロードマップおよび5ヵ年アクションプランをとりまとめた。
広報委員会
委員長 犬飼 律子(株式会社ツムラ)
- 期間中のプレスリリース 〇9月 薬用作物の産地化に向けた地域説明会および相談会 全国6地域での開催のご案内
- 薬産協地域説明会の報道対応 9月30日(札幌)から11月25日(名古屋)まで、計6回開催された地域説明会について、開催各地のプレスリリースおよび現場での報道対応を行った。今年度は2会場で5社5名の参加があったほか、現在日本経済新聞 商品部の記者から継続的に取材を受けており、生薬委員会 生薬国内栽培検討班の協力の下で対応中である。
- 第23回市民公開漢方セミナーについて 一般用漢方製剤委員会、生薬製剤委員会とも情報交換を行い、広報委員会として下記内容での実施を決定し、準備中である。
〇12月 一般用漢方製剤の紹介シートに中国語(簡体字・繁体字)版を追加公開します
2020年度の新年祝賀会中止のお知らせ
・札 幌 報道参加なし
・仙 台 報道参加なし
・東 京 薬事ニュース、漢方産業新聞、医療ジャーナリスト(フリー)
・名古屋 報道参加なし
・神 戸 薬事日報、読売新聞(大阪本社)
・福 岡 報道参加なし
演 題 新しい生活様式に役立つ漢方先人の知恵
講 師 千葉大学大学院医学研究院和漢診療学講座 診療教授・准教授 並木隆雄先生
開催日 2021年2月1日~28日の一か月間にわたってYouTube にて公開
収 録 2021年1月20日千葉大学医学部会議室にて講演を収録予定
従来は東京地区の会場での講演であったが、今回はコロナ禍という環境に鑑み、初めてYouTubeでの開催を試みることとなった。案内は東京地区に限定せず全国に向けて行い、事前申し込みによらず希望者が自由に視聴できる形態での開催とする予定である。
国際委員会
委員長 諸田 隆(株式会社ツムラ)
国際委員会、拡大会議ともにWeb/メールで滞りなく実施した。また、JLOM主査会議、国内対策委員会、国際会議に参加し、当協会の意見をISO規格書に反映させた。なお、10月度は中国成都での日中定期交流会を企画していたが、COVID-19感染症の影響で延期としている。
薬制委員会
委員長 栗田 宏一(クラシエ薬品株式会社)
薬事制度に関する事項、漢方・生薬製剤の関連法規及び関係通知の調査研究、関係行政機関及び諸団体との連絡並びに意見具申を基本に活動している。
- 薬機法等制度改正について 令和元年12月4日付け法律第63号「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」の施行期日については、令和2年3月11日付け政令第39号「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」により、1年目施行は令和2年9月1日、2年目施行は令和3年8月1日、3年目施行は令和4年12月1日とされている。
- GMP省令改正案について 令和2年11月27日、厚生労働省監視指導・麻薬対策課より「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部を改正する省令案」が公表され、意見募集された。
令和2年11月6日、厚生労働省監視指導・麻薬対策課より薬機法改正2年目施行に関する事項について省令案が公表され、意見募集された。
施行規則の一部改正案(抜粋)
〇許可等業者に対する法令遵守体制の整備の義務付け等
〇提出資料の簡素化とそれに伴う様式の改正
〇製造工程のうち保管のみを行う製造所に係る登録の手続等
〇承認事項の軽微な変更を届出で行うことができる範囲
〇製造業者の申請に基づき製造工程の区分ごとに行う医薬品等適合性調査(「医薬品等区分適合性調査」)に係る手続等
〇医薬品等の変更計画に係る手続等
〇添付文書の電子化(容器等への符号等の記載関係)
〇総括製造販売責任者の基準
〇課徴金制度に係る手続
技術委員会
委員長 高杉 泰弘(株式会社ツムラ)
2020年10月1日と12月17日に技術委員会を開催した。「漢方の将来ビジョン2040実現検討班」ビジョン実現へのロードマップやアクションプランの策定に関して検討を進めている。また、日薬連品質常任員会の情報の共有化を図った。
- 日局18に向けた検討 日局18第一追補への収載に向けて、柴胡桂枝乾姜湯エキスの試験法案をもとに実測値データを提供していただき、規格値案の検討を行っている。抑肝散加陳皮半夏エキスについては、試験法の検討をほぼ終了した。
- 局外生規2021作成WG ジンコウの改訂案に対する追試依頼と意見について会員会社様に依頼した。また、ヤカン・カントウカの実測値提供についても依頼し、2020年11月19日の第5回作成WGにて報告した。
- 改正GMP省令 2020年11月27日に改正案全文が公表され、11月27日から12月26日までパブコメが実施された。2021年4月に公布され、改正医薬品医療機器法の2年目施行と同日である8月1日より施行される。
安全性委員会
委員長 香取 征典(株式会社ツムラ)
●医療用医薬品添付文書新記載要領対応
