101号 (第34巻 第2号)2017年10月
厚生労働省 大臣官房審議官(医薬担当) 森 和彦 |
昨年6月から医学雑誌NEJM が“Changingface of clinical trials” というタイトルで新しい特集企画を開始し、医薬品や医療機器の臨床試験・研究の考え方、方法論、結果の解釈の在り方、臨床開発を取り巻く環境などが大きく変化している現状を紹介しています。
この特集企画の編集には米国FDA の医薬品審査センター長も深くかかわっており、世界の薬事規制をリードして来たFDA も強い関心を持ち、臨床研究の変革の動きに対応し始めているように思えます。
NEJM の特集に掲載される論文に度々登場するのがリアルワールドデータの活用です。今や世界中の医療現場で日々行われている診断・治療により膨大な医療データが電子データの形で記録されています。そのデータの中には実際の医療現場で様々な状態の患者さんに様々な医薬品や医療機器を使用した際の治療効果や副作用・不具合の情報が含まれます。膨大な電子医療情報をビッグデータとして解析する方法が近年急速に発達し、実臨床の場でどんな治療がどのような患者さんにどのように役立っているのかが評価できるようになりつつあります。
もちろん、元になるデータが正確に記録されたものである事や電子データとして集計解析するためにデータの標準化を徹底して進める必要があり、また個々の患者さんにとっては究極のプライバシー情報を守りつつ活用する必要があります。そのための次世代医療基盤法が今年我が国でも制定されたところです。
さて、漢方薬は生薬に含まれる活性成分が多数に渡り、これを個々の患者さんの様々な状態に漢方の診断手法に基づき使用しています。つまり多成分の薬と個人差もあり、日々コンディションが変化する様々な患者さんとの膨大な組み合わせ相互作用の結果として効果も副作用も現れている訳です。組み合わせがあまりに多すぎて限られた症例数で実施する臨床試験だけでは評価が容易ではないことはこれまでの経験からも明らかです。しかし、元々漢方はこれまで長い年月にわたる臨床使用経験の積み重ねを元にして生み出されたものであり、急速に発展しつつあるリアルワールドデータを活用した臨床評価は漢方薬の評価においても有力な手法となると期待されます。これまでは最大でも数千人から数万人程度の特別な状態(臨床試験に参加できる状態であるという意味)の患者さんの限られたデータで行った効果や副作用の評価でははっきりと見えなかったものが、数十万から数百万人のより多様な患者さんの実臨床での診療データを活用することで読み取れる可能性があります。
我が国でも医療情報データベース基盤のMID - NET が来年度から本格稼働し始め、リアルワールドデータを活用した医薬品や医療機器の評価が可能となり始めます。この機会を逃さず新たな手法が漢方薬の臨床評価に応用され、多様な患者さんのニーズに合った適切な漢方治療の革新が進む事を期待しています。
日本漢方生薬製剤協会 副会長 吉川 英樹 |
本年1月に日本漢方生薬製剤協会(日漢協)副会長を拝命し、併せて生薬会議議長を務めさせていただいております。この重責を担うにあたり、皆様からの温かいご支援やご指導に、心から感謝を申し上げます。
ご存知のとおり、日漢協の新しい中長期事業計画2017(5ヵ年計画)-国民の健康と医療を担う-」が本年度よりスタートいたしました。生薬会議では、1委員会、3部会、1検討班の体制で、関係する会議体や専門委員会等のご協力を仰ぎ、最優先課題として掲げられている「原料生薬の安定確保」、「原料生薬から最終製品までの品質確保」を中心に取り組んでおります。
「原料生薬の安定確保」では、原料生薬に関する流通実態を把握し的確な対応を行うことを目的として、会員会社を対象に「第5回原料生薬使用量等調査(平成27年度および28年度分)」並びに「日本産および中国産生薬の購入価格並びに日本産生薬の生産希望品目に関する調査」を進めております。特に後者は、生薬の国内生産の推進・拡大を妨げている大きな要因として、“ 希望取引価格帯が漠然としている” ことが挙げられており、生産者がより具体的な生産計画を立てられるよう、また研究者らの生産コストに対する研究、実証の目標となるよう、その明確化に取り組んでいます。
また、今年度も農林水産省の薬用作物等地域特産作物産地確立支援事業を受託する組織として日漢協と一般社団法人 全国農業改良普及支援協会(普及協会)とで設置した「薬用作物産地支援協議会」(協議会)により、薬用作物の産地化を目指した支援活動を実施いたします。
「原料生薬から最終製品までの品質確保」の原料生薬に関しては、中国の栽培生薬に使用されている農薬の実態調査を継続し、的確に対応を進めてまいります。また漢方製剤や生薬製剤の品質はその原料となる生薬に大きく依存し、生薬そのものの品質はそのもとになる薬用植物の生育環境や加工調製等に大きく影響を受けることから、これらの過程を重視した日漢協版GACP(薬用植物の栽培と採取,加工に関する手引き)の啓発活動の推進にも努めてまいります。
