98号 (第33巻 第2号)2016年9月
日本製薬団体連合会会長 多田 正世 |
本年5月に、日本製薬団体連合会(日薬連)会長に選任頂きました多田正世でございます。日本漢方生薬製剤協会(日漢協)の皆さまにおかれましては、日頃より、日薬連の活動に多大なるご協力、ご支援を頂き誠にありがとうございます。厚く御礼申し上げます。
さて、超高齢社会を迎える中、健康長寿社会の形成に向けた取り組みにおいて、漢方医学に基づく治療は、西洋薬にはない効能・効果、自然素材の安心感等から、年々需要が増加しており、国民の健康増進に重要な役割を担っていると理解しております。
ご承知の通り、2015年9月に厚生労働省より策定された「医薬品産業強化総合戦略」において、伝統的な医薬品である漢方製剤は、質の高い製品の安定的な供給が求められております。そのためには、原料である生薬の「品質確保の強化」と「安定確保の推進」に向けた対策は、最も重要な課題であると認識しております。
さらに、2015年12月に示された「がん対策加速化プラン」では、療養生活の質を向上させ、患者さんが無理なく仕事と治療を両立するため、漢方薬を用いた支持療法に関する研究に言及され、科学的エビデンスの集積も求められております。
このような課題や要望に対し、貴協会は加藤会長の強いリーダーシップのもと、様々な取組みを実行されております。
高品質な生薬の安定確保には、その80%超を中国に依存している現状を踏まえ、定期的に中国政府や関係当局等と意見交換を行い、品質強化や安定供給にむけた取組みを実施されております。また国内では、生薬栽培の推進を支援する取組みに注力されております。その他、科学的エビデンスの集積についても、日本東洋医学会に協力しエビデンスレポートの作成、ガイドラインへの反映に尽力されております。
これらの取組みを推進することは、生薬および漢方製剤等の品質を強化し、漢方医学による治療を安定的に供給できる環境を作り上げ、ますます国民の「心と身体の健康増進」に寄与すると考えております。
加えて我が国は、超高齢化・人口減少などに対応する持続可能な社会の実現を目的に「地域包括ケアシステム」の構築を目指しております。高齢者が、住み慣れた地域で最期まで自分らしい生活を送ることができる社会を実現するために、どのような役割を果たされるのかは大変重要な課題ではないかと考えております。今後高まるニーズに対して、貴協会が主体的に取組んで頂けることを期待しております。
最後になりますが、本年は漢方製剤が医療用医薬品として、薬効分類に新設されてから40年という節目の年であると伺っております。
この記念すべき年に、健康長寿社会の形成に向け一翼を担われる貴協会が、独自性を活かし、さらなる飛躍を遂げられるよう、日薬連として連携していきたいと考えております。
日本漢方生薬製剤協会 副会長 鈴木 一平 |
私は、本年6月に、大西政夫の後を引き継ぎ小太郎漢方製薬株式会社の社長に就任いたしました鈴木一平と申します。
このたび、日本漢方生薬製剤協会副会長の重責を担わせていただくことになりました。就任にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
弊社は、1957年に漢方エキス剤を販売して以来、医療用では、漢方エキスの細粒剤や錠剤、カプセル剤を、一般用では、細粒剤はもとより液剤や軟膏剤を開発するなど、医療関係者や消費者のニーズに応じた多くの処方を販売して漢方の普及に努めてまいりました。これからも「漢方をよりよく、より多くの人に」の社是のもと、日本漢方の継承と普及に努めてまいります。
日本漢方生薬製剤協会において、本年度は「中長期事業計画2012(5ヵ年計画)」の最終年度となっております。また、平成29年度から始まる「中長期事業計画2017(5ヵ年計画)」の策定を行うこととなっております。この計画中の重点課題に、「原料生薬の安定確保」、「原料生薬から最終製品までの品質確保」がございます。
「原料生薬の安定確保」については、一昨年に訪中団を再開して以来、お互いに隔年ごとに訪問して理解・交流を深めており、本年6月には第7回中国国際健康・栄養保健品展示会に合わせて訪中して更なる親交を深めました。一方、国内栽培につきましては、農林水産省の「薬用作物等地域特産作物産地確立支援事業」において、全国農業改良普及支援協会との協同事業として協議会を設置して、国内生薬栽培の産地確立に向けての取組みを推進しております。
