94号 (第32巻 第1号)2015年5月
第66回日本東洋医学会学術総会 会頭 嶋田 豊(富山大学大学院医学薬学研究部和漢診療学 教授) |
この度、第66回日本東洋医学会学術総会を、平成27年(2015年)6月12日(金)から14日(日)までの日程で、富山国際会議場、富山市民プラザ、ANAクラウンプラザホテル富山を会場に、富山市にて開催させていただくこととなりました。北陸での開催は、2005年に寺澤捷年先生のもとで開かれた第56回学術総会以来、ちょうど10年ぶりになります。
今回の学術総会のテーマは、「伝統の継承と新たな展開 —医療の幹線をめざして—」とさせていただきました。伝統医学は長い年月の間に形成されたもので、今後も継承されるべきものであります。一方、科学・医療技術の発展がめざましい現代においては新たな展開もみられております。両者がうまく調和し、貴重な医療手段の一つとして漢方が今後も発展し続けることを念じ、また、奇しくもちょうど北陸新幹線が開業しましたので、そのことも掛けて今回のテーマを決めさせていただきました。
今回の学術総会では一般演題で活発な討論をしていただくことを基本としますが、プログラム、関連行事なども充実させ、ご参加の皆様にご満足いただけますよう、企画・準備に取り組んでまいりました。具体的には、寺澤捷年先生による特別講演、御影雅幸先生と濟木育夫先生による教育講演、花輪壽彦先生、三潴忠道先生、中田敬吾先生による「継承したい先達の教え」をテーマとする「伝統医学臨床セミナー」、「漢方研究の新たな展開」など11のテーマのシンポジウム、「好きな処方・得意な処方」など3つのテーマのワークショップ、各委員会の報告会・講習会に加えて、教育的な企画として、「実践漢方セミナー」、「医師のための鍼灸セミナー」、「漢方薬剤師セミナー」を組ませていただきました。また、従来、学術総会の開会式の前に行われていたサテライトシンポジウムは昨年の第65回学術総会で終了しましたが、新たに、「スポンサードセミナー」を行うこととなりました。さらには、見学ツアーとして、国登録有形文化財の金岡邸(薬種商の館)と、富山大学民族薬物資料館への見学ツアーも企画しています。日本漢方生薬製剤協会との共催となります「市民公開講座」では、田原英一先生と伊藤隆先生にご講演をお願いしております。
繰り返しになりますが、北陸新幹線の開業に伴い、富山への交通の便は格段に良くなりました。富山市は地方都市ではありますが、昔から「くすりのとやま」として知られ、近年では「公共交通を生かしたコンパクトなまちづくり」にも取り組んでおり、ちょうど会場前を通る市街地環状路面電車(セントラム)など、10年前とは違う新しい風景を見ていただけるものと存じます。
以上のようなコンセプトのもと、学術発表、討論、情報交換はもちろん、余暇も十分に楽しんでいただき、実り多い学術総会となることを祈念しております。
最後になりますが、本学術総会の開催にお力添えを賜りました方々に深く感謝申し上げるとともに、多数の皆様にご参集いただけますようお願い申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
日本漢方生薬製剤協会 副会長 内田 尚和 |
日本漢方生薬製剤協会副会長の重責を仰せつかってから、はや8年が経過し、気がつけば副会長の中でも最古参となってしまいました。この間に生薬を取り巻く環境は大きく変化しており、会員会社のご支援、ご指導のもとに協会一丸となって活動を進められておりますことに厚く感謝を申し上げます。
さて、生薬会議では、他の会議体ならびに専門委員会との連携、ご助力の下、平成24年度を初年度とした日漢協の「中長期事業計画2012(5ヵ年計画)」における最優先課題として掲げられている「原料生薬の品質確保と安定確保の推進」に取り組んでおります。
ご存知のとおり、昨今、中国における原料生薬の価格が急激に高騰し、生薬をご利用される皆様に大きな影響を及ぼしています。この状況について、第2回中国産原料生薬の価格指数調査を実施させていただき、その結果、主要30品目における平均価格指数は、平成18年を100とした場合に平成25年は213となっており、価格面における原料生薬の厳しい実態の一端をお示しいたしました。さらに昨年は急激な円安が進行したことから、2014年(平成26年)分についても急ぎ調査を実施させていただきました。また、原料生薬の使用量については、4月に発刊した「原料生薬等調査報告書(3)_平成23年度および24年度の使用量_」において、平成24年度の生薬の使用量が平成20年度に比べて24%ほど増加していることや中国産のみならず日本産生薬の需要も増加していること等を明らかにいたしました。
