104号 (第35巻 第2号)2018年9月
日本製薬団体連合会(日薬連)会長 塩野義製薬 手代木 功 |
日本製薬団体連合会(日薬連)会長を拝命しております塩野義製薬の手代木です。日本漢方生薬製剤協会の皆様方におかれましては、日頃より日薬連の活動に対し、多大なるご支援とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。またこの度は、ニューズレターの「巻頭言」を寄稿する機会をいただき感謝申し上げます。
昨今の国内の医療環境に目を向けますと、少子高齢化の進展や財政赤字の拡大等を背景に政府の歳出抑制策が一段と強化され、世界に冠たるシステムである国民皆保険制度の現状維持は非常に厳しい状況にあります。公的医療保険の負担構造と給付範囲の見直し、医療自体の効率化・適正化も含め、全般的に見直す時期に差し掛かっているのは紛れもない事実であります。その見地からも今回の薬価制度の抜本改革によって、医薬品についてもさらに厳しい環境が続いていくことと思われます。
しかし如何なる状況であろうとも医薬品産業は「医療の質の向上」と「国民負担の軽減」というミッションの実現、患者様が待ち望む優れた医薬品を迅速にかつ安定的に提供するという使命を担っていく必要があることは論を俟ちません。
現在、漢方生薬製剤は、科学的根拠の解明・集積が進み、がん支持療法や高齢者医療等、様々な領域において大きな役割を担っております。また政府の施策である「医薬品産業強化総合戦略」「がん対策加速化プラン」においても、医療上の重要性が明記されるなど、その期待が益々高まっています。
本年7月に貴協会は、漢方製剤等の供給を通じて健康寿命の延伸など国民の健康と医療に貢献すべく新ビジョン「漢方の将来ビジョン2040~国民の健康と医療を担う~」を発表されました。
新ビジョンでは、直面する課題への対応を8つのビジョンとして掲げ、それぞれを達成するための取り組みが示されていますが、なかでも8割を中国からの輸入に頼っている原料生薬の安定的な必要量と、その品質を同時に確保していくことを大きな課題として取り上げています。また、その対策は、現状から約3倍の生産量に拡大させるという数値目標を持って、内製化を推し進めることとされています。このことは、漢方生薬製剤を通じて社会に貢献するという、貴協会の強い決意であると高く評価しているところです。また、産官学連携のもとに科学的エビデンスを集積し、漢方生薬製剤の有用性をより一層確立することや、一般用漢方製剤および生薬製剤の開発を推進すること等、貴協会の会員各社が推し進める多くの取り組みについてもわかりやすくまとめられており、これらを着実に遂行することが、国民の健康と医療への貢献、ひいては貴協会のさらなる発展に繋がると確信しています。
貴協会におかれましては、会員会社が一丸となって新ビジョンの実現に向かって邁進いただくことを強く期待いたします。日薬連と致しましても行政対応等も含め、出来る限りの支援をさせていただくとともに、さらなる連携をもって我が国の健康寿命の延伸に共に歩んでいくことへの期待を表明し、寄稿の締めとさせていただきます。
日本漢方生薬製剤協会 副会長 中嶋 洋一(クラシエ薬品株式会社 代表取締役社長) |
私は本年3月に日本漢方生薬製剤協会副会長の重責を担うこととなりました。就任にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
私は入社以来、長期にわたり医療用医薬品の営業の第一線を歩み、医療現場の近くで漢方薬に携わった経験から、健康を守る国民医療には漢方薬が不可欠であることを実感し、その活用推進に努めて参りました。現在弊社を牽引する立場となってからは、医療用医薬品のみならず、一般用医薬品にも携わることとなり、より一層治療だけではなく、健康さらにはセルフメディケーションという観点からも、高品質な漢方製剤および生薬を安定供給し、その普及や発展を図ることが、国民の皆様の医療や健康を担う一助になることを強く認識いたしております。
日漢協は、「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」提言を受けて、日本の高齢者人口がピークを迎える2040年を見据え、本年7月、新ビジョン「漢方の将来ビジョン2040~国民の健康と医療を担う~」を策定しました。現在、漢方・生薬業界を取り巻く課題としては、原料生薬の安定確保、原料生薬から最終製品までの品質確保、医療用漢方製剤における薬価の安定化策、一般用漢方製剤および生薬製剤の一層の普及発展などが山積しており、漢方製剤等が持続的に貢献するために、課題解決へ向けた様々な取組が必要であると認識しています。