2021年から始まるPMDAとの医療用漢方・生薬製剤の新記載要領対応相談に先立ち、2020年10月に2回目の事前相談を実施した。事前相談の目的は、漢方製剤特有の問題点や課題を事前に抽出し、全体的な方針について調整を行うためである。2回目の今回は、前回業界から提示した課題・検討事項についてPMDAから回答をいただき、意見交換をした。
作業WGにて情報共有し、改訂相談準備作業を進めるとともに、生薬製剤については引き続き日本生薬連合会との連携を深めながら対応を進めることとなる。
コード委員会
委員長 松塚 泰之(クラシエ薬品株式会社)
本年度第2回の委員会を9月24日にWebで開催した。昨年実施出来なかったコード理解促進月間を11月に実施することとした。テーマは『法令遵守〜製薬企業の原点に立ち還って〜』とした。販売情報提供活動ガイドラインの社内体制の整備等の調査について、本年度は日漢協として12月に実施することとした。
本年度第3回の委員会を12月14日にWebと日漢協会議室併用で開催した。9月の委員会で決めた販売情報提供活動ガイドラインの社内体制の整備等の調査について最終確認を行ない、会員会社担当者へ調査の依頼を実施した。
2020年度の会員会社の資材審査を11月24日、12月22日に実施した。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、年内はWebメインでの開催とした。コロナ禍の状況を踏まえた上で2021年1月以降には集合開催することも検討している。
保険薬価委員会
委員長 坂上 誠(株式会社ツムラ)
保険薬価委員会は、9月15日、10月13日、11月10日、12月8日にWEB 会議にて開催した。委員会では2022(令和4)年度薬価改定へ向けて、医療用漢方製剤等の基礎的医薬品および不採算品再算定の適用品目拡大をめざし、委員会としての意見取りまとめを行った。また中間年薬価改定や、社会保障制度に係る議論など関係する協議会等の情報を共有した。
私の健康法 イラストレーター、装丁デザイナー、エッセイスト 南伸坊さん
1日8000歩を日課に
飲んでいる漢方薬の名前は知らないんです。以前は実証タイプでしたが、中庸に近づくように心がけています。 |
●昭和軽薄体、路上観察学会、老人力…
丸刈りでおにぎり型の頭で知られ、にこやかな味わい深いその笑顔は芸術的でさえあり、誰をもほのぼのとさせる。現代日本三大笑顔の一つと言っても過言ではないかもしれない。本業はイラストレーター、作品は笑顔と同様に温かみに満ちている。文才にも恵まれ、1980年前後に一世を風靡した昭和軽薄体(くだけた喋り口調が持ち味の饒舌な文体)の一員として注目されたことも記憶に新しい。
エッセーにイラストを加える手法により、イラストライターとも自称している。師である赤瀬川原平が提唱した路上観察学会(路上に隠れる建物(もしくはその一部)・看板・張り紙など、通常は景観とは見做されないものを観察・鑑賞する団体)にも参加。1998年にベストセラーとなった『老人力』、この言葉の発見者の一人でもある。
●漢方との出会い
さまざまな分野に通暁する文化人として昼夜を分かたず活動してきた南さんの体調に変異が起きたのは57歳の時だった。痰に血が混じっていることに驚き、大病院で検査をしたところ、「90%肺がんの疑いがある…」と告げられた。「普段は無理がきく身体で、心配とかもしないんですが、病気になると弱いんです。働き過ぎというか、働き下手でした。ショックでしたね」そこで頭を切り替え、10%に望みを託した。徹夜やハードワークをやめて、免疫力を高めるべく生活改善に取り組み、規則的な生活を心がけた。奥様の主治医が丁宗鐵医師(現日本薬科大学学長)だったことからセカンドオピニオンには漢方を選んだ。
「丁先生はそれまでの先生と違い、こちらのことをしっかりと聞いてくれますし、しかも話がとにかく面白いんです。そのせいか肺がんもいつしか治癒したようです」
●丁医師処方の漢方薬を朝晩に服用
古稀を過ぎ、来年には後期高齢者となる今、同い年の丁医師の教えに基づき、早寝早起き、規則的な生活を実践している。就寝は10時から10時半、起床は6時。食事は塩分控えめ、2日に1度の割で奥様が煎じる漢方薬を朝と晩に服用し、体調管理に余念がない。運動にも意欲的に取り組み、週に2度ほど池袋のスポーツジムに通うとともに、1日8000歩を日課としている。付記:主治医の丁氏との対談が書物となり二社から出版されている。南さんの人柄がにじみ出ており、漢方への興味・関心がより高まる一冊である。
『丁先生、漢方っておもしろいです』(朝日新聞出版)、『漢方的生き方のすすめ』(毎日新聞出版)。
プロフィール
1947年( 昭和22)6月30日、東京都世田谷区生まれ。東京都立工芸高等学校デザイン科卒業。美学校・木村恒久教場、赤瀬川原平教場に学ぶ。1972年、出版社・青林堂入社、漫画雑誌『ガロ』の編集長を経て1980年からフリーのイラストレーター。
著書:『 装丁/南伸坊』(フレーベル館)、『笑う茶碗』(筑摩書房)、『ねこはい』(青林工藝舎)、
共著:『 黄昏』(糸井重里、東京糸井重里事務所)、『免疫学個人授業』(多田富雄、新潮文庫)、『心理療法個人授業』(河合隼雄、新潮文庫)、『生物学個人授業』(岡田節人著、河出文庫)、『解剖学個人授業』(養老孟司、河出文庫)ほか多数。