103号 (第35巻 第1号)2018年5月
第69 回日本東洋医学会学術総会 会頭 大阪医科大学健康科学クリニック 教授・所長 後山 尚久 |
謹んで新年の御祝辞を申し上げます。
このたび、第69回日本東洋医学会学術総会を平成30年(2018)6月8日(金)から10日(日)までの日程で、大阪国際会議場グランキューブ大阪にて開催させていただくことになりました。
今回の学術総会のテーマは「漢方の実力、臨床力、癒し力」とさせていただきました。このテーマは斬新なものではありませんが、今、世の中で求められていることではないかと思います。現在、新たな病気の原因や病態が次々と解明され、新たな病名が誕生していますが、飛躍的に多くの病気の治療法が発見されているとはいえず、「治らない病者、辛さが軽減しない病者」の苦しみを目の当たりにする機会が少なくありません。目の前の苦しむ病人に安らぎと幸福を授けられる力を持つ医療であることが、今、漢方に求められているのではないかという思いから、今回のテーマを決定いたしました。
本テーマを基盤として、著明な先生方を講師にお招きし、特別講演2、教育講演4、シンポジウム10、ワークショップ8、会頭企画特別ワークショップ1、パネルディスカッション1、鼎談1、そして1から系統的に漢方を学んでいただける漢方入門セミナー16コマを用意いたしました。ほかに薬剤師、鍼灸師の方々に向けての専門的な薬剤師セミナーや鍼灸セミナー、さらに市民公開講座も準備いたしました。今回のプログラムの特徴のひとつは、ひとつのプログラムに医師、薬剤師、鍼灸師の方々が参集していただき、ディスカッションできるシステムとしたところです。1例ですが、「これが不妊の治療だ!〜輝ける未来のために〜」は西洋医学、漢方、鍼灸治療が一体化した形のワークショップになっています。
特別講演では、三谷和男先生に「くすり使いになるな〜三谷和合の哲学」と題する講演、安井廣迪先生に「統合医療としての漢方後山尚久医学の形」と題する講演をしていただきます。
日本漢方生薬製剤協会(日漢協)との共催での市民公開講座は「東洋医学の活用で子育てに「朝が来た」お話」というタイトルで6月10日(日)の午後2時25分から午後4時25分まで開催します。川嶋浩一郎先生に、漢方による子育てのパラダイムシフトの提案を中心とする講演をしていただく予定であり、これから子育てを見据える若い世代の方々の来場を期待しています。日漢協からは市民公開講座の開催にあたり多大のご協力を頂きました。ここに厚く御礼申し上げます。
今回は、第1日目(金曜日)の正午から始まり、3日目(日曜日)の午後4時半まで、聴講に迷うほどの内容の濃いプログラムが目白押しですので、時間調整の上、有意義な3日間をお過ごしください。
ご興味のある先生方には薬の神様を祭る少彦名神社のある「道修町」ツアーを企画させてもらっております。どうぞご参加ください。学会内容の詳細は、総会のホームページをご覧頂くようお願い申し上げます。
http://convention.jtbcom.co.jp/69jsom/
日本漢方生薬製剤協会 副会長 桑野 彰一(日本粉末薬品株式会社 代表取締役社長) |
日本漢方生薬製剤協会(日漢協)にとって、この数年間で最も大きな出来事のひとつは、2016年度に日本東洋医学会と共催した「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」の開催が実現したことと思います。研究会は、漢方が国民の健康と医療にどのように貢献できるか、原料生薬から最終製品に至るまでの品質をいかに確保するか、安定供給をどう図るかなど、漢方をめぐる諸問題を明確にし、それら諸問題を迅速かつ着実に解決することを目的として開催されました。日本医学会会長髙久先生をはじめ多くの先生方、厚生労働省はじめ関係行政や関連団体のご協力を賜り、日漢協にとって数々の有益なご助言を頂きました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
研究会は2016年に3回開催され、翌年2月にフォーラムが開催されました。フォーラムでは研究会の内容が総括され、3月に「提言書」が発表されました。提言書には6つの提言がありますが、日漢協としても提言を迅速かつ着実に実現すべく、組織横断的な「漢方将来ビジョンプロジェクト」を設置し、日漢協の新しいビジョンの策定や、課題解決のためのロードマップの作成など新たな活動を開始しております。特に原料生薬の約8割を中国などからの輸入に頼っている現状に鑑みますと、「原料生薬の安定確保」が最重要課題と位置づけられます。また、この数年間取り組んできた国内栽培の推進については、種子種苗の確保や栽培技術者の育成など新たな取り組みが加速の契機となると思います。なお日漢協の新ビジョンは、7月の日漢協理事会に上程される予定です。