さて、今般古市前副会長より、一般用漢方製剤会議議長の任を引き継がせていただきました。一般用医薬品については、日本の人口構造における近年の急速な高齢化の進展や生活習慣病の増加など、疾病構造の変化や生活の質(QOL)の向上追求等に伴い、健康寿命の延伸を図り寄与することが重要であると考えます。また、「セルフメディケーション」という考え方が国民に広がるに連れ、国民一人一人が自分の健康に対して、自己判断によって、管理するという概念が一層定着してきました。本年5月に政府より発表された「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」によると、日本の高齢者人口のピークは2040年頃とされています。今後、全人口で高齢者の占める割合がさらに高まり、保健・医療資源という観点からも、一般用漢方製剤および生薬製剤をより一層発展・育成していく必要があると考えております。
しかしながら、国民の漢方に対する認識は、まだまだ不十分であり、さらなる啓発活動と情報提供活動の充実を図っていかなければなりません。毎年開催している日漢協主催の市民公開漢方セミナーや日本東洋医学会と共催の市民公開講座、本年リニューアルを行ったホームページ等を積極的に活用して、漢方の普及と定着を進めていくことに、私も日漢協の一員として、最大限尽力してまいります。
今後は副会長としての「役割」と「使命」を果たし、会員会社様のお役に立てるように努めて参りますので、皆様方のご支援・ご協力をお願い申し上げまして、ご挨拶とさせて頂きます。
医療用漢方製剤会議
医療用漢方製剤委員会 委員長 長谷川 久(株式会社ツムラ)
- 医療用漢方製剤委員会
- 流通適正化部会
- 教育研修部会
- 「新MR 漢方教本スライド」の改訂について
昨年度の部会で合意した『第三章生薬学』より改訂作業を開始している。現在は各委員から施策案を持ち寄り、デザイン、内容、ボリューム等について討議し、作成ルールに基づいて代表的な22品目の生薬から作業を進めている。 - 研修会の実施
今年度も年3回の教育研修会と野外における薬用植物園の視察研修会を企画している。1回目は8月9日に安全性委員会の杉山泰哲氏より「漢方薬の安全性や適正使用に関わる最近の話題」について講義を頂いた。また、全ての研修会において、各委員会の皆様をはじめ協会加盟会社の皆様にも参加頂けるよう案内する。 - 有用性研究部会
- 日本東洋医学会EBM 委員会への協力としての「漢方治療エビデンスレポート」作成は、EKAT 2016への全面改訂を実施中。追補版EKAT Appendix 2017 は、RCT 論文の構造化抄録作成がほぼ完了し、秋頃の公開を目指している。EKAT Appendix2018は、対象のRCT 論文が確定し、構造化抄録作成を担当の先生方に依頼している。
- 日本東洋医学会EBM 委員会への協力作業「漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン」の追補版KCPG Appendix 2017は、現在公開に向け最終調整中。また、KCPGAppendix 2018掲載対象の2017/4/1~2018/3/31までに発行された診療ガイドラインの調査については7つを残し調査終了。結果を整理している。
- 医療用漢方製剤の添付文書情報集について2018年版への改訂作業を実施中。9月末の日漢協ホームページ公開を目指している。
医療用漢方製剤委員会、流通適正化部会、コード審査会合同会議を開催した。(検討内容は流通適正化部会報告)
医療用医薬品広告活動監視モニター事業報告書を受け、資材だけではなく適切なプロモーション活動のあり方について、今後検討することとした。「販売情報提供活動に関するガイドライン」のパブコメ発出に伴い、流通適正化部会メンバーを含む当協会の会員会社と意見交換を行った。
生薬会議
生薬委員会 委員長 白鳥 誠(株式会社ウチダ和漢薬)
- 農林水産省の平成30年度予算「茶・薬用作物等地域特産作物体制強化促進事業」の事業運営の確認について