このような状況の中、日本産生薬の生産拡大に向けて、農林水産省や厚生労働省のご指導をいただき、「薬用作物の産地化に向けたブロック会議」を平成25年度に引き続き平成26年度も両省と共催させていただくことが適いました。各都道府県農政部のご協力も賜りましたところ、薬用作物の生産を希望する団体や生産者より130を超える要望票を日漢協にご提出いただき、現在、生産者と実需者(日漢協会員会社)とのマッチングに向けての折衝がスタートしています。また、薬用作物の栽培時における医薬品原料としての管理やトレーサビリティ確保に取り組むための一助とすべく、日漢協版GACPである「薬用植物の栽培と採取、加工に関する手引き」を作成、英語版、中国語版を加えて冊子化させていただきました。
また品質面の安定確保においては、中国産生薬の使用農薬調査結果に基づいて作成した「薬用植物栽培における使用農薬の実態調査(第2報)中国産タイソウの使用農薬」が、『生薬学雑誌』第68巻に論文掲載されました。今後も原料生薬の品質確保を推進する活動の一つとして、引き続き使用農薬調査に取り組んで参ります。
国民医療の中で重要な役目を担う漢方製剤、生薬製剤、その礎となるのは原料生薬であります。当協会には、薬価や国際対応など、今後も引き続いて取り組まなければならない事柄が多くございます。これからも「原料生薬の品質確保と安定確保」に向けて、加藤会長の下、会員各社、関係会議、委員会のご協力を賜り、また行政や関係団体からご指導をいただきながら、一丸となって取り組んで参ります。
今後ともご支援、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
医療用漢方製剤会議
医療用漢方製剤委員会 委員長 菅原 秀治(株式会社ツムラ)
- 医療用漢方製剤委員会
- 保険薬価研究部会の発展的解散について
保険薬価研究部会の役割については、第188回理事会にて設置承認された保険薬価協議会に機能を発展的に移譲した事により、解散する事を決議した。 - 流通適正化部会
平成27年2月17日に部会を開催し、関係団体の情報共有を行うとともに、日漢協企業活動と医療機関などの関係の透明性ガイドラインに従い本年度中の公開を会員会社に要請した。また、「製薬協コード・オブ・プラクティス」の修正情報を随時入手し、日漢協としての対応を検討することとした。 - 教育研修部会
会員用漢方教育テキストの修正事項について
教育研修部会の討議の中で「製薬協コード・オブ・プラクティス」「添付文書改定」など、いくつかの修正箇所の必要が生じており、修正点について協議した。
3月に行われたMR認定センターの「MRテキストⅢ」の改定内容を基に、改訂作業に入る事とした。 - 有用性研究部会
「医療用漢方製剤 2014—148処方の添付文書情報—」の英語版の公開PMDAのホームページに掲載されている、全メーカーの医療用漢方製剤の情報のうち、商品名、添加物、一日製剤量、生薬組成、効能効果などを一覧表にした英語版を、平成26年6月2日時点での情報に更新した。全医療用漢方製剤について英語での情報が閲覧できる。
生薬会議
生薬委員会 委員長 浅間 宏志(株式会社ウチダ和漢薬)
農林水産省および厚生労働省との共催のもと実施された平成26度「薬用作物の産地化に向けたブロック会議」が、平成26年10月24日の北陸ブロックを皮切りに全国8ブロックで開催され、11月26日の北海道ブロックにて終了した。その後、38都道府県の団体・個人から130以上の要望票が日漢協に届き、これら要望について生薬国内生産検討班参加会社にて検討した結果、現在日漢協の会員会社がマッチングに関する折衝を開始している。
過去2回の調査に引き続き、平成26年度に第3回中国産生薬の使用農薬調査を実施しているが、調査品目数が3品目とこれまでに比べて多く(過去2回は1品目づつ)、調査委託先から現地調査に時間を要している旨連絡を受けたことから、平成27年度も引き続いて調査を行うこととなった。
平成26年1~2月に調査した結果をまとめ、冊子「原料生薬使用量等調査報告書(3)−平成23年度および24年度の使用量−」を作成した。今回の調査により、平成20年度からの5年間のデータが揃ったことになる。平成24年度の総使用量は、平成20年度に比べ約24%増加していることが判明した。本冊子は会員会社に配布するほか、広く漢方生薬の基礎データとして活用いただけるよう日漢協ホームページで公開する予定である。現在、第4回調査(平成25~26年度分)の実施に向けて準備を進めている。