健康寿命の延長や高齢者医療等において、漢方製剤や生薬製剤への期待がますます高まる中、生薬が担う役割は極めて大きいと認識いたします。上述以外にも、最大の調達先である中国との良好な関係構築やISO/TC249の国際対応、そして日本薬局方等への協力や保健薬価の対応など、関係する会議体や委員会、協議体等と連携して取り組まなければならない重要な事項も多くあります。
これからも「原料生薬の安定確保」、「原料生薬から最終製品までの品質確保」を主とした課題解決に向けて、加藤会長の迅速かつ的確なご判断のもと、会員会社様のお力添えをいただき、関係行政や関係機関のご指導を仰ぎながら、誠実に取り組んでいく所存です。
今後とも、ご支援ご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
(株式会社ウチダ和漢薬 代表取締役社長)
医療用漢方製剤会議
医療用漢方製剤委員会 委員長 長谷川 久(株式会社ツムラ)
- 流通適正化部会
- 教育研修部会
- 「MR漢方教本Ⅰ」改訂の是非について
MR漢方教本Ⅰの必要性について、アンケートを取る場合に、対象をどこにするかを諮る予定。(会員会社や配布実績のある医育機関など)(8月)改訂の必要ありと判断された場合に、参考文献を選定し、どのように制作を行うか諮る。
その他、漢方教本Ⅰのスライド(2013年制作)を、各医学教育機関で使用できるようにすることが可能かを諮る予定。図表の許諾をいかに取るかが大きな問題となる。 - MRの教育研修に活用できる生薬園の見学
1) 5月30日 小石川植物園(薬園保存園)を視察し、様子はトピックスにてAipoに掲載した。
2) 各部会、委員会で視察を行っているが、「生薬の学習が出来る施設一覧」としてまとめて閲覧が出来るよう検討を行う。 - 研修会の予定
1) 10月研修会
添付文書改訂に関する概要と注意点 10月5日(木)予定
2) 12月研修会
生薬の安定供給に関わる研修 12月6日(木)予定 - 有用性研究部会
- PMDA(医薬品医療機器総合機構)の添付文書情報(2016年5月11日時点)を基に「医療用漢方製剤2016─148処方の添付文書情報─」(2014年版の改訂)の英語版を作成。2017年7月12日に日漢協ホームページに公開した。
- 日本東洋医学会EBM 委員会への協力として、「漢方治療エビデンスレポート」のAppendix 2015英語版の作成を終え、学会ホームページに公開。全面改訂のEKAT2016の公開は秋頃の予定。
製薬協が本年度中にコード・オブ・プラクティスを改定することが決定した。日漢協も併せて「日漢協コード・オブ・プラクティス」を改定することとし、流通適正化部会内にプロジェクトを発足させ、本年度中に改定版を出す予定とした。
「日漢協コード・オブ・プラクティス」を日漢協ホームページに掲載し、一般の人にも閲覧可能とした。厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課の石井広告専門官へ日漢協でのご講演を依頼した。当初は9月理事会後の講演を予定したが、広告専門官の予定が合わず、医療用漢方製剤委員会と一般用漢方製剤委員会とコード審査会の合同の講演会とする予定である。
生薬会議
生薬委員会 委員長 白鳥 誠(株式会社ウチダ和漢薬)
- 農林水産省の平成28年度予算「薬用作物等地域特産作物
- 薬用作物の産地化に向けた地域説明会および相談会
農水省平成29年度予算「薬用作物等地域特産作物産地確立支援事業」のひとつ「薬用作物産地支援体制整備事業」の事業内容等を確認すべく、6月19日に「第1回薬用作物産地支援体制整備検討会」を開催した。
この検討会は、(一社)全国農業改良普及支援協会(以下、普及協会)と当協会とで設置した「薬用作物産地支援協議会」(以下、協議会)が主催し、検討委員に薬用植物栽培の有識者を迎え、今年度の協議会の事業方針や計画などの確認を行った。
検討委員の川原先生(医薬基盤健栄研・薬用植物資源研究センター長)、酒井先生(岐阜薬科大学教授)ら5名の薬用植物の専門家と、農水省、厚労省からもオブザーバー参加いただき、今年度の事業である専門相談員による事前相談窓口の運営、地域説明会および相談会の実施、栽培技術研修会の実施、調査・分析等の活動内容や計画について活発な意見交換の後、事業計画が了承された。
表1.地域説明会の開催日程
表2.地域説明会のプログラム
当協会の担当事業である「薬用作物の産地化に向けた地域説明会および相談会」(以下、地域説明会)の今年度開催日程を表1に示した。9月13日の北海道を皮切りに11月30日の北陸まで全国8ヵ所で開催する。