- 「平成30年度 薬用作物の産地化に向けた地域説明会および相談会」の開催について
6月25日(火)、東京赤坂の三会堂ビルにて、平成30年度第1回検討会を開催した。この検討会は、一般社団法人 全国農業改良普及支援協会(普及協会)と当協会が設置した「薬用作物産地支援協議会」(協議会)が、検討委員として薬用植物栽培に関する有識者の先生方を迎え、農水省と厚労省からもオブザーバーとして参加いただき、今年度の事業の有り方、事業計画などについて確認等を行うものである。すなわち、協議会から検討委員に「事前相談窓口の運営(継続)」、「地域説明会および相談会の実施」、「栽培技術研修会の実施」、「技術アドバイザーの派遣」、「調査・分析等」の活動計画等を説明し、その内容をご確認いただき、活発な意見交換の後、ご了承をいただいた。
地域説明会および相談会の開催準備を別紙の表1のとおり進めた。昨年度同様、2部制で開催するが、その内容は生産者サイドに立った形で刷新した(表2)。すなわち1部では新たに、各地の生薬生産団体による「薬用作物の産地化への取組事例」や、農業・食品産業技術総合研究機構による「薬用作物の国内生産拡大に向けた技術開発の紹介」などを盛り込み、さらに当協会からは、薬用作物の需給情報の他、技術アドバイザー派遣の説明や、「実需者側の生産/販売/ 希望情報」と「生産者側の購入/試作希望情報」をWeb で閲覧できるようにし、情報交換を活性化させる取組みなどについて説明することで、生産者が利活用できる情報を大幅に増やした。2部の個別相談会においては、時間の都合もあり、対象とする生産者を厳選したうえで実施するが、個別相談を希望したにもかかわらず受けられなかった生産者の方々には、相談窓口で対応することとしている。
本会の開催案内については、より多くの方々に興味を持っていただくため、事前相談窓口のホームページでの掲載の他に、普及協会のネットワーク等も活用させていただいている。さらに協議会として都道府県の農政関係部署に市町村・関係機関等への情報提供をお願いし、農水省生産局地域対策管から都道府県担当部署への協力依頼を発信していただいている。また、当協会の広報委員会と連携してマスコミの対応も行っているところである。
一般用漢方製剤会議
一般用漢方製剤委員会 委員長 長島 義昌(クラシエ薬品株式会社)
- 一般用漢方製剤委員会
- 2018年7月24日(火)開催
- ・各部会からの活動報告
- ・漢方将来ビジョンプロジェクト会議
- ・ビジョンチーム:「漢方の将来ビジョン2040」作成、7/20記者会見
- ・啓発・アウトリーチチーム:9/22、日本中医栄養薬膳学研究会にて講義予定
- ・一般薬連:セルフメディケーション推進タスクフォース活動報告
- ・アンケート調査結果、セルフメディケーション税制への今後の方向性
- ・その他連絡事項
- 処方部会
- 漢方処方ソフトについて
- ・2018年度新システム導入(ハード・ソフト)。
- 新規追加候補処方の検討
- ・文献調査により一般用漢方製剤として魅力的な処方を各社2処方提案、処方概要がわかる作業シートを作成し、当日14処方について検討した。
- 適正使用推進部会
- 「Information sheet」作成について
- ・28処方原稿作成終了。監修を依頼中。次回(9月28日)に監修済の原稿を再確認する。
- ・日漢協ホームページに掲載の際には、プレス発表を行う予定。
- 繁用処方パネル新規作成
- ・本年度は補中益気湯、八味地黄丸の説明用パネルを準備する。
- ・「自分の症状が対象になるか」の判断に役立つパネルを作成する。
- 確認票のメンテナンス・今後の運用等について
- ・国立衛研とメンテナンスの時期等について摺合せを行い今後の方向性を定める。
- その他連絡事項、トピックス等
- ・連絡事項、トピックス紹介、共有化。
- その他
- 局外生規作成WG:第3回本委員会(7月12日)に開催され、既収載品2品目、新規収載品7品目の生薬について検討された。
- ・今後の予定。査読会(8月6日)を経て、パブリックコメント後、年内に通知予定。
- ・セッコク、シンキク、コツサイホ、トシシ及びトシシ(末)、アルニカは継続検討する。
- 日薬連―セルフメディケーション推進タスクフォース:
- ・アンケート調査結果、SM税制への今後の方向性:
2018年3~4月に行われたセルフメディケーション税制の認知・利用に関する生活者調査について報告された。生活者の要望で多かった意見は手続きの簡素化、控除対象下限値の引き下げ、対象品目の拡大だった。
生薬製剤会議
生薬製剤委員会 委員長 和田 篤敬(小林製薬株式会社)
- ・一般用生薬製剤の添付文書等に記載する使用上の注意について
- ・そのパブコメ結果
- ・都道府県知事が承認する生薬製剤の製造販売承認事務の取扱いについて
- ・その質疑応答集(Q&A)
- ・「承認基準の定められた一般用医薬品の申請書の記載及び添付資料の取扱い等について」の一部改正について
AMEDの官民共同研究「配合生薬エキス製剤の実用化推進に資する品質評価技術基盤の開発研究」(代表研究者:国立医薬品食品衛生研究所 生薬部長 袴塚 高志 先生)の2018年度 第2回目の研究班会議が8月8日に開催され、「当帰川芎製剤( 実母散等)」の承認基準原案の策定に向けて、効能効果に係るエビデンスの整理と生薬の配合ルールの検討、10種の生薬からなる2つのモデル製剤の作製とその品質確認試験方法等の議論が進められている。
制度研究部会では、効能効果の設定について、また、製剤開発部会では、モデル製剤の調製方法や品質確認試験方法についての資料を取りまとめている。さらに、「血の道症」についての調査を進めている。
7月20日に発表した「漢方の将来ビジョン2040」の策定において、生薬製剤に関わる情報の収集と整理を進めた。
4月18日~20日、東京ビッグサイトで開催された「CPhI Japan 2018」に設置された日漢協の展示ブースに、当委員会参加企業の漢方生薬製剤のパッケージ等を展示し、訪問者への説明等を行った。また、この機会に訪日された中国 医保商会の孟 冬平 副会長を団長とする訪日団 約30名との大阪での交流晩餐会では、日中の製薬産業に関する情報交換が行われた。
3月29日に発出された一般用生薬製剤(単味生薬製剤)に関する以下の5つの通知等やオンジ製剤の広告に関する事項について委員会内で共有している。(2017年12月21日付けで承認基準化された単味生薬製剤 30品目と、その内、承認権限が地方委譲された19品目について)
原薬エキス会議
原薬エキス委員会 委員長 佐々木 博(日本粉末薬品株式会社)
- 漢方処方エキスの日局収載 「呉茱萸湯エキス」と関連する試薬・試液「定量用エボジアミン」の収載案について本年3月に意見公募された。誤字脱字等について数件意見があったが、大きな修正点はなかった。これらは日局17第二追補(2019年5月施行予定)で新規収載される。
- 局外生規2018 本年7月12日に、第3回局外生規連絡会議(事務局:医薬品審査管理課)が開催された。連絡会議では、生薬関係は割愛するが、新収載品のイカリソウエキス、ショウキョウエキスおよびチョウトウコウエキスの性状について、実際にサンプルを味見して決定された。これにより、新収載3品目の含量規格、製法、性状、確認試験、純度試験、乾燥減量、灰分、定量法および貯法すべての規格項目が決定された。
2018年6月20日と8月29日に、今年度第2回および第3回原薬エキス委員会を開催した。委員会では、日局および局外生規2018の進捗状況等を確認した。
現在、生薬等(A)委員会では、温清飲、辛夷清肺湯および白虎加人参湯各エキスの収載原案が検討されている。
なお、第2回連絡会議までに既収載品のアカメガシワエキス、ウラジロガシエキスおよびメリロートエキスの定量法などの改正案と、これら品目の純度試験ヒ素の削除が了承されており、局外生規2018に関する検討作業はすべて終了した。
今後の予定としては、8月初旬に第4回連絡会議(査読会)が開催され、9月に意見公募される見込みである。公募意見により必要な修正が加えられた後、年内には局外生規2018に関する通知が発出されるものと予想される。
なお、通知発出後になるが、今回から局外生規に関する技術情報が発刊される予定である。
コード審査会
代表委員 松塚 泰之(クラシエ薬品株式会社)
5月16日に厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課を訪問し、2017年度製品情報概要等の審査結果を広告専門官に報告した。また、5月11日に発表された平成29年度医療用医薬品の広告活動監視モニター事業報告書の内容等の意見交換を行った。販売情報提供活動に関するガイドラインが7月12日にパブコメとして発出された。今後の協会での審査体制について7月30日のコード審査会・製品情報概要実務部会合同会議で議論を行い、9月以降にプロジェクトを発足させて検討していくこととした。2018年度の製品情報概要等の審査スケジュール等の審査概要を決定した。