私が担当している原薬エキス関係では、日局17第一追補で五苓散エキスが新規収載されました。そして、日局17第二追補で呉茱萸湯エキスが新規収載される見込みで、この2処方を加えると日局収載漢方処方エキスは計35処方となります。
また、長く懸案であった日局キキョウ流エキス、カンゾウエキスやカンゾウ粗エキスに工業的製法を追記する件については、原薬エキス会議が提案した改正案が了承され、日局17第二追補で改正されることになりました。
単味生薬エキス関係では、2015年12月に医薬品審査管理課から「生薬のエキス製剤の製造販売承認申請に係るガイダンス」が通知され、ガイダンスにもとづいて単味生薬エキス製剤が開発されています。一方で単味生薬エキスの品質基準が検討されており、規格案が固まった品目については局外生規に新規収載される流れとなっています。すでに局外生規2015に、アカメガシワエキス、ウラジロガシエキスおよびメリロートエキスの3品目が、単味生薬エキスとして初めて局外生規に収載されました。現在、イカリソウエキス、ショウキョウエキスおよびチョウトウコウエキスの規格案が検討されており、局外生規2018に新規収載される見込みです。以上述べてきたように原薬エキス関係でも、いろいろ整備が進められてきています。
最後になりますが、日漢協は新しいビジョンにもとづき、原料生薬の安定確保、高品質な漢方製剤等の安定供給、漢方の普及に一層注力することで、医薬品業界の発展と国民の健康に貢献すべく、会員会社が一丸となって努力を続ける所存です。関係各位におかれましては、さらなるご指導、ご支援を賜りたくよろしくお願い申し上げます。
医療用漢方製剤会議
医療用漢方製剤委員会 委員長 長谷川 久(株式会社ツムラ)
- 流通適正化部会
- 教育研修部会
- 「新MR 漢方教本スライド」の改訂について
各章の順番を改訂し、第一章:漢方の歴史、第二章:漢方医学概論、第三章:生薬学、第四章:漢方の処方、第五章:方剤学として制作を開始する。
制作にあたっては、まず参考文献の確定が容易な第三章生薬学より開始することとする。また、図表はオリジナルのものを使用し、メンバーでたたき台を作り全員で確認することとした。 - 研修会の実施
2月8日(木)に、生薬の安定供給に関わる最近の話題として「中国青海省蔵医薬学と生薬」と題して株式会社ツムラ笠原良二氏に、青海省での生薬生産の現状について多くの写真を交えてご講義をいただき、非常に興味深い研修会となった。研修会は今後も色々な題材で開催する予定である。 - 有用性研究部会
「日漢協コード・オブ・プラクティス」の改定に伴い、行政等持参用として冊子を20部作成し、厚労省経済課並びに監麻課へ持参した。また、製薬協、GE協、公取協へも持参した。
当部会が厚労省監麻課広告専門官へ依頼していた講演を総務委員会企画部会が主催として第208回日漢協理事会後に講演会を行った。臨床研究法の施行に関する情報を逐一部会内で共有するとともに、会員各社の2016年度支払分の透明性ガイドラインの公開状況を確認した。3月決算迄の会社については、医療用漢方製剤製造販売の会員会社はすべて公開が完了した。2018年の講演会については業界団体と行政から演者を招いて、2回行う予定とした。
日本東洋医学会EBM委員会への協力
・「漢方治療エビデンスレポート」作成は、EKAT 2016の全面改訂を年度明け早々に実施予定である。追補版EKAT Appendix 2017は、RCT 論文の構造化抄録を作成し、来年度夏頃の公開を目指している。
・「漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン」の追補版KCPG Appendix 2017は、来年度早々に公開予定。また、2017/4/1~2018/2/28までに発行された診療ガイドラインについては調査を終了した。KCPG Appendix 2018の来年度公開に向け、結果を整理中である。
生薬会議
生薬委員会 委員長 白鳥 誠(株式会社ウチダ和漢薬)
- 「生薬(薬用作物)の生産拡大に関する要望票2017」について
- 「第5回原料生薬使用量等調査」について