なお、昨年度の「地域相談会」という名称は、相談がなければ参加できないのかとの意見があったことから、「薬用作物の産地化に向けた地域説明会および相談会」と名称を改め、二部制で開催する(表2)。第一部は薬用作物に係る説明会で、農水省、厚労省と医薬基盤健栄研からの説明に続き、当協会からは国内産生薬の希望取引価格、マッチング成功事例などについて説明する予定である。第二部では、生産者を対象に個別相談会を実施する。
この地域説明会の開催案内については、より多くの人に興味を持ってもらうため、協議会ホームページで掲載することはもちろん、普及協会のネットワークも活用することとした。また、農水省生産局地域対策官から都道府県担当部署への協力要請をしてもらい、協議会からも都道府県農政関係部署に市町村や関係機関等への連絡をお願いした。さらに当協会広報委員会からマスコミリリースを行った。
一般用漢方製剤会議
一般用漢方製剤委員会 委員長 長島 義昌(クラシエ薬品株式会社)
- 一般用漢方製剤委員会:一般用漢方製剤会議・委員会開催
- 会議 平成29年4月27日(木)開催
- ・平成29年度一般用漢方製剤会議の活動計画および経費予算計画承認された。
- ・平成28年度会議、委員会、部会活動報告が行われた。
- 委員会 平成29年4月27日(木)、7月28日(金)開催
- ・平成29年度一般用漢方製剤会議の活動計画・予算
- ・各部会からの活動報告
- ・中長期計画2017(5ヵ年計画)、平成29年度日漢協事業計画
- ・一般薬連:セルフメディケーション推進活動結果報告
- ・生薬製剤委員会主催講演会について
- ・その他連絡事項
- 処方部会
- 追加処方使い分け資料内容のまとめ
- ・新210処方の使い分けシート:追加81処方のシート作成が終了。13領域に分類したものを1つのPDFにまとめ「一般用漢方製剤承認基準 追加処方検討シート(第1案) 」とした。
- ・追加処方使い分け資料内容のまとめ:追加処方を13領域別にまとめた資料について検討した。
- 今後の検討課題につき協議
- ・処方数が足りないカテゴリーに使える処方を探す。
- ・使い分け資料の分析を行い、OTC 製品として商品化しやすい効能効果の見直しを提案。
- ・新210処方に追加する処方案の検討。各種文献より新210処方外の処方候補を探し、内容を検討する。
- 適正使用推進部会
- 平成29年度一般用漢方製剤会議の活動計画
- 「使用者確認票」裏面英訳作成について
- ・内容、文書フォームの最終確認
- ・HP搭載、活用方法の検討
- ・平成29年度方向性の確認
- 「使用者確認票」(シート)
- ・活用策の検討
- その他連絡事項、トピックス等
- ・連絡事項、トピックス紹介、共有化。
- その他
- 日薬連―セルフメディケーション推進タスクフォース
- <検体測定室普及促進活動結果報告(HbA1cの検体測定室設置)>
- ・目標例数の3,000例は大きくクリアし、累計受検者数は3,552名となった。
- ・糖尿病予備軍以上の方に受診勧奨を行った。
- ・受診一か月後にアンケートを回収し、受診割合等のデータを分析した。
- ・受診勧奨対象者は616名、実際に医療機関を受診したのは110名で、受診勧奨成功率は17.9%であった。
- ・検体測定室による医療機関への受診勧奨により、糖尿病の早期発見、早期治療が可能になることが示唆された。
- 局外生規作成WG
- ・局外生規2018に向けた検討が開始された。
- ・5月よりWG を開催、検討を行っている
- ・未収載生薬の収載並びに既収載生薬の見直しをさらに推進する。
- 国立衛研訪問:「一般用漢方処方の確認票」の活用について検討
- ・既存作成物、「一般用漢方処方の確認票」(下敷)・「一般用漢方処方の鑑別シート」(冊子)の有効活用につき検討。講演会等で基本的に薬剤師を対象に配布する。
- ・「一般用漢方処方の確認票」39処方一覧の冊子作成についても検討していく。
処方部会 集合写真
適正使用推進部会 集合写真
生薬製剤会議
生薬製剤委員会 委員長 和田 篤敬(小林製薬株式会社)
佐賀県玄海町 薬用植物栽培研究所の
視察(2017/6/17)
生薬製剤の活性化を目標に、その範囲拡大と開発環境の整備について検討を進めており、「当帰川芎製剤(実母散等) 承認基準(案)」と、その提案資料を取りまとめてきた。引き続き、制度研究部会では当帰川芎製剤 承認基準(案)における生薬の組合せについて、生薬製剤の承認前例や既存承認基準の情報を基にマトリクス表に整理し、その約8割が網羅されていることを見い出し、本承認基準(案) 提案資料への追加を検討している。製剤開発部会では、本承認基準(案)への新たな収載候補として30生薬を選定し、これらの基礎情報を取りまとめており、さらに専門医等からの見解が得られないか検討している。
