110号 (第37巻 第2号)2020年7月
薬用作物の産地形成に向けて
農林水産省 生産局 地域対策官 橋本 陽子 |
日頃より、農林水産施策への御理解と御協力を賜りまして感謝申し上げます。
また、新型コロナウイルス感染症につきまして、医療に従事されております皆様に対して敬意を表しますとともに、感染拡大に伴い、生活や事業に影響を受けられた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。1日も早い収束をお祈り申し上げます。
さて、農畜産物の生産振興を担う農林水産省生産局の中で、私どもは地域特産物(工芸作物)を所管し、具体的には、茶、薬用作物、いぐさ・畳表、繭・生糸、こんにゃく、ホップ、油糧作物等と多岐にわたっております。
これらの作物は、米等の土地利用型作物や野菜等の園芸作物とは異なり、それほど多くは生産されていませんが、その産地では当該地域の経済を支える重要な作物になっています。
特に、貴協会にも関係が深い生薬の原料となります薬用作物については、中山間地等での新たな作物として期待が高まっていることもあり、今年3月に閣議決定された新たな「食料・農業・農村基本計画」にも前回の基本計画から引き続き薬用作物の推進について明記をしております。今後も基本計画に沿って薬用作物の新たな産地形成の推進及び既存産地の維持・拡大を図っていくこととしています。
一方で、ご承知のように、薬用作物は一般的な取引を行う市場が存在しないことから販路確立が課題であり、契約栽培が基本となります。そのためにもまずは生産者と生薬メーカーとをマッチングさせる場を設けることが重要となります。
このような中、貴協会におかれましては、一般社団法人全国農業改良普及支援協会とともに薬用作物産地支援協議会(薬産協)を設置され、当省の補助事業を活用してHPで常設の相談窓口や売買支援、「薬用作物の産地化に向けた地域説明会および相談会」を開催するなど、薬用作物の産地化に熱心に取り組んでいただいております。その成果として、薬用作物の契約取引が開始された産地が増え始めてきており、これまで御尽力いただいた薬産協の関係各位に感謝申し上げます。
今年も9月30日の北海道会場を皮切りに全国6会場(詳細は薬用作物産地支援協議会HPをご参照ください)で「薬用作物の産地化に向けた地域説明会および相談会」を開催されると伺っています。マッチングに関する相談や薬用作物に関する情報発信のほか、今年は当省が委託している薬用作物の栽培技術に関する試験研究の説明も行うとのことですので、新技術の導入を検討されている産地におかれては関心が高いのではないかと思います。
薬用作物の産地化には相応の時間を要します。引き続きこれらの取組を一体的に進めていただくことで、薬用作物の産地形成が加速化することを期待いたしますとともに、今後とも産地への御指導、御鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
就任のご挨拶
日本漢方生薬製剤協会 副会長(クラシエ薬品株式会社 代表取締役社長)岩倉 昌弘 |
新型コロナウイルス感染症により亡くられた皆様に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、罹患された皆様、影響を受けられたご家族、関係者の皆様には、心よりお見舞い申し上げます。加えて、感染拡大の防止にご尽力されておられます医療従事者をはじめ、社会生活を支える全てのエッセンシャルワーカーの皆様には、心から感謝申し上げます。一日も早く新型コロナウイルス感染症が収束することを心より願っております。
私は本年5月より中嶋前副会長の後を受け、副会長職とともに業態別会議体の一般用漢方製剤会議議長の重責を担うこととなりましたクラシエ薬品株式会社の岩倉昌弘と申します。就任にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
