108号 (第36巻 第3号)2020年1月
厚生労働省 医薬・生活衛生局長 樽見 英樹 |
明けましておめでとうございます。
年頭にあたり、今年の医薬品・医療機器等行政を展望し、所感を申し述べます。医療水準が向上し、文字通り人生100年が夢ではない時代になってまいりました。その中で、国民の健康への意識も一層高まり、また在宅医療のニーズが多様化するなど、医薬品・医療機器等行政を取り巻く環境も大きく変容しつつあります。そうした中で、昨年11月、薬機法等の改正が成立しました。3月に法案を提出して以来、時間がかかってしまいましたが、この改正により医薬品・医療機器等行政は大きく前進していくものと期待しております。
まず、「先駆け審査指定制度」「条件付き早期承認制度」の法制化等、承認審査における予見可能性を高める制度改正を行いました。これにより、我が国の国際的な開発競争力を高めるとともに、早期の医薬品等へのアクセスが可能となることが期待されます。また、医薬品等の添付文書の電子化により、医療現場で常に最新の情報を確認し、より安全・安心に医薬品等を使用していただくことができるようになります。
今後、在宅医療を受ける患者や、がん治療をはじめとした高度な薬学的管理を外来で受ける患者の増加が見込まれる中で、薬剤師・薬局が、地域包括ケアシステムの一員として専門性を発揮するための機能強化を図る改正を行いました。具体的には、継続的な患者の服薬状況の把握および薬学的管理を行うことを薬剤師に義務付けることとするとともに、在宅医療などに他の医療機関と連携して対応する「地域連携薬局」と、がん治療等の専門的な薬学的管理に対応する「専門医療機関連携薬局」の認定制度を導入しました。
さらに、近年発生した不適切事案を踏まえ、許可等業者に対し法令遵守体制の整備を義務付けたほか、薬監証明制度の法制化や医薬品等行政評価・監視委員会の創設、血液法の改正等、多岐にわたる制度改善を行いました。
施行時期は改正項目により異なりますが、今後省令事項等について検討を急ぐとともに、関係者・自治体等に対して丁寧に説明を尽くし、改正法の円滑な施行に向けて万全を期してまいります。
この他にも、我が国の医薬品・医療機器等行政が直面する課題に積極的に取り組んでまいります。
まず、国際的なハーモナイゼーションをリードしていくとともに、PMDAのアジアトレーニングセンターにおける活動に代表されるように、日本の医薬品等の高度な審査水準を各国と共有していくことが益々期待されています。これにはPMDAの一層の体制強化、単なる人員の増強に限らず、専門性の強化といった質の観点も取り入れた体制の強化が求められます。PMDA藤原理事長とともに取り組んでまいります。
次に、血液事業については、近年、献血血液を原料とする血漿分画製剤の需要が高まる一方で、献血可能人口や若年者の献血率が減少傾向にあります。将来にわたり安定的に血液製剤を確保すべく、日赤をはじめとする関係団体と連携し、若年層への普及啓発などの献血推進策に取り組んでまいります。
また、近年、若年層を中心に薬物の乱用が大きな問題となっております。特に大麻が若年層に浸透していることは看過できない問題であり、取締りの強化とともに、若年層への知識の普及に引き続き取り組んでいきたいと思います。
言うまでもないことですが、我が国の医療の中で、医薬品、医療機器等の持つ役割、また、薬剤師や薬局が果たしている機能には大変大きなものがあります。医薬品・医療機器等行政を担当しているという重責を常に胸に刻みつつ、関係者の皆様とも率直な意見交換等を行いながら、これからもより良い医療、より良い国民生活の実現に向けて取り組んでまいります。
医薬品・医療機器等行政に対する一層の御理解と御協力をお願い申し上げますとともに、本年の皆様方のますますの御発展と御多幸をお祈りいたしまして、新年の御挨拶といたします。
日本漢方生薬製剤協会 会長 加藤 照和(株式会社ツムラ 代表取締役社長) |
新年おめでとうございます。
昨年を振り返ると共に、令和の時代になすべき課題を整理してみたいと思います。