もう1つの重要課題である「原料生薬から最終製品までの品質確保」については、我が国のPIC/S加盟に伴い、医薬品品質システム(PQS)の構築が急務となっており、関係団体とも連携して更なる品質確保に取組んでまいります。
この2つの重点課題につきまして、微力ではありますが副会長として、しっかり取組んでまいる所存です。会員各社の皆様にはご協力のほどよろしくお願いいたします。
また、本年は「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」を開催することになっております。幅広い方々に漢方について正しく認知していただく非常に重要な研究会です。このような重要な催しが行われるおりの副会長交代となりご迷惑をおかけいたしますが、日本漢方生薬製剤協会顧問となりました弊社会長の大西政夫とも役割分担しつつ、副会長会社として対応してまいります。
会員各社の皆様には、引き続き暖かいご指導・ご支援を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。
(小太郎漢方製薬株式会社 代表取締役社長)
医療用漢方製剤会議
医療用漢方製剤委員会 委員長 長谷川 久(株式会社ツムラ)
- 流通適正化部会
- 6月17日に東京薬業年金会館で製薬協製品情報概要審査会 中垣友宏氏を招いて「製品情報概要等に関する作成要領他」と題し、わかりやすい解説を交えてご講演いただいた。
- 医療用医薬品の販売包装単位での製造番号、有効期限と元梱包単位の商品コード、製造番号、有効期限、数量のバーコード対応について6月にパブコメを行い、8月には通知が発出する予定である。また、日薬連「バーコード利活用流通検討プロジェクト」より会員会社の現在の対応状況についての確認と今後の各社の対応予定について意見を集約して、同プロジェクトへ提出した。
- 臨床研究法案の動向(内容・成立時期等)について、会員各社と情報を共有した。
- 教育研修部会
- 前年度にMR漢方教本Ⅱの改定を実施したため、前回の改訂時と同様に「学習確認のためのドリル」を改訂することとなった。「漢方教本」のドリルの存在については、あまり知られていないと考えられ、今回改定後には広くお知らせをする必要がある。
- 6月9日(木)に東京都薬用植物園を視察した。
東京都薬用植物園は、漢方製剤に使用されている生薬を、非常に理解しやすく栽培しており、研修や生薬の学習、あるいは情報提供題材を収集する場としても活用するべきであると考える。
事前に講義の予約をしておくと、生薬に関する薬能や雑学まで解説いただけるため、MRの教育をする場としても十分な環境が整備されている。
特に漢方製剤や、市販薬、サプリメントなどのセクションに分けて植栽されており、当該企業の研修としても非常に学習しやすい。ほぼ通年、四季それぞれの薬用植物を観察できることから、複数回見学に行くと効果的である。 - 有用性研究部会
- PMDA(医薬品医療機器総合機構)の添付文書情報(2016年4月7日時点)を元に「医療用漢方製剤 2016-148処方の添付文書情報-」(2014年版の改訂)を作成中。本年中に日漢協ホームページに公開する予定。
- 日本東洋医学会EBM委員会への協力として、「漢方治療エビデンスレポート」のAppendix 2015を秋頃に公開予定。全面改訂となるEKAT 2016については、対象論文をピックアップ中。また、「漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン2016」は、医中誌で検索されたガイドラインも含め、調査を概ね終了。本年中の公開に向け、まとめの作業を行っている。
生薬会議
生薬委員会 委員長 浅間 宏志(株式会社ウチダ和漢薬)
- 農林水産省の平成28年度薬用作物に関する支援事業
- 原料生薬使用量等調査報告書(4)の作成
- 第3回中国産生薬の使用農薬調査
協議会の様子(挨拶は坂野協議会会長)
平成28年度の農水省「薬用作物等地域特産作物産地確立支援事業」中の「薬用作物産地支援体制整備事業」に、一般社団法人全国農業改良普及協会(以下、普及協会)と日漢協共同で「薬用作物産地支援協議会」(以下、協議会)を設置して事業に応募したところ採用となり、産地支援体制整備事業を担うこととなった。