ここで、日本医療研究開発機構(AMED)の創薬基盤推進研究事業の官民共同研究の1つとして、今年度から国立衛研袴塚高志生薬部長を代表研究者とする「配合生薬エキス製剤の実用化推進に資する品質評価技術基盤の開発研究」が取り組まれることとなり、第1回の研究班会議が8月18日に開催された。新たに始まった共同研究からの学びを生かしながら、引き続き、生薬製剤の活性化に向けて取り組んでいきたいと考えている。
6月17日に幹事会メンバーで、佐賀県玄海町の薬用植物栽培研究所を視察した。九州大学等と進めているカンゾウの栽培研究などの取り組みに関してご説明いただくとともに、長崎国際大学薬学部正山征洋先生が設計された薬草園をご案内いただき、知見を深めることができた。
原薬エキス会議
原薬エキス委員会 委員長 佐々木 博(日本粉末薬品株式会社)
- 日局キキョウ流エキス等の改正案 日局キキョウ流エキスの改正案について引き続き検討を行った。改正案のポイントは製法の項に工業的製法を追記することである。生薬の切度、製造に用いるエタノールの規格、TLC 法による確認試験を検討し、また新規項目としてアルコール数を設定するなどしてほぼ最終案を作成した。また、現行の薬局製剤用製法と工業的製法により製したキキョウ流エキスについて比較データを収集し、国立衛研に事前確認した上で、7月25日の生薬等B委員会に提案した。その結果、一部文言の修正はあったが改正案が了承された。本年9月に意見公募される。
- 局外生規2018 本年5月25日に国立衛研、日漢協、日生連、東京生薬協会など関連団体が参加して第1回局外生規2018作成WG( 以下、作成WG)がキックオフされた。また、7月24日に第2回作成WGが開催された。
平成29年4月26日に原薬エキス会議を開催した。会議では「中長期事業計画2012(5ヵ年計画)」報告および「中長期事業計画2017(5ヵ年計画)」、並びに平成29年度原薬エキス会議事業計画および予算案の審議、また平成28年度事業報告、日局関係や局外生規2018等について報告を行った。
また、本年度第1回原薬エキス委員会を4月26日に、第2回委員会を6月21日に開催した。委員会では、日局キキョウ流エキス、カンゾウエキスおよびカンゾウ粗エキスの改正案、局外生規2018等について引き続き検討を行った。
また現在、カンゾウエキスとカンゾウ粗エキスの改正案について検討中である。これらも製法の項に工業的製法を追記することが主眼で、本年中には改正提案したいと考えている。
第2回作成WGでは、第1回で決められた各担当からガジュツ末など幾つかの生薬の収載案の提案があった。また当委員会担当項目のアカメガシワエキスとウラジロガシエキスの改正については、取り扱い会社に確認した上で改正案を了解した旨回答した。メリロートエキスの定量法については、取り扱い製造販売会社が作成WGに参加し、UV法からHPLC法に変更することが確認された。
単味生薬エキスの収載要望品目については、当委員会で調査した結果などを勘案し、単味生薬班からイカリソウエキス、オウギエキス、ショウキョウエキスおよびチョウトウコウエキスの4品目を優先的に収載したいとの要望があった。さらに検討の結果、イカリソウエキス、ショウキョウエキスおよびチョウトウコウエキス(いずれも水製乾燥エキス)について、当委員会参加会社が保有する保存品を用いて収載原案の追試験を実施することになった。現在、作業を急いでいる。
なお、第3回作成WGが8月29日に開催され、第4回は10月上旬に予定されている。
コード審査会
代表委員 松塚 泰之(クラシエ薬品株式会社)
コード審査会では、平成28年製品情報概要等の審査結果を平成29年5月に厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課 江野課長補佐、石井広告専門官に審査会レポートNo.5を持参して報告を行った。また、石井広告専門官へ日漢協でのご講演を依頼した。
平成29年度の製品情報概要等の審査方法等について昨年同様に実施することとした。厚生労働省で行われた平成28年度の広告モニター制度の報告書が公表され、一部製薬企業に行政指導が入ることになったが、日漢協加盟会社は対象先が無かった。しかしながらMRの口頭説明や説明会で映したスライドの内容等で不適切であると指摘があるので、会員会社へ注意喚起を行った。
保険薬価協議会
委員長 丸木 希望(株式会社ツムラ)
4月1日付で、経済課の課長補佐が2人異動となった。4月10日に、新任の飯村課長補佐、松野課長補佐に面会し、「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」提言書の内容、日漢協の状況等を説明し、理解を深めていただいた。また、原料生薬の産地の複線化、研究・ガイドラインの推進、薬価制度改革対応等に関し意見交換した。
5月30日に厚生労働省医政局経済課の大西前課長、飯村課長補佐、松野課長補佐、田村係長と面会し、医療用漢方製剤・生薬製剤の基礎的医薬品への適用、生薬の不採算品再算定への適用に関し、日漢協の考え方をお伝えし、意見交換を行った。