昨年公表された最新の「薬事工業生産動態統計年報」によりますと、2018年漢方製剤等の生産金額が1,927億4千万円と、統計を取り始めた1976年以来の最高値を記録し、医療用・一般用共に伸長しています。用途別構成比率は、医療用78.5%、一般用21.0%、配置用家庭薬0.5%となっています。医薬品薬効大分類別の生産金額においては、2018年総額約6兆9千億円に対して、生薬を除く漢方製剤等は約1,794億円で、全体の2.6%を占め12番目の順位となっています。
心身全体のバランスを整え、自然治癒力を高めることで症状の改善を促す漢方治療の必要性はますます高まるものと考えています。引き続き、高品質な漢方薬の安定供給に尽力してまいります。
漢方薬の安定供給責任を果たすためには、原料生薬の「品質・量・価格」における安定調達を実現し続けなければなりません。中国産生薬の価格は、中国政府による都市部と農村部の所得格差是正の政策に伴い2009年以降急激に上昇し、2006年を基準とした場合、約2.5倍と高騰しており、今後も中国の国内需要がさらに高まることから、中長期的に高止まりの傾向が予測されています。その対策の一つとして、「調達国の複線化」である「生薬の国内栽培」の取り組みを進めています。
農林水産省、厚生労働省のご支援のもと進めてきました「薬用作物の産地化」に向けた取り組みも本年度で7年目となり、試験栽培などを行い5件が取引開始となり、国内栽培面積も2012年から約20%拡大しています。今後さらに拡大していく上での課題は明確であり、合格品の全量買い取り制度、中国産生薬価格との比較における取引価格の妥当性、加工・乾燥設備の導入など産地における組織化と、大規模栽培を目指す機械化など多岐に渡っており、地方自治体や農水省による生産者へのさらなる支援が必要です。国産生薬の使用比率を高めるためにも、関係の皆様のさらなるご理解・ご協力をお願いいたします。
次に、伝統医学のグローバル化に伴う国際競争における課題については、2018年、WHO 国際疾病分類の第11版・ICD-11に、日本の漢方医学を含め初めて伝統医学が入り、診断の体系が国際化されましたが、これはWHO が伝統医学の効果や安全性を認めたものではありません。むしろ今後は、日本の伝統医学である漢方医学が科学的根拠に基づいたものであり、漢方薬が有効性と安全性、そして品質に優れた医薬品であることを継続的に証明していかなければなりません。特に、中国はISO / TC249による中医学の標準化を目指し、2017年7月には、国家法として「中医薬法」が施行され、中医薬を継承し発揚すること、中医薬事業を保障し発展すること、かつ人民の健康を保つことを目的としています。すでに、「中薬現代化」や「中西医結合」のプログラムも進んでおり、官民双方で注力しています。日本の伝統医薬である漢方薬の差別的優位性を確保すべく、持続的で綿密な基礎研究と臨床研究により、さらなる作用機序の解明、エビデンス構築を進めていかなければなりません。国内においては臨床研究法の成立に伴い、研究に係る費用増大を余儀なくされています。また、漢方薬と同様に生薬を原料とする同一処方名の中国の中成薬との比較においても、漢方薬の方が圧倒的に安価で、日本国民の方が、負担が少ないことも報告されています。
このように、我が国の伝統医薬である漢方薬の優位性を確固たるものにするためには、基礎・臨床研究に加え、生薬加工技術や製剤製造技術において、ロボットやAI などの導入や、国際標準PIC/S GMP に準拠した生産システムを構築するなど、多額の設備投資が必要です。また、高品質の漢方製剤には、品質のよい生薬の調達が必要不可欠です。国際標準PIC/S ANNEX7「植物性医薬品の製造」は、原料の品質確保のために、トレーサビリティーとガイドラインであるGACPの遵守を要求していることから、これらへの対応にも相当のコストが必要となります。
しかし、医療用漢方製剤等の度重なる薬価の引き下げと原料価格の高騰などによる製造原価の上昇により不採算品となり、会員会社が再算定を希望している品目はすでに5割を超え、薬価基準収載148処方の1日薬価の単純平均は、すでに86.0円となっています。不採算品再算定をご検討いただくと共に、基礎的医薬品へ位置付けていただくよう引き続き要望してまいります。
一般用漢方製剤および生薬製剤につきましては、引き続きセルフメディケーションの推進に取り組んでまいります。2017年にスタートしたセルフメディケーション税制の利用率向上のためにも、OTC 薬全体の税制への適用拡大を視野に入れ、利用者に対する情報提供などの活動を一層強化してまいります。