私は1985年にクラシエの前身である鐘紡株式会社に入社し、化粧品・日用品部門に従事してまいりました。その後、クラシエグループの経営に関わる仕事を務め、この度、薬品の社長に就任することとなりました。
とりわけ漢方薬を取扱う企業のトップとして、強く感じていることがあります。
それは、国民の健康と医療には、改めて漢方薬が不可欠な薬であることを実感し、その活用と推進に努めていかなければならないということです。漢方薬は、治療薬としては言うまでもなく、健康さらにはセルフメディケーションという観点からも極めて重要であり、高品質な漢方製剤を安定供給し、その普及や発展を図ることが、国民の皆様の健康と医療を担う一助になることを強く認識しました。
日漢協における2020年度の主たる取り組みは、①原料生薬を安定的に確保し、高品質な漢方製剤等の安全性を保ち、適正使用の推進を図り、国民の健康と医療に貢献すること。②「漢方の将来ビジョン2040」を実現するため、中長期ロードマップおよび5年間のアクションプランを策定することと実効性のある取り組みとなるよう組織の見直しを図ること。③改正薬機法の遵守およびコンプライアンス体制を充実・強化すること。でありますので、これらの活動を支援してまいります。
一般用については、2017年から導入されたスイッチOTC薬を対象とした5年間の時限制度であるセルフメディケーション税制を恒久化することや、一般用漢方製剤および生薬製剤を含む、すべての一般用医薬品を対象とすることなどを要望してまいります。
医療用については、2020年度薬価改定において、医療用漢方製剤3成分、生薬5成分が不採算品再算定の適用を受けました。医療用漢方製剤は、今回初めて不採算品再算定の適用を受けましたが、引き続き、基礎的医薬品への適用が実現されるように働き掛けてまいります。
また、昨年12月薬機法が改正され、「法令遵守体制の整備」、「虚偽・誇大広告による医薬品等の販売に対する課徴金制度創設」、「添付文書の電子化」、「医薬品等の包装等へのバーコード表示の義務化」が段階的に施行されますので、遅滞のないように順次対応してまいります。
最後に、引き続き新型コロナウイルスの感染拡大に対して、医薬品を必要な医療機関に迅速かつ円滑に安定供給を行うための製造体制を確保することとし、医薬品の製造・販売に係る事業者として、引き続き感染防止策を徹底し、責任を持って対応してまいります。
今後も、副会長としての「役割」と「使命」を果たし、会員会社様のお役に立てるように努めてまいりますので、皆様方のご支援・ご協力をお願い申し上げます。
医療用漢方製剤会議
医療用漢方製剤委員会 委員長 長谷川 久(株式会社ツムラ)
- 医療用漢方製剤委員会
- 有用性研究部会
- 「国内の診療ガイドラインへの漢方製剤記載の実態調査」の更新結果について、日漢協ホームページ「調査・研究・統計」の項目に公開した(8月3日)。
- 有用性研究部会の在り方を検討するため、部会参加協力に関するアンケートを実施するとともにメンバーへ協力を要請した。
ビジョン実現検討班メンバーとして2名選任し、ワーキングで活動している。7月20日にWEBにて委員会を開催し、医療用漢方製剤に関わるロードマップ策定について意見交換した。
生薬会議
生薬委員会 委員長 白鳥 誠(株式会社ウチダ和漢薬)
2020年度「薬用作物の産地化に向けた
地域説明会および相談会」 開催日時等
- 2020年度「薬用作物の産地化に向けた地域説明会および相談会」 開催日時について
一般社団法人全国農業改良普及支援協会(普及協会)と日漢協が設置した薬用作物産地支援協議会(薬産協)は、6月23日に2020年度 第1回 薬用作物産地支援体制整備検討会を開催した。検討委員として有識者を迎え、農林水産省生産局と厚生労働省医政局経済課からもオブザーバーとして参加いただき、本年度の農林水産省“ 茶・薬用作物等地域特産作物体制強化促進事業” の進め方や今後の予定について協議した。