保険薬価協議会
委員長 丸木 希望(株式会社ツムラ)
保険薬価協議会は、5月8日、6月19日、7月10日、8月7日に会議を開催した。5月8日、6月19日は保険薬価部会との合同会議である。
2020年の次期薬価基準改定に向けて、不採算品再算定についての対応を優先することとし、漢方製剤・生薬に関し会員各社の希望品目をアンケート調査により集約しているところである。
6月24日には、日本東洋医学会にお伺いし、佐藤会長、大野副会長、金倉健康保険担当理事、健康保険担当委員会の先生方等と面会し、2018年の薬価基準改定の結果報告を行い、今後の対応に関し意見交換を行った。
中医協や経済財政諮問会議等の審議状況の情報共有や、改定データの整理等を行った。
国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクト
プロジェクトリーダー 坂上 誠(株式会社ツムラ)
PJ全体を統括するビジョンチームの下にビジョン策定WGを設置し、2001年に策定された日漢協で初のビジョンである「漢方の新しい展開21-漢方薬の普及から定着へ―」以来17年ぶりの新ビジョンの作成をかねてから進めていた。5月以降ほぼ毎週15回(都合25回)のWG を開催し、検討を行った。そして7月に「漢方の将来ビジョン2040~国民の健康と医療を担う~」を策定した。7月20日開催の第210回理事会(KKRホテル大阪)にて、このビジョンは承認され理事会終了後に記者発表を行った。
ビジョンの内容は、ホームページにアップされているので是非ご覧いただきたい。
【webリンク】漢方の将来ビジョン2040
PJは6月26日、8月21日に、PJ各チームリーダーとビジョンチームの合同会議を開催した。新たなビジョンの策定等の報告、PJ各チームの活動報告、2018年度の漢方将来ビジョン研究会の開催等について検討し、研究会は2月に開催することとした。
総務委員会
委員長 竹下 真吾(株式会社ツムラ)
- 2018年度事業計画策定 第36回定期総会において、2018年度事業計画(案)を上程し、承認された。
- 会費算定基準の一部改正 第36回定期総会において、会費算定基準の一部改正(案)を上程し、承認された。
- 慶弔内規の一部改正 日漢協の事業拡大に伴い、慶弔内規の適用範囲を見直した。一部改正(案)を第55回正副会長会に上程し、承認された。
- 日薬連の「日本における倫理的連携のためのコンセンサスフレームワーク」設立宣言 第55回正副会長会、第210回理事会で報告した。この設立宣言は日本医師会、日本薬剤師会等と歩調を合わせたもので、日漢協は業界団体として賛同し、会員会社に周知を図る。
- 事務環境の改善 スペースの確保、安全性確保、利便性・快適性等向上のため、6月に事務所を移転した。
- 研修会の実施予定 9月の理事会後に帝京平成大学 白神 誠 教授による研修会の準備を進めている。
多人数収容の会議スペース確保、OAフロアなどの事務環境改善とともに、新耐震基準などの安全性、個別空調や採光性ほか快適性も向上した。第55回正副会長会、第210回理事会にて最終報告を行った。
昨年度、日漢協会員対象に行ったコンプライアンスに対するアンケートの検証結果に基づいた内容となる。
国際委員会
委員長 諸田 隆(株式会社ツムラ)
6月4日~7日にわたり、ISO/TC249全体会議が上海にて開催され、当協会から4名のエキスパートが派遣された。詳細は6月19日掲載の日漢協トピックスを参照されたい。また、6月21日には第1回中日薬局方シンポジウムが開催され(上海)、漢方、生薬業界の代表として国際委員長が参加した。本シンポジウムは厚生労働省/PMDAと中国国家薬典委員会が2016年に締結した覚書に基づいて開催されたものである。第1回目ということで、互いの局方の現状や将来的な方針などについて情報交換された。
技術委員会
委員長 古家 孝之(株式会社ツムラ)
重金属個別分析に関する各社対応状況の調査結果について報告書を作成した。日局17に重金属個別分析が収載されたエキス3処方を取り扱うすべての会社で試験が実施されており、試験法導入に伴う問題点は見られなかった。