さて、昨年4月の「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」の適用に続き、12月には「薬機法」が改正され、法令遵守体制の整備の義務付けとして、責任役員の法律上の位置づけや、三役体制として必要な能力・経験を有する責任者を選任し業務の監督を行うことなどを強く求められています。昨年、法令に違反する事例がございましたが、二度とこのような事態が起こることのないようコンプライアンス遵守について会員会社に周知徹底を行い、体制の整備に努め、国民医療に貢献してまいります。
当協会の活動にご理解を賜り、引き続き変わらぬご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。
医療用漢方製剤会議
医療用漢方製剤委員会 委員長 長谷川 久(株式会社ツムラ)
- 医療用漢方製剤委員会
- 流通適正化部会
- 日本医薬品卸売業連合会流通改善推進委員会 専門委員の八巻春男氏(所属 株式会社バイタルネット)に「医療用医薬品の流通改善について」と題し、ご講演いただいた。参加者は部会員を含め総勢19名であった。また、バーコードの進捗状況についても情報共有を行った。
- 透明性ガイドラインに基づく公開は2017年度分について会員会社の対象全社が公開を完了した。2019年度分の公開から2段階公開はなくなるため、留意点の情報共有を行った。
- 教育研修部会
-
「新MR 漢方教本スライド」の改訂について
改訂できる箇所を確認し、随時改訂することになった。 -
研修会の実施
3月11日(水)に研修会 生薬の安定供給に関わる最近の話題に関して、株式会社ツムラ笠原良二氏に講義をいただく予定である。 - 有用性研究部会
- 日本東洋医学会EBM 委員会への協力としての「漢方治療エビデンスレポート」作成について、EKAT 2016は、前書き部分の公開を随時行い、英語版の更新も行う。また、追補版についてはEKAT Appendix 2017、EKAT Appendix 2018を同時に冬頃に公開していく。EKAT 2019については、構造化抄録(SA)作成後精査中で、内容が確定し次第、英訳を依頼する。
- 日本東洋医学会EBM 委員会への協力作業「漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン」は、KCPG 2019の全面改訂に向け、2013年以前の診療ガイドライン記載内容の見直しも行い精査中で、今年度中には公開する予定である。また、KCPG Appendix2020の調査分になる2019年4月~10月までに発行された診療ガイドラインについて、国立国会図書館にて見直し作業を実施した。調査の結果、記載のあったガイドラインのほとんどは改訂版であった。
12月24日(火)、委員会を開催し、理事会の審議・報告事項等、について説明、紹介した。
また、各部会、保険薬価およびコード委員会、ビジョンPJ の活動状況について、情報を共有した。
生薬会議
生薬委員会 委員長 白鳥 誠(株式会社ウチダ和漢薬)
- 2019年度 「薬用作物の産地化に向けた地域説明会および相談会」 について 農水省の支援事業にもとづく薬用作物産地支援協議会(一般社団法人全国農業改良普及支援協会と日漢協で設置した協議会)の活動において、日漢協の担当事業の一つである「薬用作物の産地化に向けた地域説明会および相談会」(全国7ヶ所で開催)を10月23日(水)から実施し、11月28日(木)の名古屋開催をもって終了した。この地域説明会および相談会は、昨年同様、農水省、厚労省、医薬基盤研・薬用植物資源研究センターに協力いただき、日漢協の広報委員会とも連携して進めたものである。
- 中国産生薬における第三期使用農薬調査結果について サンシシの調査結果を取りまとめ、生薬学雑誌へ投稿し受理された。2020年2月号に掲載予定である。次の品目として、サンシュユの調査結果を取りまとめ、生薬学雑誌に投稿すべく、論文作成班において作業を進めている。
今年度は、地域説明会および相談会の開催に併せて、次に示す2つの事項について、新たに取り組んだ。
①「これから始める!薬用作物の栽培ガイド」の作成