中国産原料生薬の価格高騰を受け、平成26年度に第2回中国産原料生薬の価格指数調査(平成23~25年分)を実施した。調査対象生薬は、第1回に引き続き上述した使用量等調査における使用量上位30品目であるが、これに加えて価格高騰が著しいとして挙げられた11品目についても追加調査を実施した。追加調査の結果も合わせて日漢協ホームページに掲載している。さらに昨今の急激な為替変動により、早急に直近の価格指数を把握する必要があることから、本年2~3月に第3回中国産原料生薬の価格指数調査(平成26年分)を実施した。この結果もこれまでの調査結果と同様、日漢協ホームページに掲載する予定である。
平成22年に日漢協会員会社から要望があった日局既収載生薬の改正要望(67項目)については、これまで技術委員会と協力して作業を進めてきたが、現在3分の2が終了している。平成22年の調査から既に5年が経過し、各社の改正要望も変わってきていると考えられることから、今回改めて調査を行い、現在とりまとめている。
「局外生規2015作成WG」は、本年4月の第6回WG会議をもって一応終了した。第6回までに固まった既収載品目の改正案と新規品目収載案が、6月に開催予定の「局外生規2015検討委員会」に提案され、そこで了承された品目が局外生規2015に収載されることになる。本年夏~秋の意見募集を経て、平成27年度中に通知される見込みである。
一般用漢方製剤会議
一般用漢方製剤委員会 委員長 西山 隆(クラシエ薬品株式会社)
- 一般用漢方製剤会議
- 一般用漢方製剤委員会
- くすり相談部会
- 事例報告G 相談・苦情への回答・対応の検討
- トピックスG トピックスの収集と共有化を行った。
- 一般用漢方製剤の「相談事例集Q&A第4集」の作成 過去の事例集第2集の質問事項について確認、検討を実施した。
- 一般用5団体消費者対応窓口共通アンケート 平成27年1月16日に日本一般用医薬品連合会(以下、一般薬連)より、各団体にアンケート配信依頼があり、日漢協からは、1月31日を締め切りとして33社に配信を行った。
- 処方部会
- 「一般用漢方製剤承認基準処方文献」の整備
- 新210処方の使用促進のための資料作成
- セルフメディケーションハンドブック編集プロジェクト(一般薬連)
- 適正使用推進部会
- 一般用漢方製剤販売時の補助ツール作成について
- ・平成27年3月4日に国立医薬品食品衛生研究所(以下、国立衛研)の合田薬品部長、袴塚生薬部長に面会をお願いし、日漢協ホームページへの「使用者確認票」39処方掲載について打合せを行った。使用上の注意改定を鑑み、裏面原稿のメンテナンスを部会で行うことと確認票鑑別シートに関しては、国立衛研のホームページからのリンクを作成することを申し合わせた。
- セルフメディケーション推進タスクフォース(日本製薬団体連合会)
- 税制改正要望
- ・平成27年度に向けた法制化は見送られたが、平成27年度税制改正大綱では、20項目挙げられた重点項目の2番目に記載されており、平成28年度の大きな期待事項となった。
- HbA1cの症例拡大
- ・足立区の昨年末までの状況は、総受検者数1,220名中、226名(18.5%)が受診勧奨対象者であった。
このうち実際に受診したことがアンケート等で確認されたのは42名(18.6%)であった。足立区のほかにも、江東区、浅草薬剤師会でHbA1cの検査を開始した。そのほかにも検討中の自治体が複数ある。 - 検体測定室連携協議会
- ・筑波大の矢作准教授を代表者に据えた協議会の設立を目指している。
- 第15回JAPANドラッグストアショー特別セミナー
- ・3月13日(金)11:00~12:00にドラッグストアショーの特別講演とし、HbA1cの店頭における検査を中心に「セルフメディケーションの推進に向けた取り組み」というテーマで講演が行われた。
- 日本薬学会第135年会ランチョンセミナー
- ・3月27日(金)に矢作准教授の「糖尿病診断アクセス革命」と「検体測定室」を中心テーマとするランチョンセミナーが開催された。
平成27年4月14日(火)開催
・ 審議事項 平成27年度活動方針・経費予算
・ 報告事項 平成26年度活動報告
・ その他連絡事項
平成27年1月27日(火)開催
・ 各部会からの活動報告
・ 平成27年度事業方針・計画・経費予算案について
・ 国際対応WG報告
・ 日本薬局方外生薬規格2015作成WG報告
・ セルフメディケーションハンドブック編集プロジェクトについての状況報告
・ 日漢協ホームページ改装について
・ 講演会(主催:生薬製剤委員会)の案内
平成27年4月14日(火)開催
・ 各部会からの活動報告
・ 国際対応WG報告