日漢協の担当事業の一つである「薬用作物の産地化に向けた地域説明会および相談会」(地域説明会)の開催日程が決まったので次に示す。薬用作物の栽培等に興味をお持ちの方はぜひご参加いただきたい。また、詳細については日漢協ホームページにある「薬用作物産地支援協議会 日漢協事務局」のバナーをご活用いただきたい。なお、地域説明会の開催にあたってはCOVID-19拡大防止対策として、3 密(密閉空間、密集場所、密接場面)を避けるなどの対処をするが、COVID-19拡大の影響により開催が困難に至った場合には、実地開催を中止し、Webを活用した方法で対応するよう開催準備を進めている。
一般用漢方製剤会議
一般用漢方製剤委員会 委員長 長島 義昌(クラシエ薬品株式会社)
- 一般用漢方製剤委員会
- 処方部会
- 一般用漢方製剤承認基準の見直し案作成準備~製品化しやすい基準への見直し~ ・削除候補処方の検討
- 適正使用推進部会
- 「Information sheet」中国語版作成について ・簡体字・繁体字にて繁用39処方作成中。本年度の完成を予定している。
- 繁用処方資料作成・活用についての検討
- その他
- 7月12日(日) 日本薬科大学「漢方アロマコース」* *文部科学大臣認定「職業実践力育成プログラム」。2016年4月から開催されており、漢方に加えて幅広い補完医療の現状を体系的に学ぶことができる。
2020年6月4日(木)、8月6日(木)書面開催
・各部会からの活動報告
・第23回市民公開漢方セミナーの講師・テーマについての意見募集
・漢方将来ビジョンプロジェクト会議:ビジョンチーム・啓発アウトリーチチーム活動報告
・ビジョン実現検討班WG 活動報告
・日本薬局方外生薬規格2021改訂WG 活動報告
・その他:連絡事項、トピックス等につき情報を共有
・追加候補処方の追加提案
*本年度はWeb開催。7月6日、事前収録を行った。
・テーマ:「市販漢方薬の選び方」
・「漢方医学の特徴」「漢方医学と西洋医学の違い」「特に漢方治療が有効な症候」について説明。気・血・水の虚・実病態別に、代表処方を紹介。漢方薬の選び方のポイント・留意点について説明した。
本年度は、体質の認識・把握、そして気づき・対話を重視することに力点を置いた。「体質」では特に虚実寒熱を把握し、症状に応じて漢方薬を選定してほしいということ、「対話」ということでは自分自身との対話、薬局薬店との対話、各メーカーの窓口の積極活用を紹介した。
生薬製剤会議
生薬製剤委員会 委員長 和田 篤敬(小林製薬株式会社)
当帰川芎製剤の次の検討テーマ候補について、委員会内でアンケートを実施、幹事会にて情報を整理し、委員会にて意見交換している。生薬主薬保健薬(ニンジン主薬製剤)の範囲拡大や単味生薬のコンビネーションについて検討するために、制度研究部会と製剤開発部会で分担して情報収集を始めている。
日本医療研究開発機構(以下、「AMED」)官民共同研究「配合生薬エキス製剤の実用化推進に資する品質評価技術基盤の開発研究(代表研究者:国立医薬品食品衛生研究所(国立衛研)生薬部長 袴塚 高志 先生)」(配合生薬班)において、当帰川芎製剤(いわゆる婦人薬)の承認基準原案の策定に向けた検討が進められている。令和2年度 第1回全体会議は、COVID-19 の影響により6月30日に延期され、Web会議にて実施された。効能効果の見直しに関しては、当帰川芎製剤や婦人系漢方処方の臨床エビデンスの整理結果等を踏まえて、原案として落ち着いた。また、モデル製剤の品質評価試験については、コウカの確認試験とアトラクチレノリドⅢ(ビャクジュツ)の定量法について引き続き検討が進められている。次回からは配合ルールについて検討を開始することになっている。これまでに仮設定された配合ルール案に関して、臨床医のご意見を収集することになり、当委員会で説明資材の調整やヒアリング候補の抽出を進めている。次回の全体会議は10月6日に予定されている。