また、生薬を管理する責任者の育成の一環として、東北大学大学院薬学研究科附属薬用植物園の見学会を開催した(5月25日開催、参加者15名)。当園は竹本常松先生が開園されたもので、国立大学附属植物園では最大の規模を誇る。
薬制委員会
委員長 栗田 宏一(クラシエ薬品株式会社)
薬事制度に関する事項、漢方・生薬製剤の関連法規及び関係通知の調査研究、関係行政機関および諸団体との連絡ならびに意見具申を基本に活動している。
- 法改正への対応 1)日薬連要望書
- 漢方将来ビジョンプロジェクト(承認申請ガイドラインチーム) 現在、医療用漢方製剤など多成分系医薬品の承認申請ガイドラインは未整備であり、AMED研究成果をもとに、承認審査を担当する行政、研究機関などによる多成分系医薬品の承認申請ガイドラインが策定されることとなっている。承認申請ガイドラインチームでは、AMED研究班に協力して剤形追加のための医療用漢方製剤の生物学的同等性試験ガイドライン(案)について検討している。
医薬品医療機器等法は来年の通常国会への改正法案提出を目指し、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会において、検討が進められている。日薬連は、製薬業界の意見をまとめ、4月27日付け日薬連発第319号「医薬品医療機器等法の制度改正に係る要望書」として、厚生労働大臣に提出した。
2)GMP適合性調査に関する実態調査(日薬連・品質、薬制委員会)
要望書の中で、製造販売承認取得後のGMP適合性調査については、製造所が申請し、調査を受ける等の合理化を求めており、製造販売業者が対応しているGMP適合性調査申請の実態を把握するため、アンケートが実施された。
3)第2回製造販売業管理に関する実態調査(日薬連・薬制、品質、安全性委員会)
業許可等に係る責任者の規定の見直しを検討する際に必要な情報を収集することを目的として第2回実態調査が実施された(2016年第1回実態調査実施)。
安全性委員会
委員長 香取 征典(株式会社ツムラ)
- 医療用医薬品添付文書新記載要領について
- 医薬品安全対策に係る活動
医療用医薬品添付文書記載要領については2019年4月から適用となり、すでに承認されている医薬品の添付文書については平成36年3月31日までにできるだけ速やかに改訂を行うこととされている。
漢方製剤は2020年度下期より、刻み生薬は2021年度下期よりPMDAによる新記載要領に基づく改訂相談が受け付けられる予定である。安全性委員会では新記載要領で廃止される「慎重投与」等への考え方を整理し、対応することとしている。また、記載要領改訂に伴うSKWサイトの改修も同時に進められており、日薬連情報提供プロジェクトに参加して、届出の仕組みについてパイロットテストを実施した。不具合等について意見を提出している。
副作用電子報告はE2B(R2)による報告が今年度末までとなり、次年度からはE2B(R3)のみの報告が求められる。安全性委員会でもまだ対応していない企業もあるため情報共有し、各社が適正に副作用報告が実施されることで、漢方・生薬製剤の安全性情報集積の質の担保を図っている。また、DSU(医薬品安全対策情報)電子化に伴い、各社のお知らせ文書の在り方等について検討している。漢方・生薬製剤の安全性情報を一元化することで医療関係者に迅速に届くシステムを構築し、適正使用に寄与していく。
広報委員会
委員長 土屋 洋介(株式会社ツムラ)
- 一般市民への啓発活動(2018年5月~8月)
- 1)一般用ホームページへの問い合わせ件数 16件
- 2)一般用ホームページ新規掲載事項 10件(トピックス6件)
- 3)電話対応 8件
- 4)漢方啓発セミナー
- ①第69回日本東洋医学会学術総会市民公開講座
6月10日 開催
参加者 138名(うち、報道関係 5名) - ②第21回日漢協市民公開漢方セミナー
5月9日 講師決定 八木多佳子先生(日本薬剤師会薬局製剤・漢方委員会委員)
四谷区民ホールにて開催(10月29日)
6月12日 ホームページに開催予告を掲載 - ③第70回日本東洋医学会学術総会市民公開講座
6月21日 北里大学東洋医学総合研究所を訪問し打ち合わせを実施 - マスコミへの対応
- 1)5月から8月にかけて7件対応
・原料生薬の国内栽培および使用料等調査(日本経済新聞、エコノミスト)