・ 日本薬局方外生薬規格2015作成WG報告
・ セルフメディケーションハンドブック編集プロジェクトについての状況報告
・ セルフメディケーション推進タスクフォースについての状況報告
・ その他連絡事項
日漢協保管文献について、リスト表(新210処方手引き文献一覧および処方検討レポートより作成)と照合して保管の有無を確認し、リスト記載の番号順に並べ替え、ファイルを整備する作業を継続して実施した。全体の約2分の1が終了した。
追加処方および市販品のない処方の中から、かぜおよび鼻炎に使用する処方について使い分けシートを分担して作成し、とりまとめて点検を行った。新たに頭痛領域に使用する処方の資料作成を開始した。
平成27年1月21日(水)13:00~15:00に開催され、第1校の確認他を実施した。2015年度版は、22万部を印刷予定。3月に都道府県別の薬務課、保健所、消費生活センターに案内を出し2015年版の必要部数の問合せを行った。
生薬製剤会議
生薬製剤委員会 委員長 和田 篤敬(小林製薬株式会社)
谿先生 講演会:
2/27 大阪阪急ターミナルビルにて
生薬製剤の活性化のために、生薬製剤の承認基準の拡大を目標に活動している。
これまでに当帰川芎製剤(実母散等)の承認基準(案)を検討してきており、制度研究部会と製剤開発部会の成果として承認基準(案)およびその提案資料をとりまとめた。
制度研究部会では、更年期障害、血の道症などの対象疾患について、現代的なエビデンスを根拠として疾病構造の変化に対応しつつ、一般消費者にとって「わかりやすい表現」に読み替えた効能効果案を作成した。
製剤開発部会では生薬の配合ルールについて検討している。2月27日に、大阪大学大学院薬学研究科 招聘教授 谿 忠人先生から「当帰川芎製剤の構成生薬の分類−女性保健薬(当帰川芎製剤)の適応病態と配合生薬の薬能と薬対−」と題したご講演をいただき、新たな女性保健薬の配合生薬を選ぶ方策として、「気・血・水(津液)」のすべてを調整できるように生薬を組み合わせる薬能論が示された。これは婦人科疾患を対象とした一般用漢方処方の構成生薬との比較を踏まえて、漢方医学の病理病態論に対応するものである。この内容に従って生薬を整理し、主体となる3生薬(当帰、川芎、芍薬)以外の生薬の配合ルール案を作成した。
なお、講演会の様子は、3月4日に日漢協発第96号「日漢協トピックス 生薬製剤委員会 講演会」として発信された。
原薬エキス会議
原薬エキス委員会 委員長 佐々木 博(日本粉末薬品株式会社)
- 平成27年度事業計画案
- 漢方処方エキスの日局収載
- 局外生規2015
4月22日に平成27年度原薬エキス会議を開催し、本年度事業計画案の策定、平成26年度事業報告、日本薬局方(日局)や日本薬局方外生薬規格(局外生規)の進捗状況報告などを行った。また同日に、合わせて本年度第1回原薬エキス委員会を開催した。
原薬エキス会議にて、平成27年度事業計画案として以下の5項目を策定した。
①漢方処方エキス、植物エキス等の公定書収載に関する事項
②原薬エキスの製造用水に関する事項
③原薬エキスの品質に関する事項
④原薬エキスに係る薬事・法規に関する事項
⑤単味生薬エキスの開発ガイドラインに関する事項
第17改正日局以降の漢方処方エキス新規収載候補として、猪苓湯、温経湯、柴胡加竜骨牡蛎湯など18品目が検討されている。これらについて軟エキスの有無を調査したところ、猪苓湯など13品目に軟エキスが存在した。この調査結果について技術委員会に情報提供した。
4月16日に第6回局外生規2015作成WG会議(座長:国立医薬品食品衛生研究所 袴塚生薬部長)が開催され、当委員会が担当するアカメガシワエキス、ウラジロガシエキスおよびメリロートエキス、並びにそれらの原料生薬ウラジロガシおよびメリロートの最終収載案が了承された。 これらの収載案は、6月10日に開催される「第3回局外生規検討委員会」(事務局:厚生労働省医薬食品局審査管理課)に提案される予定である。
コード審査会
代表委員 松塚 泰之(クラシエ薬品株式会社)
「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」が平成26年11月26日に開催され、一連の検討が終了した。その中で、「医療用医薬品の広告のあり方の見直しに関する提言−平成26年度厚生労働科学研究班会議・最終とりまとめ−」(製薬企業の薬事コンプライアンスに関する研究班)の提言を踏まえ、業界団体の自主規範を見直し、医療用医薬品の広告の適正化を図ることになった。本件に関して平成26年12月3日に監・麻課から日漢協会議室にて説明を受けた。
保険薬価協議会