②試作栽培品の日局試験の実施
上記①については、薬用作物の産地化に取組む生産者を対象に、薬用作物に取組む初心者が気を付けるべき注意点や収集すべき情報、活動の方向性などについて情報を提供することを目的として、「これから始める!薬用作物の栽培ガイド」を作成した。皆様に活用いただければ幸いである。
また②に関しては、生産者より「試作栽培したものが日局で定められている規格に適合するか否かを確認する体制が無くて困っている」との相談が多数寄せられたことを踏まえ、条件付きあるいは抽選という形ではあるが、試作栽培品の日局試験を外部委託の形で薬産協が引き受けることで実施した。
一般用漢方製剤会議
一般用漢方製剤委員会 委員長 長島 義昌(クラシエ薬品株式会社)
- 一般用漢方製剤委員会 2019年10月25日(金)開催
- ・各部会からの活動報告
- ・漢方将来ビジョンプロジェクト会議:ビジョンチーム・啓発アウトリーチチーム活動報告
- ・組織見直しについての検討
- ・その他連絡事項
- 処方部会
- 一般用漢方製剤承認基準の見直し案作成準備
- ・削除候補処方の検討。
- ・丁香柿蒂湯、伏竜肝湯、補肺湯、楊柏散につき検討。
- ・再度、削除候補処方の検討。
- ・新規で加えたい候補処方の追加があれば提案する。
- 適正使用推進部会
- 「Information sheet」中国語版作成について
- ・簡体字と繁体字で作成することとし、今年度中に20処方、来年度19処方、計39処方作成予定である。
- 繁用処方資料新規作成
- ・「葛根湯」:パネル・A4チラシ新規作成。
- ・「八味地黄丸」「補中益気湯」:A4チラシを増刷(公開セミナー配布用)。
- その他
- 12月26日 市民公開漢方セミナー「みんなで考える健康長寿と漢方」
- ・既成の補中益気湯、八味地黄丸に加え、新規作成の葛根湯パネルを展示した。
- ・パネルと同内容の、A4版チラシを受講者に配布した。
- ・繁用処方の葛根湯、テーマにちなんだ八味地黄丸・補中益気湯・十全大補湯・人参養栄湯、他にもフレイル・サルコペニア関連の製品箱を陳列した。
- ・パネルや製品箱展示の相乗効果か、受講者からの問い合わせがあり大きな反響を得た。
生薬製剤会議
生薬製剤委員会 委員長 和田 篤敬(小林製薬株式会社)
生活の木 メディカルハーブガーデン
「薬香草園」視察(2019/10/5)
AMED官民共同研究「配合生薬エキス製剤の実用化推進に資する品質評価技術基盤の開発研究」(代表研究者:国立医薬品食品衛生研究所生薬部長 袴塚 高志 先生)において、当帰川芎製剤(いわゆる婦人薬)の承認基準原案の策定に向けた検討が進められている。11月7日に令和元年度 第二回全体会議が開催され、効能効果の見直しに関して、特に「血の道症」「更年期障害」「月経前症候群」の症状等に対応する当帰川芎製剤や婦人系漢方処方の臨床文献のエビデンスレベルとその整理方法について、また、モデル製剤の品質評価試験の状況等について議論がなされた。制度研究部会では、当帰川芎製剤や、その主体となる3生薬(当帰、芍薬、川芎)が配合されている婦人系漢方処方の臨床文献39報について、学識者に相談しながら、エビデンスレベルを評価し、整理している。製剤開発部会では、「コウカ」の確認試験や「ビャクジュツのアトラクチレノリドⅢ」の定量法について、各社の状況や知見を収集しながら、試験法の改良に取り組んでいる。
PMDAから一般薬関連5団体との審査実務についての意見交換会の打診があり、当委員会でも意見・要望を収集し、10月30日のOTC薬協での5団体のすり合わせを踏まえて、11月13日にPMDAと意見交換した。本年も意見交換を継続する予定である。
12月26日の市民公開漢方セミナーの会場で、会員会社の一般用漢方生薬製剤のパッケージ等を一斉に展示し、来場者に漢方生薬製剤の活用領域を紹介した。
第50回の委員会を記念して、10月5日に生活の木 メディカルハーブガーデン「薬香草園」(埼玉県飯能市)を視察し、情報交換した。
原薬エキス会議
原薬エキス委員会 委員長 佐々木 博(日本粉末薬品株式会社)
- 漢方処方エキスの日局収載 温清飲エキスおよび白虎加人参湯エキス収載案の意見公募が2019年8 月末に終了し、これら2処方は日局18(2021年4月施行予定)で新規収載される見込みである。これにより、日局収載漢方処方エキスは合計37品目となる。