・ICD11(読売新聞) -
2)7月20日 日漢協「漢方の将来ビジョン2040」発表会見実施
6社参加(5社記事掲載確認) - 制作物
- 1)『ニューズレターNo.103』を発刊
- 2)『日漢協ガイド2018』の制作進行
- ホームページ企画部会活動
- 1)日漢協HPにトピックス10件(公式HP6件)記事掲載
- 2)日漢協HPリニューアル後、約半年経過の検証と改善検討
- その他
- 日漢協関連記事・番組およびHP更新などについて、事務局を通じて会員会社の窓口担当者に30件の情報提供を実施した。
常務理事就任ご挨拶
常務理事
町田 吉夫
7月20日、大阪での理事会におきましてご承認をいただき常務理事の任を拝命いたしました。
着任して1カ月ほどしか経過しておりませんが、協会として対応すべき難題、課題が色々あるように感じております。そんな課題等を会員各社のご協力のもとに構成されている各種委員会等が中心となり、日々忙しい中を解決に向けて活発に取り組んでいる状況を知り、大変頼もしく思うとともに敬意を表する次第です。
また同時に、私も協会を統括して円滑に事務運営しなければならないとの使命、責務の重大さをあらためて感じております。
7月に協会としてまとめ上げた「漢方の将来ビジョン2040」が公表されました。漢方、生薬等が直面している課題とその対応方針をわかりやすく示し、今後、協会あげて関係者及び国民の皆様に理解と支援を得るよう、会員一同協力して取り組もうとしております。この動きを推し進めるべく私のこれまで携わってきた業務経験等も活かして、支えていきたいと考えております。
国民の健康・医療と当協会の発展に貢献するために、職務を全うする所存でおりますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
新任委員長ご挨拶
技術委員長
古家 孝之
この度、技術委員長を拝命いたしました。
漢方・生薬製剤の品質は、新薬と異なり天然物である原料生薬の品質確保から始まり、適切な製造工程を経て、担保されるものです。技術委員会では4つの部会の活動を通じて、よりよい品質を目指し、薬事規制対応のみならず、自ら改善を図っていく必要もあると考えております。
これからの漢方・生薬製剤の品質を継続して守るべく、日漢協内の他委員会の皆様、外部有識者、他団体の方々と連携を取り、また委員の皆様のご協力のもと、一層の活動を進めさせていただく所存でございます。皆様方のご指導、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
九州大学大学院薬学研究院生薬学分野 森元 聡 教授
大麻成分の生合成に関する研究
日本で4番目にできた国立大学
明治36年(1903)に設置され、本年で創立115年を迎えた九州大学の当時の名称は、京都帝国大学福岡医科大学でした。その8年後の明治44年(1911)に工科大学が設置され、九州帝国大学となりました。日本で4番目にできた国立大学でした。以来、学部の増設をはじめ幾多の変遷があり、平成15年(2003)に九州芸術工科大学との統合、翌16年の国立法人化等を経て今日に至っています。
現在、この4月に新設された共創学部を加え、12の学部(文、教育、法、経済、理、医、歯、薬、工、芸術工、農)と21世紀プログラムから成り、箱崎、病院、筑紫、大橋、伊都、別府の6つのキャンパスに学部生11,746名、大学院生6,961名が学んでいます。
源流は黒田藩の賛生館
間もなく70年になる薬学部の歴史は、昭和25年(1950)に医学部薬学科が新設されたことに端を発します。因みに医学部の母体は慶応3年(1867)に黒田藩が西洋医学の教育機関として開設した賛生館とされています。薬学部が医学部から独立したのは、昭和39年(1964)、製薬化学が設置され、薬学部の誕生となりました。その後、平成11年度から総合薬学科の1学科制、18年4月からは4年制の創薬科学科と6年制の臨床薬学科の2学科制が敷かれ、前者では職業研究者、指導的研究者、後者では実務能力の高い薬剤師の養成を目指しています。定員はそれぞれ49名と30名で、薬剤師国家試験の合格率は100%を続けています。
薬学部の卒業者は今年の3月時点で4,554名、修士課程の修了者は2,447名、博士取得者は1,203名にのぼり、各界で活躍しています。
薬学科第一講座として発足
森元聡教授
薬学部棟