7月4日に、日薬連保険薬価研究委員会の加茂谷委員長、上出副委員長と面会し、5月30日の厚生労働省医政局経済課の大西課長他との面談内容を報告し、今後の対応について意見交換を行った。
7月19日から20日にかけて、日本医師会、日本薬剤師会、健康保険組合連合会の役員の方々と面談し、「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」提言書の内容と医療保険制度における位置付け等に関し説明し、ご理解を深めていただいた。
国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクト
プロジェクトリーダー 坂上 誠(株式会社ツムラ)
昨年度、一般社団法人日本東洋医学会と共催してきた「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」は、昨年8月から3回の研究会(がん領域、高齢者医療、品質保証と安定供給)、フォーラムを開催し、漢方を取り巻く課題と対応策について、医学・薬学等の先生からご講演をいただき、活発な議論を行い、提言書を取りまとめた。
提言書は、漢方製剤等の必要性、研究の推進、品質確保と安定供給に向けた取り組み、医療保険制度における位置づけ、海外展開の推進、産官学・国民との連携を大項目として整理された。
国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクト(以下、漢方将来ビジョンプロジェクト)は、提言内容を着実に実行し、漢方の課題解決を図ることで、国民の健康と医療に貢献するとともに、漢方の持続的発展を目的とし横断的に立ち上がった組織である。
漢方将来ビジョンプロジェクトは、平成29年6月1日、6月20日、8月1日に開催した。
主たる内容は、漢方将来ビジョンプロジェクトの進め方について意見交換を行った。
漢方将来ビジョンプロジェクトの組織編成(7チーム)、プロジェクトに係るメンバー、各チームにおける工程表の検討を行った。
- 漢方将来ビジョンプロジェクトの組織編成(7チーム) 漢方将来ビジョンプロジェクトの組織について検討している。ビジョン、エビデンス、承認ガイドライン、国内栽 培、医療保険、日本オリジナル、産官学・国民の7チームより編成され、各チームが提言書の内容に沿った具 体的活動項目の検討を行った。
- チームにおける工程表の検討について 漢方将来ビジョンプロジェクト7チームの具体的活動項目に時間軸を併せた工程表を作成し検討を行った。
7月21日に開かれた正副会長会、理事会において、6月1日、20日の漢方将来ビジョンプロジェクトの開催内容について報告した。
総務委員会
委員長 菅沢 邦彦(株式会社ツムラ)
- 「中長期事業計画2012(5ヵ年計画)」の最終報告と「中長期事業計画2017(5ヵ年計画)(案)」を第35回定期総会に上程し承認いただいた。
- 平成29年度日漢協事業計画(案)および平成28年度事業報告を第35回定期総会に上程し承認いただいた。
- 諸規程の策定・見直しについて 会則「第23条(設置)」の一部改正(案)と「入会に関する規程」の一部改正(案)を、第203回理事会、第35回定期総会に上程し承認いただいた。
- 総務委員会環境部会部会長が以下のとおり交代となった 前任 ㈱ツムラ 歌川博幸 部会長
- マンパワー不足への対応(総務・広報・国際各委員会)について検討した。
- コンプライアンスの充実に向けた対応について検討した。
- 「漢方製剤等の生産動態」(平成27年度)を作成し、会員会社に配布した。
- 講演会の開催について 第204回理事会後に以下のとおり講演会を開催した
- 総務委員会の勉強会について 総務委員会の魅力化を図るため、行政、関係諸団体の方々をお招きして定期的に勉強会を行う。第1回目は、8月度総務委員会にて以下のとおり行った。
新任 ジェーピーエス製薬㈱ 菅野隆 部会長
日時: 平成29年7月21日( 金)16:00─17:00
場所:KKRホテル大阪 2階琴の間
演題:安全対策の最近の動向について
講師: 厚生労働省医薬・生活衛生局 医薬安全対策課 課長 佐藤大作様
日時: 平成29 年8 月22 日( 木)16:00─17:00
場所: 日漢協 会議室
講師: 厚生労働省医政局経済課 課長補佐 松野強様
演題: 厚労省経済課の業務と最近の取り組みについて
国際委員会
委員長 塩本 秀己(大正製薬株式会社)
国際標準化機構(ISO)に中国伝統医薬の国際標準化を議論する専門委員会(ISO/TC249)が2009年に開設され、年1 回、その総会が開催されてきた。今回、第8回総会が中国・香港で、6月5日~8日の4日間開催された。会議は、日本代表団31名を含む、13か国(中国、韓国、米国、独、濠など)、235名が参加し、専門的な議論を重ねられた。その中で、生薬原料、生薬配合製剤に係る試験法や製造法に関わる国際標準が検討されているが、日本薬局方などの国内法に影響が生じる案件はないことを確認している。(日漢協ホームページの「日漢協トピックス」ページに掲載していますのでご覧ください)