委員長 菅原 秀治(株式会社ツムラ)
- 保険薬価協議会を平成27年1月27日、2月4日、3月3日、3月16日、4月7日に開催し、運営内規、平成27年度事業計画、次期薬価制度改革に関する提案事項等について検討した。
- 平成27年度事業計画は、以下の5項目とした。
①医療保険制度における医療用漢方製剤・生薬の薬価の在り方の検討、提言の実施
②日本製薬団体連合会保険薬価研究委員会との連携および情報、資料の収集
③関係省庁および関係諸団体との折衝および対応
④医療制度等に関する情報収集および知識向上のための講習会の実施
⑤医療用漢方製剤・生薬の流通改善への取り組み - 平成28年薬価制度改革に向け、日漢協の提案事項について検討した。
総務委員会
委員長 丸木 希望(株式会社ツムラ)
- 平成27年度日漢協事業計画案策定につき、「日漢協事業計画策定にあたって」「日漢協事業方針」と、業態別会議、審査会、協議会、機能別委員会の「事業計画」をとりまとめ、第190回理事会において承認された。
- 第189回理事会後に、農林水産省生産局農産部地域作物課の岸本課長補佐に「薬用作物をめぐる事情」と題してご講演いただき、約70名の参加があった。
- 「文書管理規程」「会頭、顧問、相談役 委嘱内規」の一部改正を行った。また、「印章管理内規」を改め、新たに「印章管理規程」と「印章使用手続き内規」を制定した。
国際委員会
委員長 塩本 秀己(大正製薬株式会社)
各国の伝統医学・医薬の国際標準化に関するISO/TC249のWG2会議が、平成27年2月にドイツで開催された。WG2は伝統医薬の工業化製品を担当するワーキングで、当協会からも代表委員が出席した。我が国では、これまで原料である生薬の特性を踏まえた漢方・生薬製剤等の品質管理、また安全性情報の収集・提供等を行ってきた。この事実をベースに日本提案作業項目の標準書案の作成を進めている。ドイツ会議では、これら作業項目の進捗状況や今後のスケジュール確認などが行われた。なお本年6月に、ISO/TC249第6回全体会議が北京で開催される。
平成22年10月に採択された生物多様性条約のABSに関する名古屋議定書については、平成26年7月14日に批准国が50カ国に達し、同年10月12日に名古屋議定書が発効された。我が国は、環境省が主催する「名古屋議定書に係る国内措置のあり方検討会」で検討を続けており、平成27年3月時点でまだ批准していない。
技術委員会
委員長 富塚 弘之(株式会社ツムラ)
平成28年3月に通知予定の第17改正日本薬局方(17局)の収載審議が最終段階を迎えている。漢方エキス製剤においては、新たに加味帰脾湯エキス、桃核承気湯エキス、防已黄耆湯エキス、防風通聖散エキスおよび抑肝散エキスの5品目が新規収載され、これにより、計33品目が収載されることになった。
一方、PIC/S GMPガイドAnnex 7 で示されている、不純物への対応については、17局において、一般試験法・生薬の微生物限度試験法<5.02>が改定され、「生薬及び生薬を主たる原料とする製剤(生薬製剤)の微生物限度試験法」とされることになった。アフラトキシンについては、参考情報に「生薬及び生薬製剤のアフラトキシン試験法」が新たに記載されることになった。
また、重金属試験については、漢方エキス製剤に対して、黄連解毒湯エキス〔鉛:5 ppm以下〕、柴胡桂枝湯エキス〔鉛:5 ppm以下〕及び小青竜湯エキス〔カドミウム:1 ppm以下〕の3品目に個別分析試験が設定されることになった。
薬制委員会
委員長 栗田 宏一(クラシエ薬品株式会社)
薬事制度に関する事項、漢方・生薬製剤の関連法規及び関係通知の調査研究、規制緩和推進に関する事項、関係行政機関及び諸団体との連絡並びに意見具申を基本に活動している。
- かぜ薬等製造販売承認基準の改正
平成27年3月25日、厚生労働省告示第118号「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令第80条第2項第5号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する医薬品の種類等の一部を改正する件」が告示された。
今般、告示の一部を改正し、都道府県知事が承認を行う医薬品のうち、かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬及び鼻炎用内服薬の項に新たに有効成分の種類を追加する等の改正を行い、あわせて、当該4薬効群に係る製造販売承認基準が改正された。漢方処方としては、葛根湯加桔梗がかぜ薬の有効成分として追加された。
安全性委員会
委員長 塚本 理史(株式会社ツムラ)