農林水産省の平成29年度補助事業である「薬用作物等地域特産作物産地確立支援事業」を活用した「平成29年度 薬用作物の産地化に向けた地域説明会および相談会」(地域説明会)が終了し、本会に参加した生産者等から要望票が寄せられた。この要望票は、生産者等に試作栽培や生産栽培、あるいは成果物の販売希望などを示していただいたもので、実需者(メーカー)とのマッチングを目的としたものである。
専門相談員による事前相談窓口での質問や問い合わせの対応、そして地域説明会での個別相談が活かされ、要望票の内容も抽象的なものから、試作状況や今後の計画などが具体的に示されるようになり、寄せられた要望票のおよそ5割が折衝開始となった。残りの5割については折衝に至らなかったが、その理由としては、個人での取り組みや、品目が未定、生産レベルではないなどが挙げられている。
当協会会員会社を対象に、昨年の5~6月末の期間で「第5回原料生薬使用量等調査(平成27年度および28年度の使用量)」を実施した。その集計結果については、これまでに実施した全ての調査結果(平成20年度~28年度)と照らし合わせるなどして、疑義が生じたものについては再調査を行いデータの精査を行った。本調査結果については、これまでの9年間の調査結果としてまとめている。
一般用漢方製剤会議
一般用漢方製剤委員会 委員長 長島 義昌(クラシエ薬品株式会社)
- 一般用漢方製剤委員会
- 平成30年1月23日(火)開催
- ・各部会からの活動報告
- ・平成30年度一般用漢方製剤会議、全体会議の開催について
- ・平成30年度事業計画(案)・経費予算(案)検討
- ・一般薬連:セルフメディケーション推進タスクフォース活動について
- ・漢方将来ビジョンプロジェクト会議:ビジョンチーム・啓発・アウトリーチチーム
- ・その他連絡事項
- 処方部会
- 漢方処方ソフトについて
- ・平成30年度新システム導入(ハード・ソフト)
- ・部会での検討に積極的に使用
- 新規追加候補処方の検討
- ・漢方処方検索用文献について各社より推薦いただき、多い文献を優先検索文献とする
- ・新規追加処方候補の各2処方について処方検討シートを作成し、情報交換を行った
- ・各自候補としてあげた 10処方から2処方選び検討シートを作成、次回部会で発表予定
- 適正使用推進部会
- 平成30年度事業計画(案)・経費予算(案)検討
- 「Information sheet」作成について
- ・平成29年度スケジュールの確認、進捗状況確認
- ・作成上の問題点・課題につき項目別に最終確認
- 確認票「日本漢方生薬製剤協会による主な商品例」のメンテナンス
- ・日漢協の確認は終了し国立衛研へ提出済
- ・メンテナンス版は広報委員会より日漢協HPにUP
- 繁用処方パネル新規作成
- ・公開セミナー等に使用。既に作成した葛根湯に次いで、補中益気湯と八味地黄丸を新規作成予定
- その他連絡事項、トピックス等
- ・連絡事項、トピックス紹介、共有化
- その他
- 日薬連―セルフメディケーション推進タスクフォース:
◆2月14日(水)、検体測定室連携協議会執行委員会開催 - ・検体測定室連携協議会、会員数の推移報告
- ・協議会、グループ別活動報告
- ・検体測定室連携協議会対応PJ(* 一般薬連、各業界団体代表者により組織)活動報告
- ・平成28年度決算報告、29年度決算見込報告、30年度予算案検討
- ・今後の活動につき、広報・外部精度管理・Web カレッジの会員・非会員の費用体系・法人正会員の優遇の各面より検討
- 局外生規作成WG:
- ・第4回11/17開催
- ・既収載、新規収載予定、単味生薬について議論した
- ・第2回本会議(2/7)、第3回本会議(6月)を経て局外生規2018をまとめる
生薬製剤会議
生薬製剤委員会 委員長 和田 篤敬(小林製薬株式会社)
日本医療研究開発機構(AMED)の創薬基盤推進研究事業の官民共同研究「配合生薬エキス製剤の実用化推進に資する品質評価技術基盤の開発研究」(代表研究者:国立医薬品食品衛生研究所 生薬部長 袴塚 高志 先生)の平成29年度第3回研究班会議が2月2日に、平成30年度 第1回研究班会議が4月25日に開催された。「当帰川芎製剤(実母散等)」の承認基準原案の策定に向けて、効能効果に係るエビデンスの整理、収載生薬の選定や配合ルールの再設定、品質確認試験を実施するためのモデル製剤等の議論が進められている。
また、大阪大学大学院 薬学研究科 招聘教授 谿 忠人 先生から、承認基準原案への収載候補生薬として検討してきた54生薬と同様に、追加の39生薬について、薬能を踏まえた気血水分類をご指導いただいている。