協議会の事業のうち“常設の事前相談窓口の設置”と、ブロック会議の次ステップである“地域相談会の実施”が日漢協担当項目となり、その企画立案と運営支援のため日漢協内に新たに「薬用作物産地支援対応WG」を設置した。6社7名が委員として参加し、日漢協事務局を加えて具体的活動の企画立案や運営に取り組んでゆくこととなった。また、常設相談窓口として専門相談員を募集し、樋口正視氏(元ツムラ、元日漢協生薬副委員長)が採用された。6月27日に協議会が開催され、会長の坂野雅敏氏(普及協会会長)、副会長の渡邊喜久彦氏(日漢協常務理事)をはじめ、外部研究機関から川原信夫先生(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所薬用植物資源研究センター長)、佐々木陽平先生(金沢大学医薬保健研究域薬学系准教授)ら7名の委員が出席し、また農水省、厚労省からもオブザーバー参加があり、協議会の活動実施計画などについて検討が行われた。
現在、第4回調査(平成25~26年度分)の結果を取りまとめている。同時並行で報告書(冊子)の発行準備を進めており、報告書の発行は10月を予定している。
中国産生薬の使用農薬調査の第三弾としてサンシシ、サンシュユおよびハッカについて現地調査を実施したが、平成27年度にまず国内に流通している中国産ハッカを対象に、(一財)日本食品分析センターにて残留農薬分析を実施した。この分析結果と委託先からの調査報告書(中国医薬保健品股 有限公司)を照らし合わせ、日本のポジティブリストも参考にして、中国産ハッカの産地周辺の作物栽培状況、前作物等について再確認する予定である。
一般用漢方製剤会議
一般用漢方製剤委員会 委員長 西山 隆(クラシエ薬品株式会社)
- 一般用漢方製剤委員会
- くすり相談部会
- 事例報告G 相談、苦情への回答・対応の検討
- トピックスG トピックスの収集と共有化を行った。
- 一般用漢方製剤の「相談事例集Q&A第4集」の作成 前回の修正案及び次の担当設問の回答案についての検討を行った。
- 処方部会
- 「一般用漢方製剤承認基準処方文献」の整備 日漢協保管文献について、リスト表(新210処方手引き文献一覧および処方検討レポートより作成)と照合して保管の有無を確認し、リスト記載の番号順に並べ替え、ファイルを整備する作業を実施し、全ての処方について整備が終了した。
- 新210処方の使用促進のための資料作成
- ・「精神疾患」に使用する処方について、各担当者がまとめた資料の意見交換を行った。
- ・全体の検討を通じて、一般用漢方製剤承認基準収載処方の疾患領域について分析を行い、足りない領域や現効能効果で使いにくい処方の効能案についても検討を行う。
- セルフメディケーションハンドブック編集プロジェクト(一般薬連) 2016年版が5月に発刊された。
- 適正使用推進部会
- Web版「処方鑑別シート・使用者確認票」作成について Webコンテンツについて国立衛研作成中デモページを入手し、部会内での確認を行った。
- 「使用者確認票」裏面英訳作成について ・既に英訳がなされている各企業のWebページを参考に翻訳作業のたたき台を作成した。
- セルフメディケーション推進タスクフォース(日薬連)
- セルフメディケーション推進プロジェクト(一般薬連)
- ・対象商品対応グループにより作成され、平成28年6月6日~13日まで意見募集が行われた。
- ・平成28年6月17日付で厚労省医政局経済課より、SM税制対象品目一覧が公表された。8月17日時点の本税制対象品目は、1,523品目となる。また同日、一般薬連よりSM税制の対象製品パッケージに表示する共通識別マークについて発表された。単一色で原則として製品正面やJANコード近傍等に表示を行う。シール貼付等による表示も可としている。
平成28年7月28日(木)開催
・ 委員長交代について
・ 各部会からの活動報告
・ 国際対応WG今後の活動について
・ セルフメディケーション推進タスクフォースについての状況報告
・ セルフメディケーション実践プロジェクトについての状況報告
・ セルフメディケーションハンドブック編集プロジェクト状況報告
・ その他連絡事項
「セルフメディケーション推進税制」
SM推進税制を後押しする世論づくり、生活者行動・市場を把握するDB構築のため、調査・改定案策定グループでの作業が開始された。
SM税制識別マーク等運用ガイドラインの作成
生薬製剤会議