- 「腸間膜静脈硬化症」への対応
- 漢方製剤の適正使用のための資材作成について
- PMDAホームページリニューアルへの対応について
漢方製剤による「腸間膜静脈硬化症」については2014年7月茵蔯蒿湯の「使用上の注意」改訂を実施以降は問題となる処方は現状ではない。
しかし、作用機序等についても不明な点が多く、安全性委員会では専門の先生の指導の下、腸間膜静脈硬化症に特化した「副作用詳細調査票」を作成し、副作用詳細調査の際に会員会社が本調査票に基づいて情報収集し、集積・検討を実施することで適正使用情報の配信に繋げることを確認した。
がん研有明病院漢方サポート科の星野惠津夫部長の提案に基づき、漢方薬を服用中の患者様に生じた副作用の発現を医師が認知し、漢方製剤を適正使用するための情報提供資材として『漢方薬を服用されている患者さまへ』を作成し、会員会社が必要に応じて啓発活動に使う資材として共有化を図った。
「PMDAホームページのリニューアルについて」(平成27年3月16日付 薬機発第0316021号)により、3月16日から従来の「医薬品医療機器 情報提供 ホームページ(http://www.info.pmda.go.jp)」を「独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ(http://www.pmda.go.jp)」に統合されたことの連絡があった。企業ではインタビューフォームをはじめ、「お知らせ文書」等に記載のあるURLを修正する必要があり、会員会社へ徹底した。
広報委員会
委員長 鈴木 登(株式会社ツムラ)
- 一般市民への啓発活動(平成27年1月~4月)
- 1)一般用ホームページへの問い合わせ件数 9件(一般3件)
- 2)一般用ホームページ新規掲載事項 7件
- 3)電話対応 18件(一般2件、企業6件、行政9件、その他1件)
- 4)漢方啓発セミナー
- ①第18回市民公開漢方セミナーの講師候補として、東京女子医科大学東洋医学研究所教授の伊藤隆先生を訪問(3月26日)し、趣旨説明を行い快諾いただく。
- ②第66回東洋医学会学術総会における市民公開講座の進捗状況を運営事務局に確認し、調整を行った。
- マスコミへの対応
- 1)1月から4月にかけて9件対応した。
- 2)トップインタビューの依頼が入り、加藤会長に日漢協の課題とその対応活動および今後の方針について、取材対応いただいた。
- 3)日漢協版GACPについて取材依頼が入り、生薬委員会と広報委員会で対応した。
- 制作物
- 1)ニューズレター:ニューズレターNo.93を発刊し、併せてホームページにも掲載した。
- 2)日漢協ガイド2014(英語版)を制作し、ホームページに掲載した。
- その他
- 平成26年度日漢協訪中団報告書冊子版を作成し、加盟会社等へ配付した。
新任委員長ご挨拶
医療用漢方製剤委員長
長谷川 久
このたび、菅原前委員長の後を受け医療用漢方製剤委員長を拝命いたしました長谷川久でございます。医療用漢方製剤委員会は、流通適正化に関する事項、教育研修に関する事項、有用性に関する事項を担っており、各部会長と協力し、医療用漢方製剤の持続的発展に取り組んでまいります。また、保険薬価協議会とも連携し、保険薬価制度に関する事項についても引き続き協働してまいります。今後とも、格別のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
保険薬価協議会委員長
丸木 希望
昨年度新たに設置されました保険薬価協議会の委員長を、前任の菅原委員長の後を受け、4月1日より拝命いたしました丸木希望です。保険薬価協議会は、行政や日薬連薬価研を始めとする関係諸団体と連携し、医療保険制度、薬価基準制度に関する調査研究、提言、情報収集等を担う専門委員会です。薬価基準収載品目に関係する、医療用漢方製剤会議・医療用漢方製剤委員会および生薬会議・生薬委員会とは、密接な連携をとり活動する所存でございますので、どうぞ宜しくお願いします。
総務委員長
菅沢 邦彦
この度、総務委員長を拝命致しました菅沢邦彦と申します。
これまで、日漢協の活動としては、医療用漢方製剤委員会や広報委員会の委員として活動すると共に「日漢協30年史WG」、「式典WG」等に携わってまいりました。
総務委員会は幅広い業務運営を所管しておりますが、各委員会と連携を図りながら、日漢協の活動が円滑に行われるよう精一杯務めさせて頂きますので、なにとぞご指導とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
技術委員長
遠藤 雄一