- 局外生規 国立衛研から要請があり、2019年10月に日漢協、日生連および東京生薬協会などの生薬関連団体において、「局外生規2021(仮)」の新規収載品目や既収載品の改正要望などの調査が実施された。この調査結果をもとに「局外生規2021(仮)作成WG」が近々開催される。委員会では単味生薬エキスについての要望を確認するとともに、当委員会代表委員を仮決めした。
2019年10 月24 日と12 月18 日に、本年度第4回および第5回原薬エキス委員会を開催した(大阪にて)。委員会では「中長期事業計画2017(5カ年計画)」の中間報告、日局や局外生規関連状況等について検討を行った。
現在、上記に続く処方として柴胡桂枝乾姜湯、辛夷清肺湯、麻黄附子細辛湯および抑肝散加陳皮半夏のエキス収載案が検討されている。
2019年末を目標に「局外生規技術情報(仮)」を刊行すべく、担当委員で原稿作成が進められていたが、このほど全原稿の査読が終了した。
国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクト
プロジェクトリーダー 味岡 賢士(株式会社ツムラ)
国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクト(PJ)は、9月24日、10月25日、11月26日および12月20日にPJ会議を開催した。
PJ会議では、2020年2月5日に開催予定の「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会2019」に向けて、プログラムを確定し、研究会当日の運営などについて準備を進めた。
新任プロジェクトリーダーご挨拶
この度、国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクトのリーダーを拝命いたしました味岡賢士(あじおか けんじ)です。
「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」の提言を実現すべく、また日漢協の「漢方の将来ビジョン2040」を関係委員長やチームリーダーと連携を取って着実に実行し、国民の健康と医療に貢献出来るよう精一杯努めさせて頂く所存です。不慣れな点が多々ございますが、ご指導ご鞭撻を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
総務委員会
委員長 竹下 真吾(株式会社ツムラ)
- 事業計画に関する事項 委員会等各組織に依頼していた中長期事業計画2017(5カ年計画)の中間年報告が提出された。新たに2020年度の事業方針(案)および事業計画(案)の策定、2019年度事業報告(案)の作成を依頼した。また、第38回定期総会議案書における「2020年度事業報告の策定にあたって(案)」を策定した。
- 組織見直し検討班の運営について 「漢方の将来ビジョン2040」の実現に向けた組織見直しのため、「日漢協組織見直し検討班」の第2回と第3回を開催した。今後も委員長会同日に開催予定である。
- 「規則・規程」の見直しについて 働き方改革関連法その他法改正に対応し、「就業規則」および「契約職員就業規則」の一部改正を行った。関連規程として、「育児・介護休業に関する規程」の制定と「職員給与規程」の一部改正を行った。
- コンプライアンスに関する事項 「会員会社が医薬品医療機器等法違反による行政処分等を受けた場合の取扱い内規」の内容を検討した。
2020年1月の理事会後に、帝京平成大学薬学部薬学科薬事・情報学ユニットの渡邊伸一教授を招き、コンプライアンス研修会を開催予定である。
広報委員会
委員長 土屋 洋介(株式会社ツムラ)
- 漢方・生薬に関する啓発活動
- 〇日漢協主催第22 回市民公開漢方セミナー
2019年12月26日(木)に、東京大学加齢医学講座・小川純人准教授を講師に迎えて開催した。本セミナーの詳細については、ニューズレター109号で改めて報告する。 - 制作物
- 〇使用機会の多寡に鑑み、日漢協ガイド2019の中国語版を作成した。10月に来日した中国医保商会訪日団との交流から使用を開始した。