生薬製剤委員会 委員長 和田 篤敬(小林製薬株式会社)
生薬製剤の活性化を目標に、生薬製剤の範囲拡大と開発環境の整備について検討を進めており、「当帰川芎製剤(実母散等)承認基準(案)」と、その提案資料を取りまとめている。また、新たな生薬を組合せた製剤を開発可能にするには安全性への配慮が必要と考え、添付文書(使用上の注意)の整備を検討している。当委員会で作成した「使用上の注意(案)」に安全性委員会のご意見を反映し、提案資料に追加している。
本承認基準(案)の実現に向けて、国立衛研 生薬部長 袴塚先生にご指導いただいており、産官学共同研究で取組む必要性をご示唆いただいた。昨年12月25日に発出された「生薬のエキス製剤の製造販売承認申請に係るガイダンス」は官民共同研究の成果によるものとお聞きしており、これと同じような枠組みで検討を進められないか、日漢協内で情報共有し、ご協働いただける会社を募集している。
ここで、承認基準化を進めるにあたって、制度研究部会では「配合型 生薬製剤」の位置づけを明確にするべく、その意義や国民にとってのメリットについて議論している。また、製剤開発部会では、本承認基準(案)に基づいて開発された製剤の品質評価を行うための基礎情報の再整備を進めており、日局17などから各生薬の規格とともに確認試験や定量法の有無を整理している。
また、千葉大学 医学部 附属病院 和漢診療科長・診療教授 並木 隆雄 先生に当帰川芎製剤に関連したレポートの作成をお願いしており、その参考情報を提供している。
原薬エキス会議
原薬エキス委員会 委員長 佐々木 博(日本粉末薬品株式会社)
- 日局単味生薬エキスについて 日局キキョウ流エキスの改正案について検討している。製法の項に工業的製法を追記することを主眼に、製造に用いるエタノールの規格(日局とアルコール協会規格の比較)や確認試験に用いる試薬などについて検討するとともに状況を確認している。さらに検討を継続する予定である。
- 煎剤用生薬等の地方委任について 16局第二追補までに収載された漢方処方エキス(葛根湯など28品目)を原薬として製造される漢方エキス製剤の承認権限が、平成28年度中に地方委任されること、また、昭和55年の『局方医薬品の承認申請の手引』にある煎剤用生薬(ウワウルシなど19品目)の承認権限が平成29年度中に地方委任される見込みであることを委員会で共有した。
- ISO/TC249関連 本年6月6~9日にイタリア(ローマ)で開催されたISO/TC249第7回全体会議における各作業項目の審議状況について確認した。当委員会に関係する新作業項目の「田七人参エキス」および「葛粉」(カッコンのエキスとされている)は、いずれもPWI(準備段階の作業項目)のまま据え置かれた。
6月22日に本年度第2回原薬エキス委員会を開催した。委員会では、日局キキョウ流エキスやカンゾウエキスの改正案などについて議論した。
また、委員から日局カンゾウエキスの製法の項に工業的製法を追記して欲しい旨の要望があり、その考え方を整理した。今後、改正案のたたき台を作成し、それをベースに検討を進めることとした。
一方、単味生薬エキス製剤については、平成27年末に通知された「生薬のエキス製剤の製造販売承認申請に係るガイダンス」に基づいて承認された例がないことから、当面は地方委任されないものと考えている。
なお、国立衛研を中心に組織されている「単味生薬研究班」では、現在各単味生薬エキスの規格及び試験方法が検討されており、それらの案が固まった段階で局外生規への収載提案がなされるものと予想している。
コード審査会
代表委員 松塚 泰之(クラシエ薬品株式会社)
平成27年度の会員会社が作成した製品情報概要等の審査資材合計71件の審査結果を記載した審査会レポートを5月6日に厚労省 医薬・生活衛生局 監・麻課へ報告を行なった。また、昨年の製薬協「製品情報概要等に関する作成要領」の制定を受け、日漢協でも「医療用漢方製剤・生薬製品情報概要等作成上の留意点」の一部改定を進めた。6月17日開催の医療用漢方製剤委員会流通適正化部会主催の講演会に2名参加した。
保険薬価協議会
委員長 丸木 希望(株式会社ツムラ)
保険薬価協議会は、平成28年5月10日、6月14日、7月5日、8月2日に開催した。主たる議題は「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」の準備状況の情報共有と「世話人会」「研究会」の運営に関する討議である。当日の運営は、保険薬価協議会と保険薬価部会の総出で担当することとした。また、中医協の審議状況、日薬連保険薬価研究委員会の活動状況に関し、情報を共有した。