今年度より技術委員長を拝命致しました遠藤雄一でございます。私は、平成17年4月より8年間、技術委員会不純物試験法部会におきまして、汚染不純物に関わる活動をして参りました。PIC/S加盟やISO/TC249等々グローバル化している環境の中、これまで築かれた技術委員会の実績を背景に、広範な品質確保と国際調和に精一杯取り組んで参る所存でございます。不慣れな点が多々ございますが、皆様と一緒に取り組んで参りますので、ご協力とご鞭撻を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
広報委員長
鈴木 登
この度、中島委員長の後任として広報委員長の大任を仰せつかりました鈴木登でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
当委員会の活動内容とともに、抱えている課題や寄せられている期待等について、前任者からの引継ぎ時に改めて認識し、その責任の重さを実感した次第です。
今後、協会の内外に対して誠意ある情報発信に努めることはもとより、検討すべき課題に真摯に取り組み、協会発展のために精一杯務めさせていただく所存でおります。
皆様方のご指導・ご協力をお願い申し上げます。
帝京平成大学薬学部 石井 竹夫 准教授
植物と人間の係わりに関する研究
実学の精神を基とし
石井 竹夫 准教授
医療、健康、福祉、情報、教育を軸とする同大学のキャンパスは本部のある池袋をはじめ、中野、千葉(市原市)、ちはら台(市原市)、幕張(千葉市)の5か所に別れ、都市型総合大学と称されています。
「実学の精神を基とし、幅広い知識と専門分野における実践能力を身につけ、創造力豊かな逞しい人間愛にあふれた人材を養成する」と、建学の精神にも謳われているように、実学教育を基本とし、社会に出てから即戦力となる実践的な講座を展開しています。帝京大学、帝京科学大学は姉妹校で、一大帝京グループを築いています。
都心回帰で競争率アップ
中野キャンパス
薬学科の定員は240名、学生の出身地は全国的になり、1、2年生は女性の比率が多くなったそうです。6年制の薬学教育は「薬学教育モデル・コアカリキュラム」に沿って行われています。1年次前期に早期体験学習として病院、薬局、製薬企業、医薬品卸物流センター、薬用植物園、保健所などを見学、4年次にはヒューマンケア学部看護学科との合同講義が開かれ、多職種による地域医療連携についてグループディスカッションを行っています。
薬膳料理を用いて園芸療法を支援
実験室
石井竹夫准教授が担当するのは薬物治療系薬学教育ユニットで、メンバーは卒業研究生の6年生が3人、5年生が2人で構成されています。千葉大学から獨協医科大学薬理学教室、テルモ研究開発センターを経て6年前から現職に就かれた石井准教授は異色の研究者として知られています。人間は植物と接することにより癒されるとの考えから、「植物と人間の係わりに関する研究」をテーマとし、
①現代病に対する漢方と西洋薬の治療法に関する比較研究
②薬膳料理を用いて園芸療法を支援するプログラムの制作と実践
③煎じ容器による生薬成分の抽出と分解に及ぼす影響
④植物と文学の係わりに関する研究
以上の4つの視点から研究を進めています。この中で注目されているのが②で、現代病に汎用される漢方薬の構成生薬をヒントに薬膳料理のレシピを考案し、その薬膳料理を大学内で試作研究するとともに横浜の日本園芸療法研修会(澤田みどり代表)の実践施設で試食してもらっています。今後は高齢者が育てた野菜を取り入れたレシピを考案し、薬剤師として園芸療法を支援したいと意欲を燃やしています。
事務局長就任ご挨拶
日本漢方生薬製剤協会
事務局長
渡辺 義夫
本年3月20日開催の第190回理事会にて承認され、加藤会長から事務局長に任命されました。どうぞよろしくお願い申し上げます。昨年10月から事務局に配属され、前任の石原事務局長のご指導のもと、日漢協事務局の実務について学んでまいりました。その中で、日漢協の課題である「原料生薬の品質確保と安定確保の推進」という最優先課題について、事務局として、5つの業態とどのように連携していくのかが、大きなテーマと考えています。
私は、約30年間、大学病院を中心とした基幹病院への漢方医学の情報提供活動を行い、その後、人事部に異動し、従業員に対するライフプランセミナーの講師、再雇用制度設計、高等専門学校卒業生の採用に携わってきました。
業界団体の事務局という、いままで全く経験したことのない仕事に従事することに不安はありますが、会員の皆様から信頼を得られるように頑張ってまいります。
事務局長退任ご挨拶
日本漢方生薬製剤協会
前事務局長
石原 猛