- 他委員会活動への協力
- 〇生薬委員会の活動に協力し、10月から11月にかけて実施された「薬用作物の産地化に向けた地域説明会および相談会」の広報活動を行った。農水省内記者クラブでの事前レクチャー、プレスリリースなどを行った結果、日本農業新聞、農経新聞、薬事日報、仙台放送などが説明会の取材に訪れ、一部を除いて記事化が確認されている。
- その他
-
〇2019年11月8日(金)に、初の試みとして、株式会社ツムラの協力の下、ツムラ漢方記念館にて広報委員会を開催した。会議に先立って漢方記念館と薬草見本園を見学し、実際に薬用植物や生薬を手に取ってにおいを感じたりして、貴重な経験をした。会議終了後はメンバーの歓送迎会も開催し、親睦を深める良い機会となった。
国際委員会
委員長 諸田 隆(株式会社ツムラ)
10月15日、定例行事として中国医保商会との日中交流会(KKRホテル東京)を実施した。中国からは、孟冬平副会長を始め、43名の訪日団をお迎えした。まず、日中における漢方薬や中医薬、生薬の現状について情報交換を行った。、次に、今回の情報交換の主題となる、生薬の生産管理、トレーサビリティなどについて、現状の取り組みや、今後の方針が発表された。これについては、日中共同で国際規格化にも取り組むことで合意がなされた。交流会の付随行事として、高知県越知町にあるヒューマンライフの見学等、多くのイベントが組まれ、双方の友好関係が深められた。詳細については日漢協トピックス(2019/11/15掲載)をご参照いただきたい。
その他、11月11日に日中韓3国による、「第4回東アジア3国薬局方(生薬等)検討会」が国立医薬品食品衛生研究所で開催された。当協会を中心とする実行委員会を設置し、開催を支援した。また、12月2、3日にISO/TC249 WG1会議(生薬の国際規格に関する分科会)が、日本経済大学で開催された。日漢協所属のエキスパート5名が参加するとともに、国際委員数名がオブザーバーとして参加し、会議の開催をサポートした。以上、2案件ともに現在、日漢協トピックスとして掲載の準備中である。
薬制委員会
委員長 栗田 宏一(クラシエ薬品株式会社)
薬事制度に関する事項、漢方・生薬製剤の関連法規および関係通知の調査研究、関係行政機関および諸団体との連絡並びならびに意見具申を基本に活動している。
- 薬機法等制度改正について 2019年3月19日、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案」が国会に提出された。第198回通常国会は6月26日に閉会、衆議院で閉会中審査となり、第200回臨時国会で可決された。2019年12月4日、法律第63号「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」が公布された。
- レイヨウカク(羚羊角)含有製品について ] 今般、第18回ワシントン条約締約国会議(COP18)がスリランカで8月に開催され、レイヨウカク(saiga tatarica)の附属書改正提案が審議された。『附属書Ⅱ据え置き』で採択されたが『野生由来の商業目的の輸出割当をゼロとする』の注釈が付されることとなった。注釈は生息国(原産国)に対してのものであり、原産国での輸出は既に各国の規制により停止しているが、ワシントン条約においても輸出規制が掛かることになる。
日薬連ワシントン条約関係連絡会「レイヨウカク検討班」では製品の安定供給に向けた製造販売承認への対応等の代替新規申請について検討されている。
技術委員会
委員長 古家 孝之(株式会社ツムラ)
第18改正日本薬局方第一追補への収載に向けて、柴胡桂枝乾姜湯エキスおよび抑肝散加陳皮半夏エキスについて試験法の検討を行っている。
生薬の放射性物質検査に関する調査が日薬連を通じて実施された。平成23年3月11日以降17都道府県から生薬の購入または購入予定がある会社が対象となる。現在、集計を行っている。
安全性委員会
委員長 香取 征典(株式会社ツムラ)
●第105回安全性委員会特別講演の開催
2019年9月4日開催の安全性委員会において、日本製薬団体連合会 安全性委員会 滝田委員長に講師を依頼し、「最近の医薬品安全対策の話題」の演題にて医薬安全対策に関する特別講演を実施した。添付文書新記載要領、改正薬機法(添付文書同梱廃止の動向等)をはじめとした最新の医薬安全対策情報について、安全性委員会内での情報共有をはかることができた。