「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」の運営のための特別会費徴収は、5月17日の正副会長会、理事会に諮り承認された。また、「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」の役割者に対する謝金の支払基準を、7月15日の正副会長会に諮り承認されるとともに「世話人会」「研究会」の準備状況に関し正副会長会、理事会にて報告した。
保険薬価部会は、平成28年5月31日、6月21日、7月26日に開催した。平成26年度および平成28年度の薬価改定データ整理の実施を決め、各社持ち回りで作業を進めている。
8月3日に開催された「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」の「世話人会」「研究会」の運営は、広報委員会等の協力を得て無事終了した。なお、「報道関係者向け概要説明会」は広報委員会が担当した。
総務委員会
委員長 菅沢 邦彦(株式会社ツムラ)
- 第34回定期総会に平成28年度事業計画(案)および平成27年度事業報告を上程し承認された。
- 中長期事業計画2017(5ヵ年計画)について
- ①中長期事業計画2017(5ヵ年計画)の骨子について臨時委員長会で検討し、第42回正副会長会で中間報告を行なった。
- ②日漢協の事業活動について、会員会社の意見・要望等を踏まえ、今後の事業活動に活かすことを目的に「日漢協事業活動に関するアンケート調査」を行なった。
- ③アンケートの調査結果を踏まえ、中長期事業計画2017(5ヵ年計画)の「骨子」「組織」「財政」等の課題について臨時委員長会で検討を重ね、第43回正副会長会、第198回理事会でアンケート調査結果の「総括報告」を行った。
- 諸規程等の見直しについて
- ①謝金の支払に関する規程、②役員の選任に関する内規、③会費に関する内規「機能別委員会費」「業態別会議費」「協議会費」の制定と一部改正を行った。
国際委員会
委員長 塩本 秀己(大正製薬株式会社)
国際標準化機構(ISO)に中国伝統医薬の国際標準化を議論する専門委員会(ISO/TC249)が2009年に設立され、年1回、その総会が開催されてきた。今年は第7回総会が6月6日~9日の4日間イタリア・ローマにて開催された。会議は、日本代表団30名を含む、13ヶ国(中国、韓国、米国、独、濠など)、205名が参加し、専門的な議論が重ねられた。その中で、生薬原料、生薬配合製剤における試験法や製造法に関わる国際標準が検討されているが、日本薬局方などの国内法に影響が生じる案件はないことを確認している。 平成28年度日漢協訪中団を結成し、6月20日~23日の4日間、中国上海市において、中国医薬保健品進出口商会が主催する展示会や交流会などに参加した。(日漢協ホームページの「日漢協トピックス」ページに掲載していますのでご覧ください)
技術委員会
委員長 遠藤 雄一(株式会社ツムラ)
漢方処方エキスの日局収載に関しては、日局17第一追補(平成29年10月施行予定)で新規収載される五苓散エキスの収載案が本年9月に意見募集された。
既収載の漢方処方エキスのTLC確認試験が見直され(主に10cmから7cmへの展開距離の改正)、黄連解毒湯、葛根湯など27品目については6月に、次いで葛根湯加川芎辛夷、加味逍遥散など6品目については9月に意見募集された。また、葛根湯エキスおよび小青竜湯エキスの総アルカロイドの定量法と含量規格(エフェドリンとして)、ならびに葛根湯エキスのペオニフロリン定量法の改正案が9月に意見募集された。
残留溶媒<2.46>について、審査管理課主催の残留溶媒WGにて残留溶媒管理に係る薬事手続きが検討されてきたが、6月3日付で「日本薬局方収載医薬品に係る残留溶媒の管理等に関する質疑応答集(Q&A)について(その2)」が事務連絡された。
日局17で改正された生薬の微生物限度試験法<5.02>について、改定部分を分担して執筆した『第17改正図説日本薬局方微生物試験法の手引き』(文教出版)が6月に発刊された。