当帰川芎製剤の次の検討テーマ候補について、委員会内でアンケートを実施、幹事会にて情報を整理し、委員会にて意見交換している。生薬主薬保健薬(ニンジン主薬製剤)の範囲拡大や単味生薬のコンビネーションについて検討するために、制度研究部会と製剤開発部会で分担して情報収集を始めている。
国立衛研 生薬部における局外生規2021改訂WGに参画しており、検討状況について委員会にて共有している。
「漢方の将来ビジョン2040実現検討班」に当委員会からも参画し、ビジョン実現へのロードマップやアクションプランの策定に関して検討を進めている。
原薬エキス会議
原薬エキス委員会 委員長 佐々木 博(日本粉末薬品株式会社)
2020年6月24日に本年度第2回原薬エキス委員会をメール審議にて、また第3回委員会を8月26日にWeb会議にて開催した。
委員会では、日局や局外生規2021の検討状況、また日漢協の「ビジョン実現検討班」におけるロードマップ作成状況などについて報告し、議論を行った。
- 漢方処方エキスの日局収載 日局18(2021年4月施行予定)で温清飲と白虎加人参湯2処方のエキスが新規収載されることが確実である。これらに続き本年7月の生薬等B委員会で柴胡桂枝乾姜湯エキスの収載案が基本的に了承され、現在業界団体でデータ収集が行われている。さらに漢方処方の原案作成WGでは、辛夷清肺湯、麻黄附子細辛湯および抑肝散加陳皮半夏のエキス収載案が検討されている。
- 局外生規2021 本年3月と6月に開催された「局外生規2021改訂WG」で検討された既収載のメリロートエキスなどの改正案、並びに新規単味生薬エキスのニンジンエキス、コウジンエキスおよびサイコエキスの収載案が、7月に開催された「第1回局外生規に関する検討連絡会議」(座長:国立衛研袴塚生薬部長)に上程され、了承された。
上記連絡会議で了承されたニンジンエキスなど新規単味生薬エキス3品目については、現在原薬エキス委員会参加会社で追試が行われている。
また9月2日に、第3回局外生規2021改訂WGが開催された。
国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクト
プロジェクトリーダー 味岡 賢士(株式会社ツムラ)
2017年より3回に亘り開催された研究会でまとめられた提言を追加、更新することについて、5月22日にその骨子が世話人・委員の了承のもと確定した。現在、本文の改定作業を行っている。本文が確定後、発出時期、新たな提言に基づく研究会の実施について検討する。
総務委員会
委員長 竹下 真吾(株式会社ツムラ)
- 事業計画に関する事項 第38回定期総会(5/19)において、「2020年度事業計画」が承認された。
- 協会活動の効率的運営に関する事項 「漢方の将来ビジョン2040」の実現に向け、組織の見直しを含めた事項を一括検討する「ビジョン実現検討班」を6月に設置し、7月から活動を開始した。検討班会議の構成メンバーは、委員長会メンバーと各委員会からの選抜者とした。なお、同選抜者(9社11名)と検討班事務局がワーキングに参加し、約20年の長期的視点で協会活動のロードマップを検討した。
- コンプライアンスに関する事項 「日漢協企業行動憲章」「日漢協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」を改定し、第221回理事会(5/19)で承認された。
広報委員会
委員長 犬飼 律子(株式会社ツムラ)
- 日漢協ガイド2020の発行 〇7月15日に日漢協ガイド2020(日本語版)を発行した。現在、これをもとに中国語および英語への翻訳・編集作業を行っており、9月中の発行を予定している。
- 期間中のプレスリリース 〇5月 総会終了後の懇親会中止のお知らせ
- 期間中の主な対応(対応にあたってご協力いただいた委員会名等をカッコ内に記した) 〇4月 フジテレビ「今夜はナゾトレ」=生薬写真の提供(生薬委員会)
総会終了後の会長挨拶
〇8月 薬産協主催「薬用作物の産地化に向けた地域説明会」開催