また、一般社団法人日中協会より、「広西チワン族自治区漢方薬品質基準、製造・販売指導・監督研修団」の研修依頼があり、7月26日に日漢協会議室において、漢方製剤・生薬製剤、生薬の安定供給等の取り組みを話題に交流会を行いました。
技術委員会
委員長 松本 和弘(株式会社ツムラ)
日局収載候補の漢方処方エキスについては、候補18品目のうち白虎加人参湯と呉茱萸湯2品目を優先品目に選定し、規格および試験方法を検討中である。また、生薬委員会と当委員会が協力して検討したキクカとインチンコウの生薬の性状の記載変更、テンマの基原に湯通しを追記することが、生薬等委員会で了承され9月に意見募集される(日局17第二追補で改正予定)。
厚生労働科学研究「GMP, QMS, GTP 及び医薬品添加剤のガイドラインの国際整合化に関する研究」のうち、2016年度から参画した「品質リスクマネジメント及び医薬品品質システムに関する研究」の成果として、漢方生薬製剤に特有なリスクアセスメントの事例がPMDA のホームページに掲載された。また、「GMP 省令改正」については2017年度も継続検討される。
生薬管理責任者育成の一環として、生薬品質部会主催で東京薬科大学薬用植物園(本年5月)、森野旧薬園および株式会社前忠栽培畑(本年7月)の見学会を実施した。
薬制委員会
委員長 栗田 宏一(クラシエ薬品株式会社)
薬事制度に関する事項、漢方・生薬製剤の関連法規及び関係通知の調査研究、関係行政機関及び諸団体との連絡並びに意見具申を基本に活動している。
- 医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施について 平成29年6月26日付け薬生発0626 第3号「医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施について」が発出され、医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施に関する留意事項が示された。
- 医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会 平成29年6月8日、第4回検討会で「中間とりまとめ(案)」が出され、6月21日「中間取りまとめ」が公表された。卸売販売業に関する事項として譲受・譲渡時の対応、営業所の管理、行政機関等への報告等が示され、今後省令(施行規則)改正がなされる予定である。
・総括製造販売責任者に関する事項
・三役体制に関する事項
・品質管理業務に関する事項
・安全確保業務等に関する事項
安全性委員会
委員長 香取 征典(株式会社ツムラ)
- 医療用医薬品添付文書新記載要領について
- 一般用生薬製剤の添付文書等記載事項について
医療用医薬品添付文書等新記載要領については「医療用医薬品の添付文書等の記載要領について」(平成29年6月8日付薬生発0608第1号)、「医療用医薬品の添付文書等の記載要領の留意事項について」(平成29年6月8日付薬生安発0608第1号)及び『「医療用医薬品添付文書の記載要領改正案」に関する意見募集の結果について』(平成29年6月8日付安全対策課)により方向性が示されたところである。
安全性委員会では添付文書届出を迅速に実施できる様、7月末までにモデル(案)及び教科書作成にあたっての問題点、疑問点を抽出して安全対策課と調整を図っている。また、医療用生薬についても「取扱い上の注意」モデル(案)を作成する予定で生薬委員会及び日本生薬連合会とも連携して作業にあたっている。
「一般用生薬製剤の添付文書等に記載する使用上の注意(案)に関する意見募集について」(平成29年6月26日付安全対策課)の題でパブコメ募集され、安全性委員会では何点かの意見を提出した。今後は、「生薬のエキス製剤の製造販売承認申請に係るガイダンスについて」(平成27年12月25日付薬生審査発1225第6号)に基づくエキス製剤の添付文書等記載事項についても検討を予定している。
広報委員会
委員長 鈴木 登(株式会社ツムラ)
- 一般市民への啓発活動(平成29年5月~8月)
- 1)一般用ホームページへの問い合わせ件数 18件
- 2)一般用ホームページ新規掲載事項 16件(トピックス9件)
- 3)電話対応 2件
- 4)漢方啓発セミナー
- ①第68回東洋医学会学術総会における市民公開講座
6月4日 開催
参加者 325名(うち、報道関係 7名) - ②第20回日漢協市民公開漢方セミナー