制度研究部会では、効能効果の設定について、承認前例102品目の効能効果を抽出して整理するとともに、その根拠となる信頼性の高い出典について調査している。製剤開発部会では、3つの基幹生薬(トウキ、シャクヤク、センキュウ)に加えて、婦人薬への配合が相応しく(多くの品目に配合されており)、製剤の品質確認ができることが望ましいとして選定された15の基本生薬を組み込んだ新たな配合ルールを検討している。また、承認前例における配合生薬数や生薬量について分布図にする等して見える化し、これらの検討結果をベースに、品質確認試験を実施するためのモデル製剤について検討している。
引き続き、生薬製剤の活性化に向けて、その範囲拡大と開発環境の整備に取り組んでいきたいと考えている。
原薬エキス会議
原薬エキス委員会 委員長 佐々木 博(日本粉末薬品株式会社)
- 事業報告および事業計画案 原薬エキス会議2017年度事業報告案および2018年度事業計画・予算案について、委員会で検討後、原薬エキス会議に上程しいずれも承認された。
- 漢方処方エキスの日局収載 2017年12月に施行された日局17第一追補で、五苓散エキスが新規収載された。また、呉茱萸湯エキスの収載案が本年3月に意見公募され、日局17第二追補(2019年5月施行予定)で新規収載される。この2処方を加えると、日局15以降収載されてきた漢方処方エキスは合計で35処方となる。
- 局外生規2018 本年1月と4月に第5回、第6回局外生規2018作成WG(以下、作成WG)が開催された。また2月7日に、医薬品審査管理課が事務局を務める第2回局外生規検討会(以下、検討会)が開催された。なお検討会は、2018年度から「日本薬局方外生薬規格に関する連絡会議」と改称される。
2018年2月21日に2017年度第6回原薬エキス委員会を、また4月25日に2018年度原薬エキス会議を開催した。委員会および会議では、2018年度事業計画・予算案、2017年度事業報告案、日局および局外生規2018の進捗状況報告などを行った。
生薬関係は割愛するが、検討会では、既収載メリロートエキスの定量法を吸光度法から液体クロマトグラフィー法に替え、それに伴い含量規格も修正することが提案され、いずれも了承された。
また、イカリソウエキス、ショウキョウエキスおよびチョウトウコウエキスの新収載案について、製法、灰分、乾燥減量、確認試験、定量法、含量規格を含めてほとんどの規格項目が決定された。ただし性状については、次回連絡会議で実際に味見をして決定される。
なお、純度試験ヒ素については第1回検討会で、当委員会からの提案により原則設定しないこととされたが、さらに検証するため吸光度法によるヒ素実測値の測定を行った。その結果、新収載3品目については1ppmを超える検体がいくつか認められたが、これら新収載品については本格的な実生産が開始されておらず、製造方法もまだ安定していないと考えられたことから、一旦「3ppm以下」と設定することになった。ただし実生産が安定してくる次回改正時には見直すこととされた。
一方、既収載のアカメガシワエキスとメリロートエキスについては、すでに実生産の製造方法も安定しており、実際ヒ素実測値も極めて低値であったことから、ヒ素は削除することとされた。
今後、作成WGは1回開催予定で、また最終回となる第3回連絡会議は7月に開催される。
コード審査会
代表委員 松塚 泰之(クラシエ薬品株式会社)
2月7日にコード審査会を開催し、製品情報概要実務部会が11月から1月にかけて実施した平成29年製品情報概要等および広告審査の内容について承認した。審査対象資材は製品情報概要等21資材、広告24資材の合計45資材であった。審査結果は「不適切」1件、「好ましくない」4件、「話題」4件、「可」36件であった。
広告活動監視モニター制度下で、会員会社がより適切なプロモーション活動を行うよう、今後も審査を実施していくこととした。
審査結果は5月初旬に審査会レポートとしてまとめ、厚生労働省へ報告する予定である。
保険薬価協議会
委員長 丸木 希望(株式会社ツムラ)
保険薬価協議会は、2月13日、3月13日、4月11日に会議を開催した。4月11日は保険薬価部会との合同会議である。
1月下旬の改定薬価内示、ヒアリングと、3月上旬の告示を受け、改定データの整理、今後の課題の抽出、活動方針の策定を行っている。
生薬に関しては、62生薬73規格が基礎的医薬品とされた。
国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクト
プロジェクトリーダー 坂上 誠(株式会社ツムラ)