〇5月 東洋経済=コロナ禍で売り上げが減少した商品として漢方薬が取り上げられたが、事実と異なるため、面談・説明を行った。
フジテレビ「今夜はナゾトレ」=生薬写真の提供(生薬委員会)
〇6月 マイナビ農業活性事業部=生薬の国内栽培の状況について説明した。(薬産協事務局)
〇7月 ヘルスビジネスマガジン=コロナによる受診抑制の影響で、OTCの相談漢方の取り扱いが増えているのではないかと問い合わせがあった。メールによる取材を受けることとし、詳細な質問項目の提示を依頼中。(一般用漢方製剤委員会)
〇8月 読売テレビ=コロナの影響でOTC漢方の売り上げが落ちているのではないかと問い合わせがあった。インテージデータをもとに、漢方薬は伸びている旨を説明した(一般用漢方製剤委員会)
国際委員会
委員長 諸田 隆(株式会社ツムラ)
当協会と中国医保商会が共同でISO/TC249に新規提案したGACP 関連の国際規格については、COVID-19感染症の影響で6月にオランダのArnhem で予定されていた全体会議が延期となり、審議も延期となっている。また、当協会が中心となって原案を作成している「顆粒剤の製造方法と品質保証」については、8月度の投票で専門委員会(TC)の最終案(Committee Draft)として次のステップ(DIS:Draft of International Standard)に進むことが可決された。
薬制委員会
委員長 栗田 宏一(クラシエ薬品株式会社)
薬事制度に関する事項、漢方・生薬製剤の関連法規および関係通知の調査研究、関係行政機関及び諸団体との連絡ならびに意見具申を基本に活動している。
- 製造販売業者および製造業者の法令遵守に関するガイドライン(案) 2020年8月11日、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課より「製造販売業者及び製造業者の法令遵守に関するガイドライン(案)」について意見募集があった。
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の一部を改正する法律(令和元年法律第63号「改正法」)」により、医薬品等の製造販売業者、製造業者、その他許可業者に対し、薬事に関する法令の規定を遵守するための措置を講じること等を義務づけることとされている(下記に章立てを示した)。
改正法の円滑な施行のため、このうち医薬品等の製造販売業者および製造業者について、改正法に基づく措置を講じるに当たっての基本的な考え方、実施が求められる措置の内容および実施することが望ましい事項等を示す指針(案)が示されており、2021年1月に策定される予定である。
製造販売業者及び製造業者の法令遵守に関するガイドライン(案)
第1 基本的考え方
第2 製造販売業者等の法令遵守体制
第3 薬事に関する業務に責任を有する役員
第4 総括製造販売責任者等
技術委員会
委員長 高杉 泰弘(株式会社ツムラ)
- 日局18に向けた検討 第18改正日本薬局方第一追補への収載に向けて、引き続き柴胡桂枝乾姜湯エキスの試験法案につき局方原案検討委員会生薬等A委員会および生薬等B 委員会での確認が行われた。抑肝散加陳皮半夏エキスについて試験法の検討を継続している。
- 局外生規2021改訂WG 清肺排毒湯の構成生薬である款冬花および射干の二生薬について、新規収載品目とすることを要望し、承認され収載の検討が行われることとなった。
安全性委員会
委員長 香取 征典(株式会社ツムラ)
●医療用医薬品添付文書新記載要領対応
2021年から始まるPMDAとの医療用漢方・生薬製剤の新記載要領対応相談に先立ち、漢方製剤特有の問題点等課題を事前に抽出し、全体的な方針について調整を行う事前相談を7月20日に実施した。医療用医薬品の製造販売業者を対象としたWGを開催し、経緯の説明および具体的な作業についての報告・検討等準備を進め、事前相談では、業界から課題・検討事項についての説明を実施した。今後はPMDAと詳細のやり取りを進めるとともに、生薬については日本生薬連合会との連携を深めながら対応する。