●一般用漢方製剤の「使用上の注意」の整備と安全使用に関する研究について
国立医薬品食品衛生研究所 生薬部 袴塚部長からの依頼により準備を行ってきた「一般用漢方製剤の使用上の注意の見直しに関する研究」(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業)について、検討課題は以下の通りである。
(1)一般用医薬品と一般用漢方製剤の「使用上の注意」設定根拠
(2)一般用漢方製剤に特化した情報提供
(3)医療用漢方製剤と一般用漢方製剤との「使用上の注意」整合性
令和元年度第1回研究班会議が8月9日に開催された。これまで検討を実施してきた事項<妊産婦、授乳婦等の記載、高齢者の注意喚起の考え方、並びに「してはいけないこと」の記載内容(「体力の虚弱な人」等)>に関連する調査結果報告、および一般用漢方製剤に特化した情報提供の検討として、各社が使用できる適切な「製品の特徴」、「養生訓」の記載について、記載方針について研究班メンバーから意見を出し合い、検討した。
今後は具体的な記載内容を提示しながら検討を進め、令和元年度第2回研究班会議を2月3日に開催する予定である。
コード委員会
委員長 松塚 泰之(クラシエ薬品株式会社)
2019年度第3回のコード委員会を12月16日に開催し、10月から本格適用された販売情報提供活動ガイドラインの情報を共有した。
「証」に関する情報提供のあり方については、会員会社が使用する成書を日本東洋医学会に見ていただき、意見交換を行った。製品情報概要審査部会では、2019年度の製品情報概要等審査を11月より開始した。本年度の審査を踏まえた上で「医療用漢方製剤・生薬製品情報概要等作成上の留意点」の改定を行う予定である。
保険薬価委員会
委員長 坂上 誠(株式会社ツムラ)
保険薬価委員会は、9月10日、10月8日、11月12日および12月10日に会議を開催した。
2020年度薬価制度改革の枠組みの中で、厚生労働省より医療用漢方製剤・生薬の不採算品再算定に関して日漢協取りまとめ品目に係る原価計算の資料提出依頼があり、期限(9月24日)までに全ての製造販売会社から資料を提出した。次いで12月には、厚生労働省から正本の提出依頼があり、各社より提出した。また、11月22日に厚生労働省より事務連絡「基礎的医薬品への希望確認について」があり、2018年度に基礎的医薬品の適用を受けた生薬(薬効分類:510)について、該当品目を有する会社から関連資料を提出した。
2019年10月の消費増税における薬価改定に伴い、医療用漢方製剤・生薬・生薬製剤の薬価変遷表を更新した。
山陽小野田市立山口東京理科大学 薬学部 生薬学・漢方分野 田中 宏幸 教授
生薬由来医薬シードの探索研究
世界を視野に、地域のキーパーソンとなる
日本一長い名前の大学と言われる山陽小野田市立山口東京理科大学は、1987 (昭和62)年に開学した東京理科大学山口短期大学を前身としており、「理学の普及を以って国運発展の基礎とする」を建学の精神としています。同校は東京理科大学が小野田市(現・山陽小野田市)、宇部市、山口県の要請を受け公私協力方式により設立され、8年後の1995(平成7)年に4年制大学に改組、山口東京理科大学に改称されました。その後、2016(平成28)年に公立大学法人となり、山陽小野田市立山口東京理科大学が誕生しました。一昨年の2018(平成30)年には工学部に加え薬学部が設置され、西日本唯一の「公立薬工系」大学として現在に至っています。
薬学を通して人の健康を守る
薬学部は現在のところ我が国で最も新しく、公立大学の薬学部として健康医療に係る地方創生の課題に積極的に取り組むとともに、教育研究を通して人々の健康増進と地域の発展に貢献することを目指しています。6年間のカリキュラムも公立大学ならではの特色があります。その一つが1年次の一般科目で履修する「学術と地域文化」です。これには1と2があり、地域の歴史・文化の理解を深められると人気を呼んでいます。
教育・研究分野は6つの系統(有機化学、臨床薬学、物理化学、医療薬学、生命科学、健康科学)と21の分野から成っています。