国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクト(PJ)の会議を、毎月1回開催している。PJ会議では、2017年3月に「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」(以下、研究会)により公表された『提言書』の6つの課題に対応して設置した各チームの活動報告を行っている。全体を統括するビジョンチームでは、『提言書』の課題を迅速かつ確実に実現すべく、チームの下に設置した「ビジョン策定WG」で日漢協の新しいビジョン作りを進めている。WGは本年4月以降ほぼ毎週開催され、現在、新ビジョンの最終的な詰めを行っているところである。
また、2018年度も引き続き研究会を開催する予定で、日程、開催場所、テーマ等について検討を行った。
総務委員会
委員長 竹下 真吾(株式会社ツムラ)
- 平成30年度事業計画(案)「事業計画策定にあたって」、「事業方針」、「事業計画」を策定し、理事会・正副会長会に上程して承認された。
- 平成29年度「事業報告」の取りまとめと調整を行った。
- 平成29年度予算計画に基づく予算執行状況の検証と確認を行った。
- 平成30年度の事業方針、事業計画、および協会の財政バランスを考慮し、各組織体と予算計画案の調整を行った。
- 日漢協の事業の拡大に伴う活動経費の増加に伴い、会費算定基準の一部改正案を取りまとめ理事会・正副会長会に上程して承認された。
- 日漢協の事業拡大と会議室等の確保、安全性の確保等、事務環境の改善に向けた事務所の移転について正副会長会の承認をいただき、事務局と連携して新事務所候補の選定を行った。
- 日漢協のコンプライアンス体制の構築に向けて、先般実施したコンプライアンスの実態調査結果解析の下、今後の取り組みについて講演会・研修会の開催を計画している。
- 第208回理事会後、以下のとおり講演会を開催した。 ・日時:平成30年3月16日(金) 16:00~17:00
・場所:KKRホテル東京 11F 朱鷺の間
・演題:広告規制の現状と課題
・講師:医薬・生活衛生局 監・麻課 広告専門官 石井 朋之 先生
国際委員会
委員長 諸田 隆(株式会社ツムラ)
昨年の11月に京都で開催された日中薬局方(生薬等)検討会について、ご寄付をいただいた企業、団体をお招きし、報告会を実施した(1月22日、東京八重洲ホール)。あいにくの大雪という天候ではあったが、50名という多くの方々にご参加いただき、国立衛研 生薬部長の袴塚先生他から詳細なご報告があった。
国際情勢への対応ということでは、引き続き、ISO/TC249に関する国内外の活動に参画した。2月にはベルリンにてWG2のOnSite Meeting が開かれ、当協会からは国際委員長が参加した。また、日本が中心となって進めてきた2種の規格書(下記)がISOとして認定されるという特筆すべき成果があった。
【ISO 21371】Traditional Chinese medicine-Labelling requirements of products intended for oral or topical use
【ISO 19617】Traditional Chinese medicine-General requirements for the manufacturing process of natural products
技術委員会
委員長 松本 和弘(株式会社ツムラ)
日局新規収載品の呉茱萸湯エキスの収載案が生薬等委員会で了承され、本年3月に意見公募された。日局17第二追補(2019年5月施行予定)に収載される予定である。
また、日局17で改正された微生物限度試験法に関連して、当委員会で検討した酵素基質培地に関する論文が、「第十七改正日本薬局方<5.02> 生薬及び生薬を主たる原料とする製剤の微生物限度試験法における酵素基質培地の利用」と題して、2018年1月に発刊された『医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス』49巻第1号に掲載された。
本年2月「照射食品反対連絡会」から当協会あて、生薬の放射線照射に関する質問状が届いた。関連する委員会の協力を得て回答案を作成し、国立衛研や関係行政の確認を経て4月に回答した。
薬制委員会
委員長 栗田 宏一(クラシエ薬品株式会社)
薬事制度に関する事項、漢方・生薬製剤の関連法規および関係通知の調査研究、関係行政機関および諸団体との連絡ならびに意見具申を基本に活動している。