コード委員会
委員長 松塚 泰之(クラシエ薬品株式会社)
6月26日に本年第1回目の委員会をオンラインで開催した。一部メンバーは協会会議室から参加した。事前にメールで情報共有を行なっていた、厚生労働科学研究(調査研究班 研究代表者 渡邊伸一氏)の販売情報提供活動ガイドラインの社内体制の整備等の調査について改めてコード委員会メンバーと情報共有した。本年度は協会として販売情報提供活動ガイドラインの社内体制の整備等の調査を行うこととした。実施時期は秋以降とした。
2019年度販売情報提供活動監視事業報告書が7月28日に厚生労働省より公表され、コード委員会メンバーへメールで共有した。
2019年度資材審査結果をまとめた審査会レポートNO.8を日漢協ホームページに掲載した。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、延期となっていた厚生労働省監視指導・麻薬対策課広告指導官への面談を7月27日に3名で行なった。また「製品情報概要等作成上の留意点」の改定が完了し、厚生労働省監視指導・麻薬対策課広告指導官へ報告するとともに日漢協ホームページに公開した。
保険薬価委員会
委員長 坂上 誠(株式会社ツムラ)
保険薬価委員会は、5月12日、6月9日、7月14日および8月19日にいずれもWEB会議にて開催した。
次期薬価改定へ向けて医療用漢方製剤等の基礎的医薬品、不採算品再算定への進め方を検討した。また令和2年度薬価改定における医療用漢方製剤、生薬、生薬製剤の薬価変遷表を作成し、中間年薬価改定に係る議論の情報を委員会にて共有した。
岐阜医療科学大学薬学部 生薬学分野 伊藤 哲朗 教授
植物の産生する有機化合物の単離と構造解析を礎とした天然物化学研究
技術者たる前によき人間たれ
日本の中心地・へそとも言われる岐阜県は森林県としても知られ、森林面積はおおよそ8割に達しています。この自然豊かな地に岐阜医療科学大学の前身である国際医学総合技術学院が開校されたのは1973年(昭和48)でした。以来、同校は「優れた技術は、人に幸福をもたらし、誤れる技術は、人に災いをもたらす。技術は、人が造るなり、故に、技術者たる前によき人間たれ」を建学の精神に、1983年に衛生技術学科と診療放射線技術学科からなる岐阜医療技術短期大学となりました。
1991年には看護学科を開設。2005年に衛生技術学科、放射線技術学科、看護学科を擁する保健科学部の設置が認可され、翌2006年に岐阜医療科学大学が開学しています。
その後、2009年に助産学専攻科を開設、2018年に看護学科を看護学部に改編し、本年4月に薬学部が誕生、岐阜県唯一の医療総合大学として確たる地歩を築いています。
地域社会になくてはならない医療人
開学したばかりの薬学部は明智光秀生誕の地とも伝えられる岐阜県可児市にキャンパスがあり、「地域社会の医療・保健・福祉に貢献する薬剤師の養成」をビジョンの基に、地域包括ケアシステムの一員となる医療人たらんことを目指しています。地域との連携を深めるべく地域医療教育に力を入れるとともに、コミュニケーション教育に力を入れています。なかでも2年次、3年次に劇団文学座と協調して行われるコミュニケーション・ワークショップ演習Ⅰ、Ⅱは新たな試みとしてその成果が注目されています。
医薬先導化合物及び機能性成分の探索
伊藤哲朗教授
研究室
ガラス張りで開放感のある薬学部棟(7号館)
研究室では天然資源の創りだす有機化合物に焦点をあて、以下の研究に取り組んでいます。
・ 生物活性を持つ植物二次代謝産物の探索
・ メタボロミクス手法に立脚した薬用作物の優良種の品質評価
・ 質量分析イメージングによる天然素材中の有用/有害物質の可視化と応用
・ 違法に使用される薬物の分析と類似成分との識別
この他、現在のところ学生の配属はありませんが、薬用植物園での薬用植物の育成にも勤しみ、生薬学のさらなる発展を展望されています。