第190回理事会(平成27年3月20日開催)を以て、事務局長を退任しました。平成20年12月1日に日漢協事務局次長として赴任し、平成21年4月1日に事務局長に就任以来、早いもので6年4ヵ月が経過しました。これまで大過なく務めることができましたのも、ひとえに皆様方のご支援の賜物と感謝申し上げます。事務局長就任時に「日漢協会員の皆様方の為に取り組むこと」を掲げました。これまで事務局一丸となって取り組み、会員会社様からの信頼を得る事務局作りに邁進しました。その成果の一つとして生薬委員会が実施した「原料生薬使用量等調査」、「原料生薬価格調査」等に事務局として協力できたことではないかと思っています。
日漢協の活動を対外的に浸透させていくためには事務局の役割も非常に重要であると認識しています。今後の活動は後任の渡辺義夫事務局長に託すことになりますが、その役割を果たしていただけるものと思っています。
結びに、今年は「2012年中長期事業計画(5ヵ年)」集大成に向けての重要な年になります。日漢協がますます発展されることを祈念し、退任の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
私の健康法 京都府立医科大学 吉川 敏一 学長
ストレスを栄養に...、
いい医者になるには人間関係が大事、との考えから新入生には上下関係がある運動クラブに入部するように薦めている |
●アンチエイジングの第一人者
粋な人になろう、タフな高齢者になろう、と高齢化社会における生き方を、軽妙な筆致で呼びかけた日本経済新聞のコラム「抗加齢を学ぶ」は、連載が5年半に及び人気を呼んだ。その後、日本の高齢化はますます進み、今や4人に1人が高齢者という時代を迎えている。“美しく、元気に生き生きと”過ごしたいとの思いは、国民的願望になり、アンチエイジングは医療界のみならず、国家的課題になっていると言っても過言ではない。その第一人者としても知られる。
現在、日本抗加齢医学会、日本酸化ストレス学会の名誉理事長を務め、2005年1月から2006年12月まで国際フリーラジカル学会会長を歴任された。2011年3月の京都府立医科大学における最終講義の演題は「フリーラジカルの医学」だった。同年4月に学長に就任、今日に至っている。
先の第29回日本医学会総会では登録委員長を務め、京都ならではのおもてなしにも尽力された。農林水産省の医福食農連携環境整備事業(健康長寿延伸のための食育イニシアティブ協議会)の構成員としてもリーダーシップを発揮。医師としてのみならず、これからの国の在り様にもメスを入れるその姿には大人の趣があり、粋を見る人も少なくない。
●遅寝早起き
教師と並んで聖職とされる医師の仕事は肉体的にも精神的にも生半可ではなく、自分の時間も限られる。「学長になるまでは時間単位のスケジュールでしたが、今は30分単位、10分単位ですね。土日もほとんど休みがありません」
学内の業務だけでなく、付き合いでの夜の席もしばしばあり、重なることもたびたびある。「昔は飲めなかったのですが、訓練で飲めるようになりましたね」
帰宅が遅いこともあり、家では飲まず、早寝早起きならぬ、遅寝早起きの日々を過ごしている。睡眠時間は5時間から6時間、早い時は7時半に大学に入っている。長時間勤務、ほとんど休みなしにもかかわらず、ストレスは溜まらないタイプで、「ストレスを栄養にしている...」と評されるそうだ。
●芍薬甘草湯が常備薬
ガーデニングを趣味としており、「親が残してくれた果樹がたくさんあるのですが、その手入れが健康法になっています。たまたま休みがとれたりすると、長野の蓼科にある別荘に車ででかけ、ふうふう言いながら芝刈をするのも健康のもとになっていますね」東洋医学との縁も深く、教授になって2003年に始めたのが漢方外来だった。ビタミンEなどのサプリメントと共に六君子湯を服用するときもあり、枕元には1、2か月に一度ほど起こるこむら返り用に芍薬甘草湯を常備薬として置いている。
「今後は一人の患者さんを西洋医学と東洋医学の両面から診断できればと思っています」と、東洋医学・漢方薬への眼差しはこの上なく優しく温かい。
プロフィール
1947年京都府宇治市生まれ、1973年京都府立医科大学卒業。1983年医学博士。1984年米国ルイジアナ州立大学客員教授。1993年東京大学先端科学技術センター教授(併任)。2000年京都府立医科大学第一内科学教室教授、2011年より京都府立医科大学学長。日本酸化ストレス学会(SFRR-Japan)名誉理事長、日本抗加齢医学会名誉理事長、日本抗加齢協会理事長、日本機能水学会理事長、医療国際化推進機構理事長、日本消化器免疫学会理事なども務めている。