優良な生薬原料の安定供給に資する研究
田中宏幸教授
研究室
正門
健康(健幸)社会の実現に寄与する生薬、漢方薬を生かした研究に取り組む田中教授は、これまで以下の活動を行っています。
・高品質な生薬原料の国産化を目指した産官学連携研究
・有用な二次代謝産物を対象とした簡便・高感度なイムノアッセイの構築
・植物二次代謝産物の生合成に関わる酵素の探索と機能の解明
・薬用植物の生体防御機構の解明
以上の研究において、局方の規定であるグリチルリチン含量2%以上含んだ甘草の選抜育種などに成功しています。さらにカラスビシャクの品種の選抜にも成功するなどの成果を上げており、先端技術を駆使した研究に期待が寄せられています。
私の健康法 経済アナリスト、獨協大学経済学部教授 森永卓郎さん
ボクシングジムでトレーニング
ミニチュアカーなどのコレクターとしても知られ、埼玉県所沢市のモリタクB宝館には12万種のコレクションが展示されている。100年後に世界遺産の登録を目指している。 |
●年収300万円
個人情報保護法が成立し、日本郵政公社が発足した17年前の2003年(平成15)、銀行の合併や破綻が相次ぐ中、一冊の書物(『年収300万円時代を生き抜く経済学』)がベストセラーになった。以来、著者の森永さんの元にはオファーが殺到、一躍、マスコミの寵児となり、生活スタイルも一変した。仕事を頼まれたら断らないことを旨とし、その結果、午前2時半起床、24時就寝という日々が始まった。睡眠時間は2時間半、休日なし、労働時間は年間7000時間に達した。
この超人的とも言える生活の反動は、食生活に表れ、起きている間はコーラやサイダーを飲んだり、のべつ幕なしに口の中に飲食物を入れるようになった。体重もみるみる増え、ピーク時は100㎏を越え115㎏を記録している。「1日に6000から7000カロリーは食べていましたね」
●超デブ、メタボ体型と低糖質ダイエット
こうした食生活が祟り、身体が蝕まれたのが6年後の2009年の12月だった。左足がパンパンに腫れた。自宅にほど近い病院へ行くと糖尿病と診断され、3か月以内に失明、余命6か月、即刻入院を宣せられた。血糖値は400、HbA1c は11.7だった。その後、症状は一進一退の状態が続き、4年後に転機が訪れた。スポーツジムへ通い、食事療法として低糖質ダイエットに挑んだ。炭水化物はいっさい摂らず、フルーツ、根菜類を絶ち、肉、魚、卵、納豆、豆腐を材料とする食事を摂った。
この効果は2か月後に現れ、血糖値は100以下、HbA1cは5、体重も4か月後には89.4㎏から69.5㎏に減少するという目覚ましい成果をもたらした。
●節度ある食事と適度な運動
糖尿病が完治した現在、体重は67.8㎏、睡眠時間はかつての倍の5時間(24時就寝、5時起床)ほど取っている。健康法に関しては節度ある食事と適度な運動をモットーにしている。食事の面ではもともと好き嫌いがなく、何でも食べていたが、低糖質メニューを基本にしている。「筋肉が落ちるのを防ぐため、唐揚げやとんかつなども食べますが、その際は衣を剥いて中身だけ食べるようにしています」運動としてはスポーツジムに通っているが、忙しく月に一度しか行けないため、エスカレーターには乗らず速足で階段の上り下りをするなど、日常の生活の中で工夫を凝らしている。
ダンベル代わりにしているのが、資料やパソコンなどがぎっしり詰まった二つの鞄、移動の際は無論、ホテルに泊まった時はベッドに横になり、鞄の持ち上げに余念がない。。
「名前は思い出せませんが、尿管結石になった時、漢方薬を飲んだことがあります。東洋と西洋の垣根を作らず、両方の良さを発揮できればいいのではないでしょうか」
プロフィール
1957(昭和32)年7月12日生まれ、東京都出身。1980年、東京大学経済学部経済学科卒業、日本専売公社入社。日本経済研究センター(出向)、経済企画庁総合計画局(出向)、三井情報開発株式会社総合研究所、(株)三和総合研究所、(株)UFJ総合研究所、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)を経て、2006年獨協大学 経済学部教授就任、現在に至る。
著書『年収300万円時代を生き抜く経済学』(光文社)、『ミニカーからすべてを学んだ』(エイ出版)、『モリタクの低糖質ダイエット』(SB新書)他多数