厚生労働科学研究で「品質リスクマネジメント」および「医薬品品質システム」が検討されているが、本年度から当該研究班に技術品質部会布施部会員(クラシエ薬品)が参加することになった。これとは別に、厚生労働科学研究でGMP省令の改定に関する検討が開始されることになり、こちらには片桐副委員長(ウチダ和漢薬)が参加することになった。
薬制委員会
委員長 栗田 宏一(クラシエ薬品株式会社)
薬事制度に関する事項、漢方・生薬製剤の関連法規及び関係通知の調査研究、規制緩和推進に関する事項、関係行政機関及び諸団体との連絡並びに意見具申を基本に活動している。
- 医薬品の製造販売承認書と製造実態の整合性に係る点検の実施について 「医薬品の製造販売承認書と製造実態の整合性に係る点検の実施について」(平成28年1月19日 薬生審査発0119 第1号 医薬・生活衛生局審査管理課長通知)および「医薬品の製造販売承認書と製造実態の整合性に係る点検後の手続きについて」(平成28年2月12日 薬生審査発0212第4号 医薬・生活衛生局審査管理課長通知)に基づき、点検の結果、「相違あり」の場合には、各製造販売業者において平成28年5月31日までに薬事手続きが行なわれた。
- 一般用漢方製剤等の地方委任に関する検討 一般用漢方製剤(日局収載28処方)は平成28年度中に、生薬単味製剤(煎剤用19生薬)は平成29年度中に、承認権限が都道府県に委任される予定である。
6月1日に厚生労働省から点検結果が公表され、相違のあった479社に対して、個別面談のうえ行政指導(口頭注意、顛末書に関する説明)がなされた。
また「医薬品の製造販売承認書に則した製造等の徹底について」(平成28年6月1日 薬生審査発0601第3号・薬生監麻発0601第2号)が発出され、承認書と製造実態との照合の徹底、変更管理の適切な実施体制の確保、再発防止の徹底が指示された。
安全性委員会
委員長 塚本 理史(株式会社ツムラ)
- 医療用医薬品添付文書新記載要領について
『医療用医薬品添付文書の記載要領改正案に係る意見の募集について』(平成28年5月31日付 厚生労働省医薬・生活衛生局 安全対策課)によりパブリックコメントが7月15日必着で募集された。主な改正内容は(1)項目の通し番号の設定(2)「原則禁忌」の廃止(3)「慎重投与」の廃止(4)「特定の患者集団への投与」の新設などである。
医療用漢方製剤では(2)以外は全て影響があり、安全性委員会としてパブリックコメントを提出した。また、新記載要領対応に向けて安全性委員会でワーキンググループを立ち上げ、記載内容を検討すると共に安全性委員会で発刊している『医療用漢方製剤148処方「使用上の注意」の業界統一と自主改訂』の冊子の改訂版も合わせて検討することとした。
広報委員会
委員長 鈴木 登(株式会社ツムラ)
- 一般市民への啓発活動(平成28年5月~8月)
- 1)一般用ホームページへの問い合わせ件数 13件
- 2)一般用ホームページ新規掲載事項 13件(トピックス10件)
- 3)電話対応 12件
- 4)漢方啓発セミナー
- ①第67回東洋医学会学術総会における市民公開講座
6月5日実施 338名参加(うち報道関係者5名) - ②第68回東洋医学会学術総会における市民公開講座
8月9日 金子会頭と打合せ実施 - ③第19回日漢協市民公開漢方セミナー
11月14日開催決定(ホームページに予告掲載) - マスコミへの対応
- 1)5月から8月にかけて7件対応
- 2)NHK(鳥取:麻黄栽培について)
- 3)河北新報社(会津人参生産について)
- 4)「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」立上げに伴うお知らせおよび「研究会Ⅰ」開催後の概要説明会開催の案内資料を記者会等へ配付。
内容説明の面談 12名
8月3日説明会出席記者 20名 - 制作物
- 1)ニューズレターNo.97を発刊
- 2)漢方概論の小冊子6月完成
- ホームページ企画部会活動
- 日漢協HPにトピックス10件(公式HP8件、会員専用HP2件)記事掲載
- その他
- 日漢協関連記事・番組およびHP更新などについて、事務局を通じて会員会社の窓口担当者に31件の情報提供を実施した。
表紙の応募作品 今回惜しくも選に漏れた作品をご紹介します。
【尾瀬の初夏】 |
【青森県「カタクリの小径」】 |
【新緑の五稜郭】 |
【クラーク博士】 |
【秋晴れの松本城】 |
※皆さんフルってご応募ください!!