- 一般用生薬製剤製造販売承認基準(煎剤等)および地方委任について 平成29年12月21日、一般用生薬製剤製造販売承認基準(煎剤等)および地方委任に関する告示、局長通知が発出された。新たに制定された一般用生薬製剤製造販売承認基準(煎剤等)30品目のうち、19品目は都道府県知事が製造販売に関する承認を行う医薬品とされた。適用期日:平成30年4月1日。
- 医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施について 「医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施について」(平成29年6月26日付け薬生発第0626第3号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)に関する平成30年1月17日付け事務連絡(医薬安対課、監麻課)「医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施についてのQ&A」(22件)が発出された。また平成30年3月30日付け日薬連発第216号「医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施についてのQ&A」(9件)が発出された。
- 日薬連・法規制合理化検討プロジェクト 製造実態一斉点検後、日薬連「法規制合理化検討プロジェクト」において、具体的な検討を行うタスクフォースが設置され、承認事項の変更手続きなど各課題について検討され、2018年3月「医薬品の品質に係る承認事項の変更に係る新たな薬事手続き」説明会が開催された(3/12東京、3/20大阪、3/27富山)。平成30年3月9日「医薬品の品質に係る承認事項の変更に係る取扱い等について」(薬生薬審発0309第1号、薬生監麻発0309第1号)が発出された。
安全性委員会
委員長 香取 征典(株式会社ツムラ)
- サンシシおよびサンシシ含有製剤(医療用)およびサンシシ含有製剤(一般用 外用除く)の「使用上の注意」改訂について
- 医療用医薬品添付文書新記載要領について
医療用サンシシによると思われる「腸間膜静脈硬化症」の副作用症例が集積されたこと及び文献情報や、専門委員の意見も踏まえた調査の結果、「使用上の注意」を改訂することが適切と判断され、『「使用上の注意」の改訂について』(平成30年2月13日付 薬生安発0213第1号)により主題製品の「使用上の注意」改訂が指示された。医療用の内容は【副作用 重大な副作用】へ「腸間膜静脈硬化症」の追記及び【重要な基本的注意】に5年以上の長期投与により腸間膜静脈硬化症があらわれることがあるため、定期的にCT、大腸内視鏡等の検査を行うことを推奨する注意喚起がなされた。
新記載要領については平成31年4月から適用となり、すでに承認されている医薬品の添付文書については平成36年3月31日までにできるだけ速やかに改訂を行うこととされている。「医療用医薬品添付文書の新記載要領に基づく改訂相談の実施時期について」(平成29年12月22日付 PMDA 安全第二部事務連絡)により医薬品毎に新記載要領に基づく改訂相談の実施時期が提示された。漢方製剤は平成32年度下期より、刻み生薬は平成33年度下期より相談が受け付けられる予定である。また、記載要領改訂に伴うSKW サイトの改修も同時に進められており、2月~4月に新XMLスキーマを使用したパイロットテスト1が行われ、漢方・生薬製剤については日漢協安全性委員会が参加して対応している。また、「医療用医薬品の添付文書等の記載要領に関する質疑応答集(Q&A)について(その1)」(平成30年3月13日付 医薬安全対策課事務連絡)をはじめ、PMDA 安全第二部事務連絡および日薬連より日薬連発第178号が通知され、照合元データを作成する資料がある程度整ったこともあり、安全性委員会ではワーキンググループを立ち上げて医療用漢方製剤の添付文書等記載事項について検討することとした。
広報委員会
委員長 土屋 洋介(株式会社ツムラ)
- 一般市民への啓発活動(平成30年19月~4月)
- 1)一般用ホームページへの問い合わせ件数 16件
- 2)一般用ホームページ新規掲載事項 7件(トピックス3件)
- 3)電話対応 4件
- 4)漢方啓発セミナー
- ①第69回日本東洋医学会学術総会市民公開講座
・案内用チラシ配布のため、会員会社に希望部数を確認 - ②第21回日漢協市民公開漢方セミナー
・4月11日 講師選定のため、日本薬剤師会訪問 - ③CPhI japan 2018
・4月20日 ジャパンライフサイエンスウィーク特別セミナー - マスコミへの対応