薬用植物園(大麻)
二代目の川崎敏男、三代目の西岡五夫、四代目の正山征洋、各教授の後を継いで、平成18年9月に森元先生が五代目教授に就任しています。
一時、大学院重点化に伴い研究室名が薬用資源制御学専攻分野に変更しましたが、解りにくいとのことから従来の生薬学に戻しています。
現在の研究室の陣容は森元教授の下に准教授、助教、修士2年2名、修士1年3名、留学中1名、6年生1名、5年生1名、4年生4名で構成されています。
研究テーマは
1. 大麻成分の生合成に関する研究
2. 植物の生体防御システムに関わる研究
3. 植物の細胞死に関する研究
などに取り組み、1の研究ではカンナビノイドの生合成酵素を世界で初めて同定し、各カンナビノイドの生合成経路を酵素レベルでの解明に成功しています。
現在、カンナビノイド合成酵素の解析を試みており、近々、その成果が期待されています。
私の健康法 パナソニック元副社長、WOWOW 元社長 佐久間 曻二 さん
六君子湯、補中益気湯、牛車腎気丸を常用
このまま元気で過ごし、健康長寿で仕事を続けて行きたいですね。(カーネギーホールにて) |
●松下幸之助の最後の愛弟子
本年、創業100年を迎えたパナソニックは、大正8年(1918)3月7日、大阪の大開町(現大阪市福島区大開町)で設立されている。創業者は経営の神様と呼ばれ、毎年のように長者番付のトップに名を連ねた松下幸之助。その幸之助氏の最後の愛弟子(まなでし)と言われたのが佐久間曻二さんだ。経営の神様の薫陶を受けたのは、西ドイツ(当時)のハンブルグに赴任していた37歳の時だった。今からほぼ50年前になる。そこで言われたのが、「商品を売るよりも経営理念を売って欲しい」
以来、この言葉を胸に刻み、松下電器の副社長として、さらにはWOWOWの社長として辣腕を振るい、瀕死だっ同社を再建した手腕は少なからず話題となった。数え年で米寿を迎えた現在もピアの社外取締役として現役を続け、松下幸之助の理念を実践されている。
●ベジタリアンに近い食生活
94年の天寿を全うした師のように元気この上ないが、その秘訣は見事なほどの健康管理と言えるだろう。幸之助氏の弟子であるとともに貝原益軒の一番弟子と言っても過言ではないほど、日々、己を律している。まずは朝5時半に起きて行うのが、西野流の呼吸法、これを40分、夜にも20分欠かさず24年間続けている。次は食事。朝食前にハトムギ茶を500ml 飲んでから食事となり、献立は和食で、ご飯は麦と白米が半々、おかずは人参、大根、さつまいもなど野菜を5種類以上採り、野菜具だくさんの味噌汁と納豆、ラッキョウを常食している。
「牛乳、ヨーグルト、卵、チーズなどは食べません。昼食、夕食は外食が多いのですが、注意して食べ、場合によっては残すこともあります」
好き嫌いはなく、何でもおいしく食べ、「嫌いなものは不味いもの、好きなのは美味いもの」を旨としている。さらに声を出すことはいいこととのことから合唱団生活に余念がない。所属しているのは六本木男性合唱団、毎週1回3時間、定期練習に励み、自宅でも毎夜20分声を出している。この6月には音楽の殿堂カーネギーホール(アメリカ・ニューヨーク)の舞台に立ち、14曲ほど熱唱した。ゴルフも回数は減っているものの、年に26回ほどコース入り、カートにはできるだけ乗らないようにしている。
漢方薬との縁が始まったのは2年前、階段から落ちて頭を30針縫ってからだった。合唱団の友人の医師から術後のケアとして漢方薬を勧められ、朝食前に六君子湯、昼食前と夕食前に補中益気湯と牛車腎気丸を服用している。「寝る前に認知症の薬もと言われましたが、まだ早いと断りました。呼吸法と漢方薬が健康維持の決め手になっているのではないでしょうか」
当面の目標は90歳、「夫婦でオリンピックの入場式を見、本を一冊書きたいと思っています」
プロフィール
昭和6年(1931)11月3日、新潟県生まれ。大阪市立大学大学院経営学研究科修了後、1956年、松下電器産業(現・パナソニック)に入社。1987年、同社取締役副社長。1993年、日本衛星放送(現・WOWOW)の代表取締役社長に就任。同社の経営再建に成功し、現在は、ぴあ社外取締役を務めている。著者『イノベーションは「3+7の物語」で成功する』(PHP 研究所)、『知恵・情熱・意志の経営』(ダイヤモンド社)、共著『「経営の神様」最後の弟子が語る 松下幸之助から教わった「経営理念を売りなさい」』(講談社)