これまでの診療経験を元に、漢方処方の決定プロセスをチャート図で示しました。また、患者さんに見られる症状の組み合わせから最適な処方を探せる症状別選択表も掲載されています。
これから漢方処方を始められる方だけでなく、自分自身の処方プロセスの整理にも活用できる一冊です。
【発行】日経メディカル開発
【判型】四六判・304ページ
【定価】2,700円+税
【ISBN】978-4-931400-79-5
東北大学大学院薬学研究科 医薬資源化学分野 大島 吉輝 教授
身の周りの生物資源に“くすり”を求めて
日本の大学で初めての女子大生
「門戸開放」「研究第一主義」「実学尊重」を理念とする東北大学は、明治40年(1907)、東京大学、京都大学に次ぐ国内で三番目の東北帝国大学として設立されています。大正2年(1913)には当時の政府からの圧力をものともせず、日本の大学で初めて3名の女子の入学を許可、同大学の三大理念の一つである「門戸開放」を広く世に示し、仙台にに東北帝大在りと大きな話題となりました。
戦後、昭和24年(1949)の学制改革で東北大学となり、現在は10学部(文、教育、法、経済、理、医、歯、薬、工、農)、大学院17研究科、6研究所を擁する東北地方随一の総合大学として揺るぎのない地歩を築いています。
前身は第二高等学校医学部薬学科
薬学部は昭和32年(1957)に設置の東北大学医学部薬学科を母体に、昭和47年(1972)に開設されました。その歴史をさらに追うと医学部の前身であり、明治23年(1890)に設置された第二高等学校医学部薬学科に遡ります。126年もの長い歴史を有する同学部は東北地方における唯一の国立薬学研究機関であり、幾多の変遷を経つつ数多の人材を輩出してきました。平成11年(1999)からは大学院大学としての薬学研究科がスタートしています。
青葉山キャンパスにある薬学部は、創薬科学の発展に貢献する人材を育成する4年制の創薬科学科と薬の専門家として医療に関わる6年制の薬学科から成り、それぞれ創薬科学の発展に寄与し得る人材と薬の専門家として医療の一翼を担い得る人材を育成しています。
天然資源の生物活性成分の化学的・生物学的研究
大島吉輝教授
薬草園入口のユニークな看板
薬学研究棟
大島吉輝教授が率いる医薬資源化学分野は、分子解析学講座に属し、菊地晴久准教授、共同研究員、研究支援者と14名の学生(博士課程3名、修士課程 7名、4年生4名)の18名の陣容となっています。
大島教授は初代の竹本常松教授、二代目の野副重男教授に続く三代目で、平成8年(1996)に青森大学から着任、以来、新時代にふさわしい天然物化学を構築するべく未開拓天然資源から新奇性を持つ天然物の発見を目指し、研究に勤しんでいます。
昭和36年(1961)に設置された当初の名称は生薬学講座、二年後の昭和38年に生物薬品化学講座に改称され、平成11年から医薬資源化学分野に変わっています。
研究テーマは、天然資源の生物活性成分の化学的・生物学的研究。眠る遺伝子と呼ばれる未利用遺伝子を人為的に発現させることによって新しい物質を創り出し、創薬に有用な物質を探索しています。
その成果の一つが平成28年度日本薬学会奨励賞を受賞した浅井禎吾助教(現東京大学大学院総合文化研究科)の「エビジェネック制御を利用した糸状菌未利用遺伝子の活用と多様な天然物の創出」です。今後の研究の発展が期待されています。
大島教授が園長を務め、大学の薬用植物園としては全国一の広さ(52.956m2)を誇る附属薬用植物園では、1,200種の植物を観察することができ、多くの人々に親しまれています。