6月14日 HPに予告を掲載(10月12日開催/四谷区民ホール) - ③第69回東洋医学会学術総会における市民公開講座
7月6日 会頭である後山尚久先生と面会し日漢協の協力について説明 - マスコミへの対応
- 1)5月から8月にかけて11件対応
- 2)日漢協調査についての問合せ(日本経済新聞、朝日新聞、NHK 山口)
- 3)単味エキス製剤の開発について(朝日新聞)
- 4)甘草栽培の国内栽培拡大(山陰中央新報、産経新聞大阪)
- 5)漢方の将来ビジョン研究会関連(日刊工業)
- 制作物
- 1)ニューズレターNo.100を発刊
- ホームページ企画部会活動
- 1)日漢協HPにトピックス12(公式HP9件)記事掲載
- 2)日漢協HPリニューアル検討
- その他
- 日漢協関連記事・番組およびHP更新などについて、事務局を通じて会員会社の窓口担当者に36件の情報提供を実施した。
日東薬品工業株式会社
当社は1947年の創立当時から乳酸菌やビフィズス菌、納豆菌など有用微生物の研究と製品化に取組んでおり、新規株の発見や培養技術の向上に取組むだけでなく、その有用性や菌代謝物についても、様々な大学と共同研究を積極的に行っています。積み重ねられた当社の「菌」の歴史は現在400株以上におよぶ菌株ライブラリーとなり、様々な用途へ活用されています。また、当社はエビデンスファーストな製品開発に注カし、販売は強力な販路を持つ大手製薬会社にライセンスするという「開発提案型」のビジネスモデルを構築し、医療用医薬品をはじめ、一般用医薬品では独自の技術を活かした整腸薬や、薬用人参などを配合した栄養剤など、多くの医薬品を生みだしてきました。さらに2015年には食品分野にも進出し、菓子大手企業と共同開発、菌末の原料供給という形でコラボレーションした製品が大ヒットしました。この商品をきっかけに食品向け乳酸菌末原料のサプライヤーとしても確固たる地位を築くこととなりました。今後は「世界最高のバイオテク企業」としてグローバルな成長を実現していくため、腸内菌叢をターゲットとしたバイオ事業を新たな成長に向けた経営戦略として推進していきます。新任委員長ご挨拶
生薬委員長
白鳥 誠
この度、浅間前委員長の後を受け、生薬委員長を拝命いたしました白鳥誠でございます。
生薬委員会は、原料生薬の安定確保と品質確保の推進を最重要課題としており、各部会長と協力し、生薬の品質に関する事項、薬用作物の栽培(国内外)に関する事項、原料生薬を中心とした流通に関する事項などに取り組んでおります。今後も関係する会議体や委員会、協議体と密接に連携をとり、これらの活動の推進に努めてまいります。
生薬委員長の重責を全うできるよう、誠実に務めてまいりますので、今後ともご指導とご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
安全性委員長
香取 征典
この度、安全性委員長を拝命致しました香取征典と申します。
安全性委員会は、漢方・生薬製剤の安全性確保と適正使用の更なる推進に向けて、会員相互での情報共有、行政及び薬業他団体との連携と意見具申等を中心に活動を行っております。今年度は、平成31 年4 月に控えます医療用医薬品添付文書等新記載要領への対応として医療用漢方製剤148処方の「使用上の注意」業界統一の改訂版の作成、及び一般用生薬製剤・漢方製剤の「使用上の注意」の作成・改訂を中心に取り組んで参ります。
安全性委員会の活動の充実を通じて協会に寄与できるよう、精一杯務めさせて頂く所存でございます。今後とも、格別のご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
プロジェクトリーダー
坂上 誠
国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクト
今年度新たに設置されました国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクト(以下、漢方将来ビジョンプロジェクト)のリーダーを拝命いたしました坂上誠です。
漢方将来ビジョンプロジェクトは、昨年度開催されました「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」の提言書内容を着実に実行し、漢方の課題解決を図ることで国民の健康と医療に貢献すると共に、漢方の持続的発展を目的として組織されました。各委員長、提言に対応する各チームリーダーと横断的に連携をとり活動する所存でございます。不慣れな点が多々ございますが、ご協力とご鞭撻を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
表紙の応募作品 今回惜しくも選に漏れた作品をご紹介します。
【スペイン甘草の花】 |
【丹参】 |
【やまゆり】 |
【オシロイバナ】 |
【ホトトギス】 |
※皆さんフルってご応募ください!!