- ・原料生薬の国内栽培および使用料等調査(日本経済新聞)
- ・記事化のリサーチ(日本経済新聞)
- ・薬価改定の評価(じほう社)など
- 制作物
- 1)『ニューズレターNo.102』を発刊
- 2)『English Guide』をホームページに掲載
- ホームページ企画部会活動
- 1)日漢協HPにトピックス4件(公式HP3件)記事掲載
- 2)2月15日、日漢協HP リニューアル実施
- その他
- 日漢協関連記事・番組およびHP 更新などについて、事務局を通じて会員会社の窓口担当者に29件の情報提供を実施した。
総務委員長
竹下 真吾
この度、日漢協の新事務所移転の決定と時を同じくして総務委員長を拝命致しました、竹下真吾と申します。
これまで、日漢協の活動としては医療用漢方製剤委員会、保険薬価協議会、広報委員会委員活動をしてきました。
総務委員会は幅広い業務運営を所管しておりますので、日漢協の活動が円滑に行われるよう精一杯務めさせて頂きます。皆様方のご指導・ご協力をお願い申し上げます。
広報委員長
土屋 洋介
この度鈴木前委員長の後を受け広報委員長の任を拝命致しました土屋洋介でございます。
歴代の広報委員各位が築いてこられた実績・人脈を引き継ぐことになり、身が引き締まる思いでございます。
広報委員会のみならず、各委員会の活動・課題を伺い、適切な情報発信と有用な情報共有を心がけ、協会発展のために精一杯務めさせて頂く所存でございますので、皆様におかれましてもご指導・ご協力をお願い申し上げます。
徳島大学大学院 医歯薬学研究部生薬学分野 柏田 良樹 教授
天然物の有効利用を目指した医薬品素材や機能性植物素材の開発研究
工学系に端を発する薬学部
総合科学部、医学部、歯学部、薬学部、理工学部、生物資源産業学部の6学部で構成される徳島大学の歴史は、明治7年(1874)5月1日に創設された徳島師範期成学校に遡ります。その後、幾多の変遷を経て昭和24年(1949)5月31日、旧制の徳島師範学校、徳島青年師範学校、徳島医科大学、徳島工業専門学校を統合し、新制の徳島大学(学芸学部、医学部、工学部)を設置、現在に至っています。文系は総合科学部が唯一の学部で、理系の学部の比重が高いのが特色となっています。
日本薬学の祖・長井長義博士の進言と尽力
薬学部の歴史もユニークこのうえありません。大正11年(1922)10月20日に創設された徳島高等工業学校応用化学科製薬化学部を前身としています。我が国では例のない工学系に端を発する国立大学薬学部であり、薬の創製(創薬)を目的に設立されました。徳島高等工業学校に製薬化学部の創設を進言し、尽力したのが徳島出身で、エフェドリンの発見者であり、日本薬学会の初代会頭を務め、日本薬学の祖と言われる長井長義博士でした。
以来、昭和12年(1937)に製薬化学科、同19年(1944)に校名が徳島工業専門学校に変わったのを機に製薬工業科に改組、そして、昭和26年(1951)に工学部より分離独立して今日の薬学部となりました。
医学部、歯学部とともに蔵本キャンパスにある薬学部は薬学科(6年制)と創製薬科学科(4年制)からなり、薬学が関係する諸分野の連携を基盤に、自らの活躍の場を積極的に開拓できる能力に溢れた人材「インタラクティブYAKUGAKUJIN」の育成を教育方針の柱としています。
医薬品シード化合物の探索研究
柏田良樹教授
長井長義博士を顕彰するコーナー
薬学部実験研究棟
研究室は柏田教授、田中直伸准教授、薬用植物園担当の技術専門職員、博士後期課程6名、博士前期課程6名、学部生4名で構成されています。
現在、「天然物の有効利用を目指した医薬品素材や機能性植物素材の開発研究」をテーマに、以下の研究に取り組んでいます。
①医薬品シード化合物の探索研究
新規医薬品シード化合物の発見を目指して、世界各地の薬用植物や海洋生物に含まれる特異な化学構造や生活活性をもつ新規天然物質の探索
②植物成分をリードとした医薬品創製研究
植物成分を医薬資源とした化学的修飾により抗エイズ薬や抗がん剤耐性克服薬などの医薬品創製
③民間薬の薬効の科学的検証
未だ解明されていない民間薬(ミソナオシ)の薬効成分を科学的に解明
④ヘルスケアに有効な未利用植物資源に関する研究未利用植物資源を素材としたヘルスケアに有効な機能性食品の開発
この他にも絶滅危惧植物の研究にも勤しみ、今後の成果が期待されています。
表紙の応募作品 今回惜しくも選に漏れた作品をご紹介します。
【名知らずの花】 |
【アツミゲシ】 |
【シャクナゲ】 |
【くず咲く】 |
【フジの花】 |
※皆さんフルってご応募ください!!