私の健康法 第29代日本銀行総裁 キヤノングローバル戦略研究所理事長 福井俊彦さん
手洗いとうがいを欠かさない
食べ物の好き嫌いはなく、なんでも食べる。付き合いの幅も広く、酒も和食には日本酒、洋食にはワイン、中華には老酒を嗜む。週末のゴルフで英気を養っている。 |
●「世界の百人」に選出
銀行の銀行、通貨の番人と言われる日本銀行(Bank of Japan)の総裁は、国民全体の利益の擁護という重責を担い、その役柄は総理大臣を凌ぐとされる。時の為政者や経済界などからの風圧にさらされることも少なくない。第29代日本銀行総裁として2003年(平成15)から2008年までの5年間に亘って日本経済の舵取り役を果たし、2004年2月14日発行の英国のエコノミスト誌で、世界で最も優れた中央銀行総裁と称えられている。
同年に米国のタイム誌で開始された企画、「世界で最も影響力のある100人(The People Who Shape Our World;The TIME 100)」の「指導者と革命家」の部門において、大胆な金融政策で日本経済再生に貢献したとのことから「世界の百人」の一人に選ばれている。
デフレ防止に向けた量的緩和政策の果敢な推進は記憶に新しい。
●風邪もひかず、病気知らず
日本銀行総裁を退任後はキヤノングローバル戦略研究所の理事長に就任、今日に至っている。昨年、傘寿を過ぎ、この9月には81歳を迎えるが、理事長として毎朝9時から9時半に出勤する。眼下に東京駅のレトロな駅舎が見える理事長室の机にはパソコンとプリンターが備えられ、自ら駆使している。「時間の区切りがない仕事ですので」と横浜の自宅にも同種の機種があり、帰宅後も夜半までパソコンに向かい仕事に勤しむ日が多い。床に就くのは0時半から1時頃、起床は6時から6時半頃で、睡眠時間は比較的短い。
これまで健康を損ねたことはほとんどなく、病気知らずで元気このうえない。風邪をひくことも稀で、病歴と言えば、「覚えていないのですが、子供の頃に腸チフスに罹ったと聞いています。それに50年ほど前の昭和40年頃に胆石になり、一週間入院したことがありました。食べ放題、飲み放題が始まった時で、安月給の連中同士と行った安物の中華料理の食べ過ぎが原因でした」
●龍角散を自宅と理事長室に常備
風邪をひかないように心掛けている以外は、特段の健康法はないそうだが、食事の前の手洗いと外から帰ったらうがいを欠かさず励行している。うがいの際はイソジンを用いることがある。風邪をひきそうになったり、講演やスピーチで喉が引っ掛かりそうになった時に予防として飲んでいるのが龍角散、自宅と理事長室に常備薬として備えている。
「若い時から使っています。口に入れるだけですけれど、いい薬だと思っています」
定期検診でも引っかかるところもなく、自覚症状もない。病院の薬とも無縁であり、「人の話を聞いても自然の薬の方が人間にはなじむと思いますね」
プロフィール
1935年(昭和10)9月7日大阪市生まれ。 1954年大阪府立大手前高校卒業。1958年3月東京大学法学部卒業。4月日本銀行入行、1970年パリ駐在、1986年営業局長、 1989年(平成元年)5月総務局長、9月日本銀行理事、1994年日本銀行副総裁、1998年3月日本銀行副総裁退任。9月富士通総研理事長。2001年経済同友会副代表幹事。 2003年3月20日日本銀行総裁、2008年3月19日日本銀行総裁退任。12月1日キヤノングローバル戦略研究所理事長。