北海道大学大学院薬学研究院 天然物化学研究室 脇本 敏幸 教授
天然生物活性物質の生命科学への展開
Boys, be ambitious like this old man
「少年よ、大志を抱け…」、W.S. クラーク博士の言葉で知られる北海道大学の歴史は、1876年(明治9)に設立された札幌農学校に遡ります。初代教頭としてアメリカのマサチューセッツ農科大学から赴任したクラーク博士が理念としたのは、「高邁なる大志」、「平等と自由」、「独立心、自律心を持った個の確立」、「フィールド(現場)を重視した応用能力の醸成」でした。
その後、1907年(明治40)に東北帝国大学農科大学、1918年(大正7)に北海道帝国大学と校名が変わり、1949年(昭和24)に今日の北海道大学になりました。
以来、141年、クラーク博士が唱えた教えは、「フロンティア精神」、「国際性の涵養」、「全人教育」「実学の重視」という4つの理念に昇華され、同大学の教育・研究の基本理念となっています。
学部数は国立大学で最多の12学部(文、教育、法、経済、理、医、歯、薬、高、農、獣医、水産)、21大学院を擁しています。敷地総面積も日本一で約6億6000m2で、国土の570分の1を占めています。
生化学面の充実を目標に発足
脇本敏幸教授
大学院薬学研究棟
医薬品資源として有望な
海綿動物の化学防御物質
現在、同学部には16の研究室と創薬科学研究教育センター、臨床薬学教育研究センターがあり、創薬や育薬に必要な研究分野が揃い、多種多様な研究が行われています。
従来の入試に変わり2011年に、新たな試みとして導入され、注目されているのが入学後に学部の移行ができる総合入試制度です。定員50名の薬科学科は35名が、定員30名の薬学科は21名が総合入試、残りの24名は後期試験の学部別入試で選抜されます。合格者はいずれも1年次は総合教育部に属し、同大の開校以来の伝統でもあるリベラルアーツ、幅広い素養を学び、2年次進級時に総合入試では己の適正に合った学部に移行します。学部別入試では学科分属が行われ、成績により薬学科と薬科学科に配属されます。
難培養性微生物の開拓と解析
天然物化学研究室の前身は生薬学研究室です。1955年に薬化学、薬品分析化学講座研究室とともに誕生し、三橋博教授のもとにスタートしました。
現在、同教室を率いるのは2015年に東京大学から赴任された脇本敏幸教授です。講師、特任助教、秘書の4人のスタッフと、ポスドク2名、大学院生7名、学部生8名の21名のメンバーで構成されています。
研究テーマは
・海洋生物の生物活性物質の単離・構造研究
・天然医薬品資源としての難培養性微生物の開拓と解析
・海洋生物由来生物活性物質の生合成研究
・生薬や食品有効成分の作用機序解析と医薬品への有効利用
以上を課題としており、自然の摂理を医薬品開発に応用、展開することを目指しています。今後の成果が期待されています。
私の健康法 エコノミスト、同志社大学大学院ビジネス研究科教授 浜矩子さん
融通無碍で病気知らず
帰国子女のはしりのはしりでした。昨今は差別用語とされ、帰国生というそうですね。所謂ストレスはなく、居眠りが得意で、時差ボケもありませんね。 |
●竹中平蔵氏はゼミの2年先輩
アベノミクスに一貫して異を唱える辛口のエコノミストとして知られ、幅広い知識、広範な視野と分析力に基づく鋭い舌鋒、明快な語り口にファンも多い。経済学を志したのはイギリスから帰国して3年後の1967年(昭和42)、中学2年生の時で、イギリス・ポンドの大幅な切り下げが行われた年だった。「社会科の授業で先生がポンド切り下げについて説明してくれました。その説明が推理小説の謎解きのように面白かったので、経済を学ぼうと決断したんです」 その後、東京都立戸山高校を経て、経済をいちばん勉強できる大学として一橋大学経済学部を選び、山澤逸平ゼミに属した。奇しくもこのゼミには小泉内閣の時に郵政民営化担当大臣を務め、現在はアベノミクスを推進する安倍首相のブレーンである竹中平蔵氏が在籍していた。佐高信氏(当誌93号記載)との共著『どアホノミクスの正体』によると、竹中氏は2年先輩にあたるが、在学中はキャンパスで顔を合わせたことはなかったそうだ。
●座って飲んだくれています
アベノミクスをアホノミクスと名付け、闘うエコノミストとも称される傍ら、同志社大学大学院ビジネス研究科教授として教壇に立っている。日ごろは東京をベースに年に200回を超える講演やメディアへの出演がある中で、週に2、3 日、京都に足を運ぶ。東奔西走、多忙な日々を送っているが、これまで重い病気に罹ったことも、入院したこともなく、時々、風邪をひくくらいで至って健康だ。
「健康法って特にないですね。身体にいいことは何もしませんし、運動もしない。所謂、運動音痴で、逆上がりもできませんでした。物心ついた時から本と共にいました。ただただ座って飲んだくれています」
日頃、起床時間も就寝時間もまちまちだが、遠方での講演がある時以外は7 時半から8 時に起床する。
日々、不規則でその日のスケジュールに合わせて行動するのが常態となっている。
「これが自分のパターンということがありません。融通無碍、何事にも捉われない、何でもあり、何とかなるを旨としており、食べ物に関しても好き嫌いはありません。でも質にはこだわりがあり、おいしいものを頂きたいと思っています」 「ただただ座って飲んだくれています」と酒には目がなく、食べ物ではただ一つ苦手なのものがある。羊羹…。
「漢方薬は特定の目的意識を持つ西洋薬に比べ、ミステリーな部分もありますが、エコな薬というイメージがあります。ただエビデンスペーストに過ぎると人間の感性を狭くしますし、神秘的すぎるといかがわしさがでてきます。医は仁術であるべきと思います」
プロフィール
1952年(昭27)東京都生まれ。1975年一橋大学経済学部卒。三菱総合研究所入社、1990~98年同総研初代英国駐在員事務所長、帰国後、同総研経済調査部長などを経て2002年同志社大学大学院ビジネス研究科教授。2012年同ビジネス研究科長就任。近著に『どアホノミクスへ 最後の通告』(毎日新聞出版)、『アホノミクス完全崩壊に備えよ』