私の健康法 女優 由美かおる さん
西野流呼吸法で病気しらず
今、凝っているのがアコーディオンです。年内にCDを出す予定です。ピアノは持って行けませんけれど、アコーディオンなら世界中、何処にでも持って行けます。夢なんですが、その国々の歌を母国語で歌いたいと思っています。 |
●かつて、男性のアイドル、今、女性の憧れの的
いつまでも若々しく、美しくありたい…、古今東西、女性の永遠の願いとされるこの願望を見事に体現しているのが由美かおるさんその人である。1950年(昭和25)生まれだからアラフォーならぬアラ古稀。ほどなく70歳に手が届く年齢ながら15歳の時と体形が変わっていないそうだから、驚きというよりも称賛に値すると言っても過言ではないだろう。
「15歳の時の服が今でも着られます。スリーサイズも変わらないですし、体重もほぼ一緒です」
京都駅にほど近い世界遺産の東寺界隈に生まれた。「おばあちゃんに連れられ、お寺の境内でよく遊びました。弘法さんにもよく行きました」
クラシックバレエを始めたのは3歳の時だった。中学生の時に西野バレエ団に入り、15歳で当時の人気TV番組『11PM』にプリマとして出演。一躍、男性のアイドルとなり一世を風靡した。その後、25年間にわたり『水戸黄門』で疾風のお娟役を演じ、お茶の間の人気者となった。その入浴シーンが耳目を引いたことは記憶に新しい。
●「生涯青春」をモットーに
中高年女性のみならず若い女性の憧れの的と言われる昨今は、師である西野皓三氏が創始した西野流呼吸法の講師として東奔西走する日が多い。「生涯青春」をモットーに、「生きていることが有難い」と、いつも感謝の念を抱き日々を過ごし、「100歳青春」を目指している。今日まで病気らしい病気をしたこともなく、元気そのもの。
朝、目が覚めると、まず行うのが西野流呼吸法だ。ベッドに横になり、ストレッチを兼ねた呼吸法で身体をほぐし、起きあがってから基本の呼吸法に移る。
起床は平均7時頃で、床に就くのは12時前後。「最近は夜が明けると自然に目が覚めるようになりました。水戸黄門のレギュラーの頃は5時起きでした」
食べ物にも好き嫌いがなく、「なんでも好きです。嫌いなものはありません。特に旬のものが好きです。人間も自然の一部ですから。今頃は筍が美味しい」
お酒は付き合い程度で深酒はしない。食事も満腹までは食べず、9分目ほどで抑さえ、何よりもバランスを大切にしている。「食べ過ぎそうになると身体が教えてくれるんです。もういいでしょう、って」
デビューから50年余、これまで. 病気とは縁がなかったが、風邪を引きそうになった時にのむのが葛根湯、昔は身体を温める当帰芍薬散を常備薬にしていました。
「最近は風邪も引かなくなりました。どちらかと言えば、天真爛漫で、ケセラセラ、何とかなるさ、と思っています」
プロフィール
1950年(昭25)11月12日 京都市生まれ。血液型A型。芸能活動以外にも厚生大臣の私的諮問機関「国民健康会議」委員、旧厚生省「医療審議会」委員、大阪国際女子大学客員講師などを歴任。合気道4段。
著書:『由美かおるの「スリムな体で弾む毎日」』、『由美かおる ラビアンローズ』他、多数。